作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)

脳挫傷後遺障害

交通事故による脳挫傷の後遺障害等級|高次脳機能障害は何級?12級認定の基準とは?

脳挫傷の後遺障害等級とは?

「交通事故による脳挫傷の後遺症は後遺障害の何級に認定されるの?」

脳挫傷の後遺障害について疑問やお悩みをお持ちの方からは、よく以下のような質問が寄せられます。

  • 脳挫傷は手術となる?高次脳機能障害とは?
  • 脳挫傷における後遺症の後遺障害等級の認定基準とは?
  • 脳挫傷の慰謝料の適正な金額とは?

ご覧の記事では交通事故による脳挫傷の後遺障害について弁護士が徹底解説していきます。

「脳挫傷の後遺症が後遺障害の何級になるのかいち早く知りたい!」

そのような方は「脳挫傷の後遺障害|等級認定の基準」からご覧ください。

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交通事故による脳挫傷|治療や手術の内容、部位別の症状

脳挫傷とは、頭部に大きな衝撃をうけたことを原因に、

  • 脳の挫滅
  • それに伴う出血
  • 浮腫(むくみ)

といった症状を呈している状態を指します。

交通事故による脳挫傷の治療|手術の内容とは?

脳挫傷は、その態様により生命に危険が及ぶ緊急性の高いケースもあります。
治療の順序として、なによりもまずは呼吸や循環の管理・維持が優先して行われます。

生命維持に支障がないという様態になった後、頭部のCT検査などが行われ手術すべきかどうかが判断されます。

脳挫傷の治療|保存療法

基本的には非手術療法が選択されます。
薬物の投与を行いつつ、呼吸や循環を維持した状態で絶対安静を保ち、回復を待ちます。

脳挫傷の治療|手術療法

薬物の投与など保存的な加療で頭蓋内圧の亢進が管理できない場合などでは、手術の適応となります。

頭蓋内圧亢進

脳挫傷など頭蓋骨の内部が外傷を負ったときに生じ得る。
脳自体が腫れたり出血や血腫が生じるなどして、頭蓋骨内部の圧力が高まっていく病態。
この状態が継続されると、脳の壊死の範囲が広がるなど二次的な脳損傷をきたす。

手術の内容は、

  • 頭蓋骨を取り外して除圧する
  • 血腫を取り除く
  • 壊死した脳の一部を取り除いて除圧する

といったものになります。

交通事故による脳挫傷の後遺症|高次脳機能障害、性格変容とは?

高次脳機能障害とは

高次脳機能障害は脳挫傷の後遺症の中でも代表的なもののひとつです。
脳の機能の中でもより知的な機能についての障害のことを指します。

具体的には、

  • 神経認知障害
  • 社会行動障害、情動障害

に大別できます。

神経認知障害

記憶力、判断力、注意力の低下や、計画を立てて物事を達成する能力の低下を指します。

社会行動障害、情動障害
  • 意欲が低下し自発的な行動が乏しくなる
  • 攻撃性が高まる
  • すぐに怒るようになる、感情のコントロールがきかなくなる
  • 幼稚性が高まる、人に依存する

など、社会性の面や感情の面における障害を指します。

高次脳機能障害以外の障害

高次脳機能障害以外にも、脳挫傷には様々な後遺症が生じ得ます。

脳挫傷の後遺症の一例
主な症状
外傷性てんかん・けいれん
・意識消失
・強直
などのてんかん発作
神経症状・麻痺
・起立、歩行障害
・構音障害(発声できなくなる、しにくくなる)
など
意識障害・昏睡
・周囲との意思疎通の喪失
など

交通事故による脳挫傷の部位別の症状|左脳と右脳の差とは?

脳は思考や表現、行動を表出するにあたって、各分野を連携させて働かせます。
ただ連携にあたり、各部位が特異に担っている機能もあります。

一例

脳の左半球は普通言語に関して優位であり、右半球は普通空間的注意に優位である。
右側頭葉に損傷を負った患者は、一般的には音楽など非言語的な感覚を解釈できなくなる。
左側頭葉に損傷を負った患者は、一般的には言語の認識や記憶などについて機能が損なわれる。

ただこれはあくまで一般論であり、脳の損傷部位と発現する症状が一致しないケースも数多くあります。
脳のどの部分にどの程度、どのような機能があてがわれているのかには個人差があるのです。

「脳のこの部分を損傷したらこのような症状を呈する」

などとは断言できないわけです。

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交通事故による脳挫傷|後遺障害の等級認定の基準

代表的な脳挫傷の後遺症について、それぞれ後遺障害の何級に該当し得るかについて解説していきます。

交通事故による脳挫傷の後遺障害等級認定基準

高次脳機能障害

将来にわたって介護が必要になったという態様の高次脳機能障害については以下の2つの後遺障害等級が該当し得ます。

高次脳機能障害の後遺障害(介護の必要:有)
障害の内容慰謝料*1労働能力喪失率*2
1級1号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの2800万円100%
2級1号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの2370万円100%

*1あくまで原則的な弁護士基準での慰謝料の相場
*2あくまで原則的な相場

介護の必要がある後遺症については、

  • 常に介護が必要なのか
  • 随時介護が必要なのか

によって認定の基準が異なります。

「常に介護が必要」の意味

「常に介護が必要」と認められるのは、以下のいずれかに該当する高次脳機能障害です。

  • 食事、入浴、用便、更衣などに常時介護を要する。
  • 高次脳機能障害による高度の痴ほうや情意の荒廃があるため、常時監視を要する。
「随時介護が必要」の意味

「常時介護が必要」と認められるのは、以下のいずれかに該当する高次脳機能障害です。

  • 食事、入浴、用便、更衣などに随時介護を要する。
  • 痴ほう、情意の障害、幻覚、妄想、頻発する意識障害などのため随時他人による監視を必要とする。
  • 自宅内の日常生活動作は一応できるが、1人で外出することなどは困難であり、外出の際には他人の介護を必要とする。

続いて、介護の必要性まではないという高次脳機能障害のときに認められ得る後遺障害等級を紹介します。

高次脳機能障害の後遺障害(介護の必要:無)
障害の内容慰謝料*1労働能力喪失率*2
3級3号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの1990万円100%
5級2号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの1400万円79%
7級4号神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの1000万円56%
9級10号神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの690万円35%

*1あくまで原則的な弁護士基準での慰謝料の相場
*2あくまで原則的な相場

基本的には、

どの程度の労務に服すことができるのか

によって等級が決められます。

等級の細かい定義については、以下の4つの能力が参考にされます。

検討される4つの能力
  1. ① 意思疎通能力
    「職場で他の人と意思疎通を図ることができるか」
  2. ② 問題解決能力
    「課題を与えられた際、手順通りに仕事を進めることができるか」
  3. ③ 作業負荷に対する持続力・持久力
    「作業に取り組んだ際、その作業へ集中を持続することができるか」
  4. ④ 社会行動能力
    「大した理由もなく突然感情を爆発させる、などといったことがないか」

これら4つの能力がそれぞれどの程度失われたかによって等級が決定されます。

等級の認定基準
3級3号
終身労務に服することができないもの
4つの能力のうち、1つを完全に喪失した
or
4つの能力のうち、2つ以上の能力の大部分が失われた
5級2号
特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
4つの能力のうち、1つ以上の能力の大部分が失われた
or
4つの能力のうち、2つ以上の能力の半分程度が失われた
7級4号
軽易な労務以外の労務に服することができないもの
4つの能力のうち、1つ以上の能力の半分程度が失われた
or
4つの能力のうち、2つ以上の能力の相当程度が失われた
9級10号
服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
4つの能力のうち、1つ以上の能力の相当程度が失われた
  • 喪失した
  • 大部分が失われた
  • 半分程度が失われた
  • 相当程度が失われた

という語句ですが、これは問題解決能力を例に以下のように定義されています。

喪失した
課題を与えられても手順通りに仕事を進めることが全くできず、働くことができない

大部分が失われた
1人で手順通りに作業を行うことは著しく困難であり、ひんぱんな指示がなければ対処できない

半分程度が失われた
1人で手順通りに作業を行うことに困難が生じることがあり、時々助言を必要とする

相当程度が失われた
1人で手順通りに作業を行うことに困難が生じることがあり、たまには助言を必要とする

また、4つの能力について労務に影響するほど失われなかった場合でも、以下の後遺障害の等級に認定される可能性はあります。

高次脳機能障害の後遺障害(労務に服せる)
障害の内容慰謝料*1労働能力喪失率*2
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの290万円14%
14級9号局部に神経症状を残すもの110万円5%

*1あくまで原則的な弁護士基準での慰謝料の相場
*2あくまで原則的な相場

12級13号と14級9号の差は、MRIなどにより他覚的な所見が認められるか否かによります。

外傷性てんかん

脳挫傷においては、外傷性てんかんという後遺症が残存する場合もあります。
この外傷性てんかんの後遺障害の等級について紹介します。

まず1か月に2回以上てんかんの発作が生じるものについては、普通は相当高度な高次脳機能障害を負っています。
なので、高次脳機能障害の第3級以上の認定基準により障害等級を認定することとなっています。
その他の外傷性てんかんについては以下の等級に該当し得ます。

外傷性てんかんの後遺障害
障害の内容慰謝料*1労働能力喪失率*2
5級2号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの1400万円79%
7級4号神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの1000万円56%
9級10号神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの690万円35%
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの290万円14%

*1あくまで原則的な弁護士基準での慰謝料の相場
*2あくまで原則的な相場

こちらも労務に服せるかどうかが認定の基準となっています。

より細かな認定基準として、「転倒する発作等」があるかどうかが参考とされます。

転倒する発作等

以下のいずれかの態様に該当する発作を指す。

  • 意識障害の有無を問わず転倒する発作
  • 意識障害を呈し状況にそぐわない行為を示す発作

これら転倒する発作等の有無と、発作の頻度によって等級が認定されます。

等級の認定基準
5級2号
特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
1か月に1回以上、転倒する発作等が生じる
7級4号
軽易な労務以外の労務に服することができないもの
数か月に1回以上、転倒する発作等が生じる
or
1か月に1回以上、転倒する発作等以外の発作が生じる
9級10号
服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
数か月に1回以上、転倒する発作等以外の発作が生じる
or
服薬継続によりてんかん発作がほぼ完全に抑制されている
12級13号
局部に頑固な神経症状を残すもの
発作の発現はないが、脳波上に明らかにてんかん性棘波(てんかん特有の脳波)を認める

四肢麻痺

脳挫傷では身体の麻痺が後遺症として残存するケースもあります。

後遺障害の四肢麻痺においては、

  • 麻痺の範囲
  • 麻痺の程度

のそれぞれの指標が重要となります。

麻痺の範囲の定義
定義
四肢麻痺両側の四肢の麻痺
片麻痺右側または左側の上下肢の麻痺
単麻痺上肢か下肢の一肢のみの麻痺

*脳の損傷による麻痺については通常対麻痺が生じることはない。

麻痺の程度は、

  • 高度
  • 中程度
  • 軽度

に分けられます。

高度な麻痺

麻痺を負った上肢や下肢について、基本動作ができないものを指します。

具体的には以下の5つのいずれかに該当する態様の麻痺です。

  1. ① 完全強直(関節が全く動かない状態)か、完全強直に近い状態のもの
  2. ② 上肢において、肩、肘、手首、手指のいずれの関節も自分から可動させることができないもの、またはこれに近い状態にあるもの
  3. ③ 下肢において、股関節、膝、足首のいずれも自分から可動させることができないもの、またはこれに近い状態にあるもの
  4. ④ 障害を残した一上肢では物を持ち上げて移動させることができないもの
  5. ⑤ 一下肢の支持性、随意的な運動性をほとんど失ったもの(立位や歩行ができない)
中程度の麻痺

麻痺を負った上肢や下肢について、基本動作にかなりの制限があるものを指します。
具体的には以下の4つのいずれかに該当する態様の麻痺です。

  1. ① 上肢において、障害を残した一上肢では仕事に必要な軽量の物(概ね500g)を持ち上げることができないもの
  2. ② 上司において、障害を残した一上肢では文字を書くことができないもの
  3. ③ 下肢において、障害を残した一下肢を有するため杖や硬性装具なしには階段を上ることができないもの
  4. ④ 下肢において、障害を残した両下肢を有するため杖や硬性装具なしには歩行が困難であるもの
軽度の麻痺

麻痺を負った上肢や下肢の、基本動作を行う際の器用さや速度が相当程度損なわれているものを指します。
具体的には以下の3つのいずれかに該当する態様の麻痺です。

  1. ① 上肢において、障害を残した一上肢では文字を書くことに困難を伴うもの
  2. ② 下肢において、日常生活はおおむね一人で歩けるが、障害を残した一下肢を有するため不安定で転倒しやすく、速度も遅いもの
  3. ③ 下肢において、障害を残した両下肢を有するため杖や装具なしには階段を上ることができないもの

これら麻痺の範囲や麻痺の程度を鑑み、介護の必要性の有無に応じて後遺障害が決定されます。
介護の必要性があるときに認められ得る後遺障害等級は以下の2つです。

麻痺の後遺障害(介護の必要:有)
障害の内容慰謝料*1労働能力喪失率*2
1級1号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの2800万円100%
2級1号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの2370万円100%

*1あくまで原則的な弁護士基準での慰謝料の相場
*2あくまで原則的な相場

それぞれ、具体的には以下のような麻痺について認められます。

等級の認定基準
1級1号
常に介護を要するもの
・高度の四肢麻痺が認められるもの
・中等度の四肢麻痺であり食事、入浴、用便、更衣などについて常時介護を要するもの
・高度の片麻痺であり食事、入浴、用便、更衣などについて常時介護を要するもの
2級1号
随時介護を要するもの
・高度の片麻痺が認められるもの
・中等度の四肢麻痺であり食事、入浴、用便、更衣などについて随時介護を要するもの

介護の必要までは認められない麻痺については、以下の等級に該当し得ます。

麻痺の後遺障害(介護の必要:無)
障害の内容慰謝料*1労働能力喪失率*2
3級3号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの1990万円100%
5級2号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの1400万円79%
7級4号神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの1000万円56%
9級10号神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの690万円35%
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの290万円14%

*1あくまで原則的な弁護士基準での慰謝料の相場
*2あくまで原則的な相場

それぞれ、具体的には以下のような麻痺について認められます。

等級の認定基準
3級3号
終身労務に服することができないもの
・中等度の四肢麻痺が認められるもの
5級2号
特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
・軽度の四肢麻痺が認められるもの
・中等度の片麻痺が認められるもの
・高度の単麻痺が認められるもの
7級4号
軽易な労務以外の労務に服することができないもの
・軽度の片麻痺が認められるもの
・中等度の単麻痺が認められるもの
9級10号
服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
・軽度の単麻痺が認められるもの
12級13号
局部に頑固な神経症状を残すもの
・運動性、支持性、器用さ、速度について支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺を残すもの
・運動障害は認められないものの、広範囲にわたる感覚障害が認められるもの

遷延性意識障害

植物状態、植物人間と俗称される「遷延性意識障害」は、脳挫傷においてもよく発生します。
脳挫傷による遷延性意識障害は、以下の等級に該当します。

遷延性意識障害の後遺障害
障害の内容慰謝料*1労働能力喪失率*2
1級1号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの2800万円100%
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弁護士プロフィール

岡野武志弁護士

(第二東京弁護士会)

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『刑事事件』と『交通事故』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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