作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)

むちうち後遺症

むちうちの後遺症は「後遺障害認定」が難しい?通院日数が少ないと慰謝料は減る?

むちうちで後遺症は残る?

むちうちで後遺症は残るのか?」、「どんな症状があるのか?」。むちうちは交通事故でも発生頻度の高いケガです。一方で、<むちうちで後遺症認定を受けるのは難しい>という話を聞いたことがある人は多いようです。

  • むちうちは後遺症が残る?
  • 後遺症認定とは?
  • むちうちは後遺障害に認定される?

この記事では、混同しやすい「後遺症認定」と「後遺障害認定」の違いも解説します。示談金の増額を目指すためには「後遺障害認定」が大事です。後遺障害認定を受けるためのポイントを解説していきますので、最後までお読みください。


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むちうちの後遺症が気になる…

治療期間の目安は?後遺症は残る?

むちうちでも後遺症が残ることは十分あります。

むちうちの治療期間の目安はおおよそ3か月と言われています。
交通事故の規模や症状によってはもっと早く完治することもあるでしょうし、長期にわたって治療をしても改善しないことは十分あります。

交通事故の被害者の方に知っておいてほしいキーワードに「症状固定」があります。

症状固定のタイミング
症状固定

傷病の治療を進めてきたけれども、これ以上治療を続けても症状の改善がみられない状態

症状固定となった時に残っているケガの影響を「後遺症」といいます。むちうちで考えられる症状・後遺症を確認してみましょう。

どんな後遺症が残る?めまい・肩こりは後遺症?

むちうちとは

むちうちとは、頸部(首の部分)に外から力が加わることで首がむちのように振れてしまうことをいいます。

ちなみに、むちうちは「病名」ではありません。医師の診断書では「外傷性頸部症候群」、「頸椎捻挫」、「頸部捻挫」、「頸部挫傷」などの病名で記載されます。

むちうちの後遺症は多岐にわたります。いくつか例示してみましょう。

首が痛い、しびれる

首が動かしにくい

首の緊張・圧迫を感じる

肩がこる

腰が痛い

目が見えづらい

耳鳴りがする

頭が痛い

めまいがする

上半身が痛い

ゆうつうだ

心臓がドキドキする

首だけではなく全身に症状が出ます
そして、症状が出るタイミングも人によって違います。
特に症状名がついているものを確認してみましょう。

脳脊髄液減少症

しびれや五感の障害、記憶などの脳の障害が発生したら、脳脊髄液減少症を併発している可能性があります。重症ですので、より緊急度の高い状態と言えます。

バレー・ルー症状

バレリュー症状とも呼ばれます。
頭痛、めまい、吐き気、耳鳴り、眼精疲労、動悸、全身の倦怠感などの症状が表れます。
検査結果などで示しにくい症状でもありますが、些細なことと思わず、気になる症状は医師に伝えて経過観察をしていきましょう。

交通事故直後は痛みや違和感がない場合もあります。痛みの感覚よりも、事故にあったことによる興奮状態が勝ることがあるようです。
即日病院へ行くのがベストです。どうしても時間が取れないという場合でも、1週間以内には整形外科総合病院へ行くことが望ましいです。

交通事故後の病院受診については関連記事「交通事故、病院は何科へ何日以内に行く?」でも詳細を解説していますので参考にしてください。

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むちうち|後遺症認定と後遺障害認定は違う

「後遺症」と「後遺障害」の大きな違い

医師から「後遺症が残っています」と言われたとしましょう。しかし、それは「後遺障害の認定」ではないのです。

「後遺障害」の認定者:損害保険料率算出機構(自賠責損害調査事務所)

損害賠償で大事なことは後遺障害と認定されることです。後遺障害と認定されると、加害者からの賠償金が増額します。
交通事故の被害者が受けとるお金の内訳をみれば一目瞭然です。

交通事故示談金の内訳

「完治した場合」や「後遺障害と認められない場合(非該当)」は逸失利益後遺障害慰謝料は発生しません。

<比較>賠償金の内訳
後遺障害認定あり 後遺障害認定なし
治療費
入通院慰謝料
休業損害
逸失利益 ×
後遺障害慰謝料 ×

後遺障害認定は必ず認められるわけではありません。後から解説するむちうちで後遺障害認定を受けるためのポイントをチェックしましょう。

通院日数が少ないと起こる2つのマイナス

▶①賠償金の一部である「入通院慰謝料」が減るかもしれません。
▶②後遺障害認定が受けられないかもしれません。

マイナス①

慰謝料の計算には3つの基準があり、慰謝料の相場が最も高い基準を「弁護士基準」といいます。

慰謝料金額相場の3基準

弁護士基準では実際に通院した日数を元に慰謝料を計算します。しかし、治療期間に対して通院日数が少ない場合は、慰謝料が減ってしまうことがあるのです。

仮に3か月間の通院期間であれば、最低でも通院日数は週に3日以上、ひと月に10日以上が望ましいです。

マイナス②

後遺障害等級の認定基準には、通院期間や通院日数についての明確な基準はありません。しかし、次の日数を目安と考えておきましょう。

通院期間:6か月以上

実際の通院日数:100日程度

また、通院していない期間が1か月以上あると後遺障害等級の認定が認められない可能性が高まってしまいます。

通院日数が少ないことは治療そのものが長期化して負担になります。また、治療の進行にも影響を与えるかもしれません。
むちうちの通院日数に関する不安や疑問があれば、一度弁護士にお問い合わせください。

後遺障害認定確率を上げるポイント①

適正な後遺障害認定を受けるための注目ポイントは2つあります。

① 後遺障害認定の申請方法

② 後遺障害認定で提出する書類

まずは「申請方法」についてみていきましょう。

申請方法

後遺障害等級認定の申請方法は事前認定被害者請求があります。より適正に等級認定を受けたいのなら被害者請求で申請すべきです。

ポイント①

後遺障害等級認定は被害者請求で行いましょう

被害者請求の流れをイラストで示します。

被害者請求の流れ

被害者自らがすべての申請書類を加害者の自賠責保険会社に提出する方法です。
後遺障害認定を受けるために有効な資料を提出したり、逆に、不利な要素に対しては追加補足などの説明を加えることができます。

被害者が申請の主体者になるので、手間がかかるというデメリットがあります。しかし「後遺障害認定を受ける」、「適正な等級を目指す」というそもそもの目的を達成するには、被害者請求が有効です。

提出すべき書類

支払請求書

請求者本人の印鑑証明

交通事故証明書

事故発生状況報告書

診断書

診療報酬明細書

MRIやレントゲンなど症状を裏付ける科学的根拠

弁護士に依頼すれば、被害者の代わりに弁護士が行います。
被害者請求+弁護士依頼は後遺障害認定のベストな組み合わせと言えます。

次に事前認定を確認してみましょう。

事前認定の流れ

事前認定は、加害者の任意保険会社が主体となって申請が進みます。被害者は、医師作成の「後遺障害診断書」を加害者の任意保険会社に提出するだけなので、手間はかかりません。

しかし、被害者に有利な工夫はできませんし、どのような書類が提出されたのかを知ることもできません。その結果、「非該当」と通知が来ても納得ができるでしょうか。

手間がかからない方法 ⇒ 事前認定

被害者に有利な結果が期待できる方法 ⇒ 被害者請求

それぞれの違いや詳細な流れを知りたい方は以下の記事も読んでみてください。

後遺障害認定確率を上げるポイント②

後遺障害等級認定の審査は「書面」が原則です。主張はすべて書面に盛り込まなくてはいけません。
提出する書類で以下の要件を満たしておきましょう。

(1)交通事故と症状の因果関係を示す

▶交通事故のケガによって症状が起こっていること
▶病院をすぐに受診して治療に当たっていること

(2)医学的治療を継続したが症状が残存

▶医師の指示の下で懸命に治療にしたこと
▶症状が途中で消失せず継続していること

(3)将来にわたって回復が難しい肉体的・精神的な症状

▶症状が治る見込みがないことを明記する

(4)症状の存在が医学的に認められ、かつ労働能力が失われるもの

▶症状の存在が検査結果から分かること

画像検査:MRIやCTなどの画像診断

神経学的検査:画像だけでは判断が難しい神経症状を医学的に証明するための検査

▶仕事に支障が出ていることを明記

MRIやCTなどの画像所見は重要です。
むちうちで後遺症として残った時、認定される可能性がある後遺障害等級は、主に「12級」と「14級」になります。違いを見てみましょう。

12級と14級の違い

12級:局部に頑固な神経症状を残すもの

14級:局部に神経症状を残すもの

12級と14級の違いは「頑固な」という言葉の有無です。現状、12級に認定された事例では画像所見で症状が分かる傾向があります。

神経学的検査

むちうちの自覚症状を医学的に証明するための検査方法を以下にまとめました。

<一覧>神経学的検査
深部腱反射検査
✔腱を軽く打つことで起こる反射を確認する検査
通常より反射が減弱したり、消失すると末梢神経障害が発生していると考えられる
徒手筋力テスト(MMT)
✔筋力の低下が起こっているか、その度合いを確認する検査
神経が障害されている場合、その神経の障害部位に応じた筋力が低下する
逆に、筋力の低下の有無や度合いを検査することで、末梢神経の障害の有無や発生部位を確認する
感覚検査・知覚検査
✔皮膚感覚・触覚や痛覚の検査
皮膚の感覚が鈍くなったり、消失を確認することで、神経の障害の有無や障害部位を確認する
スパーリングテスト/ジャクソンテスト
✔頭を痛みのある側に傾斜させたり、後屈させたりして、神経根の出口を狭める検査
圧迫を加えることで、神経根に障害が存在する場合には、疼痛・しびれ感が発生する
神経根の障害を有無を確認する

自覚症状を客観的に示すためにも、検査結果は非常に重要です。

(5)自覚症状を具体的に主張する

▶「痛い」とだけ書くのではなく、詳細に、そして常に存在することを主張する

よくない例

長時間同じ姿勢をしていると痛い

⇒長時間同じ姿勢をしなければ痛くないように受け取られる

よい例

長時間同じ姿勢を継続すると痛みを強く感じる

長時間同じ姿勢を継続すると痛みが強まる

5つのポイントを紹介してきましたが、被害者が一人でチェックするのは難しいでしょう。後遺障害認定申請をする前に、後遺障害診断書などの提出書類について、弁護士に内容のチェックを依頼することもおすすめです。

後遺障害診断書の書き方については次の関連記事でも解説しています。ぜひ読んでみてください。

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むちうち|慰謝料の相場は?

慰謝料は弁護士基準で交渉

慰謝料金額相場の3基準

交通事故の慰謝料には3つの基準があります。一番慰謝料の相場が高いのは「弁護士基準」になります。

加害者側の保険会社から慰謝料を提案されている場合は、「自賠責基準」か「任意保険の基準」となります。適正な慰謝料とはいいがたい金額なのです。

例えば、「後遺障害慰謝料」を例にしましょう。自賠責保険の基準と弁護士基準で比較しました。

<比較>後遺障害慰謝料:自賠責保険の基準と弁護士基準
自賠責保険の基準 弁護士基準
後遺障害<12級> 93 290
後遺障害<14級> 32 110

※単位:万円

あくまで基準は目安ですが、12級では約200万円・14級では約80万円もの差が出る可能性があります。
この差を見ると、自賠責保険の基準で満足という人はいないでしょう。

弁護士基準の示談交渉は弁護士に依頼するのが最も確実です。これまでの事例・判例を元に弁護士が交渉を進めます。

増額交渉(弁護士あり)

また、示談金は後遺障害慰謝料だけではありません。争点になりやすい「休業損害(休業補償)」や、弁護士基準の方が高額になる「入通院慰謝料」なども、弁護士による示談交渉は有効です。

むちうちの影響で仕事ができなかった期間の損害(休業損害)について、該当する方は次の関連記事も読んでみてください。休業損害の考え方・計算方法をご紹介しています。

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むちうち|後遺障害「非該当」の場合

異議申立てのポイント

後遺障害等級申請の結果、<非該当(等級なし)>とされることは珍しくありません。その場合は「異議申立て」で、認定を再度申請することができます。

しかし、最初の認定結果を覆すことは簡単ではありません。後遺障害認定結果通知には、非該当の理由が書かれています。対策をとってから異議申立てをしましょう。

▶事前認定で申請してだめだった…
⇒「被害者請求」での申請方法に切り替えて提出資料を吟味しましょう
▶被害者請求で申請したけど…
⇒提出した書類が十分だったかをもう一度見直しましょう
このような方法の変更や、工夫の再検討はマストです

注意

後遺障害に関する損害賠償請求は症状固定日から3年です。

認定申請は計画的に行いましょう。

異議申立ての他には「紛争処理申請」や「民事裁判の提起」も可能です。

異議申立てやその他の方法をご検討中の方は、まず弁護士にお声がけください。

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むちうちの後遺症が心配な方・苦しんでいる方へ

LINE・電話OK|<24時間・365日>無料相談の予約窓口

アトム法律事務所の特徴

交通事故の被害者救済に注力している

交通事故解決の経験豊富な弁護士が多数在籍している

24時間・365日「無料相談」の予約窓口がある

むちうちの解決実績も豊富にあります。気になる方は、「むちうちの解決実績ページ」もご覧ください。後遺障害等級の認定なしでも、100万円以上の回収実績が多数あります。

アトム法律事務所の無料相談の予約受付の窓口は24時間365日ご利用いただけます。電話・LINE・メールなど、使いやすい方法でお問い合わせください。混み合う時間帯や土日祝は順番をお待ちいただくこともあります。お早めのご連絡がおすすめです。


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まとめ

アトム法律事務所は「交通事故と刑事事件の地域一番の弁護士事務所として、 相談者のお悩みとお困りごとを解決すること」を目指しています。むちうちは交通事故の被害相談でもとても多いです。一方で、後遺症の範囲が広かったり、後遺障害認定がされづらいという難しさがあります。交通事故で負った「むちうち」について、損害賠償・後遺障害等級認定を検討している方はお気軽にお問い合わせください。

弁護士プロフィール

岡野武志弁護士

(第二東京弁護士会)

全国10事務所体制で交通事故被害者の救済に取り組んでいる当事務所の代表弁護士。2008年の創業以来、幅広い間口で電話・LINE・メール相談などに無料で対応し、2019年現在は交通事故被害者の救済を中心に精力的に活動している。フットワークの軽い行動力とタフな精神力が強み。