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作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
交通事故で歯を完全に失った…、大部分が欠けてしまった…。
また、重度になれば言葉が出づらい…、噛めない…。
こういう症状もありえます。
これらは後遺障害として認められる可能性があります。
歯の後遺障害認定は、ざっくりいうと歯の本数がポイントになります。
何本の歯に対して、どれくらいの影響が出たら「後遺障害」となるのか。
また、歯だけでなく口腔機能全体にも目を向けておくことが重要です。
適切な後遺障害等級認定と慰謝料の獲得を目指しましょう。
目次
歯の後遺障害は「歯そのもの」への影響と、「口腔機能」への影響があります。「後遺障害認定」における歯そのものへの影響は、次のような2つの定義があります。
歯は「歯冠部」と「歯根部」に分かれており、歯冠部とは、歯ぐきより上の歯が露出しているところをさします。
また、交通事故の怪我への処置の一環として残った歯冠部を切除することもあります。切除したことで②の状態になったものへの補綴(ほてつ)も②と同様にみなされます。
たとえば、失われた歯のために「ブリッジ」が必要になったとします。その際には、該当する歯の両側を削る必要があります。そうして削られてしまった歯が②の状態になったら、事故で失った歯そのものに加えて、両側の2本も交通事故により失った歯といえます。
次に口腔機能への影響について考えてみましょう。
歯を失ったり、欠けたりすることは口腔内全体へ影響を及ぼすこともあります。
たとえば、こういうシーンが考えられるでしょう。
次のような機能に影響を与える可能性があります。
歯の配列、上の歯と下の歯の咬み合わせ、あごの開き具合が「そしゃく機能」や「言語機能」に関連しています。
交通事故で歯に影響があるということは、口の周りに外部からの衝撃が加わったものと考えられます。
「歯」だけでなく、口腔機能も注視する必要があります。
歯を失ったり、欠けたりした場合の対処法からみていきます。
「補綴(ほてつ)」が主な対処法になります。
「補綴(ほてつ)」というのは耳慣れない言葉ですので、まず意味を確認しておきましょう。
公益社団法人日本補綴歯科学会によると、「補綴(ほてつ)」は次のように定義されています。
「補綴(ほてつ)」は「ほてつ」と読みます。歯科治療における補綴とは,歯が欠けたり、なくなった場合にクラウンや入れ歯などの人工物で補うことをいいます。
引用元:http://hotetsu.com/p2.html
具体的には
などの選択肢が考えられます。
以前はインプラント治療は健康保険の適用外であり、費用は高額なものと判断されていました。
ですので、義歯などの他の選択肢がとれる場合、インプラント治療の費用が認められないこともありました。
近年では、医師がインプラント治療が最善であると判断した場合はインプラント治療費が認められる事例も珍しくありません。
また、インプラント治療は定期的なメンテナンスが必要です。
インプラント治療費とは別に、将来のメンテナンス費用が認められた判例もあります。
◆インプラント治療費:106万3804円 ◆インプラント治療のための矯正費:98万7,000円 ◆インプラントのメンテナンス費用62万2055円 |
|
---|---|
✓道路を歩行中に前方から直進してきた自動車に接触 ✓顔面多発裂傷、顔面骨多発骨折、歯牙(3歯)欠損の障害 インプラント治療費・インプラント治療のための矯正費・将来のインプラントメンテナンス費を認めた。 なお、将来の矯正メンテナンス費用については認めなかった。 |
仙台地判平24.2.28
紹介した事例では、
まで認められた事例となります。
しかし、どんな治療でも認められるというわけではありません。
たとえば審美性を重視した高額治療などは、損害賠償として適切ではないと判断される可能性が高いです。
あくまで交通事故の損害賠償になるので、事故にあう前よりも優れた状態にすることは認められにくいです。
次に口腔機能の喪失・低下への対処法をみていきましょう。
顎の機能を助けるためには「顎顔面補綴装置」という機能改善を目的とした特殊な入れ歯を装着したリハビリの必要性もあるそうです。専門的な訓練をしながら、機能改善を目指していくことになります。
これらのリハビリはどの歯科医院でも行っているというわけではないそうです。主治医とよく話し合い、進めましょう。
通院先の変更は可能です。
ただし、変更希望を加害者側の保険会社には伝える必要があります。治療方針や治療内容、通院の利便性など合理的な理由を伝えることがポイントになります
加害者側の保険会社に何も伝えずに転院することや、転院を繰り返すことは避けるようにしましょう。治療費の支払いを拒否されるなど、不信感につながってしまいます。
被害者が受けとるお金の内訳はこのようになっています。
「逸失利益の意味を簡単に知りたい」や「入通院慰謝料の計算方法を知りたい」などの疑問は関連記事で詳細を解説しています。
ここからは「後遺障害慰謝料」について確認します。
後遺障害慰謝料は「後遺障害」と認定されたら支払われる慰謝料です。
後遺障害認定では、歯科補綴(ほてつ)を行った歯の本数がポイントになります。歯の本数別の「後遺障害等級」と「後遺障害慰謝料」をみていきましょう。
14歯以上 | |
---|---|
第10級14号 | 550万円 |
10歯以上 | |
第11級4号 | 420万円 |
7歯以上 | |
第12級3号 | 290万円 |
5歯以上 | |
第13級5号 | 180万円 |
3歯以上 | |
第14級2号 | 110万円 |
表内の慰謝料は「後遺障害慰謝料」というもので、後遺障害認定されたら支払われます。
実際の治療費、手術費用などの損害であったり、治療という苦痛への慰謝料(入通院慰謝料)は、別に支払われます。
ですので、歯の本数が3本に満たない場合に何も支払われないわけではありません。
ただ、表の要件に当てはまっていない場合に「後遺障害」認定を受けることは難しくなります。
つまり、2歯未満の場合はこの金額を受けとることは難しいのです。
歯の喪失や欠損が発生しても後遺障害に認定されない歯があります。
それは親しらずと乳歯です。
親しらず・乳歯は後遺障害の認定対象にはならない
後遺障害認定のポイントの「本数」には含みませんので、注意が必要です。
失った歯の本数や口腔内の状態次第で、そしゃく機能や言語機能に障害が出る可能性についても解説してきました。
このような場合に認められる可能性がある後遺障害等級や慰謝料をみてみましょう。
第1級2号|2,800万円 | ||
---|---|---|
両方が該当 ・流動食しか食べられない ・4種の語音のうち3種以上が発音不能 |
||
第3級2号|1,990万円 | ||
片方が該当 ・流動食しか食べられない ・4種の語音のうち3種以上が発音不能 |
||
第4級2号|1,670万円 | ||
両方が該当 ・粥や粥に準じたもの以外食べられない ・4種の語音のうち2種が発音できず、綴音機能に障害があるため言語だけで意思疎通ができない |
||
第6級2号|1,180万円 | ||
片方が該当 ・粥や粥に準じたもの以外食べられない ・4種の語音のうち2種が発音できず、綴音機能に障害があるため言語だけで意思疎通ができない |
||
第9級6号|690万円 | ||
両方が該当 ・固形食物の中に咀嚼できない又は十分に咀嚼できないものがある* ・4種の語音のうち1種の発音ができない |
||
第10級3号|550万円 | ||
片方が該当 ・固形食物の中に咀嚼できない又は十分に咀嚼できないものがある* ・4種の語音のうち1種の発音ができない |
*医師の認定が必要
表に示した言葉について説明していきます。
語音(ごおん)は母音と子音に分けられます。
母音は声帯の振動、子音は舌や歯、唇や声帯のすきまを使って発音します。
語音は次の4種類に分けることができます。
(1)口唇音(ま行、ぱ行、ば行、わ行、ふ)
(2)歯舌音(な行、た行、だ行、ら行、しゅ、し、ざ行、じゅ)
(3)口蓋音(か行、が行、や行、ひ、にゅ、ぎゅ、ん)
(4)咽頭音(は行)
綴音(ていおん・てつおん)は2つ以上の単音が互いに結合した音のことです。
例えば、「紙」は「k」「a」「m」「i」の4つの単音から構成されています。
コミュニケーション・会話をするうえでは欠かせないもので、綴音機能に障害があると言語だけで意思疎通をすることが困難になります。
後遺障害は一つだけで認定される場合と、複数の後遺障害が認定される場合があります。
歯の後遺障害でで知っておきたいのは加重や併合という後遺障害等級の考え方です。
交通事故にあう前からすでに身体障害があった人が、交通事故により同一部位に後遺障害が残ったために身体障害の程度を加重したもの
歯の後遺障害に置き換えて考えてみましょう。
例えば、もともと3本の歯を失っていた人(あるいは歯冠の4分の3以上の体積が欠けていた人)が、交通事故でさらに4本の歯を失ったとします。
実際の交通事故で失った本数は4本ですが、合計7本の歯に後遺障害認定に当てはまる歯がある状態です。
この際、後遺障害は「7歯以上」の加重第12級となります。
事故前の3本の喪失(あるいは欠け)の状態は既存障害第14級に相当するとされ、この分が控除されます。
⇒後遺障害慰謝料は290万円(12級認定)ー110万円(既存障害14級)=180万円となるのです。
同一の交通事故で異なる後遺障害が残った場合、より重い方の後遺障害等級を採用する
歯の後遺障害と、嚥下機能の後遺障害の両方が起こっている場合、より重い後遺障害の等級で認定を受けることになるでしょう。
「加重」や「併合」の可能性がある場合は、一度弁護士にご相談下さい。一人ひとりのお話をしっかり伺い、考えられる後遺障害等級をお伝えします。
また、後遺障害認定を目指す方には知っておいてほしいポイントがあります。
それは、後遺障害認定を申請する被害者請求という方法です。
被害者自身で申請資料を集めたりと手間はかかりますが、より適正な後遺障害認定が見込める方法です。
次の関連記事でご確認いただくか、弁護士への問い合わせをおすすめします。
<関連記事>後遺障害認定「被害者請求」について
このイラストは慰謝料の相場を表しています。
「自賠責保険の基準」、「任意保険の基準」、そして「弁護士基準」です。
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弁護士に依頼すると「弁護士基準」で示談交渉ができて、受けとる金額が増える
「弁護士基準」は弁護士・裁判所が使う適正な基準です。
一方で、「自賠責保険の基準」や「任意保険の基準」は、加害者側の保険会社が使う基準です。加害者側から提案される金額は低いのです。
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というのも、示談がまとまらなければ、いずれにせよ裁判で弁護士基準(裁判所の基準)となります。
「そうなる前に事前に弁護士基準で支払おう…」というのが加害者側の心理です。
弁護士費用に関する不安の次に「実際の弁護士事務所選び」がポイントです。
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(第二東京弁護士会) 第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。弁護士プロフィール
岡野武志弁護士