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作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
交通事故に遭うと、記憶障害が生じる場合があります。
その記憶障害にもいくつかの種類があり、症状は様々です。
交通事故で記憶障害が残るとその後の生活にも支障が出る場合があります。
そうした場合、ご本人や周りの方がスムーズに対応できるよう、分かりやすく解説していきます。
目次
記憶障害は高次脳機能障害の1つで、いくつかのの種類があります。
それぞれの症状は以下の通りです。
逆向性健忘 | 受傷前数年~数十年の記憶がない ▼受傷前の自分の経験の記憶がない ▼受傷前の社会に関する記憶がない |
---|---|
前向性健忘 | 受傷前のことは覚えているが、受賞後に新しいことを覚えられない ▼物の置き場を忘れる ▼何度も同じことを質問する ▼一日の予定を記憶できない ▼さっき食事をとったことを忘れる ▼作業を中断すると何をしていたか忘れてしまう ▼約束を忘れる |
見当識の障害 | 今日の日時、ここはどこかがわからなくなる |
出典健忘 | ある情報をいつどこで知ったのか忘れてしまう |
作話 | 周りの人の話や見たことなどの外的な刺激に影響され、過去の記憶を修復して空想的な話を作り出す |
この他、注意障害や人格の変化が伴うこともあります。
高次脳機能障害にはほかにも症状があり、複数の症状を併発することもあります。
高次脳機能障害についての詳細はこちらの記事をご覧ください。
交通事故の場合、
などによって記憶障害が発生する可能性があります。
こうした傷病によって、全脳基底部や側頭葉、視床が損傷することが、記憶障害の原因として挙げられます。
交通事故で記憶障害が残り、後遺障害等級が認定されると、後遺障害等級慰謝料を受けることができます。
該当する可能性のある等級と、過去の判例をもとに設定された、各等級に対する後遺障害慰謝料の金額目安をご紹介します。
1級1号/2800万円 |
---|
高度の痴呆があり、常時看護が必要 |
2級1号/2370万円 |
著しい判断能力の低下が見られ、看視が欠かせない |
3級3号/1990万円 |
新しいことが一切覚えられず注意力も散漫で、仕事や学習ができない状態 |
5級2号/1400万円 |
単純な作業の繰り返しは可能だが、新しい作業を覚えるのが難しかったり、環境が変わると作業を継続できなかったりする |
7級4号/1000万円 |
簡単な店番程度ならできるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどから、一般人と同等程度の作業を行うことができない |
9級10号/690万円 |
仕事や学習は出来るが、作業効率や作業維持力などに問題がある |
12級13号/290万円 |
意思疎通、手順の理解や判断、8時間程度の継続作業、協調性のいずれかに多少の困難を感じる |
14級9号/110万円 |
仕事や日常会話は概ね問題ないものの、わずかな労働能力の喪失がある |
実際に記憶障害で後遺障害等級が認定された例を見てみましょう。
その他の高次脳機能障害の症状
怒りやすい、興奮しやすい
(東京地判平16.9.22 交民37・5・1294)
その他の高次脳機能障害の症状
協調性の問題など人格トラブルにより退職
(京都地判平17.12.15 自保ジ1632・5)
交通事故を原因として記憶障害が残り、上で解説したような等級に認定されると、後遺障害慰謝料を得られます。
しかし、この等級・慰謝料については、
という点に注意が必要です。
後遺障害等級認定は、基本的に提出した資料のみを見て審査が行われます。したがって、戦略的な資料集めがポイントとなります。
後遺障害等級認定については、交通事故案件を扱う弁護士が専門家としてサポートをしています。
また、後遺傷害慰謝料については、実際の金額は加害者側との示談交渉次第になります。
上でご紹介した金額は過去の判例をもとに定められた金額基準ですが、加害者側の保険会社は、それよりも大幅に低い金額を提示してくることが一般的です。
交渉は基本的に、弁護士による主張でないと聞き入れてもらえないことがほとんどです。
後遺障害等級認定についても示談交渉についても、弁護士に相談することが成功のポイントということができます。
では、実際に弁護士に依頼した結果後遺障害等級が認定された結果と、示談金額が増加した事例をご紹介します。
記憶障害の原因である頭部外傷や高次脳機能障害に関する、アトム法律事務所の事例です。
等級 | 後遺症 | 獲得示談金* |
---|---|---|
14級 | 外傷性くも膜下出血 | 474万円 |
9級 | 脳挫傷・高次脳機能障害 | 3487万円 |
7級 | 高次脳機能障害 | 4183万円 |
7級 | 高次脳機能障害 | 1809万円 |
1級 | 脳挫傷・肋骨骨折 | 3129万円 |
*後遺障害慰謝料を含む示談金の総金額
等級 | 獲得金額 | 症状など |
---|---|---|
9級10号 | 1855万円 →3000万円 |
20代男性 外傷性くも膜下出血、高次脳機能障害、びまん性軸索損傷 弁護士の交渉で当初の提示額が約1.6倍に |
9級10号 | 1924万円 →2823万円 |
40代男性 脳挫傷、硬膜下血腫、外傷性くも膜下出血など 弁護士の交渉で当初の提示額が約1.5倍に |
9級16号 | 781万円 →1700万円 |
10代男性 急性硬膜下血腫、頭蓋骨陥没骨折 弁護士の交渉で当初の提示額が約2倍に |
1級1号 | 1193万円 →3500万円 |
20代女性 脳挫傷・くも膜下出血・頭蓋骨骨折 弁護士の交渉で当初の提示額が約3倍に |
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(第二東京弁護士会) 第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。
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岡野武志弁護士