弁護士無料相談をご利用ください
相談依頼は今すぐ!
作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
人工骨頭置換術をしても後遺障害は認定される?
大腿骨頸部(太ももの付け根)を骨折してしまったり、肘(ひじ)を強く打って肘骨頭を骨折してしまった…なんて方もおられるでしょう。
そのままでは足を曲げたり、肘を曲げたりすることはできないので、このような場合は人工骨頭置換術が施されます。
ただ、こんな不安が浮かんでくるかもしれません。
「人工骨頭によって関節が曲がるようになった…ということは、後遺障害は認定されないのでは?」
後遺障害認定されるかどうかは、慰謝料の金額にも大きく関わることです。
今回は、「人工骨頭」の後遺障害について弁護士が解説していきます。
目次
ちなみに「人工関節」の後遺障害等級については知りたい方、こちらの記事をご覧ください。⇊
さて、「人工骨頭」の後遺障害等級について一緒に見ていきましょう。
人工骨頭を挿入置換した場合、ただちに後遺障害となります。
関節内骨折により、関節の自然治癒・再建が困難になるからです。
人工骨頭の後遺障害等級は
人工骨頭を挿入置換した関節がどのくらい動くのか(=関節可動域)
によって、認定される等級が変わります。
上肢の人工骨頭については、6級6号、8級6号、10級10号のいずれかが認定されます。
等級 | 基準 |
---|---|
6級6号 | ①1上肢の3大関節中の2関節に人工関節・人工骨頭を挿入置換、かつ ②その関節の可動域角度が健側(=障害がない側)の可動域角度の2分の1以下に制限されたもの |
8級6号 | ①1上肢の3大関節中の1関節に人工関節・人工骨頭を挿入置換、かつ ②その関節の可動域角度が健側(=障害がない側)の可動域角度の2分の1以下に制限されたもの |
10級10号 | ①1上肢の3大関節中の1関節に人工骨頭または人工関節を挿入置換 ②関節の可動域角度:制限なし |
※6級6号は「1上肢の3大関節中の2関節の【用を廃した】もの」と規定する。挿入置換された人工関節・人工骨頭(健側の可動域角度の1/2以下に制限されたもの)は、「用を廃した」に該当する。
※8級6号は「1上肢の3大関節中の1関節の【用を廃した】もの」と規定する。「用を廃した」については、上記と同じ。
※10級10号は「1上肢の3大関節中の1関節の【機能に著しい障害】を残すもの」と規定する。人工関節・人工骨頭の挿入置換は「機能に著しい障害」に該当する。
6級6号、8級6号では、関節の角度可動域が2分の1以下に制限されたものが対象になります。
人工関節の脱臼予防の観点から、ある程度、可動域の制限をうけることもあります。
ですが、現在の医療技術からすると、関節の角度可動域が2分の1以下に制限される可能性は、非常に少ないものです。
したがって、ほとんどのケースで10級(10号)が認定されると考えてよいでしょう。
下肢に人工骨頭については、6級7号、8級7号、10級11号のいずれかが認定されます。
等級 | 内容 |
---|---|
6級7号 | ①1下肢の3大関節中の2関節に人工関節・人工骨頭を挿入置換、かつ ②その関節の可動域角度が健側(=障害がない側)の可動域角度の2分の1以下に制限されたもの |
8級7号 | ①1下肢の3大関節中の1関節に人工関節・人工骨頭を挿入置換、かつ ②その関節の可動域角度が健側(=障害がない側)の可動域角度の2分の1以下に制限されたもの |
10級11号 | ①1下肢の3大関節中の1関節に人工関節・人工骨頭を挿入置換 ②関節の可動域角度:制限なし |
先ほどと同様、下肢についても、脱臼予防のため角度可動域が制限されることがあります。
大腿骨頸部を骨折し人工骨頭挿入置換術を行なった場合などは、禁忌肢位に注意すべきです。
しかし、このような人工骨頭・人工関節の挿入置換術をうけた場合でも、可動域角度が2分の1以下に制限されることは、ほとんどありません。
下肢についても、ほとんどのケースで10級(11号)が認定されると考えてよいでしょう。
人工関節・人工骨頭の挿入置換術の手術後に、痛み、しびれ、違和感といった症状があらわれることがあります。
このような症状については、「局部の神経症状」として12級13号または14級9号が認定される可能性があります。
等級 | 内容 |
---|---|
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | .局部に神経症状を残すもの |
人工関節・人工骨頭に関する後遺障害、神経症状に関する後遺障害のいずれも認められる場合、併合等級が認定されます。
▼13級以上の後遺障害が2つ以上ある場合 |
---|
重い方の後遺障害を1等級くり上げる |
▼8級以上の後遺障害が2つ以上ある場合 |
重い方の後遺障害を2級くり上げる |
▼5級以上の後遺障害が2つ以上ある場合 |
重い方の後遺障害を3級くり上げる |
▼14級の後遺障害が1つでもある場合 |
重い方の後遺障害の等級が認定される |
このルールにしたがうと、次のような後遺障害等級が認定されます。
この場合、併合9級が認定されます。
この場合、併合10級が認定されます。
後遺障害慰謝料は、等級ごとに相場があります。
ここでは、弁護士基準と自賠責基準の相場を整理しました。⇊
等級 | 弁護士基準 | 自賠責基準 |
---|---|---|
1級 | 2,800 | 1,100 |
2級 | 2,370 | 958 |
3級 | 1,990 | 829 |
4級 | 1,670 | 712 |
5級 | 1,400 | 599 |
6級 | 1,180 | 498 |
7級 | 1,000 | 409 |
8級 | 830 | 324 |
9級 | 690 | 245 |
10級 | 550 | 187 |
11級 | 420 | 135 |
12級 | 290 | 93 |
13級 | 180 | 57 |
14級 | 110 | 32 |
※単位:万円
慰謝料の算定基準には、弁護士基準、任意保険基準、自賠責基準の3種類があります。
弁護士基準は、被害者側の弁護士が、保険会社との示談交渉で用いる基準のことです。
弁護士基準は、実際の裁判例の相場を参照したもので、3種類の基準のうち最も高額になります。
これに対して、自賠責基準は、自賠責保険の支払基準です。
任意保険基準は、任意保険会社の支払基準ですが、実際のところ自賠責基準と同程度であるといわれています。
①弁護士基準
②任意保険基準
③自賠責基準
自賠責保険の支払基準
保険会社の提示額は、弁護士基準と比べれば、少なくなりがちです
交通事故で適正な慰謝料金額を知りたい方は、アトム法律事務所の無料相談を是非ご活用ください。
「人工骨頭の挿入置換が原因で、仕事を辞めて、収入がなくなってしまった…。」
このように、後遺症によって本来ならば得られたであろう収入が得られなくなった損害についても、賠償請求は可能です。
このような損害のことを「逸失利益」といいます。
というような視点で、逸失利益は計算されます。⇊
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数 |
---|
基礎収入 | 被害者に後遺障害がなければ 将来的に得るはずであった年収 |
---|---|
労働能力 喪失率 |
後遺障害によって 年収を低下させる割合 |
労働能力 喪失期間 |
後遺障害によって 年収が低下する期間 |
ライプニッツ係数 | 逸失利益を一括で受け取るにあたって 現在価値に修正するための係数 |
後遺障害等級ごとの労働能力喪失率は、次のとおりです。⇊
第1級 | 第2級 | 第3級 | 第4級 |
---|---|---|---|
100% | 100% | 100% | 92% |
第5級 | 第6級 | 第7級 | 第8級 |
79% | 67% | 56% | 45% |
第9級 | 第10級 | 第11級 | 第12級 |
35% | 27% | 20% | 14% |
第13級 | 第14級 | ||
9% | 5% |
※要介護第1級・要介護第2級の労働能力喪失率は、いずれも100%。
逸失利益の詳しい解説はこちら。⇊
交通事故の示談金、慰謝料相場が知りたい方へ。
こちらの自動計算機では・・・
など自動で計算できます。⇊
登録不要なので、お気軽にお試しください。
従前は、人工関節にはポリエチレンが使用されていました。そのため、短期間での消耗、挿入置換後のゆるみが問題なっていたころもありました。
しかし、昨今、人工関節には超高分子量ポリエチレンが、骨頭にはセラミックが普及し、耐久性が10~20年になったといわれています。
このような医療技術の進歩にともない、人工骨頭挿入置換の後遺障害等級の認定基準も変化しました。そして、ほとんどの事案で10級が認定されるにとどまります。
しかし、人工骨頭の挿入置換があれば等級を獲得できることはほぼ確実です。
人工骨頭と神経症状の併合だけでなく、そのほか系列の異なる後遺障害との併合等級認定の可能性もあるので、後遺障害等級をきちんと認定してもらいましょう。
戦略的に等級を獲得するためには、後遺障害の被害者請求について流れをしっかり押さえることが大切です。
このようなお悩みで法律事務所をお探しの方へ。
アトム法律事務所では、交通事故の弁護士相談窓口を設置しています。
お問い合わせ・相談ご予約の受付時間は・・・
問いません。
LINE相談は完全無料です。
このような方でも、お気軽にご相談いただけます。
早期のご相談が、お悩み解決の秘訣です。
お電話・メール・LINEにて、お気軽にお問い合わせください。
今後の示談交渉、後遺障害等級認定の流れなど、ご不明点があればお気軽にご相談ください。
早期にご不安を解消していただくことが、適切な示談金を獲得する近道です。
(第二東京弁護士会) 第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。弁護士プロフィール
岡野武志弁護士
人工骨頭を挿入置換した場合、ただちに後遺障害となります。人工骨頭を挿入すると、元の関節の自然治癒・再建は困難になるからです。人工骨頭の後遺障害等級は、人工骨頭を挿入置換した関節がどのくらい動くのかということによって認定される等級が変わります。 人工骨頭の後遺障害について
上肢の人工骨頭については、6級6号・8級6号・10級10号のいずれかが認定されます。6級6号と8級6号については、関節の角度可動域が2分の1以下に制限されたものが対象になりますが、ほとんどのケースで10級10号の後遺障害等級が認定されます。 上肢の人工骨頭の後遺障害等級
下肢の人工骨頭については、6級7号、8級7号、10級11号のいずれかの後遺障害等級が認定されることが多いです。上肢の場合と同様に、ほとんどのケースで10級11号の後遺障害等級が認定されると考えてよいでしょう。 下肢の人工骨頭の後遺障害等級