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高次脳機能障害の後遺障害等級は1級~14級まで?等級別の示談金は?

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「高次脳機能障害」は、気づきにくい後遺障害です。

交通事故の後遺障害は等級認定されれば、示談金が増額される可能性が高まります。

最近、物忘れが増えた、イライラすることが多くなった等の症状がある場合、高次脳機能障害を発症しているかもしれません。

  • 「高次脳機能障害」とは?(症状・診断基準)
  • 「後遺障害等級認定」とは?(1~14級の各特徴)
  • 慰謝料の相場金額は?(等級ごと)
  • 弁護士に相談するメリットは?

今回は、このような高次脳機能障害の後遺障害等級に関する疑問を解消していきましょう。

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1

高次脳機能障害とは?後遺障害等級認定の対象?

Q1

高次脳機能障害とは?定義は?

高次脳機能障害とは、脳の高次脳機能に発生した障害のことです。

医学的には明確な定義はないといわれています。

交通事故実務では・・・

交通事故により脳損傷を受けた者が、認知障害・行動障害・人格変化などの症状によって、日常生活・社会生活の適応能力が低下または喪失するような後遺障害のこと

をいいます。

高次脳機能障害は、一見して分かる障害ではないため、ご自身でも気づかれない方もおられるようです。

交通事故で頭部を強く打ったときは、総合病院脳外科脳のMRI検査を受けておきましょう。

Q2

高次脳機能障害になる原因は?

高次脳機能障害の主な原因は、「びまん性脳損傷」といわれています。

このほか、「局在性損傷」も原因になる可能性があります。

びまん性軸索損傷(びまんせいじくさくそんしょう)とは?

「びまん性軸索損傷(びまんせいじくさくそんしょう)」とは、脳全体に激しい振動が加わり、ひろく脳の繊維組織が損傷するものです。

脳への回転性の衝撃(ねじれを引き起こすような衝撃)が加わることで生じるといわれています。

びまん性軸索損傷によって6時間以上の意識喪失などがひきおこされ、その後、意識が回復したとしても、高次脳機能障害がのこってしまう可能性があります。

脳の各種機能が一部停止してしまうことで、高次脳機能障害が引き起こされてしまうのです。

局在性損傷とは?

「局在性損傷」とは、びまん性脳損傷と異なり、脳全体ではなく、特定部位に限定して生じる症状です。

具体的には、脳挫傷やくも膜下出血などが局在性損傷にあたります。

脳挫傷とは、脳組織の挫滅により出血、組織が壊死するものです。

くも膜下出血とは、脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)という脳の血管のふくらみが突然破裂するものです。

出血することで、脳の圧が高くなり意識障害を引き起こす危険性があります。

Q3

こんな症状があるときは注意?

高次脳機能障害の特徴的な症状としては、認知障害・行動障害・人格変化が挙げられます。

具体的な症状は、次のとおりです。

認知障害①記憶障害

物の置き場所を忘れる。

新しい出来事を覚えていられない。

何度も同じことをくり返し質問する。

認知障害②注意障害

ぼんやりしている。

何かをするとミスばかりする。

複数のことを同時にしようとして混乱する。

物事に集中できず、すぐに飽きる。

認知障害③遂行機能障害

自分で計画を立ててものごとを実行することができない。

人に指示してもらわないと何もできない。

行き当たりばったりの行動をする。

認知障害④病識欠落

自分が障害をもっていることを認識できない。

障害がないように振舞う。

性格が変わる?人格変化も高次脳機能障害の症状?

交通事故に遭ってから、性格が変わることもあります。

このような変化を専門的には、人格変化と呼びます。

人格変化による社会的行動障害については、次のとおりです。

依存性・退行
すぐ他人に頼る。
子どもっぽくなる。
欲求コントロール低下
我慢できず、無制限に食べる。
我慢できず、無制限にお金を遣う。
感情コントロール低下
感情の起伏が激しくなる。
突然感情を爆発させる。
対人技能拙劣
コミュニケーションに支障が出る。
相手の立場や気持ちを思いやることができず、よい人間関係を作ることができない。
固執性
一つのことにこだわって、容易に変えられない。
意欲や発動性の低下
以前と比べてやる気がわかない。
すぐ眠ってしまう。
Q4

診断基準は?検査方法は?

診断の基本的要素は?

高次脳機能障害では、次の要素が判断の基本になります。

① 事故により頭部に外傷が生じたこと

受傷後の意識障害が存在すること

③ 交通外傷による脳の受傷を裏付ける画像上の所見があること

④ 認知障害及び行動障害、人格変性などの症状が生じていること

これらの要素を総合的に加味して、高次脳機能障害が生じているかどうか診断されます。

意識障害の評価方法(JCS・GCS)

高次機能障害が残るのは、多くの場合、意識障害を伴うような頭部外傷を負うケースだといわれています。

そのため、意識障害の有無が高次脳機能障害の基本的判断要素とされているのです。

意識障害の評価方法には、JCS(Japan Coma Scale)または、GCS(Glasgow Coma Scale)が用いられます。

意識障害の有無と程度で、高次脳機能障害が生じている可能性が検討されます。

重度の場合
意識障害の程度
頭部外傷後の意識障害
(半昏睡~昏睡で開眼・応答しない状態:JCSが32桁、GCSが12点以下)
意識障害の継続期間
少なくとも6時間以上継続
高次脳機能障害が残る可能性
永続的な高次脳機能障害が残ることが多い
軽度の場合
意識障害の程度
健忘症あるいは軽度意識障害
(JCSが1桁、GCSが13点~14点)
意識障害の継続期間
少なくとも1週間以上継続
高次脳機能障害が残る可能性
高次脳機能障害を残すことがある

JCS・GCSの基準については、こちらをご覧ください。

画像所見(CT画像・MRI画像)が重要

脳に損傷があることを認定するための資料として、

CT画像

MRI画像

などの画像所見が重要とされています。

脳挫傷やクモ膜下出血などの局在性損傷の場合、画像所見は一目瞭然です。

これに対して、びまん性脳損傷の場合、明確な画像所見が確認し難い傾向にあります。

精神症状は「事情聴取」「心理学検査」で診断

精神症状については・・・

日常生活を共にしている家族などに事故前後の性格について聞き取り調査をする

認知障害があるかどうか神経心理学的検査(WAIS-Ⅲ・WMS-R・三宅式記銘力検査)をする

などの方法で、診断していきます。

Q5

後遺障害認定を申請したい!流れは?

等級は誰が決める?

後遺障害等級認定は、損害保険料率算出機構によっておこなわれます。

「後遺障害診断書」など必要書類をそろえて、認定の申請をします。

認定の申請ルートは、2通りです。

加害者側の任意保険会社が申請手続きをおこなう「事前認定」

被害者みずから申請手続きをおこなう「被害者請求」

2つのルートがあります。

①事前認定とは?

事前認定の流れは、次のとおりです。

②被害者請求とは?

被害者請求の流れは、次のとおりです。

被害者請求は、交通事故の被害者みずから申請手続きに及ばなければなりません。

「必要書類の準備の手配や、申請手続きがむずかしいのでは?」と不安かもしれません。

ですが、事前認定では、資料一式の提出を機械的に保険会社にまかせることになります。

これに対して、被害者請求だと、認定の補強となるような資料を多く添付できるので、おすすめです。

後遺障害等級認定の流れは?

後遺障害等級認定の流れについて詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

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2

高次脳機能障害の後遺障害等級は?(一覧早見表)

Q1

高次脳機能障害は◯級◯号?

高次脳機能障害が後遺障害等級認定される場合、次のような等級に該当する可能性があります。

1級1号(要介護)

2級1号(要介護)

3級3号

5級2号

7級4号

9級10号

12級12号

14級9号

それぞれの認定基準は、次のとおりです。

Q2

要介護1級1号・要介護2級1号

1級は、食事・入浴・用便・更衣等に常に介護を要する状態です。

2級は、随時介護が必要な状態です。著しい判断力の低下や情動の不安定などにより、1人で外出することができず、日常生活の範囲が自宅内に限定されます。

自動車損害賠償保障法施行令2条の別表第一「介護を要する後遺障害」
11 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
21 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
Q3

3級・5級・7級・9級

3級は、記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力等に著しい障害があって、一般就労がまったくできないか、困難な状態です。

ただ、2級までと異なり、日常の生活範囲は自宅に限定されていません。

5級は、単純な繰り返し作業などに限定すれば、就労可能な状態です。

ただし、新しい作業を学習できない、環境の変化に順応できないなどの問題があります。

就労には、職場の理解と援助が欠かせない状態です。

自動車損害賠償保障法施行令2条の別表第二「後遺障害」
33 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
52 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

7級は、一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同様の作業をおこなうことができない状態です。

9級は、一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業維持力などに問題がある状態です。

74 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
910 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
Q4

12級12号・14級9号

上記の認定には及ばないけれども、脳損傷について医学的にみて合理的に推測できる場合は、12級、14級に該当する可能性があります。

1212 局部にがん固な神経症状を残すもの
149 局部に神経症状を残すもの

頭のケガに関する後遺障害等級認定について、詳しく知りたい方は、以下のリンクもご覧ください。

3

高次脳機能障害の後遺障害は等級しだいで、金額が増額?

Q1

【等級別】 慰謝料の金額は?

等級が決定したら示談交渉

高次脳機能障害について、後遺障害認定を申請して、等級が認定された旨の通知が保険会社からきたら、いよいよ示談交渉開始です。

交通事故の示談は、おもに加害者側の保険会社の担当者と進めていくことになります。

保険会社から提示された金額をたたき台として、最終的な示談金の金額を決定します。

等級別の慰謝料は?2,800万円~110万円

通常の場合、保険会社から提示される示談金の金額は、自賠責保険で支払われる金額と同程度か、それよりも少し高額といったものです。

しかし、裁判例の数値を参考にした裁判基準(弁護士基準)というものも存在しています。

比べて見れば、その金額の差は歴然です。

慰謝料の目安|弁護士基準と自賠責基準・差額
等級 裁判基準・
弁護士基準
自賠責
(差額)
1
(別表第1
2,800 1,600
1200
1
(別表第2
1,100
1,700
2
(別表第1
2,370 1,163
1,203
2
(別表第2
958
1,412
3 1,990 829
1,161
5 1,400 599
801
7 1,000 409
591
9 690 245
445
12 290 93
197
14 110 32
78

※慰謝料の単位は万円

ご自身の慰謝料金額が適正なものかどうかご不安がある方は、お気軽に弁護士までご相談ください。

こちらの慰謝料計算機をお使いいただければ、簡単に相場を確認していただけます。

慰謝料算定3つの基準(裁判基準・自賠責基準・任意保険基準)

後遺障害慰謝料については、認定された等級によって相場が異なります。

認定される等級が上がれば上がるほど、慰謝料の金額も高額になります。

慰謝料の算定基準は、次の3種類です。

実際の裁判例で認められた慰謝料金額を参考に算出された「裁判基準(弁護士基準)」

自動車損害賠償保障法の「自賠責基準」

任保険会社独自の支払基準

この3つです。

それぞれの基準の特徴を表にまとめました。

裁判基準(弁護士基準)・自賠責基準・任意保険基準の比較
裁判基準
弁護士基準
自賠責基準 任意保険基準
金額 高額 低額 中くらい
内容 弁護士の交渉 最低限度 保険会社のルール
被害者側 有利 不利 不利

3つの基準について詳しく知りたい方は、以下のリンクも参考にしてみてください。

Q2

裁判では?実際の慰謝料(1~5級)

実際の裁判例から、高次脳機能障害の後遺障害慰謝料をレポートします。

後遺障害慰謝料のほか、通常の慰謝料(交通事故に遭った苦痛に関する賠償金)についても、わかる範囲で整理しています。

1級の事例(3,600万円)

「高次脳機能障害・右不全片麻痺・左眼光覚なし等」により、1級1号に該当する大学生(男・固定時23歳)の事例では、後遺障害慰謝料が3,600万円となっています。

高次脳機能障害・右不全片麻痺・左眼光覚なし等(別表第111号)
大学生(男・固定時23歳)
傷害慰謝料
480万円
後遺障害慰謝料
本人:3000万円
父: 300万円
母: 300万円

日弁連交通事故相談センター東京支部「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」上巻(基準編)178頁。
紹介されている裁判例(東京地判平22・11・24交民43・6・1467)を抜粋・編集した。

2級の事例(2,800万円)

「高次脳機能障害」により2級3号に該当する専門学校生・アルバイト(男・固定時20歳)の事例では、後遺障害慰謝料が2,800万円になっています。

高次脳機能障害(23号)
専門学校生・アルバイト(男・固定時20歳)
傷害慰謝料
300万円
後遺障害慰謝料
本人:2600万円
母: 200万円

日弁連交通事故相談センター東京支部「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」上巻(基準編)180頁。
紹介されている裁判例(大阪地判平19・6・20自保ジ1705・7)を抜粋・編集した。

3級の事例(2,200万円)

「高次脳機能障害」などにより併合3級とされた主婦(固定時32歳)の事案では、次のとおりです。

高次脳機能障害(併合3級)
主婦(固定時32歳)
2,200万円

日弁連交通事故相談センター東京支部「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」上巻(基準編)181頁。
紹介されている裁判例(東京地判平18・3・29交民39・2・472)を抜粋・編集した。

5級の事例(1,750万円)

高次脳機能障害により、5級とされた中学生(女・固定時13歳)の事案では、次のとおりです。

高次脳機能障害(5級)
中学生(女・固定時13歳)
小学校34年程度への知能低下
傷害慰謝料
330万円
後遺障害慰謝料
1,750万円

日弁連交通事故相談センター東京支部「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」上巻(基準編)182頁。
紹介されている裁判例(大阪地判平7・7・14自保ジ1160・2)を抜粋・編集した。

5級の事例(1,500万円)

高次脳機能障害により、5級とされた会社員(男・固定時56歳)の事案では、次のとおりです。

高次脳機能障害(52号)
会社員(男・固定時56歳)
顕著な認知障害、人格変化が生じ、随時の付き添い、看視、声かけが必要になった。
後遺障害慰謝料
1,500万円

日弁連交通事故相談センター東京支部「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」上巻(基準編)182頁。
紹介されている裁判例(名古屋地判平19・17・7交民40・6・1578)を抜粋・編集した。

5級の事例(1,600万円)

「高次脳機能障害」により5級とされたプログラマー自営(男・固定時32歳)の事案では、次のとおりです。

高次脳機能障害(52号)
プログラマー自営(男・固定時32歳)
プログラマーとして稼働することが不可能になった
傷害慰謝料
150万円
後遺障害慰謝料
1,600万円

日弁連交通事故相談センター東京支部「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」上巻(基準編)182頁。
紹介されている裁判例(名古屋地判平19・17・7交民40・6・1578)を抜粋・編集した。

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