作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)

耳鳴り後遺障害

耳鳴りは後遺障害になる?交通事故の後遺症?後遺障害慰謝料はいくら?

耳鳴りも後遺障害に認定されます
この記事のポイント
  • 耳鳴りは後遺障害12級または後遺障害14級に相当すると認定される可能性がある
  • 耳鳴りを検査結果で医学的に示すことが重要であり、12級と14級の分かれ目にもなりえる
  • 弁護士に依頼することで、3倍~の慰謝料増額が可能

耳鳴りは、まるで身体の内部に音源があるかのように感じてしまう症状です。
ずっと耳の中で音がする状態は非常に不快なことです。
今回は交通事故により「耳鳴り」が生じて、適切な慰謝料獲得を目指す方に向けての解説記事です。

  • 耳鳴りはどんな怪我で起こる?
  • 耳鳴りは後遺障害に認定される?
  • 耳鳴りの後遺障害慰謝料の相場は?

藤井宏真医師

奈良県立医科大学付属病院アトム法律事務所顧問医

藤井 宏真医師

耳鳴りは、耳鳴(じめい)とも呼ばれています。
むちうち・高血圧・心血管疾患など耳鳴の原因は幅広く、原因の究明が治療への第一歩です。

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耳鳴りの基本知識|むちうちで耳鳴り?どんな治療をする?

耳鳴りの原因は「むちうち」?

耳鳴りといっても、「キーン」「ジーン」「ピーン」と感じる音の種類、音の高さには個人差があります。
交通事故ではむちうちの後遺症として耳鳴りを感じる人が多いです。
あるいは「交通事故にあった」という心的なストレスも影響するようです。

  • むちうち
  • 交通事故による精神的ストレス
むちうち

交通事故など首がまるでむちのようにしなり、強く後屈される力がかかることで、様々な症状が発現します。
首の痛みや肩こり、めまい、吐き気、耳鳴りなどの症状がみられます。

耳鳴りは何科を受診するべき?

耳鼻科・耳鼻神経科を受診しましょう。

むちうちによって頸椎周辺を損傷して交感神経の活動に異常が発生し、血管が収縮・拡張することが耳鳴りの原因といわれています。
ですので、むちうちによって耳鳴りが発生している場合、発生が疑われる場合は「耳鼻神経科」の受診も選択肢の一つです。

ちなみに、むちうちは後から痛みなどの症状が出ることもあります。
「事故直後は何ともないから病院には行かなかったけど、痛みが出てきました…」
という声は少なくありません。
しかし、交通事故にあったら必ずすぐに病院を受診するのが望ましいです。

主な理由は次の通りです。

病院を受診して「診断書」をもらい、警察に届け出ることで交通事故は「人身事故」となります。

人身事故として処理をしないと、慰謝料などは請求できない可能性があります

事故日から日があいて病院を受診しても、その怪我や痛みと交通事故との関連に疑念を抱かれるかもしれません。

交通事故と怪我の因果関係が認められなければ、加害者からの支払いはありません。

事故直後に身体に異常を感じなくても、「総合病院」か「整形外科」の受診はしておきましょう。
交通事故直後からの経過をみることが後遺障害認定においてもポイントなのです。

耳鳴りの治療は?難聴も関連している?

耳鳴りについては、まず原因の究明が第一です。
耳鳴りを起こしている原因を突き止め、その原因に対するアプローチをします。

耳鳴りは難聴を伴っていることが多いようです。
特に、交通事故によって外からの衝撃を受けている場合は、耳鳴り以外にも聴力低下(難聴)などの聴力障害を伴っている可能性があります。

鼓室形成術などの聴力改善手術によって聴力が回復すると、耳鳴りも改善される…ということはあるようですが、耳鳴りそのものをピンポイントで治す薬や方法などは現状ありません。
医師と相談しながら、まずは耳鳴りの原因を考え、対策をとっていきましょう。

耳鳴りは後遺障害にあたる?

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後遺症(後遺障害)

十分な治療を行っても、これ以上良くも悪くもならないという状態で残存する症状
交通事故の場合、その部位と程度により14段階の後遺障害等級で区分される

耳鳴りは後遺障害12級あるいは後遺障害14級に相当する可能性があります。次の章で詳しく説明します。

耳鳴りで慰謝料が増えるって本当?

耳鳴りの後遺症により増える保険金|後遺障害慰謝料と逸失利益

上述した後遺障害等級に認定されると、加害者側から支払われる金銭が増えます。
後遺障害が残った場合に追加で支払われる金銭の一つに、後遺障害慰謝料があります。

後遺障害慰謝料

後遺障害を負ってしまったという精神的苦痛に対して支払われる損害賠償

また、後遺障害慰謝料の他に支払われるものとして逸失利益があります。

後遺障害の逸失利益

後遺障害が残ったことで労働能力が失われ収入が減ることへの補償
基礎収入(年収)×労働能力喪失率×労働能力喪失期間(67歳-症状固定時の年齢)に対応するライプニッツ係数

なお、「労働能力喪失率」は障害の部位や程度、被害者の職業などを考慮して増減することがあります。
逸失利益の計算は少し複雑です。簡単な情報入力ですぐに逸失利益がわかる「計算機」は次のページからご利用いただけます。

基礎収入の算出には注意が必要です。
会社勤めの人であれば、「源泉徴収票」などで交通事故前の収入を示すことができます。
しかし交通事故の被害者が、自営業・主婦・子ども…このような場合は、加害者側から不当に低い基礎収入を示されかねません。
交通事故の解決実績が豊富な弁護士であれば、例えば「賃金センサス」という国の統計を用いるなどして、被害者一人ひとりの状況に合わせた主張が可能です。

加害者側から「示談」という形で逸失利益を提案されているなら、少し立ち止まって考えてみませんか。
一度示談を書面で取り交わしてしまうと、後から変更することは原則できません。
示談を結ぶ前に弁護士に相談・依頼することをおすすめします。

後遺障害等級の申請方法|耳鳴りの場合

では、実際に「耳鳴り」で後遺障害等級の申請をして、後遺障害慰謝料を受け取るまでの流れを見てみましょう。

後遺障害等級認定の手続きの流れ

①症状が固定される

治療を継続しても症状の改善が見込めなくなった状態を症状固定と言います。
後遺障害等級認定を受ける場合は、原則事故から約6ヶ月以上経っている必要があります。
これ以上治療期間が短い場合は、後遺障害としては認められない可能性が高くなります。

②後遺障害診断書・耳鳴りを示す検査結果の準備

症状固定の診断を受けたならば、後遺障害等級認定に向けて後遺障害診断書などの資料を準備します。

後遺障害の申請には、2種類の方法があります。
(1)事前認定
(2)被害者請求

事前認定
事前認定の流れ

被害者が後遺障害診断書のみを任意保険会社に提出します。
後遺障害診断書は医師に作成を依頼するものなので、被害者の手間が少ないというメリットがあります。

一方で、加害者側の任意保険会社が最終的にどんな資料を提出したか分からないというデメリットがあります。
仮に思っているような後遺障害等級の認定がされなかったり、最悪の場合は非該当(後遺障害等級なし)となった時に、結果に対する納得感を感じづらいかもしれません。

被害者請求
被害者請求の流れ

被害者が経過証明書などその他の資料も用意して自賠責保険に提出します。
被害者請求は手間がかかりますが、後遺障害等級の認定に有利な資料を併せて提出したり、逆に認定に不利な状況があれば補足説明をつけることができます。

特に後遺症を示す医学的なデータ・検査結果後遺障害認定には必須なので、被害者請求での認定申請を推奨します。

なお、被害者の方が治療に専念しやすいように、弁護士に資料収集作業を任せることもできます。

比較

事前認定と被害者請求

事前認定 被害者請求
請求者 相手方保険会社 被害者自身
メリット 資料収集の手間がない 自分で資料を確認できる
デメリット 自分で資料を確認できない 資料収集の手間がかかる
後遺障害認定申請

被害者請求 + 弁護士依頼 = 最大限の効果が期待できる

③損害保険料率算出機構による書面審査

提出された資料をもとに、損害保険料率算出機構が後遺障害等級の審査を行います。

審査結果をふまえ、自賠責保険会社が等級認定を行います。

審査者は、被害者とは面識のない人です。

つまり「耳鳴りがひどいです」と記載するだけでは、

  • 被害者の身に本当に耳鳴りが起こっているのか
  • 被害者を苦しめる耳鳴りの程度
  • 耳鳴りが被害者の就労に与える影響

これらはきちんと伝わりません。

ですから、

  • 耳鳴りの存在を示す検査結果を提出
  • 事故前後と比較して症状を説明
  • 事故直後から耳鳴りが発生していること(事故との因果関係)
  • 耳鳴りが仕事に与えている影響

に言及する必要はあるでしょう。

次の章で耳鳴りを示す検査方法を解説しますので、このまま読み進めてください。

より細かな認定手順、後遺障害診断書の書き方などについては以下の記事を参照してください。

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後遺障害|耳鳴りの後遺障害等級・後遺障害慰謝料

耳鳴り|後遺障害等級は何級?

耳鳴りは後遺障害12級相当あるいは後遺障害14級相当と認定される可能性があります。
認定される後遺障害等級12級・14級を詳しく見てみましょう。

後遺障害等級

耳鳴り

等級 内容
12級相当 耳鳴りに係る検査によって難聴に伴い著しい耳鳴りが常時あると評価できるもの
14級相当 難聴に伴い常時耳鳴りのあることが合理的に説明できるもの

いくつか気になるポイントがあるかと思います。
定義をもう少し掘り下げていきます。

難聴

難聴は聴力障害の一つです。
聴力障害としての難聴の基準は40dB以上の音が聞こえるか、聞こえないかになります。
しかし、耳鳴りに係る難聴は40dB未満であっても認められます

著しい耳鳴り

耳鳴りの検査方法には

  • ピッチ・マッチ検査
  • ラウドネス・バランス検査

の2種類があります。

ピッチ・マッチ検査では、自覚している耳鳴りに近い音を探します。
そしてその音が、どんな音圧・強さかを数値化するのが、ラウドネス・バランス検査です。
この2つの検査をすることで、被害者にしか感じられない耳鳴りを数値化し、客観的に評価できるようにします

  • これらの検査結果と合わせて、30dB以上の難聴を伴っている場合後遺障害12級相当
  • 30dB以上の難聴を伴っている場合だが「耳鳴り」の存在が検査などで示されない場合は後遺障害14級相当

に認定される可能性があります。

耳鳴り|後遺障害慰謝料の相場は?

慰謝料の金額の算定方法は、相手方が提示してくるもの(自賠責基準・任意保険基準)と、弁護士が交渉することで請求できるもの(弁護士基準)で大きく異なります。
後遺障害慰謝料は以下のようになります。

後遺障害慰謝料

耳鳴りの後遺障害

等級 自賠責基準 弁護士基準
12級相当 93万円 290万円
14級相当 32万円 110万円

弁護士基準とは、裁判でも使われている適正な基準です。
一方で、自賠責基準とは加害者側から提案される金額の基準とされる傾向にあります。
つまり提案される金額は相当低いことが分かります。

増額交渉(弁護士なし)

後遺障害慰謝料は後遺障害を負ったことに対する精神的苦痛に対して支払われるものです。
弁護士に依頼するか・依頼しないか、この違いだけで同じ後遺障害なのに慰謝料が大いに変わります。

どちらの後遺障害等級でも慰謝料は3倍以上に増額が期待できます。
弁護士への相談・依頼を検討してみませんか。

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耳鳴りの後遺症に関するお悩みは弁護士にご相談ください

LINE相談

耳鳴りが常に存在すると、大変不快な思いをします。また、そのせいで仕事が思うようにできなかったり、被害者の職業によっては今の仕事を変えざるを得ないかもしれません。
にも関わらず、相手方保険会社から提示される慰謝料・逸失利益は被害者の受けた損害に対して不十分なことがあります。
損害に対する十分な補償を受け取るためには、弁護士に依頼することが一番です。
保険会社との示談交渉などを一任することで慰謝料増額が実現できるだけではなく、手続きの煩雑さなどから解放されます。
耳鳴りによる慰謝料はいくらになるのか、通院に関する注意、後遺障害等級の申請方法など、どのようなことでも結構です。
まずはお気軽にLINE・電話での無料相談をご利用ください。


弁護士プロフィール

岡野武志弁護士

(第二東京弁護士会)

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。


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