作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)

むちうち慰謝料

むちうち|慰謝料の相場は?通院3ヵ月、4ヵ月、5ヵ月だったら?主婦はどうなる?

むちうちの慰謝料相場は?

むちうち慰謝料についてお悩みの交通事故被害者の方へ。

  • むちうち慰謝料の相場は?
  • 通院期間が「通院3ヵ月」…いくらもらえる?
  • 後遺障害が認定されたら慰謝料は増えるの?

今回は、このような「むちうちの慰謝料」に関する疑問について解説していきます。

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むちうちの慰謝料とは?計算方法は?

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交通事故の3つの慰謝料

そもそも慰謝料とは?

慰謝料とは、精神的苦痛に対する損害賠償金のことです。
交通事故でもらえる損害賠償金には、慰謝料のほか、治療費や働けなかったことによる損害(休業損害・逸失利益)などがあります。
慰謝料は、交通事故の損害賠償金の一部なのです。

交通事故でもらえる3つの慰謝料とは?

さて、交通事故の慰謝料は、以下の3種類です。

3つの慰謝料
  • 入通院慰謝料(傷害慰謝料ともいう。)
  • 後遺障害慰謝料
  • 死亡慰謝料

「入通院慰謝料」は、交通事故に遭ったことで入通院を余儀なくされたことによる苦痛に対する慰謝料です。

交通事故によって後遺症が残った場合、後遺障害認定を受けられれば、「後遺障害慰謝料」が加算されます。

「死亡慰謝料」は、交通事故の被害者が死亡した場合に支払われる慰謝料です。

慰謝料の3つの算定基準

なぜ算定基準があるの?

慰謝料は精神的苦痛を金銭的に評価するものなのです。
そのため、個々のケースで不公平にならないように、実務上、算定基準が用意されています。

慰謝料の3つの算定基準とは?

慰謝料の算定基準は、以下の3種類です。

3つの算定基準
  • 自賠責基準(自賠責保険の支払請求に用いる)
  • 任意保険基準(任意保険会社が示談金の算定に用いる)
  • 弁護士基準(弁護士が示談金増額の交渉に用いる)

入通院慰謝料(傷害慰謝料)、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の3つの慰謝料について、これらの算定基準がそれぞれ用いられて、慰謝料が計算されることになります。

自賠責基準は、自動車損害賠償保障法に定められた計算方法であり、3つの基準のうち最も低額になります。

任意保険基準は、任意保険の保険会社が、交通事故の被害者に対して、示談金を提示する際に用いる基準です。
保険会社の内部基準なので一般的には公表されていませんが、自賠責とほぼ同程度だといわれています。

弁護士基準は、実際の裁判例の相場を基準化したものであり、「裁判基準」とも呼ばれ、3つの算定基準のうち最も高額になります。
弁護士基準(裁判基準)は、通称「赤い本」(公益財団法人日弁連交通事故相談センター編 東京支部編『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準』)に掲載されています。

弁護士が任意保険会社と示談交渉をする際は、この弁護士基準(裁判基準)を用いて慰謝料を算定し、示談金の増額を目指します。

慰謝料金額相場の3基準
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むちうちの入通院慰謝料は治療期間で変わる?

通院3ヵ月の慰謝料は?

【低】自賠責基準

自賠責基準では、「4,200円✖日数」という計算式で慰謝料を算定します。

「日数」については、「実際に入通院した日数(=実治療日数)の2倍」と「治療開始日から治療終了日までの日数(=治療期間)」を比べて少ないほうで計算します。

自賠責基準
  • 「4,200円✖日数」という計算式で計算される
  • 「日数」は、「実治療日数の2倍」と「治療期間」を比べて少ない日数で計算
通院3ヵ月の場合

たとえば、通院期間が3ヵ月(=90日)、週3日通院を継続しており、実通院日数は36日だったとします。

この場合、実治療日数の2倍は72日、治療期間は90日となるため、実治療日数の2倍で計算します。
したがって、4,200円✖72日=30万2,400円になります。

【中】任意保険基準

任意保険基準については、平成11年度の保険の自由化まで統一の基準がありました。
参考までに、旧任意保険基準の通院3ヵ月の相場を確認しましょう。

通院3ヵ月の場合

平成11年度までの旧任意保険基準によれば、通院3ヵ月の入通院慰謝料は37万8,000円です。
先ほどの自賠責基準と比べると約7万円の差がありますが、ほぼ同額といえるでしょう。

先ほどもお話しした通り、現在は、任意保険の保険会社ごとに算定基準があります。
くわしい算定基準は公表されていませんが、自賠責とほぼ同額または少し上乗せされた金額になると思われます。

旧任意保険基準について詳しくはこちら。

【高】弁護士基準

弁護士基準(裁判基準)では、赤い本の「入通院慰謝料算定表」が用いられます。

入通院慰謝料算定表は、別表Ⅰと別表Ⅱに分かれています。
重症の場合は別表Ⅰが、軽傷の場合は別表Ⅱが用いられます。
むち打ちの場合、別表Ⅱを用いることが多いでしょう。

通院3ヵ月の場合

別表Ⅱによれば、通院3ヵ月は53万円になります。
CT画像など明確な他覚的所見がある場合には、別表Ⅰを参照し73万円とされる可能性もあります。

【事例】通院3ヵ月・通院日数36日
自賠責基準302,400
(=4,200円✖72
旧任意保険基準378,000
弁護士基準530,000円(別表Ⅱ)

弁護士基準の入通院慰謝料算定表のダウンロードはこちら。

入通院慰謝料算定表の完全版は、こちらからご覧いただけます。

別表Ⅱ(軽傷・むちうちの入通院慰謝料算定表)の詳しい解説・ダウンロードはこちら。⇊

別表Ⅰ(重症)の詳しい解説・ダウンロードはこちら。⇊

通院4ヵ月の慰謝料は?

今までと同じ要領で、通院4ヵ月の事例について、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の慰謝料について整理すると、次のとおりです。

事例
  • むちうち(他覚所見なし)
  • 通院期間:4ヵ月(=120日)
  • 実通院日数:40日(40日✖2=80日)
【事例】通院4ヵ月・通院日数40日
自賠責基準336,000
(=4,200円✖80
旧任意保険基準479,000
弁護士基準670,000円(別表Ⅱ)

通院5ヵ月の慰謝料は?

通院5ヵ月の事例について、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の慰謝料について整理すると、次のとおりです。

事例
  • むちうち(他覚所見なし)
  • 通院期間:5ヵ月(=120日)
  • 実通院日数:45日(45日✖2=90日)
【事例】通院5ヵ月・通院日数45日
自賠責基準378,000
(=4,200円✖90
旧任意保険基準567,000
弁護士基準790,000円(別表Ⅱ)

弁護士基準の相場について気になる方は、お気軽にお問い合わせください。

アトム法律事務所の無料相談はこちら

治療期間が長期+通院日数が少ないと3.5倍で計算?

むちうちの場合、症状の経過観察のために治療期間が長期わたり、通院日数が少なくなることも多いでしょう。

通常、通院期間は、通院開始日から通院終了日までの期間をいいます。

しかし、治療期間が長期にわたる場合に通院日数が少ないときは、通常の通院期間ではなく実治療日数の3倍~3.5倍を通院期間とみなして、赤い本の慰謝料算定表の数値が適用されることもあるため、注意が必要です。

「実通院日数✖3.5倍」の計算方法については、こちらの記事で解説しています。⇊

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むちうちの後遺障害慰謝料は110万円が平均?

むちうちの後遺障害認定で慰謝料は増える?

後遺障害認定と慰謝料UPの関係

なんとなく首が痛い、手にしびれがあるなど、むち打ちの後遺症に悩まされている方も多いと思います。

後遺障害慰謝料は、このような後遺症について後遺障害等級認定を受けることによって受け取ることができる慰謝料です。

後遺障害等級認定の解説はこちら。

この後遺障害慰謝料は、入通院慰謝料とは別に支給されるものです。
したがって、後遺障害認定を受けられれば、慰謝料の総額が増えるのです。

等級表のダウンロードはこちら。

後遺障害認定は、後遺障害の有無・程度が損害保険料率算出機構に認定してもらう手続きです。
後遺障害の程度については、1級から14級に分かれており、1級が一番重い等級です。

等級表の完全版ダウンロードはこちら。⇊

むちうちの等級は14級9号?12級も?

むちうちについて多いの場合、14級9号になる可能性が高いです。

むちうちの自覚症状があっても、CT画像などの画像所見が得られない場合が多いです。
このように画像所見によって、むちうちの自覚症状を医学的証明ができないような場合でも、神経学的検査によって合理的に説明できれば、14級認定の可能性があります。

14級9号
「局部に神経症状を残すもの」
・目立った他覚的所見が認められないが、神経系統の障害が医学的に推定されるもの
・外傷性の画像所見は得られないが、自覚症状を説明する神経学的所見が認められるもの

CT画像など他覚所見があり、誰の目からも明らに「むちうち」があるといえる場合、12級13号が認定されることも稀にあります。

12級13号
「局部に頑固な神経症状を残すもの」
・他覚的検査により神経系統の障害が証明されるもの
・自覚症状に一致する外傷性の画像所見と神経学的所見の両方が認められるもの

14級と12級の認定ポイント

事故の状況

衝撃の程度、事故の態様、被害者の姿勢、身体への影響

症状の特徴

症状発現の経過、症状の変遷、医師の診断、治療経過など

他覚的所見
  • X線・MRI画像などの画像所見(12級のみ
  • 関節可動域測定、筋力測定、腱反射テスト、病的反射テスト、知覚検査
  • 神経学的検査(スパーリングテスト、ジャクソンテスト等)

14級9号(32万/110万)

むちうちが14級9号に認定された場合、後遺障害慰謝料の相場は、自賠責基準では32万円、弁護士基準では110万円です。

自賠責基準32万円
弁護士基準110万円

12級13号(93万/290万)

むちうちが12級13号に認定された場合、後遺障害慰謝料の相場は、自賠責基準では92万円、弁護士基準では290万円です。

自賠責基準93万円
弁護士基準290万円

症状固定をむかえたら後遺障害認定を受けよう

まずは治療に専念し、症状固定をむかえたら、医師に後遺障害診断書を作成してもらい、損害保険料率算定機構に後遺障害認定の申請をします。

後遺障害等級認定の手続きの流れ

症状固定というのは、これ以上治療を続けても症状の改善が見込めない状態をいいます。

症状固定のタイミング

むちうちの場合、症状固定まで最低でも3ヵ月、長くて1年かかることもあります。

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裁判例からみる「むちうち慰謝料」~主婦編~

①通院4.5ヵ月・第14級(183万円)

こちらの交通事故では、入通院慰謝料73万円、後遺障害慰謝料110万円が認定されました。

事案としては、視界が不明瞭だったため停車してた被害車両に対して、後方から走行してきた加害車両が追突事故です。
被害車両に乗車していた主婦むちうちになりました。

札幌地判決H25・3・27 平成24年(ワ)235号
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自動車VS自動車
主婦
女性・64
症状固定まで :136日間
入院(不明)/実通院日数(136日)
入通院慰謝料 : 73万円
後遺障害慰謝料:110万円

②通院6.6ヵ月・非該当(139万円)

こちらの交通事故では、入通院慰謝料139万円が認められました。
後遺障害は認定されていないため、後遺障害慰謝料は0円です。

事案としては、加害者の運転する大型貨物自動車が前方不注視により、対面する信号機の赤色表示に従って停車していた被害者の運転する普通乗用自動車にブレーキをかけないまま追突した事故です。

千葉地判H16・9・15 平成14年(ワ)第1185号
非該当
自動車VS自動車
主婦
女性・56
症状固定まで :不明
入院(不明)/実通院日数(198日)
入通院慰謝料:139万円
後遺障害慰謝料:0

後遺障害に非該当になった場合、もらえる慰謝料の総額に影響がでてきます。
ポイントを押さえた後遺障害診断書を準備し、十分な申請準備をしましょう。

ご不明な点は、交通事故に詳しいアトム法律事務所の弁護士にお早目にご相談ください。

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むちうち慰謝料のお悩みは弁護士に無料相談

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交通事故の外傷のなかでも、特に多いのがむち打ち症です。
通院期間の長さに応じて慰謝料が算定されるため、症状固定に至るまで地道に通院治療を継続することが大切です。

症状固定に至った場合、後遺障害慰謝料を請求するには、後遺障害等級を獲得しなければなりません。
後遺障害等級認定のための診断書の作成の仕方にはコツがあるため、手続に詳しい弁護士にご相談いただき、被害者請求の準備に時間をかけましょう。

後遺障害等級認定を受けられたら、その後の示談交渉も重要です。
交通事故の慰謝料相場について、きちんと理解したうえで、弁護士基準による示談交渉をすすめていきましょう。

弁護士の無料相談をご活用いただき、むちうちの慰謝料相場の疑問について、早期に解決していただくことをおすすめします。

弁護士プロフィール

岡野武志弁護士

(第二東京弁護士会)

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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