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作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
交通事故では、怪我の後遺症として関節の可動域制限が生じる場合があります。
原因となるけがは骨折や脊髄・神経の損傷、脳の損傷など様々ですので、もし自分の怪我でもこうした後遺障害(後遺症)が残ったらと不安な方も多いでしょう。
各関節の可動域の測り方、後遺障害等級、後遺障害慰謝料について、弁護士が解説いたします。
目次
奈良県立医科大学付属病院アトム法律事務所顧問医
藤井 宏真医師
関節の可動域制限の原因には、骨の癒合不良や神経・脊髄の損傷、脳の損傷など様々なものが考えられます。
交通事故によって可動域制限が生じる主な部位としては、以下が挙げられます。
上肢
下肢
それぞれの可動域の測り方や等級については次の章で詳しく説明します。
可動域制限は、交通事故によるけがの結果生じるものです。
そのため、まずは各けがに応じた科で治療を受けることになります。
適切な科が分からない場合には、まずは総合病院へ行くことをお勧めします。
可動域制限が生じるようなけがに対して手術を行うかどうかは、可動域制限の原因となっているけがやその程度によって異なります。
例えば骨折の場合、骨折による骨のずれが大きい場合には、プレートなどを入れて内側から骨折部を固定するため手術を行います。
しかし軽度の骨折であれば、ギプスなどを用いて外部から骨折部を固定するため、手術は行われません。
また、けがの治療が落ち着いきて可動域制限がある場合は、リハビリ科でリハビリ治療を行う場合もあります。
可動域制限が後遺障害等級に認定されると、相手方から支払われる金銭が増えます。
後遺障害が残った場合に追加で支払われる金銭の一つが、後遺障害慰謝料です。
後遺障害によって今後も受け続ける精神的苦痛に対する補償
また、後遺障害慰謝料の他に支払われるものとして逸失利益があります。
後遺障害が残り労働能力を喪失したことで減ってしまった将来の収入に対する補償。
(移動や退職を余儀なくされた、出世が難しくなったなど)
基礎収入(年収)×労働能力喪失率×労働能力喪失期間(67歳-症状固定時の年齢)に対応するライプニッツ係数
「労働能力喪失率」は後遺障害等級ごとに決まっていますが、障害の部位や程度、被害者の職業などを考慮して増減することがあります。
主婦などの場合の年収算定方法や、ライプニッツ係数一覧などはこちらの記事をご覧ください。
注意点として、
ということがあります。
後遺障害等級認定も示談交渉も、弁護士に相談することで専門家としてのアドバイス・サポートを受けることができます。
加害者側から示談金額の提示を受けたら、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
では、実際に可動域制限で後遺障害等級の申請をして、後遺障害慰謝料を受け取るまでの流れを見てみましょう。
治療を継続しても症状の改善が見込めなくなった状態を症状固定と言います。
後遺障害等級認定を受ける場合は、原則事故から約6カ月以上経っている必要があります。
これ以上治療期間が短い場合は、後遺障害としては認められない可能性が高くなります。
症状固定の診断を受けたら、後遺障害等級認定に向けて後遺障害診断書などの資料を準備します。
後遺障害等級認定の申請時に必要な資料は、主に以下のようになっています。
後遺障害の申請には、2種類の方法があり、どちらを選択するかによって申請者自身で集める資料が変わります。
被害者請求は手間がかかりますが、後遺障害等級の認定に有利な資料を自分で精査できるのが強みです。なお、弁護士に資料収集作業を任せることもできます。
事前認定と被害者請求
事前認定 | 被害者請求 | |
---|---|---|
請求者 | 相手方保険会社 | 被害者自身 |
メリット | 資料収集の手間がない | 自分で資料を確認できる |
デメリット | 自分で資料を確認できない | 資料収集の手間がかかる |
後遺障害等級認定の審査は、基本的に提出された資料のみを見て行われます。
そのため、提出する資料が重要なポイントとなります。
等級を得るためには、
が伝わる資料を提出することが大切です。
提出された資料をもとに、損害保険料率算出機構が後遺障害等級の審査を行います。
結果は30日以内に出ることが多いですが、判断が難しい・経過を見る必要があると判断された場合には、数ヶ月~数年かかることもあります。
こうした審査が長期化するケースは、高次脳機能障害などに多いです。
より細かな認定手順についてはこちらの記事を参照してください。
では最後に、後遺障害等級認定を申請する際のポイントをまとめておきます。
交通事故で可動域制限が生じる主な上肢の関節は、
であり、これらを「上肢の3大関節」といいます。
これらの可動域をどのように測るのかご紹介します。
なお、関節の可動域を図るときは、
ということが基本になります。
肩関節の可動域は、以下の方法から図られます。
屈曲 | 手首と肘を伸ばし、気を付けの状態から体の前を通り天井へ向かって腕を上げる |
---|---|
伸展 | 手首を肘を伸ばし、気を付けの状態から体の後ろに腕を上げる |
外転・内転 | 手首を肘を伸ばし、気を付けの状態から体の横を通って天井まで腕を上げる(外転)。 同じようにしてもう一方の腕がある方向に腕を動かす(内転)。 |
外旋・内旋 | 手首と肘を伸ばし、体の前に地面と水平になるよう腕を伸ばす。 そこから左右に腕を動かす。 |
肘関節の可動域は、以下の方法から図られます。
屈曲 | 気を付けの状態から、肘を曲げて肘から下を上げる。 |
---|---|
回外・回内 | 肘から下が床と水平になるよう肘を直角に曲げ、手のひらを床と垂直になるようにする。そこから手のひらを左右に90度ずつ倒す。 |
手関節の可動域は、以下の方法から図られます。
屈曲・伸展 | 手首を伸ばし、床と水平になるようにする。そこから手首を曲げて手のひらを上下に動かす。 |
---|---|
橈屈・尺屈 | 手首を伸ばし、床と平行になるようにする。床との平衡は保ちつつ、手首を左右に曲げる。 |
上肢の3大関節に可動域制限が生じた場合の後遺障害等級は、以下のようになります。
上肢の可動域制限
等級 | 内容 |
---|---|
1級 | 両方の肩・肘・手首が可動域を失った |
5級 | 片方の肩・肘・手首が可動域を失った |
6級 | 1上肢の3大関節中の2関節が可動域を失った |
8級 | 1上肢の3大関節中の1関節が可動域を失った |
10級 | 1上肢の3大関節中の1関節の可動域が1/2以下になった |
12級 | 1上肢の3大関節中の1関節の可動域が3/4以下になった |
慰謝料の金額の算定方法は、相手方が提示してくるもの(自賠責基準・任意保険基準)と、弁護士が交渉することで請求できるもの(弁護士基準)で大きく異なります。
腰椎横突起骨折による顔面醜状・鼻の欠損に対応する後遺障害慰謝料は以下のようになります。
上肢の可動域制限
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
1級 | 1100万円 | 2800万円 |
5級 | 599万円 | 1400万円 |
6級 | 498万円 | 1180万円 |
8級 | 324万円 | 830万円 |
10級 | 187万円 | 550万円 |
12級 | 93万円 | 290万円 |
等級にもよりますが、弁護士に依頼することで2倍以上の後遺障害慰謝料を請求できます。
慰謝料の増額を目指すのであれば、できるだけ早い段階から弁護士と相談しておくことが重要です。
交通事故で可動域制限が生じる主な下肢の関節は、
があり、これらを「下肢の3大関節」といいます。
これらの可動域をどのように測るのかご紹介します。
股関節の可動域は、以下の方法から図られます。
屈曲 | 仰向けになって寝て、股関節を曲げて足を上に持ち上げる |
---|---|
伸展 | うつぶせになって寝て、股関節から足を上に持ち上げる |
外転・内転 | 仰向けに寝て、ひざを伸ばしたまま片足を左右に動かす。 もう一方の足の方向に動かす(内転)場合は、もう一方の足を上げてその下を通す。 |
外旋・内旋 | 仰向けになり、片足を上げて股関節と膝関節をそれぞれ90度にする。 その状態でひざを軸にしてひざから下を左右に動かす。 |
膝関節の可動域は、以下の方法から図られます。
屈曲・伸展 | 足を延ばしてうつぶせになり、膝を曲げる。 |
---|
足関節の可動域は、以下の方法から図られます。
屈曲・伸展 | 足首を直角に曲げ、そこから足首を曲げたりのばしたりする |
---|
交通事故で下肢に可動域制限が生じた場合、後遺障害等級は以下のようになります。
上肢の可動域制限
等級 | 内容 |
---|---|
1級 | 両方の股関節・膝・足首が可動域を失った |
5級 | 片方の股関節・膝・足首が可動域を失った |
6級 | 1下肢の3大関節中の2関節が可動域を失った |
8級 | 1下肢の3大関節中の1関節が可動域を失った |
10級 | 1下肢の3大関節中の1関節の可動域が1/2以下になった |
12級 | 1下肢の3大関節中の1関節の可動域が3/4以下になった |
下肢の可動域制限に対応する後遺障害慰謝料は以下のようになります。
下肢の可動域制限
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
1級 | 1100万円 | 2800万円 |
5級 | 599万円 | 1400万円 |
6級 | 498万円 | 1180万円 |
8級 | 324万円 | 830万円 |
10級 | 187万円 | 550万円 |
12級 | 93万円 | 290万円 |
交通事故で関節に可動域制限が生じると、様々な日常的な動作に影響が出てきます。
にも関わらず、妥当な後遺障害等級が認定されなかったり、低額な慰謝料や逸失利益を提示されることがあります。
適切な等級を獲得し、十分な補償を受け取るためには、弁護士に依頼することが一番です。
後遺障害等級の申請手続きや示談交渉などを一任することで、準備の負担を軽減しながらも十分な対策をとることができます。
可動域制限による慰謝料はいくらになるのか、通院に関する注意、後遺障害等級の申請方法など、どのようなことでも結構です。
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