作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)

指が曲がらない後遺障害

交通事故の後遺障害で指が曲がらない…|慰謝料の相場・後遺障害等級を解説

指が曲がらなくなってしまった…

交通事故にあった結果、怪我が治っても指が曲がらなくなってしまうということがあります。
このように、治療十分に尽くされても残ってしまった症状を後遺障害(後遺症)と言います。
指が曲がらないくらいで後遺症だなんて大げさ、とお思いになるかもしれません。
ですが、実はご想像よりも多額の慰謝料を受け取れる可能性もあります。
当てはまる後遺障害等級適正な慰謝料額を知り、納得のいく解決を目指しましょう。

  • 指が曲がらない症状は後遺障害等級の何級にあたる?
  • 後遺障害等級の決まる基準は何?
  • 指が曲がらないことでもらえる慰謝料はいくら?


1

「後遺症で指が曲がらない!」後遺障害等級何級になる?

指に関する交通事故の後遺障害等級とは?

後遺障害等級

治療後も体に残る後遺症を部位・程度などによって14段階に区分したもの

交通事故で後遺障害が残った場合、後遺障害等級によって慰謝料などが決定されます。
より高い(数字の小さい)等級に認定されれば慰謝料も増えますので、どの等級に認定されるかは非常に重要です。
実際の申請基準や方法については、以下のページをご覧ください。

では実際に、「指が曲がらない」という症状で認定される可能性のある後遺障害の等級を見てみましょう。

手の指編|4級、7級、12級…指が曲がらない後遺症は何級?

手の指が曲がらない場合の後遺障害等級は、以下の通りです。

手の指が曲がらない

後遺障害等級

等級 後遺障害
4 両手の指全部の用を廃したもの
7 片手の指5本の用を廃したもの
片手の親指を含む指4本の用を廃したもの
8 片手の親指を含む指3本の用を廃したもの
片手の親指以外の指4本の用を廃したもの
9 片手の親指を含む指2本の用を廃したもの
片手の親指以外の指3本の用を廃したもの
10 片手の親指の用を廃したもの
片手の親指以外の指2本の用を廃したもの
12 片手の人差し指・中指・薬指の用を廃したもの
13 片手の小指の用を廃したもの
14 親指以外の指の遠位指節関節を屈伸できなくなったもの*

*遠位指節関節(指先から数えて1番目の関節)が強直したもの
または原因が明らかで自動で屈伸ができない・近い状態にあるもの

ここでいう「用を廃した」には、様々な意味があります。
その一つに、一定角度以上指を曲げられないことが含まれるのです。

手の指の「用を廃した」とは?
  1. ① 中手指節関節、または親指の指節間関節・それ以外の指の近位指節関節の可動域が健側の可動域の1/2以下に制限されている
  2. ② 親指の橈側外転と掌側外転いずれかの可動域が健側の可動域の1/2以下に制限されている

それぞれをわかりやすく言い換えると、以下のようになります。

また、①で述べる可動域の角度は屈曲(内側に折り曲げる動き)・伸展(外側に反らす動き)の合計値・②で述べる可動域の角度は外転(遠ざける動き)単独の数値です。

① 親指の、手のひらと繋がっている関節の可動域が障害の無い同関節の1/2以下(目安として35度以下

それ以外の指の、手のひらと繋がっている関節の可動域が障害の無い同関節の1/2以下(目安として65度以下

① 親指の手のひらから数えて1番目の関節の可動域が障害の無い同関節の1/2以下(目安として45度以下
それ以外の指の、手のひらから数えて1番目の関節の可動域が障害の無い同関節の1/2以下(目安として50度以下

② 親指を人差し指から離す運動の可動域が障害の無い同関節の1/2以下(目安として30度以下
親指を手のひらから離す運動の可動域が障害の無い同関節の1/2以下(目安として45度以下

例えば、

  • 右手の親指・人差し指・中指の手のひらと繋がる関節が40度しか曲がらなくなってしまった
  • 障害のない左手の同じ関節の可動域は親指が70度、人差し指・中指が135度

という場合を考えてみます。

親指の手のひらと繋がる関節の可動域は、障害の無い関節の可動域の1/2である35度より上なので、まだ「用を廃した」とは言えません。
一方で、人差し指・中指の手のひらと繋がる関節の可動域は障害の無い関節の可動域の1/2以下になっているので、「用を廃した」と言えます。
よって片手の親指以外の二本の指の用を廃したと言えるので、後遺障害等級10級に該当することになります。

足の指編|5級、8級、12級…指が曲がらない後遺症は何級?

足の指が曲がらない場合の後遺障害等級は、以下の通りです。

足の指が曲がらない

後遺障害等級

等級 後遺障害
7 両足の指全部の用を廃したもの
9 片手の指5本の用を廃したもの
11 片足の親指を含む指2本以上の用を廃したもの
12 片手の親指または親指以外の指4本の用を廃したもの
13 片足の人差し指の用を廃したもの
片足の人差し指を含む2本の指の用を廃したもの
片足の中指・薬指・小指の用を廃したもの
14 片足の中指・中指・薬指のうち1本または2本の用を廃したもの
足の指の「用を廃した」とは?

① それぞれの指の中足指節関節、または親指の指節間関節・それ以外の指の近位指節関節の可動域が健側の可動域の1/2以下に制限されている

わかりやすく言い換えると、以下のようになります。
また、ここで述べる可動域の角度は屈曲(内側に折り曲げる動き)・伸展(外側に反らす動き)の合計値です。 ① 親指の、足の甲と繋がっている関節の可動域が障害の無い同関節の1/2以下(目安として50度以下
それ以外の指の、足の甲と繋がっている関節の可動域が障害の無い同関節の1/2以下(目安として40度以下
① ´親指の足の甲から数えて1番目の関節の可動域が障害の無い同関節の1/2以下(目安として30度以下
それ以外の指の、足の甲から数えて1番目の関節の可動域が障害の無い関節の1/2以下(目安として20度以下

例えば、

  • 左足の親指・人差し指の足の甲から数えて一番目の関節の可動域がともに20度しか曲がらなくなった
  • 障害の無い左足の同関節の可動域は親指が60度・人差し指が50度

という場合を考えてみます。

このとき、親指と人差し指両方の可動域が、障害のない方の可動域の1/2以下になっていますので、「用を廃した」と言えます。
片足の親指含む2本の指の用を廃しているので、後遺障害等級11級にあたることになります。

指が曲がらない後遺障害が複数ある時は?

例えば、

  • 右手は親指含む2本の用を廃した
  • 左手は親指を含まない4本の用を廃した

このように、複数の後遺障害が残った場合の後遺障害等級はどうなるのでしょうか。

その場合は、併合というルールを使います。

後遺障害の併合ルール
存在する後遺症 併合の結果
5級以上の後遺障害が2つ以上残存 重い方の等級を3つ繰り上げる
8級以上の後遺障害が2つ以上残存 重い方の等級を2つ繰り上げる
13級以上の後遺障害が2つ以上残存 重い方の等級を1つ繰り上げる
14級の後遺障害が2つ以上残存 14級のまま
それ以外 最高等級を後遺障害等級とする

先ほどの例ですと、右手に9級・左手に8級の後遺障害が残ることになります。
これを併合のルールに従って考えると、8級が1つ繰り上がり併合7級となります。

後遺障害で指が曲がらないときの注意点とは?

以上の等級の認定を貰おうとする際には、いくつかの注意点があります。

  • 角度は医師が手を添えて曲げた角度(他動値)を基準とする
  • 角度は5度単位で切り上げる
  • 必ず客観的な所見が必要

後遺障害等級に認定されるかは、原則として書面のみで決定します。
提出する書類に不備がないか不安な時は、弁護士にご相談ください。

2

後遺障害で指が曲がらないとき、慰謝料はいくらもらえる?

交通事故の後遺障害慰謝料とは?

後遺障害慰謝料

後遺障害が残ってしまったという精神的苦痛に対して支払われる賠償金

交通事故で後遺症が残った場合、後遺障害等級に応じて後遺障害慰謝料が支払われます。
なお慰謝料の算定には3つの基準があります。

慰謝料金額相場の3基準比較

弁護士に依頼するのとしないのとでは、金額に大きなひらきが出ます。

等級別一覧表|指が曲がらない時、慰謝料はいくらもらえる?

では実際に、後遺障害慰謝料はどれほど受け取ることが出来るのか見てみましょう。

比較

後遺障害慰謝料

等級 自賠責基準 弁護士基準
1 1100万円 2800万円
2 958万円 2370万円
3 829万円 1990万円
4 712万円 1670万円
5 599万円 1400万円
6 498万円 1180万円
7 409万円 1000万円
8 324万円 830万円
9 245万円 690万円
10 187万円 550万円
11 135万円 420万円
12 93万円 290万円
13 57万円 180万円
14 32万円 110万円

また、弁護士に依頼することで、慰謝料を2~3倍に増額できることがわかります。
弁護士に依頼することで、より多くの慰謝料を期待できるほかに請求手続きなどを一任できるというメリットもあります。

交通事故の逸失利益とは?

逸失利益とは

また、慰謝料の他に受け取ることのできる金銭もあります。
指が曲げられなくなったことでペンが握れない・足の指が曲げられず立ったり座ったりの活動が困難になるなど、後遺障害により労働に支障が出ることがあります。
そのような労働能力が喪失し、収入が減少することに対する補償が逸失利益です。
逸失利益の計算方法は、以下の通りです。

逸失利益の計算式

基礎収入×労働能力喪失率×{(67-症状固定時の年齢)に対応するライプニッツ係数}

基礎収入の導き方・収入がない場合・症状固定時に67歳以上である場合などの計算式については、以下のページをご覧になってください。

労働能力喪失率は、以下のように定められています。

労働能力喪失率*
後遺障害等級 労働能力喪失率
1 100%
2 100%
3 100%
4 92%
5 79%
6 67%
7 56%
8 45%
9 35%
10 27%
11 20%
12 14%
13 9%
14 5%

手指・足指の後遺障害の場合、労働能力の喪失率が争いになりやすい傾向があります。
一方で、仕事にどのような支障が生じているのか立証できれば、表の記載以上の喪失率が認められる場合もあります。

3

「指が曲がらない」後遺症があるなら弁護士にご相談を

記事のまとめ

今回の記事をまとめると、以下のようになります。

  • 手の指、足の指が曲がらないことは後遺障害にあたりうる
  • 後遺障害に認定されるかは、曲がらない指の本数・関節の可動域などが問題となる
  • 後遺障害に認定されると、その等級に応じた慰謝料を請求することができる

後遺障害慰謝料の増額をお手伝いします

LINE相談

手足の指の後遺障害等級は比較的明確ですが、測定方法や事故との因果関係などが問題となる場合もあります。

この点、弁護士に依頼すれば、適正な後遺障害等級が認定される可能性を高めることができます。

さらに弁護士に依頼することで

  • 後遺障害申請に関する手続きを一任して生活に専念できる
  • 後遺障害慰謝料を倍増させる
  • 実際の減収がなくとも逸失利益を認めてもらうことができる

ことなどが可能になり、より納得のいく解決を目指せます。

まずは「後遺障害等級は何級になりそうか?」「慰謝料はいくらになるのか?」というご相談だけでもLINEや電話で受け付けております。

お気軽にご利用ください。


弁護士プロフィール

岡野武志弁護士

(第二東京弁護士会)

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。


?

指が曲がらない後遺障害に関するQ&A

指が曲がらない後遺症が残ったらどうする?

指が曲がらない後遺症が残ったら後遺障害等級の認定を得ることが大切です。後遺障害の認定によって、等級に応じた後遺障害慰謝料や逸失利益の請求ができるようになります。等級は症状が重い方から1~14段階で区分されています。 交通事故における後遺障害

手の指が曲がらない!何級に認定される?

手の指が曲がらない場合の後遺障害では、4級7級8級9級10級12級13級14級に認定される可能性があります。曲がらない手指の本数や、手指の関節が一定角度よりも曲がらなくなった点から等級が判断されることになります。 手の指に関する後遺障害等級

足の指が曲がらない!何級に認定される?

足の指が曲がらない場合の後遺障害では、7級9級11級12級13級14級に認定される可能性があります。曲がらない足指の本数や、足指の関節が一定角度よりも曲がらなくなった点から等級が判断されることになります。 足の指に関する後遺障害等級

後遺障害認定でどのくらいの慰謝料がもらえる?

後遺障害慰謝料の金額は算定に用いる基準によって異なります。手の指が曲がらない場合の最も重い4級では、自賠責基準:712万円に対して弁護士基準:1670万円です。足の指が曲がらない場合の最も重い7級では、自賠責基準:409万円に対して弁護士基準:1000万円です。 等級別の後遺障害慰謝料

全国/24時間/無料相談

無料相談窓口のご案内