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交通事故の治療が終わっても後遺症が残っている、というのは精神的にも大変辛いものです。
それを和らげるための手段の一つが、後遺障害等級の認定を受けることです。
今回は後遺障害等級の認定に関する疑問について解説していきます。
目次
事故にあったというただでさえ不運な出来事の上に、今後も後遺症が残るというのは辛いものです。
そんな方が少しでも補償を受けられるようにするには、まず後遺障害についてよく知らなければなりません。
例えば、①事故と関係のない喧嘩でできた傷である
などには、後遺障害と定義されません。
また、原則として後遺障害等級表に該当するものである必要があります。
後遺傷害等級表は、上記の労災保険で定められたものを準用しています。
しかしながら、労災保険よりも厳しい認定を受ける傾向があるようです。
後遺障害に対する保険金給付を受けるにあたっては、
に基づき損害保険料算出機構の調査事務所が認定します。
ですので、主治医が「これは〇級の後遺障害」と言ったとしても、認定結果が出るまではどの等級になるかはわかりません。
事前認定 | 被害者による請求 | |
---|---|---|
書類の収集 | 保険会社 | 被害者自身 |
書類のチェック | できない場合がある | 確実にできる |
適切な等級認定 | 不利になる場合がある | 有利になる場合がある |
この認定作業は、原則すべて書面で行います。
そのため、直接赴いて被害を訴えるということは出来ず、書面のみで症状をきちんと伝える必要があります。
では、書面は何を提出したらよいのでしょうか。
必要な書類 | 入手方法 | |
---|---|---|
事前認定の場合 | 後遺障害診断書 | 医療機関窓口 |
レントゲン写真やMRIフィルムなど | ||
診断書 | 任意保険会社に写しの送付を依頼 | |
診療報酬明細書 | ||
事故発生状況報告書 | 自分で書く | |
交通事故証明書 | 任意保険会社に写しの送付を依頼 | |
被害者請求の場合 (上記6つに 加えて必要) |
請求者の印鑑証明 | 市町村窓口 |
保険金・損害賠償支払請求書 | 保険会社から送られたものを 自分で書く |
|
被害者請求 代理人による請求の場合 (上記9つに加えて必要) |
実印を押した委任状 | 自分で書く |
特に後遺障害診断書は非常に重要な医療的証拠となります。
加害者が契約している自賠責保険の保険会社宛てに送ります。
ただし認定自体は調査事務所が行うため、後から追加で資料を行う場合は直接送付します。
症状固定日、すなわち治療を続けてもそれ以上症状の改善が望めないと判断された時点です。
この時期の判断では主治医の意見が尊重されますが、絶対視されるわけではありません。
後遺障害診断書を作成してもらう |
---|
↓ |
加害者側の任意保険会社に提出 |
後遺症診断書を作成してもらう |
---|
↓ |
加害者側の任意保険会社に ・交通事故証明書 ・診断書 ・診療報酬明細書 の写しの送付を依頼 |
↓ |
加害者の自賠責保険会社に必要提出書類一式を送ってもらう |
↓ |
さらに必要な書類を収集する |
↓ |
送付書をつけて加害者側の自賠責保険会社に送付 |
追加の調査などがなければ、通常申請してから1~2カ月で認定がなされます。
ただし、高次脳機能障害の認定などには通常より時間がかかることが多いようです。
実際の等級別認定数は、以下の表の通りです。
最も障害の軽い14級に認定される人が過半数であることがわかります。
提出する書類も多いし、後遺障害等級認定って面倒臭そう…。
確かにそうですが、それを以て有り余るメリットがあります。
それは支払われる損害賠償額が飛躍的にあがりうる点です。
では、具体的には何があがるんでしょうか。
慰謝料といえば、入通院に応じて支払われる「傷害慰謝料」ですが、
後遺障害等級認定が得られると、それに加えて後遺障害慰謝料が支払われます。
後遺症が残ったことへの精神的苦痛に対して支払われる慰謝料
また、後遺障害等級認定がなされるということは、労働能力の喪失が認められたことになるため、
逸失利益が追加されます。
後遺障害が残ったことにより、労働能力が低下したため得られるはずだった収入が減ったことへの補償
例えば、顔に怪我をして
と、複数の後遺症が残った場合は以下の表に従って評価されます。
存在する後遺症 | 併合の結果 |
---|---|
5級以上の後遺障害が2つ以上残存 | 重い方の等級を3つ繰り上げる |
8級以上の後遺障害が2つ以上残存 | 重い方の等級を2つ繰り上げる |
13級以上の後遺障害が2つ以上残存 | 重い方の等級を1つ繰り上げる |
14級の後遺障害が2つ以上残存 | 14級のまま |
それ以外 | 最高等級を後遺障害等級とする |
先ほどの例でいえば、8級以上の後遺障害が2つあるので重いほうの等級が2つ繰り上がり、
併合4級の後遺障害という認定がなされます。
なお、労働能力喪失をどう認定するかに定まった見方はありません。
というような、同一部位の障害が重くなった場合です。
この時、賠償されるのは事故後の等級と事故前の等級の保険金差額です。
自賠責の場合は、4級(1889万)から5級(1574万)の保険金を引いて、315万が支払い限度額になります。
等級認定表には視覚に根差したものはありますが、嗅覚や味覚に関するものはありません。
ですが、交通事故によりそういった感覚に後遺症が残ることもあります。
そういったものには、程度に応じて等級に相当するものとして認定がされます。
後遺症の種類 | 後遺症名 | 相当する等級 |
---|---|---|
味覚に関するもの | 味覚脱失 | 12級 |
嗅覚に関するもの | 嗅覚喪失 | 12級 |
嗅覚減退 | 14級 | |
視覚に関するもの | 外傷性散瞳* | 11,12,14級 |
*眼球への外力により瞳孔が大きくなった状態。眩しさを強く感じる。
このような場合、適切な後遺障害等級認定を受けられなくなる恐れがあります。
事故後長期間経ってから症状の原因や傷病名が判明した場合であっても、
「本当に事故によって生じたものなのか」が明らかにできず、後遺障害が認められない場合があります。
出来るだけ早いうちから、後遺障害等級認定に向けた治療を行うことが大切です。
後遺障害等級認定で何よりも大事な証拠は、なんといっても後遺障害診断書です。
認定は書面審査なので、この診断書がいかによく書けているかが重要です。
しかし医師はこのような診断書を専門に書いているわけではないため、どのような記述が重要であるのか知っておき、
作成を依頼する前にそのことをしっかり伝える必要があります。
認定のため重要な事項 | 必要な記述 | |
---|---|---|
症状の裏付けとなる所見 | MRIやレントゲンなどの画像所見・各種検査結果 | |
事故状況との関連性 | 後遺障害が残ることへの説明がつく事故状況か | |
治療状況・症状推移 | 症状が治療中も継続していること 途中で症状が消失していないこと 「改善する可能性がある」などの記述がないこと |
|
一貫した傷病名 | 途中で傷病名が無くなっていない 新たな傷病名が途中から出てこない |
|
治療状況に不自然な点がない | 定期的な診察・治療 一カ月以上の治療中断期間が無い |
後遺障害等級認定の申請をした結果、非該当の通知を受けたり、想定していたより低い等級になることがあります。
結果に不満がある時はどうしたらよいのでしょうか。
そういった場合、異議申立てなどにより、再審査を申請することが出来ます。
実態として認定基準に達していれば、不足した情報を付け加えることによって認定が覆ることもあります。
異議申立て | 紛争処理申請 | 訴訟提起 | |
---|---|---|---|
回数 | 無制限* | 1回のみ | 1回のみ |
費用 | かからない | かからない | 高額 |
*症状固定時から3年の時効期間がある(民法改正後は5年)
まず、何故思うような認定がされなかったのかを考えなければなりません。
そこで
自賠責保険会社宛てに理由開示の申し入れをする
ことで、認定に至った詳しい理由を知ることができます。
それから、事前認定の場合には任意保険会社へ、被害者請求の場合には自賠責保険会社へ、
それぞれ異議申立書及びそれに付随する新たな証拠となる資料を提出しましょう。
自賠責保険会社に理由開示の申し入れ |
---|
↓ |
理由の分析 |
↓ |
新たな医療証拠の作成 |
↓ |
(事前認定:任意保険会社へ 被害者請求:自賠責保険会社へ) 異議申立て書・新たな証拠資料を提出 |
後遺症等級認定の審査は自賠責損害調査事務所が担当しますが、
異議申立ての審査は自賠責保険審査会が行います。
弁護士や医師などを含む専門的なメンバーが含まれており、慎重な調査が行われるようです。
そのぶん時間はかかりやすく、結果が出るまでは1カ月以上かかることも多いです。
可能性の低い案件で異議申立てをしても、時間と労力を浪費するだけということになりかねません。
後遺障害等級認定の結果が適切か、異議申立てが認められる見込みがあるかは弁護士にとっても難しい判断です。
そこで、必ず交通事故や後遺障害等級認定の経験が豊富な弁護士に相談することが大事です。
後遺障害はその後の人生を左右するもので、慰謝料の金額にも大きく関わってきます。
妥協せず、納得のいく等級認定を目指しましょう。
アトム法律事務所ではLINE、電話での相談を受け付けています。
ご本人でもご家族の方でも、是非ご相談ください。
後遺障害の等級認定に関して、少しでもご不安があればご相談ください。
専門家がお力になります。
岡野武志
適切な後遺障害等級を受けるためには、戦略的な事前準備が必要です。
具体的には診断書の書き方や、提出する書類の種類などです。
そのため、弁護士など専門家と協議しながら進めることで、より有利な認定を受けられる可能性が上がります。