作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
外傷性鼓膜穿孔の後遺症|難聴や耳鳴りの後遺障害認定と慰謝料
本記事は「交通事故による外傷性鼓膜穿孔と後遺症の関係」について弁護士が解説しています。
本記事のポイント
- 交通事故の衝撃で外傷性鼓膜穿孔を負うと後遺障害が残ることがある
- 交通事故と外傷性鼓膜穿孔は医学的に因果関係を証明することが後遺障害認定につながる
- 後遺症の重さなどによって後遺障害等級が決まり、等級に応じた慰謝料が請求可能となる
交通事故で受けた外傷性鼓膜穿孔による後遺症で、
「後遺障害は認められるのか」
「妥当な慰謝料は支払われるのか」
などの不安の声が多く寄せられています。交通事故の外傷性鼓膜穿孔による後遺症が残った場合の対応について解説してきます。
目次
外傷性鼓膜穿孔で後遺症は残る?まずは症状を解説
外傷性鼓膜穿孔の症状|難聴・疼痛…
外傷性鼓膜穿孔は、強い外部からの衝撃などを原因として、鼓膜が傷ついたり穴があく状態をいいます。外傷性鼓膜穿孔によって引き起こされる症状は、損傷の程度によってさまざまです。
外傷性鼓膜穿孔の症状
激しい痛み(疼痛)
難聴
出血
耳鳴り
めまい
など、このような症状がみられます。
外傷の程度によっては、鼓膜の破れだけでなく
- 音を伝える耳小骨が骨折
- 内耳にまで障害がおよぶ
ことがあるので注意が必要です。
さらに詳しくは「外傷性鼓膜穿孔」のページをご覧ください。
外傷性鼓膜穿孔の原因
外傷性鼓膜穿孔の代表的な原因としては、直接的に外力が加わるケースと間接的に外力が加わるケースとに大きく分けられます。
外傷性鼓膜穿孔の原因
▼直接的に外力が加わるケース
耳かき・綿棒などで鼓膜を傷つけた
昆虫などの異物が外耳に入った
溶接の火花が外耳に入った
▼間接的に外力が加わるケース
交通事故・転落で頭部を強打した
平手打ち・ボールなどが耳をふさぐように当たった
爆発音
鼻を勢いよくかんで気圧が急激に変化した
スキューバダイビングなどによる急な潜水
このような原因によって外傷性鼓膜穿孔が生じることが多いようです。
外傷性鼓膜穿孔の治療…手術・入院は必要?
外傷性鼓膜穿孔は治療でなく自然治癒?
外傷性鼓膜穿孔における治療としては、清潔に保つことにつとめ、特に処置は必要としないことが多くなっています。鼓膜の破れが軽度であった場合は、自然に塞がるからです。
外傷性鼓膜穿孔で手術が必要なケース
外傷性鼓膜穿孔の程度が軽症の場合は自然治癒による回復が待たれます。もっとも、受傷後から1ヶ月以上たっても穴がふさがらない場合は手術が必要になります。
なかなか鼓膜の穴がふさがらないという場合は、
- 鼓膜に紙をはって回復をうながす
- 手術で鼓膜を作る
などの治療がおこなわれます。
鼓膜の破れが生じたら、一刻もはやく適切な治療を受けるためかならず専門の医療機関を受診してください。
外傷性鼓膜穿孔で後遺症が残ったら後遺障害を申請
外傷性鼓膜穿孔は後遺症が残ることがある
外傷性鼓膜穿孔では、外傷の程度によっては後遺症が残る可能性があります。
外傷性鼓膜穿孔の後遺症
▼鼓膜穿孔に伴う中耳炎の発症
軽度な難聴
耳鳴り
耳漏
外耳道の狭さく
▼耳小骨の損傷を伴った場合
高度な難聴
▼内耳の損傷・三半規管の震盪
めまい
外傷性鼓膜穿孔では、このような後遺症の症状が残ることがあります。
後遺障害申請の手続き
交通事故で外傷性鼓膜穿孔を原因として後遺症が残ったら、後遺障害等級の申請をおこないます。
後遺障害
交通事故の後遺症によって労働能力が低下・喪失すること
後遺障害が残ることで、
- 働けなくなって収入が減る
- 後遺症の痛みなどで精神的な苦痛を受ける
など、さまざまな損害を被ることになります。
このような損害に対して、金銭的に補償を受けられるように事故の相手方に損害賠償請求することができます。損害賠償は、
- 後遺障害認定の有無
- 後遺障害の等級
によってどのくらいの慰謝料などを支払うか算定されることになります。適正な慰謝料の獲得には、適正な後遺障害の認定が重要になります。
外傷性鼓膜穿孔による後遺症で後遺障害認定を得るには、専門の認定機関へ後遺障害申請をおこなう必要があります。申請には、医師作成の後遺障害診断書が必要です。
専門の認定機関の審査を経て後遺障害が認定されれば、後遺障害に対する損害賠償の請求が可能となります。
外傷性鼓膜穿孔による後遺障害の等級
交通事故で受けた外傷性鼓膜穿孔の治療をつづけても後遺症が残った場合、後遺障害が認定される可能性があります。外傷性鼓膜穿孔で予想される後遺障害の等級はつぎのとおりです。
外傷性鼓膜穿孔の後遺障害等級
予想される等級
症状 | 等級 |
難聴 | 4級~14級 |
耳鳴り | 12級 |
14級 | |
耳漏 | 12級 |
14級 | |
外耳道の狭さく | 14級 |
めまい | 9級10号 |
12級13号 | |
14級9号 |
外傷性鼓膜穿孔によって残った後遺症の症状の程度に応じて、認定基準を満たしていれば等級が認められる可能性があります。
後遺障害等級は、1級~14級までで区分されています。等級の数字が低いほど、症状は重くなっています。
後遺障害認定に向けたポイント
外傷性鼓膜穿孔による後遺症が後遺障害認定されるには、「交通事故を原因として後遺症が残った」ことを立証する必要があります。
後遺障害認定のポイント
- 交通事故にあったらすぐに病院に行き、検査を受けている
- 外傷性鼓膜穿孔についての後遺障害診断書がある
- 診断書に外傷性鼓膜穿孔についての具体的な症状が記載されている
- 外傷性鼓膜穿孔の症状を証明する医学的検査を受けた
このようなポイントをおさえれば、外傷性鼓膜穿孔の後遺症で後遺障害等級が認定される可能性が高まります。
外傷性鼓膜穿孔の後遺症における損害賠償
外傷性鼓膜穿孔における損害賠償の内訳
交通事故にあったことで外傷性鼓膜穿孔を負い、後遺症が残ったら事故の相手方に損害賠償を請求することができます。
もっとも、車を運転する人の多くは任意保険に加入しています。したがってほとんどの場合は相手方が加入する任意保険会社に対して請求することになります。
交通事故における損害賠償は、大きく傷害部分と後遺障害部分に分けられます。それぞれの部分で請求することができる損害賠償の主な項目についてみていきます。
損害賠償の内訳
傷害部分で請求できる主な損害賠償
治療費 |
怪我の治療費用 |
通院交通費 |
治療のために通院した交通費 |
入院雑費 |
入院で必要になった雑費など |
休業損害 |
怪我で休業した期間の収入減額分の補償 |
入通院慰謝料 |
入院や治療で受けた精神的苦痛に対する慰謝料 |
その他 |
診断書の作成、資料集めにかかった費用など |
逸失利益* |
将来得られたはずの収入が後遺障害によって減額した分に対する収入の補償 |
後遺障害慰謝料* |
後遺障害で受けた精神的苦痛に対する慰謝料 |
*後遺障害の認定で請求可能
後遺障害部分における損害賠償については、後遺障害等級に応じて損害賠償額が算定されることになります。
外傷性鼓膜穿孔の損害賠償の相場
交通事故で負った外傷性鼓膜穿孔の後遺症で得られる慰謝料などは、どのくらいの金額になるのか明示することはできません。お一人お一人、症状の重さ・治療期間・収入などによって金額が変わってくるからです。
とはいえ、どのくらいの相場となるのか事前に知っておきたいというのが本音ではないでしょうか。そこで、必要な項目をご入力いただくだけで慰謝料をシミュレーションすることができる慰謝料の自動計算機を紹介したいと思います。事前登録などは不要です。気軽にお使いいただけます。
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外傷性鼓膜穿孔の後遺症における慰謝料増額の相談
なぜ弁護士に相談すべきなのか?
慰謝料などの損害賠償は等級ごとに算定されるというのはすでにお伝えしました。ここで注目していただきたいのが、算定に使われる基準ごとで最終的に受け取ることができる金額に差が生じるという点です。これは、弁護士に相談すべきであるというポイントにつながります。
算定基準は、
- 自賠責保険基準
- 任意保険基準
- 弁護士基準
の3つであり、最も高額な金額で慰謝料が算定されるのは弁護士基準です。
もしあなたがすでに保険会社から慰謝料といった示談金の提示を受けている場合、弁護士に示談交渉をご依頼いただければ、提示金額よりも増額となる可能性があります。
弁護士基準による算定が採用されやすくなるのは、弁護士に示談交渉を依頼した場合にかぎられてくるからです。
弁護士費用を差し引いたとしても、弁護士基準で得られる慰謝料は任意保険基準などよりも高額であるケースが多いです。
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アトム法律事務所では、弁護士による無料相談をおこなっています。在籍中の弁護士のなかには、保険会社側の弁護士としての経験をつみ保険会社の裏事情に精通した弁護士や、示談交渉の経験が豊富な弁護士が多数在籍しています。
まずは24時間・365日受付中の窓口までお問い合わせいただき、相談のご予約をお取りください。
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相談の方法は、電話相談/LINE相談/対面相談からお選びいただけます。治療のための通院や仕事などで事務所まで来所がむずかしいという方は、電話相談やLINE相談は重宝するというお声をいただいています。
弁護士と顔を合わせて相談したいという方は、対面相談をご希望ください。あなたの都合のよい窓口をお選びいただき、弁護士と一緒に交通事故における後遺症のお悩みを解決していきましょう。
弁護士プロフィール
岡野武志弁護士
(第二東京弁護士会)
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。
外傷性鼓膜穿孔の後遺症Q&A
外傷性鼓膜穿孔とはどんな症状?
外傷性鼓膜穿孔の症状としては、主に激しい痛み(疼痛)・難聴・出血・耳鳴り・めまいなどがあげられます。外傷性鼓膜穿孔は、耳に強い衝撃を受けたことで鼓膜が傷ついたり穴が開くことをいいます。外傷の程度によっては鼓膜だけでなく、耳小骨や内耳まで損傷を受ける可能性もあります。 外傷性鼓膜穿孔の症状
外傷性鼓膜穿孔はどんな後遺症が残る?
外傷性鼓膜穿孔における後遺症としては、中耳炎を発症することで軽度の難聴・耳鳴り・耳漏・外耳道の狭さくなどの症状があげられます。耳小骨を損傷していると高度な難聴、内耳を損傷しているとめまいといった後遺障害が残る可能性もあります。 外傷性鼓膜穿孔の後遺症
外傷性鼓膜穿孔の後遺障害等級は?
外傷性鼓膜穿孔による後遺障害では、難聴で4級~14級、耳鳴りや耳漏で12級・14級、外耳道の狭さくで14級、めまいで9級10号・12級13号・14級9号の等級が予想されます。等級の数字が低いほど残存した症状は重くなっています。 外傷性鼓膜穿孔に関する後遺障害等級