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作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
むちうちの治療を続けていると、症状固定という言葉を耳にする機会があるかと思います。
まだ聞いたことがない、という方も、もし治りが悪ければ「症状固定」という言葉の意味について、かんがえなくてはならない時期がやってきます。
この記事では、むちうちの症状固定にまつわる「よくある疑問」を中心に解説します。
症状固定とは、これ以上治療を続けても、怪我・症状の改善が期待できなくなった状態をいいます。
医学的に認められた治療方法が効果をもたらさない状態ともいえます。
ちなみに、「治療方法」とは一般に認められたものをいい、研究段階にある最先端の治療などは含まれません。
特に、むちうちの症状固定とは次のような状態をさします。
交通事故後の強く激しい痛み・しびれなどの症状はおさまったが、その後も慢性的に痛みなどが持続している状況。
慢性症状は、リハビリをおこなったり、薬を服用することで一時的におさまるが、また元の慢性症状があらわれるなど、一進一退を繰り返してしまう状態。
受傷の強さで症状固定までにかかる時間も変わります。
ですから、むちうちは何ヶ月治療したら治る、必ず後遺症が残る、などは決まっていないのです。
症状固定の時期は、主治医の判断が尊重されます。
被害者自身で勝手に症状固定と決めて治療をやめたり、相手方から一方的に決められるものではありません。
相手方の保険会社から治療費の打ち切りを打診されることがあります。
むちうちの場合は、3ヶ月が治療にかかる目安と想定されているようです。
しかし、むちうちの被害者全員が3ヶ月で治るとは限りません。治療費の打ち切りを提示されたら、次の①②の順で検討しましょう。
まずは、医師の判断をあおぎましょう。
治療費の打ち切りということは、被害者の症状が「完治」または「症状固定」であると保険会社が判断したことになります。
しかし、症状の診断をするのは医師ですので、相手方の言い分をうのみにする必要はありません。
まずは医師に「保険会社からの治療費打ち切り連絡」があったことを伝えましょう。医師から「まだ治療が必要である」と判断を受けたら、そのことを保険会社に伝えてください。
医師からも「完治」または「症状固定」と判断をされた場合は、治療費の打ち切りを受け入れることになるでしょう。
治療を続けたい場合は、被害者自身で治療費を立て替えて支払い、あとで相手方に交渉して支払いを求める必要があります。
しかし、立て替えたお金は必ず返してもらえるとは限りません。万一のために、健康保険を使って負担は最低限に抑えておきましょう。
こういったお悩み、お困りごとの解決には弁護士依頼をおすすめします。
相手方保険会社は交通事故処理のプロです。被害者お一人での交渉は想像以上に難しいものです。
症状固定前の通院・治療に関する慰謝料は、通院慰謝料(もしくは傷害慰謝料)といわれます。
通院慰謝料は、通院期間の長さに応じた相場があります。
通院期間とは治療開始日から症状固定日までの期間です。
通院慰謝料は、相手の保険会社から提案される金額と、弁護士を通して交渉する金額があります。この2つの金額には、大きな差があります。
・4200円✖30(日) ・4200円✖(実際の通院日数✖2) |
※金額の少ない方を採用
保険会社から提案される金額は、1日あたり4200円として算定されます。計算式は2つあり、金額の少ない方が採用されるのです。
▼例:通院期間1ヶ月、実際の通院日数12日のときの慰謝料
4200円✖24=10万800円
計算式2つを比較した結果、24日(12日の2倍)を使って計算するほうが金額が少ないので、こちらの式が採用されます。
19万円 |
▼例:通院期間1ヶ月、実際の通院日数12日のときの慰謝料
※保険会社から提案される金額は、保険会社独自の規定に基づいて算定されるケースがあります。金額は目安としてとらえてください。
・4200円✖90(日) ・4200円✖(実際の通院日数✖2) |
※金額の少ない方を採用
保険会社から提案される金額は、1日あたり4200円です。
計算式は2つあり、金額が少なくなる計算式が採用されます。
▼例:通院期間3ヶ月、実際の通院日数28日のときの慰謝料
4200円✖56=23万5200円
計算式2つを比較した結果、56日(28日の2倍)を使って計算するほうが金額が少ないので、こちらの式が採用されます。
53万円 |
▼例:通院期間3ヶ月、実際の通院日数28日のときの慰謝料
※保険会社から提案される金額は、保険会社独自の規定に基づいて算定されるケースがあります。金額は目安としてとらえてください。
・4200円✖180(日) ・4200円✖(実際の通院日数✖2) |
※金額の少ない方を採用
保険会社から提案される金額は、1日あたり4200円として算定されます。
計算式は2つあり、金額の少ない方が採用されるのです。
▼通院期間6ヶ月、実際の通院日数75日のときの慰謝料
4200円✖150=63万円
2つの計算式を比べた結果、150日(75日の2倍)の計算式の方が金額が少なくなるので、こちらの式が採用されます。
89万円 |
▼例:通院期間6ヶ月、実際の通院日数75日のときの慰謝料
※保険会社から提案される金額は、保険会社独自の規定に基づいて算定されるケースがあります。金額は目安としてとらえてください。
症状固定後の慰謝料は、後遺障害慰謝料といいます。
後遺症が後遺障害に認定されたら受けとることができる慰謝料です。
後遺障害慰謝料は、認定された後遺障害等級ごとに相場が設けられています。
しかし、同じ後遺障害等級でも、相手の保険会社から提案される金額と弁護士を通して交渉する金額にはずいぶん差があります。
むちうちは、
いずれかの後遺障害等級に認定される可能性があります。
それぞれ、後遺障害等級に応じた後遺障害慰謝料の相場を見てみましょう。
等級 | 弁護士基準 | 任意基準※ | 自賠責基準 |
12 | 290万円 | 100万円 | 93万円 |
14 | 110万円 | 40万円 | 32万円 |
※ 旧任意保険支払基準を参照、現在は保険各社が独自に設定
▼後遺障害12級の慰謝料
▼後遺障害14級の慰謝料
通院慰謝料と同様に、相手方の保険会社から提案される後遺障害慰謝料は、弁護士を通して交渉することで増額の余地があるのです。
後遺障害認定を受けるためのポイントとして、通院開始から症状固定にいたるまで6ヶ月以上の通院期間があることが目安になります。
後遺障害として認定されるものは、一定程度の傷病であること、と考えられているからです。
通院慰謝料、後遺障害慰謝料などの受けとれるお金を簡単に計算できる便利ツールがあります。
結果は、弁護士に相談した場合の金額で算定されたものです。弁護士依頼を検討する上で参考にしてください。
交通事故発生から症状固定、示談までは、次のように進みます。
症状固定となったら、後遺障害等級認定を申請するか、しないかを検討しましょう。
もっとも、後遺障害認定を受ける時は自分の症状が後遺障害に該当するのかを事前に検討しておく必要があります。
障害部位や症状の程度に応じて何級に認定される可能性があるかは見当をつけておきましょう。
後遺障害等級表をご用意していますので、ぜひ確認してみてください。
該当しそうな後遺障害等級があれば、後遺障害認定の申請を始めましょう。
まずは医師に「後遺障害診断書」の作成を依頼してください。
後遺障害の認定手続き必須の書類です。後遺障害診断書に記載された内容をもとに後遺障害認定がおこなわれます。
正式には「自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書」といい、書式は既定のものがあります。
後遺障害診断書の記載内容も、弁護士の視点でアドバイスできることがたくさんあります。
ポイントを押さえて、後遺障害認定されるような「診断書」で後遺障害等級認定を申請しましょう。
後遺障害認定の申請には、被害者請求、事前認定の2つの方法があります。
どちらの方法でおこなうかは被害者自身で選択可能ですが、弁護士視点でのおすすめは「被害者請求」です。
被害者請求と事前認定には、次のような違いがあります。
事前認定 | 被害者請求 | |
申請主体 | 相手の任意保険会社 | 被害者自身 |
被害者の 手間 | かからない | かかる |
認定率を 上げる工夫 | 期待できない | 自分でできる |
最も注目すべきは、被害者請求の方で認定率を上げる工夫ができることです。
事前認定をおこなう主体は、相手方の任意保険会社です。あくまで相手方の保険会社となりますので、被害者の味方とはいいがたく、被害者に有利になるような資料収集に手間をかけてくれるとは考えにくいのです。
一方、被害者請求は被害者自身で後遺障害認定申請をおこないます。
手間はかかってしまいますが、むちうちの後遺症が後遺障害であると証明する工夫ができるでしょう。
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まずはじっくりお話を聞かせてください。
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むちうちで引き起こされる神経症状や頭痛、めまいなどは外見からは分かりません。周囲の人からは理解されにくく、また、後遺障害認定を受けることも難しいのです。 (第二東京弁護士会) 第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。
交通事故において、むちうちは決して珍しいものではありません。
交通事故の被害者救済に力を注いでいるアトム法律事務所の弁護士に、まずはご相談ください。弁護士プロフィール
岡野武志弁護士
たとえば、リハビリをすると痛みやしびれが軽くなるけれども、また元通りの慢性的な痛みやしびれがあらわれる「良くも悪くもならない状態」のことです。事故直後の急激な痛みはとれても、慢性症状が持続してしまいます。 むちうちの症状固定
相手方からの治療費支払いが終了します。厳密にいうと、むちうちの治療期間が終了したということで、通院交通費や休業損害などの損害賠償も打ち切られます。後遺障害等級認定を申請する場合は、申請に向けた準備を始めるタイミングともいえます。 むちうちは3ヶ月で治療費打ち切り?
弁護士に依頼した時の相場は、通院1ヶ月19万円/通院3ヶ月53万円/通院6ヶ月89万円です。後遺障害等級認定された時の後遺障害慰謝料相場は12級290万円/14級110万円です。相手の保険会社から提案される金額はこれらの金額を大きく下回っている可能性がきわめて高いです。 症状固定の前後を比較、慰謝料はいくら?
申請主体、被害者の手間、認定率など様々な違いがあります。被害者請求は手間がかかりますが、認定率を上げるために被害者自身で工夫ができます。 事前認定?被害者請求?