作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)

高次脳機能障害後遺障害

高次脳機能障害の後遺障害等級|認定のシステムとは?示談金の金額相場も解説

高次脳機能障害の後遺障害とは?

高次脳機能障害って後遺障害の何級になるの?

高次脳機能障害の後遺障害についてお悩みの方からはよく以下のような疑問や質問が寄せられます。

  • ・高次脳機能障害の後遺障害の認定システムとは?
  • ・高次脳機能障害の後遺障害の等級ごとの認定基準とは?
  • ・高次脳機能障害の示談金金額の相場とは?

ご覧の記事では交通事故にくわしい弁護士が高次脳機能障害の後遺障害について徹底解説していきます。

「後遺障害の等級についていち早く知りたい!」

という方はコチラの「高次脳機能障害の等級認定の基準|3、5、7、9級認定の基準とは?」からご覧ください。

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高次脳機能障害の後遺障害|認定の基準と流れ

高次脳機能障害は、脳の機能の中でもより知的な機能についての障害です
記憶や判断、思考や感情のコントロールなどに障害が生じます。

事故で頭を打ってから

頭部を強く打つなどして外傷を負った際に生じやすい病態です。

まずは高次脳機能障害の、

後遺障害の認定の流れ

認定の基準

を解説していきます。

高次脳機能障害の認定システム|診断書は必要?完治なら認定されない?

後遺障害等級認定の手続きは症状固定後に行います。
症状固定とは、「これ以上治療しても回復が見込めなくなった」という状態を指します。

症状固定のタイミング

この症状固定後に残存した後遺症について、後遺障害の何級にあたるのか検討されるというわけです。

後遺障害認定の流れ

後遺障害の等級を判断するのは、「損害保険料率算出機構」という第三者機関です。
こちらの機関に後遺障害の認定を申請するわけですが、その際には主治医に「後遺障害診断書」を作成してもらう必要があります。

後遺障害診断書

どのような内容の後遺症が残存したのか、医師の所見が記された診断書。

後遺障害診断書は、後遺症の残存の度合いについて証明する一番有力な証拠となります

後遺障害診断書の入手後、実際に損害保険料率算出機構に後遺障害認定の申請をすることになります。
申請の方法は2つに分けられます。

事前認定

ひとつ目は事前認定と呼ばれる方法です。
これは、相手方の任意保険会社に手続きをすべて代行してもらうという方法です。

事前認定の流れ
被害者請求

2つ目の方法は被害者請求と呼ばれるものです。
これは、必要書類の準備などをすべて被害者側が行うという方法です。

被害者請求の流れ

事前認定と被害者請求、どちらがいいのか

事前認定は、

後遺障害診断書の作成を済ませて相手方保険会社に提出すれば後は待つだけ

という手軽さが最大のメリットです。

他方、後遺障害診断書を提出した後はすべて相手方保険会社任せとなってしまいます。
後遺障害の認定がなされやすいように特別な努力、工夫などをしてくれることは普通ありません。

事前認定のメリット、デメリット
メリット ・手間がかからない
デメリット ・認定に向けた特別な努力、工夫ができない
・申請過程を把握できない
・認定の結果がわかるのが遅い
など

被害者請求では、より認定されやすいような努力や工夫を自らの手で行うことができます。

例えば、

治療の過程を示す診断画像などを添付する

事故の状況を示す事故発生状況報告書を添付する

といった工夫は、後遺障害等級認定の可能性を引き上げます。

被害者請求のメリット、デメリット
メリット ・自分に有利な医証などを提出できる
・自分に不利な事情を補う文書を提出できる
・認定の結果がはやくわかる
など
デメリット ・手間がかかる

なお、手間がかかるというデメリットについてですが、これは弁護士に依頼して手続きを代行してもらうことで解消できます。
今まさに後遺障害の申請についてお悩みの方は、弁護士に一度相談してみるのがおすすめです。

では具体的に

高次脳機能障害のどのような症状が何級に認定され得るのか

を解説していきましょう。

高次脳機能障害の症状は、

神経認知障害

社会行動障害情動障害

に大別できます。

主な高次脳機能障害
神経認知障害 ・記憶力や判断力、注意力の低下
・物事を計画を立てて達成する能力の低下
・自己洞察性(病識)の低下
など
社会行動障害
情動障害
・攻撃性、易怒性、幼稚性の高まり
・意欲低下
・病的嫉妬
など

これら後遺症の程度によって、どの等級が認定されるのかが決定されます。

介護や看護が必要な高次脳機能障害

介護や看護が必要な様態の高次脳機能障害では、以下の等級に認定され得ます。

高次脳機能障害の後遺障害(介護の必要:有)
障害の内容 慰謝料*1 労働能力喪失率*2
11 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの 2800万円 100
21 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの 2370万円 100

*1あくまで原則的な弁護士基準での慰謝料の相場
*2あくまで原則的な相場

介護の必要がある後遺症については、

常に介護が必要なのか

随時介護が必要なのか

によって認定の基準が異なります。

「常に介護が必要」の意味

「常に介護が必要」と認められるのは、以下のいずれかに該当する高次脳機能障害です。

食事、入浴、用便、更衣などに常時介護を要する。

高次脳機能障害による高度の痴ほうや情意の荒廃があるため、常時監視を要する。

「随時介護が必要」の意味

「常時介護が必要」と認められるのは、以下のいずれかに該当する高次脳機能障害です。

食事、入浴、用便、更衣などに随時介護を要する。

痴ほう、情意の障害、幻覚、妄想、頻発する意識障害などのため随時他人による監視を必要とする。

自宅内の日常生活動作は一応できるが、1人で外出することなどは困難であり、外出の際には他人の介護を必要とする。

介護の必要まではない高次脳機能障害

介護の必要性がないという様態では、

どの程度の労務に服すことができるのか

によって等級が決められます。

高次脳機能障害の後遺障害(介護の必要:無)
障害の内容 慰謝料*1 労働能力喪失率*2
33 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの 1990万円 100
52 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの 1400万円 79
74 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの 1000万円 56
910 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 690万円 35

*1あくまで原則的な弁護士基準での慰謝料の相場
*2あくまで原則的な相場

労務に服せるかどうか見るにあたっては、以下の4つの能力について検討されます。

検討される4つの能力

意思疎通能力
「職場で他の人と意思疎通を図ることができるか」

問題解決能力
「課題を与えられた際、手順通りに仕事を進めることができるか」

作業負荷に対する持続力・持久力
「作業に取り組んだ際、その作業へ集中を持続することができるか」

社会行動能力
「大した理由もなく突然感情を爆発させる、などといったことがないか」

等級ごとに、これら能力の喪失の度合いによって等級が決まります。

等級の認定基準
33
終身労務に服することができないもの
4つの能力のうち、1つを完全に喪失した
or
4つの能力のうち、2つ以上の能力の大部分が失われた
52
特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
4つの能力のうち、1つ以上の能力の大部分が失われた
or
4つの能力のうち、2つ以上の能力の半分程度が失われた
74
軽易な労務以外の労務に服することができないもの
4つの能力のうち、1つ以上の能力の半分程度が失われた
or
4つの能力のうち、2つ以上の能力の相当程度が失われた
910
服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
4つの能力のうち、1つ以上の能力の相当程度が失われた

喪失した

大部分が失われた

半分程度が失われた

相当程度が失われた

という語句ですが、これは問題解決能力を例に以下のように定義されています。

喪失した

課題を与えられても手順通りに仕事を進めることが全くできず、働くことができない

大部分が失われた

1人で手順通りに作業を行うことは著しく困難であり、ひんぱんな指示がなければ対処できない

半分程度が失われた

1人で手順通りに作業を行うことに困難が生じることがあり、時々助言を必要とする

相当程度が失われた

1人で手順通りに作業を行うことに困難が生じることがあり、たまには助言を必要とする

労務に服せる高次脳機能障害

4つの能力について、業務遂行に影響が生じるほど失われなかった場合であっても、以下の等級に該当する可能性は残ります。

高次脳機能障害の後遺障害(労務に服せる)
障害の内容 慰謝料*1 労働能力喪失率*2
1213 局部に頑固な神経症状を残すもの 290万円 14
149 局部に神経症状を残すもの 110万円 5

*1あくまで原則的な弁護士基準での慰謝料の相場
*2あくまで原則的な相場

12級13号と14級9号の差は、CTやMRIなどにより他覚的な所見が認められるか否かによります。

高次脳機能障害以外の後遺症|意識障害の等級は?MTBIとは?

頭部外傷の意識障害とは?

脳挫傷を負ったときには、受傷直後、または受傷後しばらくして意識が喪失してしまうことがあります。
重症例ではその意識喪失状態から遷延性意識障害へと移行してしまう場合もあります。

遷延性意識障害

植物状態、植物人間と俗称される。
昏睡状態から開眼できる状態にまで回復したものの、周囲との意思疎通を喪失したという状態を指す。

遷延性意識障害となったときに認定され得る後遺障害等級は以下の通りです。

遷延性意識障害の後遺障害
障害の内容 慰謝料*1 労働能力喪失率*2
11 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの 2800万円 100

遷延性意識障害になると、自力での移動や食事はできず、糞尿失禁をもきたします

褥瘡床ずれの予防措置

栄養の補給

清潔な状態の維持

といった看護、介護が必要になるのです。

頭部外傷におけるMTBIとは?

MTBIとは軽度外傷性脳損傷の略称です。
ここでいう軽度とは、症状そのものの軽重ではなく受傷時の意識障害の軽重を指します。

具体的には、以下に該当する頭部外傷についてMTBIだと判定されます。

軽度外傷性脳損傷の条件

以下の2つの条件を満たす。

① 混迷や見当識障害、 30分以下の意識消失、24 時間以内の逆行性健忘、一過性の神経学的な異常などを呈した。

② グラスゴーコーマスケール(意識障害の重症度判定表)において、13~15点に該当する。

グラスゴーコーマスケールとは、以下の意識障害の上昇度を測る指標です。

意識障害の指標
観察項目 反応 スコア
開眼 自発的に 4
呼びかけにより 3
痛み刺激により 2
無反応 1
言語反応 ・今日の日付
・ここの場所
・周りの人
が言える
5
会話が混乱している 4
不適切な単語 3
意味不明の発声 2
無反応 1
運動反応 命令に従う 6
痛み刺激に対し手が動く 5
腕などへの痛み刺激に対し脇を広げて逃避する 4
異常屈曲 3
伸展 2
無反応 1

*点数が低いほどより重症。

MTBIにおいても、後遺症が残存することがあります。

具体的には、

頭痛

めまい

嘔気

不眠

動悸

生理不順

性欲減退

発汗異常

などのほか、四肢の麻痺や高次脳機能障害に類する症状などが残存する重篤なケースもあります。

後遺障害の等級

MTBIで認定され得る後遺障害等級は、基本的には以下の通りです。

MTBIの主な後遺障害
障害の内容 慰謝料*1 労働能力喪失率*2
1213 局部に頑固な神経症状を残すもの 290万円 14
149 局部に神経症状を残すもの 110万円 5

*1あくまで原則的な弁護士基準での慰謝料の相場
*2あくまで原則的な相場

すでに触れましたが、12級13号と14級9号の差はMRIなどにより他覚的な所見が認められるか否かによります。
MTBIでは画像所見が得られないケースというのも少なくありません。

ただ、症状がより重篤である場合には、より上位の等級が認定される可能性もあります

一例として、

受傷時の意識障害は軽度

視野視力の障害、右不完全麻痺、高次脳機能障害が残存

MRIなどによる画像所見は認められない

という態様で、後遺障害の7級が認定された事例があります。

1審原告に本件事故後の意識障害が確認できず、頭部CTやMRI等の画像診断で有意な所見を見いだすことができないとしても、それらを絶対視して高次脳機能障害の存在を否定することは相当でなく
(中略)
7級に該当すると認めるのが相当である

引用元:大阪高等裁判所 平成28年3月24日判決 事件番号『平成26年(ネ)第3244号』

意識障害が軽度であった頭部外傷後遺症は、後遺障害の等級などについて争いになるケースが少なくありません。
弁護士に相談のうえ、適切な対策を講じるのがおすすめとなります。

2

高次脳機能障害の後遺障害|示談金の相場とは?

交通事故の高次脳機能障害の示談金相場はいくらなのか?

ここからは

示談金相場の計算方法

適正な額の示談金が支払われない可能性

について解説します。

高次脳機能障害の示談金相場を計算|示談金計算機

当サイトには手軽に弁護士基準での慰謝料など示談金相場を計算できる

慰謝料計算機

という機能があります。

年収

休業日数

後遺障害等級

などの情報を入力していただければ、手軽に示談金相場を知ることができます。

本名や住所などの入力も不要です。

高次脳機能障害を負ったときの相手方提示の保険金は適正?

上記の示談金計算機では、弁護士基準での示談金相場を計算することができます。
交通事故において、普通相手方の任意保険会社は弁護士基準よりも低額な基準で示談を締結しようとしてきます。

慰謝料金額相場の3基準比較

任意保険会社は営利組織であるため、被害者に支払う金額についてなるべく少なくしようとしてくるわけです。
しかも事故当事者からの増額交渉に対し、任意保険会社がそれに応じる可能性というのは著しく低いです

実務上、増額交渉にあたっては弁護士に依頼するのがマストとなります。

3

高次脳機能障害の後遺障害のお悩みは弁護士に相談

自身や家族の高次脳機能障害が後遺障害の何級になるのか知りたい!

被害者請求によって後遺障害の申請をしたい!

相手方の提示してきた示談金に納得できない!

そのような方は、一度弁護士に相談してみるのがおすすめです。

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弁護士プロフィール

岡野武志弁護士

(第二東京弁護士会)

全国10事務所体制で交通事故被害者の救済に取り組んでいる当事務所の代表弁護士。2008年の創業依頼、幅広い間口で電話・LINE・メール相談などに無料で対応し、2019年現在は交通事故被害者の救済を中心に精力的に活動している。フットワークの軽い行動力とタフな精神力が強み。