作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
交通事故後に耳鳴りが止まない?後遺障害(後遺症)認定で慰謝料を獲得
本記事は「交通事故が原因の耳鳴りと後遺症」について弁護士が解説します。
本記事のポイント
- 交通事故によるむちうち・耳周辺の外傷などを原因として、耳鳴りという後遺障害が残ることがある
- 交通事故と耳鳴りの因果関係を医学的に証明することが後遺障害等級の認定につながる
- 耳鳴りの程度などによって後遺障害等級が決まり、等級に応じて慰謝料の金額が決まる
耳鳴りは目に見える症状ではないため、
「後遺障害は認定されるのか」
「適正な慰謝料は得られるのか」
といった不安の声が多くみられます。交通事故で耳鳴りの後遺症が残った場合の対応について解説してきたいと思います。
目次
交通事故と耳鳴りの因果関係
交通事故が原因の耳鳴りの症状
交通事故で負った怪我によって耳鳴りの症状が発生することがあります。
耳鳴りとは
外からの音がない状態で「ピーン」や「キーン」といった音を感じる感覚
*さらに詳しくは「耳鳴り」のページへ
耳鳴りは自分の耳のなかだけで聞こえる音で、高い音や低い音など人それぞれ音色が異なります。
交通事故でなぜ耳鳴りがおこる?
耳鳴りの原因はさまざまで、ある一つの原因から耳鳴りが生じることもあれば、いくつかの原因が重なって耳鳴りが生じることもあります。動脈硬化、高血圧、加齢、ストレスなどさまざまな原因で耳鳴りは引き起こされることになります。
交通事故によって引き起こされる耳鳴りの代表的な原因としては、外傷によるものと心因的な側面とに大きく分けられます。
耳鳴りがおこる交通事故の原因
外傷によるもの | ▼むちうち |
頚椎周辺の損傷で交感神経のはたらきが異常をきたし、耳につながる血管が収縮・拡張することで耳鳴りがおこる | |
▼外傷性鼓膜穿孔 | |
交通事故の衝撃で鼓膜が破れて、耳鳴りなどがおこる | |
心因的な側面 | ▼ストレス・精神的負担 |
ストレスで交感神経のはたらきが盛んになり、血管が拡張することで耳鳴りがおこる |
交通事故ではこのような原因によって耳鳴りが生じることが多くなっています。
交通事故の耳鳴りでおこなう病院の治療法・検査法
耳鳴りの治療法
耳鳴りそのものは、疾患名ではなく症候(兆候・症状)です。
治療法としては、耳鳴りを引き起こす原因となっている疾患を特定し、その疾患を治療することが基本となります。
- むちむちによる耳鳴りであれば、むちうちに対する治療
- 外傷性鼓膜穿孔による耳鳴りであれば、外傷性鼓膜穿孔に対する治療
といった具合に、耳鳴りの原因に合わせた治療がおこなわれることになります。
耳鳴りの検査法
耳鳴りの症状を証明するためにおこなわれる検査方法の一例を紹介します。
耳鳴りの検査法
- ピッチ・マッチ検査:耳鳴りの音の高さを検査
- ラウドネス・バランス検査:耳鳴りの音の大きさ
後ほど解説する後遺障害の認定にも必要になってくる検査なのでおさえておきましょう。
交通事故が原因の耳鳴りで後遺障害等級の申請
交通事故が原因で耳鳴りなどの後遺症が残ったら、後遺障害等級の申請をおこないましょう。
後遺障害
交通事故の怪我で後遺症が残ったことで労働能力が低下・喪失すること
後遺障害が残れば、収入が減ったり精神的な苦痛を受けたりさまざまな損害を被ることになります。
後遺障害が認定されることで、等級に応じた慰謝料などの損害賠償を請求することが可能になります。適正な後遺障害の認定が、適正な慰謝料の獲得につながります。
後遺障害等級の申請手続きの流れ
耳鳴りの後遺症を後遺障害と認定してもらうには、専門の認定機関に後遺障害申請をおこなう必要があります。後遺障害申請には、医師による後遺障害診断書の作成が必要です。
認定機関が原則的に書類のみで審査をおこない後遺障害等級の基準を満たしていると判断すると、等級が認定される流れになります。
耳鳴りで認められる後遺障害の「等級」は?
交通事故による耳鳴りの治療をつづけても回復がみられない場合、後遺障害が認定される可能性があります。耳鳴りで予想される後遺障害等級はつぎのとおりです。
耳鳴りの後遺障害等級
認定が予想される等級
等級 | 認定基準 |
12級相当 | 耳鳴りにかかる検査によって難聴に伴い著しい耳鳴りが常時あると評価できる |
14級相当 | 難聴に伴い常時耳鳴りがあることが合理的に説明できる |
耳鳴りの程度に応じて、このような認定基準を満たしていれば後遺障害が認められる可能性があります。
耳鳴りで後遺障害認定につながるポイント
耳鳴りが後遺障害認定されるには、「交通事故を原因として耳鳴りが生じている」ことを立証することが重要になってきます。交通事故との因果関係を示すためにはどのように証明していく必要があるのか、もうすこし具体的に解説していきます。
後遺障害認定のポイント
- 交通事故後、すぐに病院で検査を受けている
- 耳鳴りについての後遺障害診断書がある
- 後遺障害診断書に耳鳴りについての具体的な症状が明記されている
- 耳鳴りの症状を証明する医学的な検査を受けている
このようなポイントをおさえることで、耳鳴りで後遺障害等級が認定される可能性がアップします。
耳鳴りの後遺障害認定で得られる慰謝料
耳鳴りの後遺症で得られる損害賠償の内訳
交通事故にあったことで耳鳴りがおこり、後遺症が残ったら得られる損害賠償があります。
損害賠償は、交通事故の相手方に請求することになります。もっとも、車を運転する多くの人は任意保険に加入していますので、ほとんどのケースで相手方が加入する任意保険会社に請求することになります。
交通事故で負った怪我の被害における損害賠償は、傷害部分と後遺障害部分に大きく分けることができます。それぞれ請求することができる損害賠償の主な項目はつぎのとおりです。
損害賠償の内訳
傷害部分で得られる損害賠償
▼治療費 |
治療にかかる費用 |
▼通院交通費 |
通院にかかる交通費 |
▼入院雑費 |
入院にかかる雑費など |
▼休業損害 |
怪我による休業期間の収入減額分に対する補償 |
▼入通院慰謝料 |
入院・治療による精神的苦痛に対する慰謝料 |
▼その他 |
診断書作成や資料集めにかかった費用など |
▼逸失利益* |
後遺障害による将来得られるはずだった収入減額分に対する補償 |
▼後遺障害慰謝料* |
後遺障害による精神的苦痛に対する慰謝料 |
*後遺障害の認定が必要
後遺障害部分で得られる損害賠償に関しては、後遺障害の等級に応じて算定された損害賠償額が支払われることになります。
ここで一点おさえておいていただきたいことがあります。等級ごとに慰謝料などは算定されるのですが、算定に用いる基準によって最終的に受け取ることができる金額が異なってくるという点です。
算定基準は自賠責保険基準/任意保険基準/弁護士基準の3つで、最も高額な慰謝料が算定されるのは弁護士基準になっています。
弁護士に示談交渉を依頼した場合、弁護士基準による算定が採用されやすくなります。
耳鳴りの後遺症の慰謝料・損害賠償の相場
交通事故による耳鳴りの後遺症で得られる慰謝料をはじめとした損害賠償は、一概にどのくらい得られるのかというはっきりした金額を示すことはできません。人それぞれの症状の重さや治療期間、収入などによって金額が変わってくるからです。
とはいえある程度、相場の感覚をつかんでおきたいというのが本音だと思います。そこで当事務所が交通事故で耳鳴りを負った実例をまとめてみました。こちらの
「耳鳴りの慰謝料」ページを参考にごらんください。
また、ご自身の状況をご入力いただくだけで慰謝料をシミュレーションすることができます。事前の登録などは不要なので簡単にお使いいただけます。
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弁護士プロフィール
岡野武志弁護士
(第二東京弁護士会)
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。
交通事故の耳鳴りに関するQ&A
交通事故後に耳鳴りが生じる原因は?
交通事故後、耳鳴りが生じる原因は大きく外傷によるものと心因的なものに分けられます。外傷によるものとしてはむちうち・外傷性鼓膜穿孔などの怪我があげられます。心因的なものとしては事故にあったことや怪我を負ったことで感じるストレスが引き金となる可能性があるようです。 耳鳴りの原因について
耳鳴りの後遺症は後遺障害何級?
耳鳴りの後遺症では12級相当または14級相当の後遺障害等級に認定される可能性があります。耳鳴りが後遺障害に認定されることで、後遺障害慰謝料や逸失利益といった損害賠償を等級に応じて請求することができるようになります。 耳鳴りの後遺障害等級について
耳鳴りの後遺症で請求できる損害賠償の内訳は?
耳鳴りの後遺症が後遺障害として認定された場合、傷害部分と後遺障害部分の二つに分けて請求可能な損害賠償があります。傷害部分の損害賠償は主に治療費・休業損害・入通院慰謝料などがあげられます。後遺障害部分の損害賠償としては主に後遺障害慰謝料・逸失利益があげられます。 損害賠償の内訳