作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
追突事故|むちうちの後遺症認定14級は難しい?通院日数〇〇日で認定される?
追突事故で激しく首がゆさぶられてしまい「むちうち症」の後遺症をわずらう被害者の方も多いです。
むちうちの後遺症認定は難しいということをお聞きになった方もおられるでしょう。
しかし、後遺障害認定があると無いとでは、もらえる慰謝料の金額に大きな差が出てしまいます。
そこで、今回は後遺症認定のメリット、ポイントをまとめました。
- むちうち症の症状は?
- 後遺症が認定されるための通院日数は?
- むちうちの後遺症認定のポイントは?
今回は、このような「むちうちの後遺症認定」にまつわる疑問を解説していきます。
目次
追突事故でむちうちに…後遺症認定とは?
むちうちの症状は?肩こり・頭痛・耳鳴り・めまい等
前方不注意の追突事故などでは、被害者の方がむちうちを患うことがめずらしくありません。
むちうち症
頚部(首)に急激に外力が加わることによる鞭打ち運動(むちうちうんどう)によって、頚部筋、項部筋の筋繊維の生理的可動域を超える過伸展、過屈曲が生じたことによって現れる種々の症状の総称。
つまり、追突事故などによって鞭(むち)を打つように首が振られることで、痛みやしびれなどの神経症状が生じるのが「むちうち症」です。
むちうちの具体的な症状は、次のとおりです。
症状 |
---|
頭痛、吐き気、耳鳴り、めまい、肩こり |
診断名 |
頸椎捻挫、頚部挫傷、外傷性頸部症候群 |
症状 |
---|
しびれ、五感の障害、記憶障害など脳の障害 |
診断名 |
脳脊髄液減少症 |
むちうちの後遺症認定とは?「後遺障害」だけに認められる?
「後遺症」と「後遺障害」は違う?
「後遺症認定」は、正確には「後遺障害等級認定」「後遺障害認定」などと呼ばれるものです。
すべての後遺症が「後遺障害」とされるわけではなく、特別の認定手続きが必要です。
後遺障害等級認定の申請は、症状固定をむかえた後遺症について可能になります。
症状固定をむかえたら後遺障害等級認定を申請できる
症状固定というのは、これ以上治療を継続しても症状が回復しない状態に至ったことをいいます。
すなわち、いわゆる「後遺症」が残った状態です。
むちうちの場合には、前述のような首の痛みや手のしびれなどの後遺症に悩まされる方が多いです。
後遺障害だけに認められる特権とは?
後遺障害等級認定を受けることができれば、等級に応じた慰謝料や逸失利益をもらうことができます。
交通事故によってむちうちになった場合、治療関係費、入通院慰謝料、休業損害の賠償を受けることができます。
これらに加えて、むちうちが後遺障害認定されれば、さらに後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益の賠償を受けることができます。
むちうち症でもらえるお金(まとめ)
むちうちで入通院したら…
- 治療関係費
- 入通院慰謝料(傷害慰謝料)
- 休業損害
⇈ これらの賠償を受けることができる。
さらに・・・
後遺障害認定されたら…
- 後遺障害慰謝料
- 後遺障害逸失利益
⇈ これらの賠償をうけることができる。
これらの慰謝料や逸失利益は、「後遺障害」と認定された後遺症にのみ認められた賠償金です。
むちうちの後遺症14級の慰謝料はプラス110万?
慰謝料の算定基準には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準(裁判基準)の3種類があります。
自賠責基準
自賠責基準は、自賠責保険に保険金を請求する際に用いる基準です。
自賠責保険からの支払金額は、3つの基準のうち最も低額になります。
任意保険基準
任意保険基準は、任意保険の保険会社が、交通事故の被害者に示談金を提示する際に用いる基準です。
平成11年度までは統一の基準がありましたが、現在では保険会社ごとに定められています。
任意保険の金額は、自賠責とほぼ同程度といわれています。
弁護士基準
弁護士基準(裁判基準)とは、実際の裁判例の相場を基準化したものです。
「裁判になれば、このくらいの金額になる」という基準であり、3つの算定基準のうち最も高額になります。
弁護士は、この弁護士基準(裁判基準)にもとづいて慰謝料を算定し、任意保険会社との示談交渉にそなえます。
こうすることで、保険会社は裁判になることをおそれて、提示額を引き上てくれることが多いので示談金UPにつながります。
むちうちは14級9号または12級13号
むちうち症が後遺障害等級認定される場合、14級9号または12級13号の該当性が問題になります。
むちうち症については、自覚症状しかない場合も多く、医学的に合理的な説明ができなかったときは、非該当になってしまいます。
むちうちの等級
- 12級13号
- 14級9号
- 非該当(認定されないケースもある)
弁護士基準(14級:110万/12級:290万)|自賠責基準(14級:32万/12級:93万)
任意保険基準については公表されていないため、ここでは自賠責基準と弁護士基準の相場を確認します。
12級13号については、自賠責基準では93万円、弁護士基準では290万円です。
14級9号については、自賠責基準では32万円、弁護士基準では110万円です。
自賠責基準 | 弁護士基準 | |
---|---|---|
12級13号 | 93 | 290 |
14級 9号 | 32 | 110 |
非該当 | 0 | * |
公益財団法人 日弁連交通事故相談センター東京支部 「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準 上巻(基準編)2019(平成31年)」より抜粋、編集。
非該当でも例外的に後遺障害慰謝料がもらえた裁判例がある?
非該当の場合、つまり14級に至らない後遺症があった場合でも、後遺症の症状に応じた慰謝料が認められることがあります。
平成19年(ワ)第1522号
たとえば、頸椎捻挫(むちうち)による頚部痛、頭痛等(等級非該当)の兼業主婦について、入通院慰謝料97万円のほか、後遺障害慰謝料55万円が認められた裁判例があります。
この被害者の後遺症の症状は、後遺障害に非該当でした。
裁判所は、「医学的に他覚的説明ができない」けれども、その後遺症の症状程度は無視できないとして、14級の慰謝料(110万円)の2分の1程度である55万円の後遺障害慰謝料を認定しました。
事案 |
---|
前者の停止にともない停止した被害車両に、加害車両が追突した事故。 |
後遺症 |
頸椎捻挫(むちうち)。後遺障害等級は非該当。 |
慰謝料 |
入通院慰謝料97万円/後遺障害慰謝料55万円 |
後遺障害認定手続きは、損害保険料率算出機構によって行なわれます。
したがって、その機関に認定されなければ、非該当になってしまいます。
しかし、実際に裁判に訴えた場合に、裁判所が「〇〇級相当」として後遺障害慰謝料を認めてくれることも稀にあります。
後遺障害認定されなかったけれども、つらい後遺症がある場合は、裁判での慰謝料増額の可能性について弁護士にご相談ください。
むちうちの後遺症認定ポイントは?(14級と非該当の違い)
【確率】非該当も多い?14級認定の確率は?
後遺障害が認定される確率は?
損害保険料率算出機構の「自動車保険の概況 平成26年度」(平成25年度データ)では、後遺障害等級認定がされた事故は傷害事故全体の約5%でした。。
そもそも後遺障害を負うまでの事故が起きていないという理由のほか、後遺障害等級認定の申請の仕方がよくなかったという理由が考えられます。
むちうち12級、14級、非該当の違いは?
さて、「むちうちの認定は難しい」ということを耳にしたことはあるでしょうか?
むちうち症の診断では、CT画像やMRI画像の画像所見の有無が重要なポイントです。
むちうちの自覚症状を裏付けられる画像所見があれば12級13号に認定される可能性が高いです。
そのような画像所見がない場合、神経学的検査によって、むちうちの自覚症状を合理的に説明できたとき、14級9号認定の可能性が高まります。
逆に、合理的な説明さえできなければ、非該当になってしまいます。
まとめ
12級13号 | 14級9号 | 非該当 | |
---|---|---|---|
等級の 重さ |
重い | 軽い | ー |
自覚症状 の有無 |
あり | あり | あり |
・頚部、肩甲骨など局部の痛み ・局部から手指にかけての痺れ など |
|||
画像所見 の有無 |
あり | なし | なし |
合理的な 説明 |
ー | あり | なし |
さらにいえば、自覚症状を合理的に説明できなければ14級9号にも認定されません。
そのため、さきほどの裁判例のように「非該当」とされてしまうケースもよくあります。
【基準】通院日数〇〇日なら認定される?
むちうちは「通院日数が〇〇日」ならば、必ず後遺障害が認定されると断言することはできません。
しかし、所感としては「通院日数100日」程度にわたる場合、14級認定の可能性が高まります。
【解説】後遺症14級認定のポイントは?
申請の仕方がよくないから、14級が認定されなかったという事態は是非とも避けたいところです。
そこで、後遺障害14級認定のポイントを簡単にまとめておきましょう。
むちうち認定のポイント
- ① 一定以上の通院日数・通院期間
- ② 一定以上の事故
- ③ 症状の一貫性・連続性
- ④ 自覚症状の証明
- ⑤ 一定以上の症状
これらの5つのポイントを認定するための目安と判断方法はこちらです。
目安 |
---|
通院期間6ヵ月以上・実通院日数100日程度 |
判断方法 |
通院証明書・後遺障害診断書など |
目安 |
---|
低速度の追突事故、車体の傷程度の衝突事故は含まない |
判断方法 |
事故車両の写真、修理見積など |
目安 |
---|
一貫して同じ症状を主張し、その症状が連続していること |
判断方法 |
診断書などの書面 |
目安 |
---|
頸椎、脊髄、その付近の神経根の圧迫が確認できること。 脊髄や神経の異常が確認できること。 |
判断方法 |
画像所見の提示、はたは神経学的検査の結果で証明。 |
目安 |
---|
後遺障害等級認定14級以上の症状があること。 |
判断方法 |
後遺障害等級認定の認定基準を参照する。 |
これについては、今まで見てきたとおり、頚部や肩甲骨など局部の痛み、局部から手指にかけての痺れなどの症状があるかどうかが問題になります。
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追突事故で「むちうち症」になってしまう方も多くおられます。
画像所見がない場合でも、地道に通院を続けることによって、むちうちの後遺症認定を獲得できる可能性が高まります。
もっとも、後遺障害等級認定の申請にはコツがあり、十分な準備期間が必要です。
後遺症を認定しやすいように、必要な記載を盛り込んで診断書を作成してもらう必要があるからです。
交通事故の解決を得意とするアトム法律事務所の弁護士にご相談いただき、被害者請求の準備を今から少しずつ進めていきましょう。
まずは、弁護士の無料相談をご活用いただき、むちうちの後遺症認定に関する疑問を早期に解決していただくことをおすすめします。
(第二東京弁護士会) 第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。弁護士プロフィール
岡野武志弁護士
追突事故のむちうち・後遺症についてのQ&A
後遺症と後遺障害のちがいとは?
後遺症とは、ケガが治ってもそのあとまで影響が残る症状のことをいいます。後遺障害とは、後遺症の中でも「後遺障害等級認定」という特別の認定手続きを経た症状のことを言います。身体に残るすべての後遺症が「後遺障害」とされるわけではありません。後遺障害等級認定を受けることができれば、等級に応じた慰謝料や逸失利益をもらうことができます。 「後遺症」と「後遺障害」は違う?
追突事故の慰謝料はいくら貰える?
むちうちで後遺障害等級認定を受けるには?
むちうちが後遺障害として認められるには、自覚症状を合理的に説明する必要があります。CT画像やMRI画像の画像所見で症状の有無を証明できれば、12級13号認定の可能性が高まります。画像所見がない場合は、神経学的検査によってむちうちの自覚症状を合理的に説明できれば14級9号認定の可能性が高まります。合理的な説明さえできなければ、非該当になってしまいます。 むちうち12級、14級、非該当の違いは?
むちうちの後遺障害認定には何日の通院が必要?
むちうちは「通院日数が〇〇日」ならば、必ず後遺障害が認定されると断言することはできません。しかし、目安として整形外科に通院期間6ヵ月以上・実通院100日程度通えば、後遺障害が認められる可能性が上がります。 通院日数〇〇日なら認定される?