作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
半月板損傷|後遺症の等級、慰謝料は?治療法は手術?ひざの後遺障害を弁護士が解説
この記事では、半月板損傷の後遺症、等級について解説しています。
この記事のポイント
- 半月板損傷の後遺症は、膝の痛み、しびれ等があらわれる
- 半月板損傷の後遺症は、後遺障害等級が認定されると慰謝料が増額する
- 半月板損傷の後遺症は、症状、画像所見の有無等によって等級が変わる
- 膝靱帯損傷(靱帯断裂)を合併することがあり、等級認定の対象になる
- 「半月板損傷の後遺症で、膝に痛みが残った。」
- 「半月板損傷の等級は何級になる?」
交通事故で膝(ひざ)を捻ることで半月板損傷をわずらう方も多くおられます。
膝は腫れるし、水が溜まるので歩けない…。
手術をして歩けるようになっても、痛みが消えないなど後遺症のつらさはひとしおですよね。
- 半月板損傷の後遺症の症状は?
- 半月板損傷の後遺症の等級や慰謝料は?
- 合併しやすい膝の靱帯損傷の慰謝料は?
今回は、このような「半月板損傷の後遺症」に関する疑問を弁護士が解説します。
目次
半月板損傷の後遺症|症状・治療法
半月板損傷の症状|痛くて腫れる?水が溜まる?
半月板損傷とは、膝にある関節のクッション(=半月板)が断裂することです。
半月板とは、大腿骨(=太ももの骨)と脛骨(=すねの骨)の間にある三日月に近い形をした軟骨に似た組織で、内側と外側にそれぞれあります。
交通事故では、膝を曲げた状態で膝をひねると、この半月板が断裂をおこすことがあります。
半月板損傷の主な症状は、膝の痛み、キャッチング、ロッキング等です。炎症により腫れる、水が溜まるといった症状もあらわれます。
半月板損傷の症状
膝の痛み
ひざを深く曲げたときなど
- キャッチング
- ロッキング
- 歩けない
- 膝に水が溜まる・血が溜まる
キャッチングとは、膝を伸ばしたときに引っかかるような違和感のことです。
ロッキングとは、膝が完全にのびなくなる状態のことです。
半月板の大部分には血液が通っていませんが、辺縁部を損傷すると内出血をおこし、血が溜まることもあります。
このほか・・・
- 膝関節の可動域制限(=うまく曲がらない)
- 膝を曲げた時にグキグキという異常音がする
というような症状がある場合、半月板損傷の可能性が高いです。
半月板損傷の診断|痛みの誘発テスト?MRI診断?
半月板損傷の診断では、次ような検査が行なわれます。
半月板損傷の診断方法
- マクマレー・テスト
- グリンディング・テスト
- 単純XP撮影
- 関節造影
- MRI撮影
- 関節鏡検査
マクマレー・テストとは、仰向けに寝た状態で、膝を最大限曲げます。その状態で、医師が足を動かし、膝に激痛やグキグキという異常音が聞こえれば、陽性です。
グリンディング・テストとは、うつ伏せで、膝を90度屈曲し、踵を下に押しつけながらまわす検査です。痛みを誘発すれば陽性です。
これらの陽性反応の裏付けとして、MRI画像などの画像診断はとても重要です。
昨今では、関節鏡検査(内視鏡検査)によって、半月板損傷の状態をより精密に検査できます。
これらの検査結果は、後遺症の等級を認定してもらう際に、症状を医学的に証明する証拠となります。
半月板損傷の治療|手術が必須?保存療法のリハビリも大切
手術
半月板損傷は、放置すると変形性関節症に発展してしまうといわれており、手術による治療が行なわれます。手術は、
- 断裂部位の縫合
- 切除
のいずれかですが、半月板は再生しないため、関節内のクッション機能を保持すべく、断裂部位の縫合による修復術が優先されて行なわれます。
手術は、内視鏡という小さなカメラを関節に挿入し、モニターテレビで関節内を見ながら行なわれます。手術後は、膝をギプスで固定して安静にします。安静期間は
- 縫合手術の場合、術後6ヵ月程度
- 切除手術の場合、術後2ヵ月程度
で、仕事復帰が可能になります。
保存療法
痛みの緩和のため、保存療法もおこなわれます。温熱療法、ステロイド注射、痛み止めや消炎鎮痛剤等の内服など薬物治療に加え、リハビリステーションなど理学療法も行なわれます。
半月板損傷の後遺症|等級・慰謝料
半月板損傷は、適切な手術・治療を行なえば完治することも多いですが、
- 膝の痛み
- 膝のしびれ
といった後遺症が残ってしまうこともあります。
後遺症に関する損害は、つまり、
- 後遺症に関する慰謝料
- 後遺症に関する逸失利益
の賠償請求については、後遺障害等級を認定してもらわなければ賠償請求ができません。
後遺障害等級とは?
後遺障害等級の認定とは、後遺障害の重さを認定してもらう手続きです。
後遺障害の重さは、1級~14級にわかれており、1級がもっとも重い等級になります。
入通院治療が終了し、症状固定をむかえたら、後遺障害診断書などの必要書類を準備して、損害保険料率算出機構に申請します。
後遺障害診断書は、申請の必要書類のうち最も重要なものです。
医師に依頼する前に、きちんと後遺障害診断書の書き方についてポイントを押さえておきましょう。
後遺障害認定の申請手続は、被害者請求と事前認定の2通りです。
被害者請求とは、被害者みずからが申請する手続きです。
事前認定とは、被害者が保険会社を通じて申請する手続きです。
被害者請求の場合、より柔軟に認定に資する書類を提出できるので、認定を受ける者にとって有利といえます。
被害者請求 | 事前認定 | |
---|---|---|
申請の主体 | 被害者 | 保険会社 |
書類の準備 | 被害者 | 保険会社 |
手続の手間 | かかる | かからない |
有利な医証 の提出 |
できる | できない |
不利な事情 の補足 |
できる | できない |
被害者請求のデメリットとしては一点、資料の準備について手間がかかることです。
ですが、この点については弁護士のサポートがあれば着実に進めることができます。
戦略的に等級を獲得するためには、有利な資料を多く提出できる後遺障害の被害者請求について流れをしっかり押さえることが大切です。
【膝の痛み・痺れ】の等級、慰謝料は?
半月板損傷の後遺症では、「膝の痛み」の症状・診断内容に応じて、12級13号、14級9号が認定される可能性があります。
等級 | 内容 |
---|---|
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
後遺障害慰謝料の相場は、それぞれ次のとおりです。
等級 | 弁護士基準 | 自賠責基準 |
---|---|---|
12級 | 290 | 93 |
14級 | 110 | 32 |
※単位:万円
後遺障害等級を獲得するためのポイントは?
後遺障害12級と14級の違いは、画像所見の有無です。
- 画像所見がある場合:12級
- 自覚症状のみの場合:14級
半月板損傷の場合には、MRI画像によって医学的な証明ができる可能性が非常に高いといえます。
そのため、適切な画像診断を受けていれば、12級を獲得できる可能性が高いでしょう。
半月板損傷の後遺症|膝靱帯損傷の等級
膝靱帯損傷と合併したときの等級は?
交通事故では、半月板を損傷すると同時に、膝靱帯損傷(ひつじんたいそんしょう)を合併すること多いといわれています。
膝の靱帯は4種類ありますが、半月板損傷と合併しやすい膝靱帯損傷は、以下の2つです。
- 前十字靭帯損傷(ACL)
- 内側側副靱帯損傷(MCL)
靱帯損傷による後遺症では、膝の不安定性が後遺障害として問題になりやすいです。
膝の不安定性とは、正常ではありえない関節運動が生じていることをいい、そのような関節のことを「動揺関節」といいます。
動揺関節は、その症状に応じて、以下の等級が認定される可能性があります。
等級 | 基準 |
---|---|
8級 | 常に硬性補装具を必要とするもの |
10級 | 時々硬性補装具を必要とするもの |
12級 | 重激な労働等に際してのみ、硬性補装具を必要とするもの |
習慣性脱臼 弾発膝 |
※「常に硬性補装具を必要とするもの」は、8級7号「関節の用を廃したもの」に準じて、8級が認定される。
※「時々硬性補装具を必要とするもの」は、10級11号の「関節の機能に著しい障害を残すもの」に準じて、10級が認定される。
※「重激な労働等に際してのみ、硬性補装具を必要とするもの」「習慣性脱臼」「弾発膝」は、12級7号の「関節の機能に障害を残すもの」に準じて、12級が認定される。
後遺障害慰謝料の相場は、次のとおりです。
等級 | 弁護士基準 | 自賠責基準 |
---|---|---|
8級 | 830 | 324 |
10級 | 550 | 187 |
12級 | 290 | 93 |
※単位:万円
後遺障害等級を獲得するためのポイントは?
留意点
膝の動揺関節の後遺障害を立証するためには、ストレスXP撮影、MRI撮影が非常に重要な役割を果たします。
ことに、膝の動揺性の度合いは、ストレスXP撮影による検査が有益です。
ストレスXP撮影
徒手または器具でストレス(圧力)をかけ、靭帯の損傷で骨のずれた状態をあえて生じさせて撮影するレントゲン写真(XP)を撮影すること。
8級、10級、12級の動揺性については、それぞれ次のような数値が目安になります。
等級 | 動揺性 |
---|---|
8級 | 12㎜ |
10級 | 8~10㎜ |
12級 | 5~8㎜ |
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ということです。
①慰謝料が増える?弁護士基準による増額とは・・・
慰謝料の算定基準には、弁護士基準、任意保険基準、自賠責基準の3種類があります。
弁護士基準は、被害者側の弁護士が、保険会社との示談交渉で用いる基準のことです。
弁護士基準は、実際の裁判例の相場を参照したもので、3種類の基準のうちいちばん高額です。
これに対して、自賠責基準は、自賠責保険の支払基準です。
任意保険基準は、任意保険会社の支払基準ですが、実際のところ自賠責基準と同程度であるといわれています。
慰謝料の算定基準
①弁護士基準
- 実際の裁判例をもとにした慰謝料相場
- 3つの算定基準のなかでいちばん高額
②任意保険基準
- 任意保険の保険会社独自の支払基準
- 自賠責基準とほぼ同額か、自賠責基準に少し上乗せした程度
③自賠責基準
自賠責保険の支払基準
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弁護士費用特約とは、被害者側が加入する自動車保険の特約で、保険会社が弁護士費用の全部または一部を負担するというものです。
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(第二東京弁護士会) 第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。弁護士プロフィール
岡野武志弁護士
半月板損傷の後遺症に関するQ&A
半月板損傷とは?
半月板損傷とは、膝にある関節のクッション(=半月板)が断裂することです。交通事故では、膝を曲げた状態で膝をひねると、半月板が断裂をおこすことがあります。半月板損傷の主な症状としては、膝の痛み、キャッチング(膝の曲げ伸ばしの際の引っ掛かり感)、ロッキング(一定の角度以上動かないこと)等があげられます。炎症により腫れる、水が溜まるといった症状もあらわれます。 半月板損傷の症状について
半月板損傷の治療法は?
半月板損傷では、手術による治療が行われます。そのまま放置すると変形性関節症に発展してしまうからです。具体的な手術の方法としては、断裂した部位の縫合または切除があげられます。半月板は一度切除してしまうと再生しないため、切除よりも断裂部位の縫合による修復術が優先されます。 半月板損傷の治療法は何がある?
半月板損傷の後遺障害等級は?
半月板損傷では、「膝の痛み」という後遺症が残り、後遺障害12級13号または14級9号が認定される可能性があります。膝の痛みを証拠づける画像所見がある場合は12級、自覚症状のみの場合は14級が認定されることが多いです。半月板損傷は、MRI画像によって証明ができることが非常に多いので、12級を獲得できる可能性が高いです。また、膝靱帯損傷も発生した場合には、もっと高い等級になる可能性もあります。 半月板損傷の後遺障害等級、慰謝料は?