作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)

人身事故通院

交通事故の慰謝料、通院3ヶ月の相場は?むちうちで計算してみたら…

通院〇ヶ月なら慰謝料は…?

交通事故のうち、被害が人に及ぶものを「人身事故」といいます。

  • 通院に対して慰謝料はもらえるのか?
  • 通院頻度や通院日数に決まりはあるのか?

気になるところです。

この記事ではそれらの疑問に一つ一つお答えします。

  • 通院に対する慰謝料はいくらになる?
  • 通院3ヶ月の慰謝料相場が知りたい
  • 通院頻度や通院日数に決まりはある?

ケガの治療だけでも不安だと思います。
この記事で「通院」に関する疑問を解消していきましょう。

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交通事故の通院|慰謝料のしくみ

<2つ>の慰謝料

交通事故の慰謝料は2つあります。

<2つの慰謝料>
(1)入通院慰謝料:入院・通院をする精神的苦痛に対する慰謝料
(2)後遺障害慰謝料:後遺障害を負った精神的苦痛に対する慰謝料

そもそもの「慰謝料」の定義を確認しておきましょう。

慰謝料とは精神的苦痛に対して支払われるもの

入通院慰謝料と後遺障害慰謝料には次のような違いがあります。

<比較>入通院慰謝料と後遺障害慰謝料
入通院慰謝料後遺障害慰謝料
後遺障害なし×
後遺障害あり
金額の基準治療日数や治療期間後遺障害等級
POINT

請求できる人
後遺障害慰謝料は事故で後遺障害を負った人だけ請求できます。
後遺症の中でも「4つの条件」を満たしたものを「後遺障害」といいます。

慰謝料の金額
「後遺障害」が認定されると1級~14級までのいずれかの「後遺障害等級」が割り当てられます。

  • 入通院慰謝料:治療日数や治療期間に応じて変わります。
  • 後遺障害慰謝料:後遺障害等級に応じて支払われます。

<3つ>の慰謝料基準

慰謝料計算の基準は3つあります。

<3つの基準>
(1)自賠責保険の基準
(2)任意保険の基準
(3)弁護士基準

3つの相場を比較するとこのようなイメージです。

慰謝料金額相場の3基準比較

自賠責保険の基準
「自賠責保険」とは自動車の運転者に加入の義務がある保険です。

  • 加害者の自賠責保険から損害賠償を受けとります。
  • 被害者救済のための最低限の補償を行います。

任意保険の基準
「任意保険」は自動車の運転者が任意で加入する保険です。

  • 補償内容は保険会社により異なり一律の基準はありません。
  • 自賠責保険の不足分を補てんするイメージです。

弁護士基準
「弁護士基準」は裁判でも使われている基準です。

  • 慰謝料の相場が最も高い基準です。
  • 弁護士が示談交渉をする際に提案する金額です。
ここまでのまとめ

慰謝料は2種類あり、計算する基準は3つあります。
=入通院慰謝料・後遺障害慰謝料:3つの基準があります。

弁護士基準で計算すると最も高い金額をもらえます。

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交通事故の慰謝料|通院3ヶ月の慰謝料は?

通院3ヶ月のとき、交通事故の慰謝料はいくらになるのかをみていきましょう。

慰謝料は2種類、計算基準は3つあると解説してきました。
まずは通院1日あたりの慰謝料の考え方から説明します。

まずは通院1日あたりの慰謝料をチェック

通院1日あたりの慰謝料を計算してみます。
「自賠責保険の基準」と「弁護士基準」を中心に見ていきましょう。
(任意保険の基準は現在非公開のため)

自賠責保険の基準

1日あたり4,200円が入通院慰謝料となります。

注意したいのは通院日数と頻度です。
それは支給金額には上限があるからです。
Q&Aでも回答していますので、このままお読みください。

弁護士基準

弁護士基準は<重傷>の場合と、<軽傷・むちうち>の場合の2つがあります。
詳細は次の表をご覧ください。
入通院慰謝料(重傷)
入通院慰謝料(軽傷・むちうち)

表のとおり、弁護士基準では1日あたりの金額が決められているわけではありません。
入院・通院の長さ次第なので、一律で一日いくらということはないのです。
仮に「むちうち」で「1ヶ月通院」すると190,000円なので1日あたり6,333円となります。

実際の事例でチェックしていきましょう。

通院3ヶ月の慰謝料はいくら?

事例

通院期間:3ヶ月(90日)
実際の通院日数:75日
症状:むちうち
後遺障害:なし

このような事例で考えてみます。

自賠責保険の基準

計算式:4,200円 ✖< 通院期間または実際の通院日数✖2

<>の中は「短い方」を選びます。
実際の通院日数75日を2倍すると150日になります。
通院期間の90日と比較して少ない方を採用しますので
計算式に利用するのは「通院期間90日」です。

⇒ 4,200円 ✖ 90日 = 378,000円

自賠責保険の基準を使うと入通院慰謝料は<378,000円>です。
次に「弁護士基準」を確認してみましょう。

弁護士基準

むちうちの場合はこちらの表「入通院慰謝料(軽傷・むちうち)」から確認できます。
通院期間は3ヶ月なので
⇒ 530,000円が弁護士基準の入通院慰謝料です。

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交通事故の慰謝料・通院に関する7つの質問

交通事故の慰謝料や通院に関する「よくある質問集」です。

①毎日通院していい?

Answer

通院は適切な頻度を医師と相談しましょう

損害賠償というのはあくまで「適正」と認められる範囲になります。
たとえば、事故直後は毎日通院していたとしても、次第に頻度は変わるのが一般的です。

また、自賠責保険の基準での損害賠償を想定している場合は注意が必要です。
自賠責保険の基準では傷害部分の補償が120万円までと決められています。
この120万円は入通院慰謝料だけではありません。
通院交通費、診断書作成費用、投薬料、会社を休まなければならなかったことへの休業補償…など、すべての損害賠償が含まれています

医師に適切な通院頻度を相談しながら治療を進めましょう。

②適正な通院頻度は?通院の間隔は?

3ヶ月の通院期間であれば、最低でも通院日数は週に3日以上、ひと月に10日以上が望ましいです。

通院期間に対して、実際の通院日数が少ない場合は、慰謝料が減る可能性もあります。
具体的に何日だと減る、などの決まりはありません。
ケガの程度や時期にもよりますが、おおよその目安としてください。

通院頻度や日数など気になる方は次の関連記事も読んでみてください。

③いつまで通院費を支払ってもらえる?

Answer

症状固定までです。
むちうちだと「約3ヶ月」とされることが多いです。

「症状固定」というのは、これ以上治療を続けても症状の改善が見られない状態をさします。

症状固定のタイミング

交通事故の結果で腰の骨を折ってしまった。手術を経て骨はくっついたが、リハビリなどを続けてもしびれや痛みが身体に残ってしまった…というようなイメージです。

症状固定を境にして被害者が受けとるお金が変わります。
下のイラストをみてみましょう。

交通事故示談金の内訳

治療中は入通院慰謝料が発生しますが、症状固定後には発生しません。なぜなら症状固定とは「治療しても治らない」という時期なので、通院治療が必要と認められないのです。代わりに、「身体に残った損害」が確定するので、慰謝料を算出できるタイミングとなります。

症状固定については関連記事「症状固定」とは?でも詳しく解説しています。気になる方は併せてお読みください。

④リハビリ費用は請求できる?

Answer

リハビリも人身事故の損害賠償の対象です。

  • リハビリにかかった費用:治療費
  • リハビリで仕事を休むなどの収入減:休業損害(解説:休業補償の計算方法
  • リハビリを受けることの精神的苦痛:入通院慰謝料

どんな条件下でも認められるというわけではありません。
リハビリが「人身事故の治療に有用」であることを主張しましょう。
事前に弁護士に相談して、被害者の主張が伝わるように工夫していきましょう。

⑤通院交通費は請求できる?

Answer

通院交通費も認められます。

  • 公共交通機関で通院:交通費実費
  • 自家用車で通院:ガソリン代
  • タクシーでの通院:タクシー代実費

交通事故の通院費として加害者側に請求できるものの例です。

自家用車のガソリン代

ガソリン代は15円/kmで計算されます。
駐車場の料金や高速道路の使用が可能かは、あらかじめ加害者側の保険会社へ確認することをおすすめします。

タクシー代

人身事故の影響・ケガの程度によって認められます。あらかじめ加害者側の保険会社に確認をとっておき、タクシーを利用する度に「領収書」を保管しておきましょう。

⑥保険会社に通院費の打ち切りをいわれたら?

Answer
  1. ① 医師に相談する
  2. ② 弁護士に依頼する
  3. ③ 立て替えて支払った分の領収書を元にあとで請求する

① ②③の方法があります。

①医師に相談する

保険会社が打ち切りを打診してくるのは、先ほどの「症状固定」の時期を予想しているからです。
「このケガなら、症状固定はだいたい〇ヶ月後」というこれまでの実績をもとにしています。
主治医にその旨を相談して、「本当に症状固定なのか」を判断してもらいましょう。
症状固定の判断は医師の見解が尊重されます。保険会社が決定できるわけではありません。

②弁護士に依頼する

弁護士への相談・依頼をすることで、保険会社との交渉も可能です。
この時も医師の見解は非常に重要な根拠となります。

色々な弁護士事務所が無料相談の体制を整えています。アトム法律事務所への無料相談をご検討中の方は無料相談のご案内も読んでみてください。今までにアトム法律事務所を利用してくださった方のアンケートも公表中です。

③後から請求する

保険会社から一方的に通院費・治療費を打ち切られてしまったとしても、通院・治療は可能です。
後から請求する場合は「領収書」が必要です。通院の都度、領収書を出してもらい保管しておきましょう。

⑦通院先の変更はできる?

Answer

通院先を変更することは可能ですが、加害者側の保険会社への連絡通院元・通院先への配慮は必要

  • 担当医との相性が良くない、合わない
  • 生活圏内の病院へ通いたい
  • 口コミで評価のいい「〇〇医院」へ転院したい

通院先は変更できますが、合理的な理由を加害者側の保険会社にしっかり説明することが大事です。
勝手に転院する⇒×
転院を繰りかえす⇒×
治療費や交通費が支払われない可能性もあります。

また、病院間で連携をとってもらうことも大事です。
今通っている病院にも転院の旨を伝えてください。できれば「紹介状」などがあることが望ましいです。
そして、転院先でもスムーズに治療が開始できるように協力を依頼しましょう。

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交通事故の慰謝料・通院に関するお悩みや疑問は弁護士まで

被害者の方は、通院・治療というストレスのかかる環境におかれています。
ケガへの不安をかかえながら加害者や加害者側の保険会社と接点を持つことは、精神的な負担が増えるだけです。

増額交渉(弁護士なし)

通院・治療に専念するためにも、後々の解決までの流れで損をしないためにも、弁護士に依頼・相談しませんか?

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まとめ

通院に関する慰謝料の問題・通院先の問題、様々なお悩み・疑問は尽きないことでしょう。また、ケガの後遺症が残った場合には「後遺障害認定申請」をしなくてはいけません。後遺障害認定には被害者の主張を効果的に正しく伝える「後遺障害認定のポイント」を押さえることが何より重要です。先々のことを見据え、弁護士に相談してみませんか?一緒により良い解決方法を見つけていきましょう。

弁護士プロフィール

岡野武志弁護士

(第二東京弁護士会)

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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