人身事故の慰謝料相場は？高額になる弁護士基準とは？むち打ちの相場は〇〇万？

慰謝料とは、精神的苦痛に対する賠償金のことです。

交通事故の慰謝料は、以下の3種類です。

入通院慰謝料（傷害慰謝料）とは・・・

事故による受傷や、PTSDなどの精神症状の発症による精神的苦痛に対する損害賠償金のこと

です。

怪我や精神症状の治療のために入通院を余儀なくされることから、「入通院慰謝料」とも呼ばれます。

後遺障害慰謝料は・・・

事故によって「後遺障害」が残ったことによる精神的苦痛に対する損害賠償金のこと

です。

「後遺障害」とは、傷害が治ったとき身体に存する障害のことです（自動車損害賠償保障法施行令第2条第2号柱書）。

これ以上治療を継続しても治療効果が上がらず、何らかの体調不良や機能障害などが残る（＝症状固定に至る）ことがあるでしょう。

このような後遺症について、後遺障害慰謝料を受け取るためには、「後遺障害等級認定」を受ける必要があります。
後遺障害等級認定とは、損害保険料率算出機構に対して後遺障害等級認定を申請し、後遺障害の有無・程度を認定してもらう手続きです。

認定を受ければ、その等級に応じた慰謝料が支払われます。
後遺障害等級は、14級から1級まであります。
部位や症状の重さによって分類されています。

後遺障害等級表の解説はこちら。⇊

後遺障害等級表（14級～1級）

後遺障害等級表（14級～1級）と後遺障害慰謝料について交通事故の弁護士が解説。「事故で後遺障害が残ってしまったが、補償をいくら受け取れるのか知りたい」という方もご覧ください。

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死亡慰謝料とは、交通事故で生命を失ったことにに対する慰謝料のことです。

死亡事故に関連するページはこちら。⇊

死亡事故の慰謝料相場および遺族がすべきことは？

交通事故で死亡した場合の慰謝料や賠償金の相場は？被害者遺族になった場合、賠償金をしっかり受け取るには何をすべき？交通事故による死亡者数や死亡率はどれくらい？このような疑問・お悩みに、交通事故に注力するアトム法律事務所弁護士法人が解説します。

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慰謝料の算定は、むずかしく、個々のケースが差がでてしまうと解決に不公平感が募るため、基準が設けられています。
算定基準を設けることで、金額決定が長引くことを防止できるメリットもあります。

慰謝料の算定基準は、以下の3種類です。

自賠責基準は、自賠責保険に保険金支払いを請求するときに用いられる基準です。

自賠責保険とは、車両を購入する際に必ず加入しなければならない保険のことです。
自賠責保険は、最小限度の賠償を被害者に補償するものです。
補償金額には、限度額が定められています。

そのため、自賠責基準は3つの基準のうち最も低額になっています。

任意保険基準は、任意保険会社が慰謝料などの損害賠償を提示する際に用いる基準です。

任意保険は、自賠責保険で足りない賠償金をまかなうために、自主的に加入する保険です。

任意保険基準は、現在では保険会社ごとに決められており、公表されていません。
もっとも、一般的には自賠責保険よりも多少上乗せした金額、または自賠責保険と同程度といわれています。

自賠責保険では、最低限の補償額しか支払われないので、裁判などで支払いを命じられる賠償額をカバーできないことがほとんどです。
自賠責保険でカバーできない部分を任意保険でまかなわれます。

弁護士基準は、被害者側の弁護士が、加害者側の保険会社と示談交渉をする際に用いる基準です。

弁護士基準は、実際の裁判の賠償金額を基準に相場を基準化したものです。
慰謝料金額は、3つの基準のうちいちばん高額になります。

まとめ

入通院慰謝料（傷害慰謝料）、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料それぞれについて、3つの慰謝料基準が適用され、具体的な慰謝料金額が計算されることになります。

• 「人身事故の慰謝料相場が知りたい…」
• 「事故でもらえるお金の目安は？」

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傷害慰謝料（入通院慰謝料）の計算方法は？

自賠責基準の傷害慰謝料は、次のように計算されます。

自賠責基準の傷害慰謝料は、1日につき4,200円として計算されます。
「対象になる日数」は、次の日数のいずれか少ない日数で計算されます。

「実治療日数」とは、実際に治療のために医療機関に通院した日数のことです。
実治療日数については2倍したものが、対象になる日数です。

「治療期間」とは、治療開始日から治療終了日までの日数のことです。

120万円が支給の上限？

自賠責保険の補償には、限度額があります。
傷害部分については、120万円が支給限度額です。
慰謝料に加え、次のような損害賠償もすべて含めて、上限が120万円になります。

120万円を超えたら？

傷害部分の損害賠償について、保険会社に請求する金額が120万円を超えてしまった場合、加害者が任意保険にも加入してれば、任意保険会社から一括して支払いを受けられます（任意一括払い）。

保険金請求の流れについては、こちら。⇊

交通事故と保険の種類｜保険金の請求方法の流れは？健康保険は使える？

7人の弁護士がこの記事に回答しています 交通事故と保険の種類｜保険金の請求方法の流れは？健康保険は使える？保険の種類とは？保険会社への請求の流れは？交通事故の治療は自分の健康保険が使える？

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後遺障害慰謝料については、等級に応じた慰謝料が規定されています。

要介護1級・2級について

次の表は、要介護1級、要介護2級の慰謝料金額です。

自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準

1級～14級（介護不要の場合）

後遺障害のうち介護が不要なケースについては、次の表のとおりです。

第1級から第3級までは、被扶養者の有無によって、慰謝料金額が異なります。

自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準

第4級から第14級までの慰謝料金額（自賠責保険）については、次のとおりです。

自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準

どのような症状があるときに後遺障害等級が認定されるのかという基準については、こちらをご覧ください。⇊

後遺障害等級表（14級～1級）

後遺障害等級表（14級～1級）と後遺障害慰謝料について交通事故の弁護士が解説。「事故で後遺障害が残ってしまったが、補償をいくら受け取れるのか知りたい」という方もご覧ください。

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自賠責基準の死亡慰謝料は、次の表をご覧ください。

遺族とは、被害者の両親、配偶者、子のことをいう。

たとえば、遺族が1人、被扶養者（子供）がいる場合の慰謝料は、次のとおりです。

350万円＋550万円＋200万円＝1100万円

遺族が4人、被扶養者がいる場合の慰謝料は、次のとおりです。

350万円＋750万円＋200万円＝1300万円

自賠責基準では、このような相場になっています。
弁護士基準では、このような相場を上回る慰謝料が期待できます。

任意保険の支払基準については、保険会社ごとに定められおり、公表されていません。

参考までに、平成10年まで用いられていた旧任意保険基準の入通院慰謝料算定表はこちら。⇊

旧任意保険基準

多くの交通事故被害者の方は、任意保険の保険会社と示談交渉を進めることになると思います。

任意保険の支払基準よりも、弁護士基準の相場のほうが高額になります。

まだ示談交渉開始まで時間があるという方も、すでに保険会社から示談金額の提示を受けたという方も、次の項目で弁護士基準の相場を確認しておきましょう。

入通院慰謝料算定表とは？

弁護士基準（裁判基準）では、赤い本に掲載されている「入通院慰謝料算定表」が用いられます。

赤い本とは、公益財団法人日弁連交通事故相談センター編　東京支部編『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準』のことです。
赤い本の基準は、東京地方裁判所の裁判例を整理して基準化したものです。

軽傷・むちうちの入通院慰謝料算定表はこちら。⇊

弁護士基準の入通院慰謝料算定表（軽傷・むちうち）

入通院慰謝料の一覧表と計算方法について交通事故の弁護士が解説。このページでは弁護士基準（軽傷・むちうち）の入通院慰謝料を掲載中。「事故の慰謝料はいくら貰えるか」詳しく知りたい方もご覧ください。

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重症の入通院慰謝料算定表はこちら。⇊

弁護士基準の入通院慰謝料算定表（重傷）

入通院慰謝料の一覧表と計算方法について交通事故の弁護士が解説。このページでは弁護士基準（重傷）の入通院慰謝料を掲載中。「自分が貰える慰謝料はいくらか」詳しく知りたい方もご覧ください。

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後遺障害慰謝料について、弁護士基準の相場は、次のとおりです。

自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準

基本的には、後遺障害等級が認定されていなければ後遺障害慰謝料を請求することはできません。

しかし、第14級に至らないような後遺症について、症状に応じた慰謝料が認められる場合もあります。
また、損害保険料率機構では認定されなかった後遺障害等級が、裁判では考慮されて慰謝料増額につながることもあります。

意図した後遺障害等級が認定されずにお悩みの方は、慰謝料増額の可能性の有無について、ぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。

死亡慰謝料について、弁護士基準の慰謝料相場は、次の表のとおりです。

死亡事故に関連するページはこちら。⇊

交通事故｜死亡慰謝料は？高齢者や妊婦の場合は？

交通事故で被害者が死亡した場合の対応や慰謝料、保険金について解説しています。慰謝料の相続人や生命保険、高齢者や妊婦の死亡慰謝料についても詳しく解説しています。

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実際の裁判例を見てましょう。

こちら事案は、追突事故によって、助手席に同乗していた女性（主婦）がむち打ち（14級9号）などの後遺障害を負い、併合14級が認定された事案です。

福岡地裁平成26年2月13日判決　平成23年（ワ）4988号

入通院慰謝料（傷害慰謝料）については、通常、症状固定日まで通院期間約15ヵ月の場合、122万円となります。
しかし、この事案では症状等を理由に130万円と認定されています。

後遺障害慰謝料については、後遺障害14級の相場は110万円です。
しかし、この事案では症状等を理由に120万円と認定されています。

こちらの事案は、信号待ちをしていた被害車両に加害車両が追突した事故です。
被害者は、むちうちを負い、くわえてPTSDを発症しています。

福岡地裁飯塚支部平成14年3月27日判決　平成12年（ワ）第94号

PTSDについては、個人の性格の問題とされやすいため、裁判では素因減額が認められやすくなっています。
後遺障害第7級の相場は、1,000万円ですが、この事案の慰謝料金額は下回っています。

交通事故のPTSDの症状、後遺障害等級認定の診断基準などに関するページはこちら。⇊

交通事故｜PTSDの精神障害も後遺症？精神科の治療費請求、後遺障害慰謝料の相場とは

交通事故に遭ってからPTSDで悩んでいるという被害者の方も多いです。PTSDの症状や判断基準は？PTSDでも治療費請求できる？PTSDも後遺障害として等級認定してもらえる？このような疑問を解消していきましょう。

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慰謝料以外に人身事故でもらえるお金については、こちらの解説記事をどうぞ。⇊

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