作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
肩鎖関節脱臼の後遺症|治療法や後遺障害等級と慰謝料の関係解説
本記事は、「肩鎖関節脱臼の後遺症」について解説しています。
- 肩鎖関節脱臼はどんな後遺症が残るのか
- 肩鎖関節脱臼の後遺障害等級と慰謝料の関係とは
- 慰謝料請求に不安な方は弁護士に相談すべきなのか
肩鎖関節脱臼が発症した原因が交通事故である場合、事故の相手方に対して損害賠償を請求することができます。肩鎖関節脱臼の後遺症の内容から、慰謝料などお金に関する疑問について解説していきます。
目次
肩鎖関節脱臼の症状と治療法
肩鎖関節脱臼とは|どんな症状?
肩鎖関節脱臼は、鎖骨と肩甲骨の関節がはずれることをいいます。関節を安定させている靭帯に外力が加わることで断裂し、脱臼が発生します。肩鎖関節脱臼は、交通事故や転倒、ラグビー・アメフトなど激しい接触のあるスポーツなどが原因で発症することが多い怪我です。
肩鎖関節脱臼によって引き起こされる症状は主につぎのとおりです。
肩鎖関節脱臼の症状
- 肩の痛み
- 肩の腫れ
など、肩鎖関節脱臼ではこのような症状がみられます。
脱臼の程度が重いと、見た目で分かるほど鎖骨が飛び出ることになります。
さらに詳しくは、あわせて「肩鎖関節脱臼」のページもご覧ください。
肩鎖関節脱臼の治療|手術・保存療法
肩鎖関節脱臼は損傷の程度に応じて
- 捻挫:関節周辺の靭帯等の組織が損傷した状態
- 亜脱臼:関節が外れかけている状態
- 脱臼:関節が完全に外れた状態
このように3つに分類され、それぞれの症状に適した治療法がとられることになります。
肩鎖関節脱臼の治療法
▼捻挫
保存療法:三角巾・専用の固定装具などで固定
▼亜脱臼
保存療法:三角巾・専用の固定装具などで固定
▼脱臼
手術:関節をもとの位置に戻す
主にこのような治療法で回復が図られます。
痛み止めを併用しつつ、痛みが落ち着いてきたところでリハビリにうつっていくことになります。
肩鎖関節脱臼の後遺症と後遺障害
肩鎖関節脱臼の後遺症
肩鎖関節脱臼を負って治療をうけても、なんらかの後遺症が残る可能性があります。後遺症の症状はつぎのとおりです。
肩鎖関節脱臼の後遺症
- 肩が上がらない・まわせない
- 外観上、あきらかに鎖骨が出っ張っている
- 肩が痛い・しびれが残る
主にこのような後遺症が残ることが考えられます。
肩鎖関節脱臼の後遺障害|後遺症との違い
肩鎖関節脱臼の後遺障害について解説する前に、後遺症と後遺障害の違いをまずはおさえておきます。
後遺症 | 怪我が治ってもなんらかの症状が残ること |
---|---|
後遺障害 | 後遺症が残ることで労働能力が低下・喪失すること |
後遺障害は、後遺症が残っただけでは認められるものではありません。専門の認定機関が後遺障害の基準を満たしているのかという審査をおこなうことで認定されるかどうかが決まります。
肩鎖関節脱臼で予想される後遺障害として認定される症状はつぎのとおりです。
肩鎖関節脱臼の後遺障害
- 肩関節の可動域制限
- 鎖骨の変形障害
- 脱臼部分の神経障害
主にこのような症状の後遺障害が残り、労働能力に影響することになります。
肩鎖関節脱臼の後遺障害等級と慰謝料
肩鎖関節脱臼の後遺障害等級
後遺障害は症状の重さに応じて、重いほうから1級~14級までの等級で区分されています。
肩鎖関節脱臼の後遺障害で認定が予想される後遺障害等級はつぎのとおりです。
等級 | 障害の内容 | |
---|---|---|
10級 | 10号 | 肩関節の1/2以下の可動域制限 |
12級 | 6号 | 肩関節の3/4以下の可動域制限 |
12級 | 5号 | 鎖骨の外見上明らかな変形 |
12級 | 13号 | 器質的な変化が残った疼痛 |
14級 | 9号 | 脱臼部位の疼痛 |
併合9級 | 肩関節の1/2以下の可動域制限 | |
鎖骨の外見上明らかな変形 | ||
併合11級* | 肩関節の3/4以下の可動域制限 | |
鎖骨の外見上明らかな変形 |
* 鎖骨変形と痛みは併合されない点に注意
肩鎖関節脱臼ではこのような後遺障害等級が認定される可能性があります。
肩鎖関節脱臼の後遺障害慰謝料
肩鎖関節脱臼が後遺障害に認定されると、等級に応じて後遺障害慰謝料を事故の相手方に請求することができるようになります。等級ごとの慰謝料の具体的な金額について解説するまえに、慰謝料算定時に使われる基準についてお話しておきたいと思います。
慰謝料の算定に使われる基準は、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3つです。これらはそれぞれ等級ごとに設けられている慰謝料の金額が異なります。つまり同じ等級の後遺障害であっても、用いる基準ごとで慰謝料の金額に差が出るということになります。
弁護士基準による算定で最も高い慰謝料が得られます。どのくらい金額に差が出るのか、最も低い金額である自賠責基準と最も高い金額である弁護士基準を比べてみてみたいと思います。肩鎖関節脱臼で認定の可能性がある等級で確認してみます。
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
9級 | 245万円 | 690万円 |
10級 | 187万円 | 550万円 |
11級 | 135万円 | 420万円 |
12級 | 93万円 | 290万円 |
14級 | 32万円 | 110万円 |
いかがでしょうか。基準が違うだけで約2.8~3.4倍ほどの差があることがお分かりいただけたと思います。弁護士がいない状態で保険会社と示談交渉をおこなった場合、弁護士基準よりもはるかに低い金額が提示されている可能性があります。ご自身のみで増額の交渉をしても希望が通る可能性は非常に低いです。
弁護士基準での算定を実現するには、保険会社との示談交渉に弁護士が介入する必要があります。
後遺障害慰謝料以外に請求できる損害
交通事故で肩鎖関節脱臼などの傷害を負った場合、損害を金銭に換算して事故の相手方に請求することができます。交通事故の損害賠償請求では、後遺障害慰謝料以外にも請求できる損害が他にもいろいろあります。
ここからは肩鎖関節脱臼といった傷害を負った場合に請求できる主な項目からいくつかピックアップして解説していきます。
肩鎖関節脱臼の治療関係費
肩鎖関節脱臼の損害賠償として、治療関係費を請求することができます。具体的には次のような項目が該当します。
治療関係費
- 治療費:怪我の治療にかかった費用
- リハビリ費:リハビリにかかった費用
- 通院交通費:通院にかかった交通費
- 入院雑費:入院中に必要になった雑貨などの費用
- 書類作成費:後遺障害診断書など
などこのような項目を請求することができます。実費に応じた金額が支払われることになるので、診療報酬明細書・領収書などは捨てずに大切に保管しておいてください。
肩鎖関節脱臼の傷害慰謝料
肩鎖関節脱臼の損害賠償として、傷害慰謝料を請求することができます。
傷害慰謝料
治療や通院で被った精神的苦痛に対する慰謝料
症状固定までの通院期間にもとづいて傷害慰謝料は算定されることになります。
肩鎖関節脱臼の収入減の補償
肩鎖関節脱臼の損害賠償として、収入が減額したことに対する補償を請求することができます。具体的には次のような項目が該当します。
収入減の補償
- 休業損害:症状固定までの収入減額分の補償
- 逸失利益:症状固定以降の収入減額分の補償
ここで解説した損害以外にも請求可能な損害項目があります。どんな項目が損害賠償請求できる項目に該当するのか分からないという方は一度、弁護士に相談していただくことをおすすめします。
交通事故の損害賠償について詳しくはこちら
肩鎖関節脱臼の慰謝料請求が不安な方
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慰謝料増額の可能性を上げるには?
交通事故の損害賠償問題を弁護士に依頼することで、最適な結果が得られる可能性が高まります。
とくに交通事故を専門的にあつかう弁護士に示談交渉を依頼すれば保険会社と対等な立場で交渉をすすめることができるので、慰謝料増額といった結果を得ることができるかもしれません。
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弁護士プロフィール
岡野武志弁護士
(第二東京弁護士会)
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。