作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)

自転車事故被害者

自転車事故の被害者へ|慰謝料・保険・対応を解説

自転車事故に遭ったらどうする?
  • 自転車事故被害者になったら、どんな賠償金を請求できるのだろう
  • 自転車事故被害者でも過失割合はつくのだろうか
  • 軽い自転車事故なら警察を呼ばなくてもいい?

ここでは、

  • 自転車同士の事故
  • 自転車と歩行者の事故

を自転車事故と定義し、自転車事故に関するこうした疑問について、詳しく解説していきます。


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自転車事故の被害者向け|保険や示談での賠償請求

自転車事故|被害者が請求できる賠償金と自動車事故との違い

自転車事故で被害者が請求できる賠償金の内訳は、車の事故の場合と同じです。

自転車事故・示談金の内訳

自動車の事故と違うのは、自転車を乗る人には加入が義務付けられた保険がないということです。

自動車を運転する人のほとんどは、強制加入である自賠責保険に加入しており、任意加入である任意保険にも約9割の人が加入しています。

一方、自転車保険は、義務化する自治体が増えているとはいえ、まだ強制加入でない場合も多いです。

加害者が保険に加入している場合としていない場合では、被害者にとっても以下のような違いが生まれます。

加害者の保険加入の有無と賠償金支払い
加害者 賠償金支払い
保険加入 ✓賠償金額が高額でも、保険会社が一括して支払う
保険未加入 ✓加害者自身が賠償金を支払う
✓資力によっては分割払いになることも
✓賠償金が踏み倒される可能性もある
自転車事故の賠償金
  • 自転車事故で被害者が請求できる賠償金項目は、自動車事故と同じ
  • 自転車事故の場合、加害者が保険未加入の可能性が高い
  • 保険未加入の加害者本人に賠償金を請求した場合、分割払いや踏み倒しの可能性がある

慰謝料計算機で自転車事故の慰謝料相場を確認

治療費や通院の交通費などの通院関係費は実費となります。
その他休業補償や慰謝料、逸失利益については、以下の計算機から簡単な相場を見ることができます。

なお、これらの賠償金の詳しい計算式等を知りたい場合には、以下の記事をご覧ください。

自転車事故で被害者が保険金をもらえる保険

自転車事故の被害者になり、

  • 示談が成立するより前にお金が必要
  • 加害者からの分割払いを待つ余裕がない

といった場合、被害者自身が加入する保険を利用してお金を得ることもできます。

自転車事故の被害者になった場合に使える保険としては、以下のものがあります。

①人身傷害保険

自動車保険の1つである人身傷害保険。

ただし、保険やプランによっては

  • 自転車でのけがは対象外
  • 事故相手が自動車である場合のみ対象

等ということもあるので、利用する際や加入する際には確認が必要。

②自転車保険

保険の内容としては、

  • 自転車で事故に遭った場合の入通院費
  • 自転車事故の加害者になった場合の相手への賠償
  • 自転車が故障した場合の補償

等があり、どれが含まれているかは保険やプランによって異なる。

また、自転車事故でも加害者の自動車保険や火災保険等から補償を受けられる場合があります。

③個人賠償責任保険

加害者の自動車保険や火災保険に含まれる保険。
加害者本人が未加入でも、その家族が加入していれば使える。

自転車事故の被害者になり、加害者が自転車保険に加入していなかった場合には、自分の保険や加害者の個人賠償責任保険を確認してみることがお勧めです。

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自転車事故の被害者向け|過失割合とその事例

過失割合の決め方と事例

自転車事故など交通事故の賠償金を考えるときに重要なのが、過失割合です。

過失割合とその決め方

過失割合

交通事故が起こった責任が、加害者と被害者それぞれにどれくらいあるかを割合で示したもの。

決め方

『別冊判例タイムズ38』(東京地裁民事交通訴訟研究会)から、該当する事故形態とその過失割合を探す。

その基本の過失割合に、事故の個別的な事情を反映する修正要素を組み入れる。

では、実際に『別冊判例タイムズ38』に載っている、自転車事故の事故形態と基本の過失割合をいくつかご紹介します。

事故形態①

状況

信号のない横断歩道を横断中の歩行者(被害者)と、その横断歩道を通過する自転車との衝突事故。

過失割合

歩行者:自転車=0:100

事故形態②

状況

歩道内で歩行者(被害者)と自転車が正面衝突または自転車が歩行者に追突した事故。

過失割合

歩行者:自転車=0:100

事故形態③

状況

交差点付近の横断歩道を歩行者(被害者)が青信号で横断していたところ、同じく青信号で右折/左折して横断補償に進入してきた自転車と衝突した事故。

過失割合

歩行者:自転車=0:100

事故形態④

状況

事故形態③で、歩行者(被害者)信号が黄色、自転車信号が青だった場合。

過失割合

歩行者:自転車=35:65

自転車同士の事故

自転車同士の事故については、『別冊判例タイムズ』には載っていません。そのため、過去の判例等を参考に決めていくことになります。

歩行者飛び出しの自転車事故|過失割合はどうなる?

歩行者の飛び出しは、自転車事故においても事故の要因として認められる可能性が高いです。歩行者の飛び出しがあった場合には、それが修正要素として過失割合に反映されます。

飛び出しは、修正要素の中で「直前直後横断」に当たります。歩行者と自転車の事故で歩行者の飛び出しが修正要素と認められると、歩行者の過失割合が5~10加算されます。

子供との自転車事故|過失割合はどうなる?

歩行者が幼児や児童だった場合の自転車事故では、それが修正要素として認められると、歩行者側の過失割合が減らされます。

児童や子供は視野が狭かったり、判断能力が十分でなかったりするためです。

歩行者と自転車の事故における幼児・児童の修正要素は以下の通りです。

幼児・児童の修正要素
修正要素
幼児 5~-20
児童 5~-10
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自転車事故の被害者になったら|事故後の対応

自転車事故が発生したら|対応の流れ

自転車事故に遭った場合には、以下の順番で対応しましょう。

自転車事故の対応
  1. ① 現場やけが人の安全確保
  2. ② 警察や救急に連絡
  3. ③ 加害者や目撃者への情報確認
  4. ④ 現場の記録

事故後の対応の流れについては、基本的には自動車事故の場合と同じです。
交通事故の対応についてさらに詳しい情報は、こちらでご確認ください。

自転車事故で警察を呼ばないと罰則がある

特に自転車事故の場合、事故になってもお互いに謝りあってそのまま別れるということもあります。しかし、自転車事故が起こった場合には、必ず警察へ連絡しましょう。

警察へ連絡しないと…
  • 後からけがや自転車の損壊が発覚してもめる可能性がある
  • 道路交通法違反になる

道路交通法では、交通事故が起こった場合に警察に連絡することを義務付けています。これに違反すると、

3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金

が科されます。

必ず警察に連絡しましょう。

重要|怪我がなくても病院へ

自転車事故の直後はけががないように思えても、時間が経たないうちに1度診察を受けることがお勧めです。

自転車事故の後から痛みが出てきたり、病院で細かい検査を受けて初めて傷害が見つかったりすることもあるからです。

事故後時間が経ってから受診した場合
  • 自転車事故とけがとの関連性が疑われやすくなる
  • 自転車事故との関連性が認められないと、治療費や慰謝料を請求できない
  • けがの発見が遅れたことで、治療に影響が出る可能性がある
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自転車事故の被害者向け|示談交渉のポイント

自転車事故の示談交渉ポイント

自転車事故の賠償金額を決める示談交渉におけるポイントは、以下の通りです。

自転車事故の示談交渉

加害者が無保険である可能性が高い。そのため…

  • 賠償金の支払いが分割払い、踏み倒しになる可能性がある
  • 示談交渉の相手が加害者自身である可能性がある

これらのポイントを考えると、自転車事故の示談交渉では弁護士に相談することがお勧めです。弁護士に自転車事故を相談することで、

  • 賠償金の分割払いや踏み倒しに対する対処法のアドバイスがもらえる
  • 弁護士に示談交渉の代行をしてもらうことができ、たとえ交渉相手が加害者自身でも、正しく交渉が行える

からです。

特に示談交渉については、当事者同士で交渉すると話がもつれたり、脅しなどの不正が行われたり、不当な賠償金額になったりする危険性がありますので、弁護士に入ってもらうことは重要です。

加害者が弁護士を立てて示談交渉を行ったり、保険に加入していて加害者側保険会社が交渉に当たったりする場合も、専門家相手に対等に交渉するためには、被害者側も弁護士を立てることが重要です。

軽負担で相談可能|無料相談と弁護士費用特約

弁護士に依頼というと、

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という問題があるかもしれません。

そのような場合はまず、アトム法律事務所無料相談をご利用ください。

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  • ポイント:LINEや電話は24時間365日、順次専門スタッフが受付中
  • スマホがあればその場で相談可能
  • 示談交渉実績口コミ評価もご覧ください。

相談後、実際に依頼するための費用については、弁護士費用特約をご利用ください。弁護士費用を保険会社に負担してもらえます。


弁護士プロフィール

岡野武志弁護士

(第二東京弁護士会)

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。


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