作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)

後遺障害診断書

後遺障害診断書の書式・料金は?医師が書いてくれない?顔の傷・むちうち事例解説

後遺障害診断書の書式・料金は?

後遺障害診断書は、交通事故の被害者にとって重要な書類です。

  • 後遺障害診断書の書式が欲しい
  • 後遺障害診断書の費用は?
  • 顔の傷やむちうちの場合どんなふうに書く?

これらの疑問に弁護士がお答えします。


1

後遺障害診断書:書式・料金を確認

後遺障害診断書|書式はココから印刷OK

後遺障害診断書の書式は下記リンクからダウンロードできます。

後遺障害診断書は、「自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書
」をさします。加害者側の保険会社からも受けとることができます。

歯科用の後遺障害診断書については書式が異なります。下記のページからダウンロードしてください。

後遺障害診断書|料金・費用をチェック

後遺障害診断書は、被害者が医師に作成を依頼します。作成料金・費用を調べてみました。

診断書作成費用
医院独自の様式 自賠責後遺障害診断書
全国平均 3,655 5,927
最高額 10,500 12,600
最低額 1,000 2,520

※産労総合研究所による平成24年10月のアンケート調査結果に基づく(有効回答数は全国の421医療機関)

後遺障害診断書の作成費用

全国平均は約6,000円

平成24年のデータにはなりますが、大きな変動はないと思われます。詳細な費用は、実際に通院している病院にたずねてみてください。

後遺障害診断書の費用について

  • 誰が支払うのか
  • どういう時に被害者が負担するのか

などは、以下の関連記事で詳しく解説しています。

後遺障害診断書|医師への作成依頼はいつ?

後遺障害診断書はいつ作成するのでしょうか?
それは症状固定のタイミングです。

症状固定
症状固定のタイミング

症状固定とは、治療を継続してもこれ以上改善する見込みがないと判断されるタイミングのことです。後遺障害診断書は治療終了後の症状固定を経て作成します

後遺障害診断書|医師が作成してくれないときは?

後遺障害等級認定の手続きの流れ

後遺障害診断書は、後遺障害認定申請に必須の書類です。

しかし「医師が後遺障害診断書を書いてくれない」という声も耳にします。医師は正当な理由なく作成を断ることはできません。何か理由があるのでしょう。これまでの経験から考えられる主な理由は3つあります。

(1)作成時期ではない
▶後遺障害診断書は症状固定となってから作成します。医師は、これから治療を続けることで、治る・よくなると考えているのかもしれません。

(2)書き方がよくわからない?
▶後遺障害診断書の作成は、医師の専門分野ではありません。医師とコミュニケーションをとって、協力する姿勢でのぞみましょう。弁護士に依頼をして同席してもらい、医師・弁護士・被害者で連携できるとベストです。

(3)医師に「後遺症が残っていない」と判断された?
▶「後遺症があるのに、納得がいかない」という場合は、セカンドオピニオンを受けることもよいでしょう。
※後遺障害認定では事故直後からの経過が重視されます。後遺障害診断書をセカンドオピニオン先で作成してもらっても、有効な書類であるとは限りません。

転院をする際などは、転院元・転院先の医院で情報共有がきちんと行われるかが重要です。被害者として、情報共有への協力は必須です。

通院先の変更を検討している方は、次の記事も参考にしてください。

後遺障害診断書|目的は後遺障害の認定と適正な慰謝料

身体に残った後遺症は「後遺障害」と認定されることで、加害者側に後遺障害慰謝料や逸失利益を求めることができます。つまり慰謝料が増えます

保険会社とのやりとりの流れ

後遺障害には1級~14級まであり、障害の内容ごとに等級が変わります。等級が決まれば後遺障害慰謝料も算出できます。

POINT

後遺障害等級が認定され、等級が決まらないと、損害額が確定しない
⇒示談交渉が始められない

後遺障害診断書は、後遺症が次の4つの状況であることを客観的に認めてもらうために必要な資料です。

(1)交通事故による傷病が原因
(2)医学的治療を継続するなど適切な治療をしたが、症状が残った
(3)将来にわたって回復が難しいとおもわれる肉体的・精神的な症状
(4)症状の存在が医学的に認められ、労働能力の喪失を伴うもの

後遺障害診断書

  • 後遺障害の等級認定申請に必須
  • 受けとる慰謝料が増える
  • 示談交渉の重要な要素

これらの目的から、非常に大切な書類です。

2

【弁護士が解説】後遺障害診断書:顔の傷やむちうち事例の書き方

ここからは、顔の傷むちうちの場合を例に後遺障害診断書で気を付けるべきポイントを解説します。

顔の傷|後遺障害診断書に書くべき3点①場所②大きさ③形状

顔の傷は、醜状障害のなかでも外貌醜状に該当します。「外貌」とは、首から上のことをさします。例えば、足に痕が残ってしまった場合は下肢醜状といい、「外貌醜状」とはいいません。「外貌醜状」のほうが、後遺障害としては重いものと判断されます。

醜状障害で大事なのは、
▶傷の場所
▶傷の大きさ
▶傷の形状
この3つが明記されていることです。

顔の傷におきかえてみましょう。

傷の場所=部位

⇒頭部?顔面部?頸部(首)?

傷の大きさ=面積・長さ

⇒てのひら大?鶏卵大?

傷の形状=形状・様子

⇒瘢痕?線状?

この3つの点は、後遺障害等級申請で必ず明示しましょう。

そのほかにも、後遺障害部分(顔の傷の部分)の写真は必須の提出書類でしょう。後遺障害認定は、原則として書面審査になります。医師の作成する「後遺障害診断書」と「添付書類」で、被害者の後遺障害がきちんと伝わるように工夫をしたいところです。

ここからは、「顔の傷」を中心に醜状障害についてまとめています。それぞれの後遺障害等級内容についても詳細に解説していますので、ぜひ読んでみてください。

醜状障害のまとめ
712
外貌に著しい醜状を残すもの
916
外貌に相当程度の醜状を残すもの
1214
外貌に醜状を残すもの
14
4号:上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
5号:下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの

7級・9級・12級に該当するのは首から上の傷で、それ以外は原則として14級となります。(一部の例外は、後述する12級14号の部分を参考にしてください)

ここからは、後遺障害等級ごとの詳細な定義を確認していきます。

「顔の傷」後遺障害:7級12号

7級12号:外貌に著しい醜状

冒頭で解説したように「外貌」とは首から上の傷です。7級の部位は、頭部・顔面部・頸部(首)となります。
原則として、次のいずれかに該当する場合を「著しい醜状」しています。

著しい醜状とは

▶頭部
てのひら大以上の瘢痕(はんこん)または頭蓋骨の手のひら大以上の欠損
▶顔面部
鶏卵大面以上の瘢痕(はんこん)または10円銅貨大以上の組織陥没
▶頸部(首の部分)
てのひら大以上の瘢痕(はんこん)

瘢痕

外傷、手術、やけどの後などにみられる“傷痕(きずあと)”のことです。

引用元:一般社団法人 日本形成外科学会

頭蓋・顔面骨欠損

外傷や腫瘍切除後などの頭蓋・顔面骨の欠損した状態です。頭蓋・顔面骨の欠損により、外見の変形が起こります。また、外見上の問題だけでなく、頭蓋骨の欠損の場合は、脳に対する保護のため、再建が必要になります。

引用元:一般社団法人 日本形成外科学会

つぎに、9級16号をみてみましょう。9級は「首から上」に限定されています。

「顔の傷」後遺障害:9級16号

9級16号:外貌に相当程度の醜状

▶顔面部
長さ5cm以上の線状痕(せんじょうこん)で、人目につく程度以上のもの

線状痕は、切り傷や裂傷、刺し傷などでできます。また、手術などでメスを入れた場合も線状痕になります。交通事故によるケガのための手術痕であれば、対象になります。

「顔の傷」後遺障害:12級14号

12級14号:外貌に醜状

▶頭部
鶏卵大面以上の瘢痕(はんこん)または頭蓋骨の鶏卵大面以上の欠損
▶顔面部
10円台銅貨以上の瘢痕(はんこん)または長さ3cm以上の線状痕
▶頸部
鶏卵大面以上の瘢痕(はんこん)
▶上肢・下肢
手のひらの大きさの3倍程度以上の痕

12級も「外貌」とありますので、基本的には、7級と同様に頭部・顔面部・頸部(首)の醜状と考えてください。7級との違いは、顔面部に線状痕の定義が入っていることです。
ただし、「外貌」ではない「上肢・下肢」であっても、広範囲に痕が残ってしまった場合は、12級に相当すると判断されます。

「顔の傷」後遺障害:14級/労災との違いをおさえましょう

14級:醜いあと

14級は「醜いあと」とされ、上肢・下肢の醜状となります。

▶4号:上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
▶5号:下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの

注意

自賠責保険と労災保険で、醜状障害における「上肢」と「下肢」の<露出面の範囲>は異なります。

上肢・下肢の露出面
自賠責保険 労災保険
上肢 肩関節から
指先まで
肘の関節から
指先まで
下肢 股関節から下 膝から下
範囲 労災保険より
広い
自賠責保険より
限定的

上肢・下肢の範囲

自賠責保険の基準範囲>労災保険の範囲

労災で認められない後遺障害でも、自賠責保険だと認定されることがあります。

労災の適用がある場合は、気を付けましょう。

増額交渉(弁護士なし)

顔の傷|示談の争点は「労働能力の喪失」

示談・裁判時の争点

醜状障害・外貌障害(顔の傷)では、労働能力の喪失の程度が争点になりやすいです。それは、例えば「腕が動かせない」などと比べて、醜状障害そのものが「仕事ができない状態」に直結することは少ないからです。

しかし、被害者の職業や立場に応じて慰謝料が増額された事由もあります。それは、直接労働能力が低下していない場合も含まれます。どのように主張するかが重要でしょう。一度、弁護士に相談することをおすすめします。

3

むちうち|後遺障害診断書に書くべき3点①画像所見②症状の継続③明確さ

むちうちは、交通事故など首が強く後屈される力がかかることを要因として、多岐の症状が発症している状態をさします。

むちうちに関する後遺障害診断書・後遺障害等級申請のポイントは
▶画像所見
▶症状の継続
▶明確な主張
この3つが明らかなことでしょう。

もう少し詳しく、例を挙げてみます。

(1)画像所見=CT・MRIなど検査資料
▶誰が見ても症状の存在が確認できる
(2)症状の継続=交通事故が原因である・治る見込みがない
▶交通事故とむちうちの因果関係を示す
▶後遺障害の要件である「改善する見込みがないもの」であることを示す
(3)明確な主張=症状をきちんと表す
▶精神的なものと思われないようにハッキリと症状を訴える
「だるい」「なんとなく〇〇」ではなく「痺れる」「ひきつる」など

「むちうち」後遺障害:12級・14級

むちうちの後遺障害等級は「12級」と「14級」に分かれます。被害者が「12級」だと思って後遺障害等級の申請をしても「14級」だったり、むしろ後遺障害と認定されず「非該当」となることも珍しくありません。

むちうちで認定されることの多い「12級」と「14級」の後遺障害等級の内容を次に示します。

後遺障害12級と14級の内容
1214
局部に頑固な神経症状を残すもの
149
局部に神経症状を残すもの
POINT

むちうちでは、症状の画像所見があれば「12級」、なければ「14級」と認定される傾向があります。医師の作成する後遺障害診断書とあわせて、CTやMRIなどの検査結果は必ず提出しましょう。

増額交渉(弁護士あり)

交通事故の後遺障害等級の認定を受けることは、簡単なことではありません。ぜひ専門家である弁護士にご相談ください。関連記事も紹介しますので、読んでみてください。

4

後遺障害診断書の書式や書き方などご相談ください

LINE・電話OK|<24時間・365日>無料相談の予約窓口

アトム法律事務所は「交通事故と刑事事件の地域一番の弁護士事務所として、 相談者のお悩みとお困りごとを解決すること」を目指しています。交通事故に関する解決実績が多数ありますので、ご安心ください。

無料相談の予約受付の窓口は24時間365日ご利用いただけます。電話・LINE・メールなど、使いやすい方法でお問い合わせください。混み合う時間帯や土日祝は順番をお待ちいただくこともありますので、お早めにご連絡ください。


5

まとめ

後遺障害診断書は医師が作成するものです。しかし、後遺障害と共に生きていくのは、被害者自身です。診断書一つで、後遺障害等級が認められないこともあるのですから、内容については医師に任せっきり…というわけにはいかないでしょう。後遺障害診断書のコツや交渉のプロは、弁護士です。ぜひ、弁護士への相談・依頼をオススメします。

アトム法律事務所は、東京・大阪・福岡をはじめ、全国各地に事務所を設けています。どの事務所も駅から近く、交通アクセスのよい立地です。次のページに各事務所・支部の一覧が確認できますので、相談時の参考にしてください。


弁護士プロフィール

岡野武志弁護士

(第二東京弁護士会)

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。


全国/24時間/無料相談

無料相談窓口のご案内