7人の弁護士がこの記事に回答しています

交通事故慰謝料の計算の方法|計算機・計算シートはある?主婦ならどうなる?自賠責は?

イメージ画像

交通事故被害者になってしまった時

慰謝料はいくらもらえる?

という点が非常に気になりますよね。

  • 交通事故慰謝料の計算方法は?
  • 交通事故慰謝料の計算機や計算シートはある?
  • 自賠責保険と任意保険どっちが慰謝料が高い?
  • 主婦でも交通事故慰謝料は受け取れる?

など、交通事故の正確な慰謝料について様々な疑問が浮かんでくると思います。

今回は、「交通事故慰謝料の計算方法」について弁護士の解説を交えお送りします。


1

交通事故の慰謝料計算の方法|計算の仕方は?計算機や計算シートはある?

イメージ画像
Q1

そもそも、交通事故の慰謝料とは?

交通事故慰謝料は、「賠償金」の一部です。

交通事故の慰謝料を、交通事故で発生した損害すべてを含めた示談金のことだと思っている方も多数いると思います。

実際は、慰謝料は賠償金の一部で、人身事故の賠償金には慰謝料のほかに、

  • 治療費
  • 交通費
  • 休業損害
  • 逸失利益

などが含まれています。

さらに慰謝料の内容も、いくつかの項目に分かれます。

  1. ① 入通院慰謝料
  2. ② 後遺障害慰謝料
  3. ③ 死亡慰謝料

以上の3つの種類が存在します。

入通院慰謝料とは、交通事故によって入院・通院を余儀なくされた際に支払われる慰謝料です。

慰謝料金額は、入院・通院の期間・日数によって決められます。

交通事故によって怪我を負い、後遺症が残る場合があります。

後遺障害慰謝料とは、その後遺症に後遺障害等級が認定されたものに対して支払われる慰謝料です。

等級によって慰謝料相場が定められています。

死亡慰謝料とは、交通事故によって亡くなってしまったご本人とそのご遺族に対して支払われる慰謝料です。

亡くなったご本人の立場によって慰謝料金額は異なります。

3つの慰謝料を表にまとめましたので整理しておきましょう。

まとめ

交通事故慰謝料の種類

入通院慰謝料 後遺障害慰謝料 死亡慰謝料
意味 入通院をした際支払われる慰謝料 後遺症が残り、後遺障害等級が認定された際に支払われる慰謝料 亡くなった本人と遺族に支払われる慰謝料
相場 入通院の期間・日数による 等級による 亡くなった本人の立場による
Q2

交通事故の慰謝料の計算方法は?

交通事故の慰謝料の計算方法は、3つの基準によって異なります。

  1. ① 自賠責基準
  2. ② 任意保険基準
  3. ③ 弁護士基準

ご自身で計算する際も、この基準に即して計算することになります。

それぞれの基準をみていきましょう。

①自賠責基準の慰謝料

自賠責基準とは、加入が義務づけられている「自賠責保険」から支払われる保険金額を算出する際の基準です。

「自賠責保険」は、被害者の損害を最低限度保障するための保険です。

自賠責基準の賠償額は、必要最低限の保険なので、3つの基準の中でも低額なものになります。

後遺障害がないときは、治療関係費・休業損害・慰謝料を合計して120万円までしか補償されません。

自賠責保険による入通院の計算は以下の計算式でもとめます。

計算式は以下のようになっています。

4,200円×「治療期間」or「実通院日数×2」

自賠責保険で、入通院慰謝料は1日に付き4,200円と定められています。

治療期間は、事故から完治した日、または症状固定日までの全日数のことを指します。

実通院日数は、入院日数と実際に通院した日数のことをいいます。

「治療期間」と「実通院日数×2」の少ないほうを慰謝料4,200円とかけて計算したものが、入通院慰謝料です。

また、後遺障害による損害は、

  • 慰謝料
  • 逸失利益

に分けられ、限度額は認定された等級により異なります。

以下の表では、自賠責の後遺障害慰謝料額を確認しましょう。

等級ごとの後遺障害慰謝料額
等級 慰謝料額
1級* 1600
1 1100
2級* 1163
2 958
3 829
4 712
5 599
6 498
7 409
8 324
9 245
10 187
11 135
12 93
13 57
14 32

*介護を要する後遺障害

最終的な限度額は慰謝料だけでなく、逸失利益の損害を合わせた金額になります。

最後に、死亡による損害は

  • 葬儀費
  • 慰謝料
  • 逸失利益

に分けられ、限度額は3000万となっております。

死亡本人の慰謝料としては、350万円と定められています。

死亡慰謝料も限度額は慰謝料だけでなく、葬儀費・逸失利益の損害を合わせた金額となります。

②任意保険基準の慰謝料

任意保険基準とは、各任意保険会社が慰謝料などの損害賠償を提示する際に用いる基準です。

先ほど確認した「自賠責基準」はあくまで最低限度の保障です。

自賠責基準の賠償額では、実際に裁判などで支払いを命じられる額を賄えないケースもあります。

自賠責保険は自動車損害賠償保障法により、自動車やバイクの所有者が加入することを義務付けられている保険です。

任意保険は義務ではありませんが、自賠責の基準を超える部分の支払に備えて、多くの方が自賠責保険とは別に任意保険に加入します。

任意保険は自賠責を超える部分をカバーするためのものですから、任意保険基準は自賠責基準よりも高くなります。

多くの場合は、自賠責で賄えなかった賠償額は加害者側の任意保険から支払われます。

事故の加害者側が自賠責保険のみにしか加入していなかったとしたら「自賠責保険」のみから保険金が支払われることになります。

任意の自動車保険と自賠責の関係

任意保険基準は、保険会社ごとに基準が異なり、かつ非公開とされているので、詳細はわかりません。

かつては各任意保険会社共通の基準が存在し、現在もその基準が基礎になっていると考えられています。

まず、入通院慰謝料は、入院と通院に分けて慰謝料が定められています。

任意保険の入通院慰謝料は、日額4,200円と定めている自賠責基準とは異なり弁護士基準と同じ定め方です。

もっとも、定め方は弁護士基準と同様でも、基準は弁護士基準に比べるとかなり低い金額になっているようです。

任意保険の入通院慰謝料基準を表で確認しましょう。

任意保険の入通院慰謝料基準
月数 通院慰謝料 入院慰謝料
1 126,000 252,000
2 252,000 504,000
3 378,000 756,000
4 479,000 958,000
5 567,000 1,134,000
6 643,000 1,285,000
7 706,000 1,411,000
8 769,000 1,525,000
9 819,000 1,625,000
10 869,000 1,701,000
11 907,000 1,777,000
12 932,000 1,840,000
13 958,000 1,890,000
14 983,000 1,928,000
15 1,008,000 1,966,000
16以降 毎月25,000加算 毎月38,000加算

上記の表がそのまま適用されるのは、実通院日数が月平均10日以上の場合です。

実通院日数がそれに満たない場合は、表の基準から減額補正されてしまいます。

具体的な減額割合はおおよそ以下の通りです。

傷害慰謝料の通院実日数による減額補正

① 月平均の実通院日数:1〜4日

減額補正:1/3〜1/2に減額

② 月平均の実通院日数:5〜9日

減額補正:1/2〜2/3に減額

③ 月平均の実通院日数:10日以上

減額補正:なし

しっかり通院をしていなければ慰謝料が減らされてしまうので注意が必要です。

また、上記の基準は交通事故に多いむちうちや打撲・挫傷などのケースを想定して作成されています。

骨折・脱臼等の場合は、計算結果×1.1、 脳挫傷・内臓破裂等の場合は、計算結果×1.2となります。

重症の場合には上の表から増額補正して慰謝料が算出されます。

続いて、後遺障害慰謝料をみていきましょう。

任意保険基準の後遺障害慰謝料は、自賠責基準に若干上乗せした程度の金額になります。

こちらも表で確認しましょう。

任意保険の後遺障害慰謝料基準
等級 任意保険基準
1 1300
2 1120
3 950
4 800
5 700
6 600
7 500
8 400
9 300
10 200
11 150
12 100
13 60
14 40

最後に、任意保険基準の死亡慰謝料を見てみましょう。

死亡慰謝料は、事故被害者の立場によって大きく異なります。

任意保険基準の死亡慰謝料

一家の支柱:1700万

18歳未満の未就労者:1400万

65歳以上の高齢者:1250万

上記以外の場合:1450万

③弁護士基準

弁護士基準とは、弁護士が慰謝料などの損害賠償を交渉する際に用いる基準です。

弁護士基準は、過去の裁判例をもとに弁護士会がまとめたものであり、裁判の場でも用いられているため裁判基準とも呼ばれます。

弁護士に依頼して、保険会社と交渉すると、弁護士基準ベースでの慰謝料の支払いを受けられます。

弁護士基準は、三つの基準の中で最も高額な基準となっています。

弁護士が被害者の代理人として交渉するに至った場合、交渉が決裂すると裁判に移行する可能性が高くなります。

それを避けるため、保険会社は、被害者に弁護士がつくと、示談金の提示額を大幅に増額することが多くなります。

弁護士基準の入通院慰謝料をみていきましょう。

弁護士基準での入通院慰謝料は、日弁連交通事故相談センターによる「損害賠償額算定基準」に掲載されている算定表に基づきます。

その書籍を「民事交通事故訴 訟損害賠償額算定基準」といい、表面のカバー全体が赤色であるため、通称「赤本」と呼ばれています。

弁護士基準では、自賠責基準の2倍以上の金額になることもあります。

また、後遺障害の慰謝料についても、自賠責基準と任意保険基準との差は歴然としています。

表で確認してみましょう。

後遺障害等級と慰謝料
等級 慰謝料
1 2,800
2 2,370
3 1,990
4 1,670
5 1,400
6 1,180
7 1,000
8 830
9 690
10 550
11 420
12 290
13 180
14 110

※慰謝料の単位は万円

ご覧の通り、自賠責基準や任意保険基準よりも大幅に高くなっています。

最後に弁護士基準による死亡慰謝料についてみてみましょう。

弁護士基準の死亡慰謝料も本人の立場によって金額が異なります。

一家の支柱:2800万円

母親・配偶者:2500万円

その他(独身男女、子ども、幼児等):2000万円~2500万円

となっています。

弁護士基準の死亡慰謝料も事情により増減されることがあります。

自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準を図で比較すると以下のようになります。

ご自身で弁護士基準で慰謝料を請求することは可能ですが認められることは困難です。

弁護士基準の慰謝料を請求する場合は、弁護士に依頼して示談するようにしましょう。

Q3

自賠責保険と任意保険どちらのほうが慰謝料が高い?

任意保険の方が自賠責保険よりも高くなります。

任意保険は、自賠責保険で補えない部分をカバーするための保険です。

そのため、追突事故のような過失割合の認められない交通事故の慰謝料は任意保険基準のほうが多くもらえることになります。

しかし、ご自身で慰謝料を計算すると、「自賠責基準で計算した慰謝料の方が高い」と疑問に思う方もいるかもしれません。

自賠責基準が用いられるのは、自賠責保険の限度額の範囲内です。

通院期間が長くなると、自賠責基準で計算した慰謝料の方が高くなることが多いです。

もっとも、通院期間が長くなるとその分治療費も高くなります。

自賠責は120万円が限度額なので、最終的に受け取れる慰謝料は少なくなってしまいます。

任意保険の支払額は自賠責保険の支払額を下回ってはなりません。

よって、自賠責保険の限度額の範囲内で、自賠責基準の方が高い場合には、自賠責基準での慰謝料が支払われます。

Q4

交通事故慰謝料の計算機や計算シートはある?

「弁護士基準の慰謝料の金額を知りたい…」という方もいらっしゃると思います。

こちらに弁護士基準の交通事故の慰謝料相場を算出できる計算機をご用意しました。

通院期間や後遺障害の有無を入れるだけで、簡単に慰謝料を算出できます。

重症だけではなく、軽症やむちうちの場合もシュミレーションできます。

ぜひご利用ください。


2

【Q&A】交通事故慰謝料の計算について

イメージ画像
Q1

交通事故の慰謝料、主婦の場合はどうなる?

入通院をする精神的苦痛は主婦でも他の立場でも変わらないので、他の場合と同じように慰謝料を受け取ることが可能です。

主婦の場合も、入通院慰謝料の計算方法は入通院期間を基礎に計算されます。

もっとも、幼児を持つ主婦(母親)が育児のために入院期間を短縮した場合には入院慰謝料を増額する場合があります。

後遺障害が残存したことによる生活上の不便は主婦でも他の立場でも変わりません。

よって、後遺障害慰謝料の相場は同じといえます。

もっとも、裁判になった場合はもう少し個別の事情を考慮することがあります。

よって、主婦であることを理由に慰謝料が増減する可能性はあります。

また、主婦の場合死亡慰謝料が他の立場と比べてやや高い場合があります。

弁護士基準で慰謝料を算定すると、主婦の場合独身に比べて高くなる傾向があります。

  • 家庭内で果たしていた役割が大きい
  • 配偶者や子供ら遺族の精神的苦痛が大きい

などの理由から死亡慰謝料の相場が2500万円と定められています。

なお、「2500万円」は、弁護士基準の金額です。

保険会社からの提示額はもっと低い金額になることが多いです。

死亡慰謝料は、弁護士に依頼すると、増額幅が大きいケースがあります。

示談をする前に弁護士に相談することをおすすめします。

Q2

むちうちの慰謝料の計算方法は?

交通事故の傷害で多いのが「むちうち」です。

他覚症状のないむちうちの場合も、原則は通院期間によって慰謝料が算定されます。

もっとも、通院期間は長期にわたるが通院頻度が少ない場合などは例外となります。

例外ケースの場合、実治療日数の3倍の日数を通院期間とみて慰謝料を算定することがあります。

よって、通院日数が月10日未満の場合、慰謝料が相場よりも減額される可能性があります。

他覚症状がない、つまり、客観的に見てわからない場合、そもそも交通事故が原因なのか、元々の素質から来るものなのか証明できません。

実際、むちうちでは、心理的な原因で痛みが続き、通院が長引くケースも多いです。

よって、慰謝料の相場は低く設定されています。

仕事が忙しくて週1日しか通院していなかった、などの場合は慰謝料の金額がさらに低くなる可能性があります。

どのようなペースで通院するべきか、など適切な慰謝料獲得に向けて一度弁護士にご相談ください。


3

【弁護士無料相談】交通事故の慰謝料計算について相談したい…

イメージ画像
Q1

交通事故の慰謝料について無料相談できる窓口はある?

交通事故の被害に遭い、お困りの方が無料相談できる窓口をご紹介します。

慰謝料は、弁護士に依頼すると任意保険基準よりも金額が高くなることも多いです。

交通事故に注力している弁護士にご相談頂くと、どのように示談を進めるべきかアドバイスが受けられます。

任意保険基準での慰謝料の提示が妥当なのか少しでも疑問に思われた方はまず、弁護士に相談だけでもしてみましょう。

ご自身だけで計算をするのは困難だという方もいらっしゃると思います。

以下の窓口から無料相談が受けられます。

まずは、お気軽に以下の窓口からご相談ください。

全国/24時間/無料相談

無料相談窓口のご案内