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作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
もしも、交通事故のあとに聴力障害になってしまったら・・・。
今回は、このような「交通事故による聴力障害」にまつわる疑問について弁護士が解説します。
交通事故の強い衝撃により、聴覚神経にダメージが与えられた場合、聴力障害が生じます。
具体的には、外リンパ瘻、外傷性鼓膜穿孔、側頭骨骨折、頭蓋骨骨折、音響性外傷などが原因になります。
「外リンパ瘻」(がいりんぱろう)とは、強い外力により内耳の一部に穴があき、外リンパが中耳に漏れる障害です。
症状は、難聴のほか、めまい、耳鳴り、おう吐、不快感、冷や汗などが挙げられます。
とくに特徴的な症状は、外リンパ瘻を発症した際にpop音(何かがはじけるような音)や、水の流れるような耳鳴りです。
診断方法は、聴力検査、平衡機能検査のほか、CTP診断法によりタンパク質の漏れを検査の実施です。
治療方法は、頭部挙上の体制でベッドで安静にし、いきまず、自然治癒を待つ方法です。それでも、改善しない場合は手術が必要になります。
「外傷性鼓膜穿孔」(がいしょうせいこまくせんこう)とは、強い衝撃により鼓膜に穴があく障害です。
症状は、難聴のほか、耳からの出血、耳鳴り等です。
治療方法は、耳の乾燥を保つこと、抗菌薬の投与が中心です。穿孔が2ヵ月を超える場合、手術によって治す必要があります。
「側頭骨骨折」(そくとうこつこっせつ)とは、耳の周りにある側頭骨を骨折することです。
症状として、耳の聞こえが悪いときは、骨折が中耳におよんでいる可能性があります。鼓膜の破裂や耳小骨(つち骨、きぬた骨、あぶみ骨)の損傷している可能性があります。
くわえて、耳鳴り、めまいの症状もある場合、内耳も損傷している可能性があります。
治療方法は、副腎皮質ステロイド薬、止血薬、アデノシン三リン酸、血管拡張薬、ビタミン剤などの投与です。
「頭蓋底骨折」(ずがいていこっせつ)とは、頭蓋骨の底面である頭蓋底骨を骨折することです。
症状は、難聴、耳鳴り、めまい、平衡機能障害、視力低下、目のピントが合わない、嗅覚や味覚の脱失症状などです。
事故直後の救急搬送先では、看過されることが多いといわれています。
もしも、「頭蓋底骨折」の疑いがある場合は受傷から2~3ヵ月以内に眼窩部のCT撮影等、脳外科などで検査を受けてください。
治療は、症状に応じた保存療法がとられることが多いです。安静を保ち、脳脊髄液の漏れが治る1~3週間待ちます。回復しない場合には、手術が行なわれます。
「音響性外傷」(おんきょうせいげいしょう)とは、短期間の大音量によって聴力が低下する障害です。
症状は、音源に近いほうの耳に難聴や耳鳴りが生じるというものです。
治療は、ステロイドの投与などです。
後遺障害等級の認定とは、後遺障害の重さを認定してもらう手続きです。
後遺障害の重さは、1級から14級にわかれており、1級がもっとも重い等級になります。
入通院治療が終了し、症状固定をむかえたら、後遺障害診断書などの必要書類を準備して、損害保険料率算出機構に申請します。
後遺障害認定の申請手続は、被害者請求と事前認定の2通りです。
被害者請求とは、被害者みずからが申請する手続きです。
事前認定とは、被害者が保険会社を通じて申請する手続きです。
被害者請求の場合、より柔軟に認定に資する書類を提出できるので、認定を受ける者にとって有利といえます。
被害者請求のデメリットとして、資料の準備など手間がかかりますが、弁護士などに助言を求めながら進めていきましょう。
被害者請求 | 事前認定 | |
---|---|---|
手続の手間 | かかる | かからない |
有利な医証 の提出 |
できる | できない |
不利な事情 の補足 |
できる | できない |
聴力障害の後遺障害等級は、①②を基礎に認定されます。
聴力障害については、両耳の場合と、片耳の場合に区別して後遺障害認定がされます。
両耳の聴力障害で認定される等級は、次のとおりです。
4級3号「両耳の聴力を全く失ったもの」 |
---|
・両耳が90dB以上 ・両耳が80dB~90未満で、かつ、最高明瞭度が30%以下 |
6級3号「両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの」 |
・両耳が80dB~90dB未満 ・両耳が50dB~80dB未満で、かつ、最高明瞭度が30%以下 |
6級4号「一耳の聴力を全く失い、 他耳の聴力が40㎝以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの」 |
・1耳が90dB以上、かつ、他耳が70dB~80dB未満 |
7級2号「両耳の聴力が40㎝以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの」 |
・両耳が70dB~80dB未満 ・両耳が50dB~70dB未満で、かつ、最高明瞭度が50%以下 |
7級3号「一耳の聴力を全く失い、 他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの」 |
・1耳が90dB以上で、かつ、他耳が60dB~70dB未満 |
9級7号「両耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの」 |
・両耳が60dB~70dB未満 ・両耳が50dB~60dB未満で、かつ、最高明瞭度が70%以下 |
9級8号「一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、 他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの」 |
・1耳が80dB~90dB未満で、かつ、他耳が50dB~60dB未満 |
10級5号「両耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの」 |
・両耳が50dB~60dB未満 ・両耳が40dB~50dB未満で、かつ、最高明瞭度が70%以下 |
11級5号「両耳の聴力が1m以上の距離では小声を解することができない程度になったもの」 |
・両耳が40dB~50dB未満 |
一耳(片方の耳)の後遺障害等級は、次のとおりですこの表のとおりです。
9級9号「一耳の聴力を全く失ったもの」 |
---|
・一耳が90dB以上のもの |
10級6号「一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの」 |
・一耳が80dB~90dB未満のもの |
11級6号「一耳の聴力が40㎝以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの」 |
・一耳が70dB~80dB未満 ・一耳が50dB以上で、かつ、最高明瞭度が50%以下のもの |
14級3号「一耳の聴力が1m以上の距離では小声を解することができない程度になったもの」 |
・一耳が40dB~70dB未満のもの |
音の大きさと、聞こえるレベルについては、次のとおりです。
音の大きさ | 具体例 | 難聴のレベル |
---|---|---|
20dB | 木のそよぎ | 《正常~軽度》 ささやき声、 図書館の声が 聞こえない |
40dB | 小雨の音 | 《軽度~中等度》 日常会話が 聞きづらい |
60dB | 日常会話 | 《中等度》 日常会話が 聞きづらい |
80dB | ピアノの音 | 《高度》 日常の会話が 聞こえない |
110dB | クラクション | 《重度》 耳元の大声が 聞こえない |
120dB | ジェット機 の通過音 |
まず、聴力障害の治療中の損害として、治療費、休業損害、入通院慰謝料などの賠償金がもらえます。
治療費 |
---|
交通事故による怪我の治療にかかった費用。 必要かつ相当な範囲内で実費が補償される。 |
休業損害 |
治療中に仕事を休んだために減少した収入に対する補償。 |
入通院慰謝料(傷害慰謝料) |
入通院を余儀なくされた精神的苦痛に対する慰謝料。 入通院の治療期間に応じて慰謝料金額が算定される。 |
次に、聴力障害の治療終了後の損害として、後遺障害に関する逸失利益、慰謝料などの賠償金がもらえます。
これは、いわゆる「後遺症」についての損害賠償金です。
これらの賠償金については、その後遺症について後遺障害等級が認定された場合にのみ受け取ることができます。
後遺障害逸失利益 |
---|
後遺障害によって稼ぐことができなくなった将来の収入に対する補償。 |
後遺障害慰謝料 |
後遺障害が残ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料。 |
そのほか、物損があれば修理費を賠償してもらえます。
被害者の方が亡くなられた場合には、死亡に関する逸失利益、慰謝料などの賠償金がもらえます。
後遺障害慰謝料は、認定された後遺障害等級ごとに相場があります。⇊
ここでは、弁護士基準と自賠責基準の相場を整理しました。
等級 | 弁護士基準 | 自賠責基準 |
---|---|---|
1級 | 2,800 | 1,100 |
2級 | 2,370 | 958 |
3級 | 1,990 | 829 |
4級 | 1,670 | 712 |
5級 | 1,400 | 599 |
6級 | 1,180 | 498 |
7級 | 1,000 | 409 |
8級 | 830 | 324 |
9級 | 690 | 245 |
10級 | 550 | 187 |
11級 | 420 | 135 |
12級 | 290 | 93 |
13級 | 180 | 57 |
14級 | 110 | 32 |
※単位:万円
慰謝料の算定基準には、弁護士基準、任意保険基準、自賠責基準の3種類があります。
①弁護士基準
実際の裁判例をもとにした慰謝料の相場
3つの算定基準のなかで最も高額になる
②任意保険基準
任意保険の保険会社独自の支払基準
自賠責基準とほぼ同額か少し上回る程度
③自賠責基準
自賠責保険の支払基準
保険会社から提示される示談金は、裁判の相場をもとにした弁護士基準と比べて、どうしても少額になりがちです。
交通事故で適正な慰謝料金額を知りたい方は、無料相談などを活用して弁護士までお尋ねください。
聴力障害の後遺障害が残ったことで、今までどおりに労働できなくなってしまった場合、本来ならば得られたであろう収入が得られなくなった損害について、賠償請求ができます。
このような損害のことを「逸失利益」といいます。
というような視点で、逸失利益は計算されます。⇊
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数 |
---|
基礎収入 | 被害者に後遺障害がなければ 将来的に得るはずであった年収 |
---|---|
労働能力 喪失率 |
後遺障害によって 年収を低下させる割合 |
労働能力 喪失期間 |
後遺障害によって 年収が低下する期間 |
ライプニッツ係数 | 逸失利益を一括で受け取るにあたって 現在価値に修正するための係数 |
後遺障害等級ごとの労働能力喪失率は、次のとおりです。⇊
第1級 | 第2級 | 第3級 | 第4級 |
---|---|---|---|
100% | 100% | 100% | 92% |
第5級 | 第6級 | 第7級 | 第8級 |
79% | 67% | 56% | 45% |
第9級 | 第10級 | 第11級 | 第12級 |
35% | 27% | 20% | 14% |
第13級 | 第14級 | ||
9% | 5% |
※要介護第1級・要介護第2級の労働能力喪失率は、いずれも100%。
このような等級ごとの相場をもとに、個別事案にあった労働能力喪失率が決定され、逸失利益が計算されることになります。
逸失利益についてはこちらの記事もどうぞ。⇊
弁護士基準による慰謝料金額(目安)が知りたい方へ。
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登録不要なので、お気軽にお試しください。
このようなお悩みで法律事務所をお探しの方へ。
アトム法律事務所では、交通事故の弁護士相談窓口を設置しています。
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このような方でも、お気軽にご相談いただけます。
早期のご相談が、お悩み解決の秘訣です。
お電話・メール・LINEにて、お気軽にお問い合わせください。
交通事故による聴力障害の後遺症について、適切な等級を認定してもらうには、医師の後遺障害診断書に必要十分な記載をしてもらう必要があります。
医師は治療のプロですが、書類作成のプロとはいいがたい側面があります。
後遺障害認定のポイントについては、交通事故に詳しいアトム法律事務所の弁護士に是非一度おたずねください。
また、聴力障害では、慰謝料のほか逸失利益の補償金額も大きな問題になります。
示談交渉にむけて、仕事や生活にどのくらいの支障がでているのか等、しっかりと主張を固めておくことが大切です。
今後の示談交渉や、後遺障害等級認定の流れなど、ご不明点があればお気軽にご相談ください。
早期にご不安を解消していただくことが、適切な示談金を獲得する近道です。
(第二東京弁護士会) 第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。弁護士プロフィール
岡野武志弁護士
「外リンパ瘻」(がいりんぱろう)とは、強い外力により内耳の一部に穴があき、外リンパが中耳に漏れる障害です。外リンパ瘻の特に特徴的な症状は、発症した際に何かがはじけるようなpop音や、水の流れるような耳鳴りがあげられます。 聴力障害が「外リンパ瘻」による場合
「外傷性鼓膜穿孔」(がいしょうせいこまくせんこう)とは、強い衝撃により鼓膜に穴があく障害です。外傷性鼓膜穿孔の症状は、難聴のほか、耳からの出血や耳鳴り等があげられます。治療の際には耳の乾燥を保つことや抗菌薬の投与がおこなわれます。 聴力障害が「外傷性鼓膜穿孔」による場合
「側頭骨骨折」(そくとうこつこっせつ)とは、耳の周りにある側頭骨を骨折することです。症状としては、耳の聞こえが悪かったり、耳鳴りやめまいなどがあげられます。治療法には、副腎皮質ステロイド薬や血管拡張薬、ビタミン剤などの投与がおこなわれます。 聴力障害が「側頭骨骨折」による場合
「頭蓋底骨折」(ずがいていこっせつ)とは、頭蓋骨の底面である頭蓋底骨を骨折することです。症状は、難聴・耳鳴り・めまい・平衡機能障害・視力低下・嗅覚や味覚の脱失症状などがあらわれます。治療は、症状に応じた保存療法がとられることが多いです。安静を保ち、脳脊髄液の漏れが治る1~3週間待ちます。回復しない場合には手術がおこなわれます。 聴力障害が「頭蓋底骨折」による場合
「音響性外傷」(おんきょうせいがいしょう)とは、短期間の大音量によって聴力が低下する障害です。症状には、音源に近いほうの耳に難聴や耳鳴りが生じるというものがあげられます。ステロイドの投与などによる治療がおこなわれています。 聴力障害が「音響性外傷」による場合