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作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
膝は、「もも」と「すね」をつなぐ下肢の関節です。
曲げたり伸ばしたりすることで、色々な日常動作が可能です。
交通事故によって膝に痛みが残ってしまうことは大変な不自由です。
膝の痛みにつながる原因を考えながら、適切な慰謝料獲得を目指していきましょう。
目次
奈良県立医科大学付属病院アトム法律事務所顧問医
藤井 宏真医師
膝の痛みには様々な原因があります。まずは「なぜ」膝が痛むのか、原因を探っていきましょう。
交通事故で怪我をしてしまい、膝に痛みが…。
膝には、じん帯・筋肉・関節・骨・半月板などの様々な組織から成り立っています。
そのため、膝の痛みにもいろんな原因があります。
膝の痛みを引き起こす傾向にある怪我には、次のようなものがあります。
これらの怪我を負うことで、
膝の痛みにつながる可能性があります。
交通事故で膝に外傷を受けたら整形外科を受診しましょう。
レントゲン・CT・MRIなどの画像診断で、骨・筋肉・神経などへの損傷有無を確認します。
交通事故直後は無理に歩いたり、動かしたりしてはいけません。
交通事故発生から時間をあけずに、できるだけ早く病院にかかるようにしてください。
検査結果によって変わりますので、医師の指示に従ってください。
大きくは保存療法と手術に分かれます。
以下は大まかな傾向です。
まずは薬や注射によって痛みを和らげます。そして、膝を固定するためにギプスなどの固定装具を用います。
日常生活の動作でも、膝を折り曲げて座る正座姿勢を避けたり、階段の使用を控えたりと注意が必要です。
膝を固定したままの状態が継続すると、膝の動く範囲が狭まってしまいます。時期をみながらリハビリも開始されます。
手術をするかは医師の話をよく聞くようにしましょう。
膝に人工関節を入れたり、じん帯修復術・じん帯再建術など、損傷内容によって様々です。
十分な治療を行っても、これ以上良くも悪くもならないという状態で残存する症状
交通事故の場合、その部位と程度により14段階の後遺障害等級で区分される
膝の痛みは後遺障害に認定されます。
認定される可能性がある後遺障害には以下のようなものがあります。
それぞれがどのような症状であり、等級が何級になるかは次の章で詳しく説明します。
半月板損傷という怪我はスポーツの怪我や、加齢により発生する頻度が高まります。
交通事故など外部から力が加わって起こるものでもあります。
公益社団法人 整形外科学会による半月板損傷の概要を紹介します。
半月は膝関節の大腿骨と脛骨の間にあるC型をした軟骨様の板で内側・外側にそれぞれがあり、クッションとスタビライザーの役割をはたしています。
引用元:https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/meniscal_tear.html
膝関節にかかる衝撃を調整したり、膝そのものを安定させる働きを持ちます。
キャッチング:ひざを伸ばしたとき引っ掛かかるような違和感
ロッキング:ひざが完全に伸びなくなる
膝を曲げたときに強い痛みを感じることもあります。
半月板は、一度切除すると再生はしません。
ですので修復(縫合)やリハビリで対処していくことになります。
後遺障害等級に認定されると、加害者側から支払われる金銭に次の2つが追加されます。
(1)後遺障害慰謝料
(2)逸失利益
後遺障害を負ってしまったという精神的苦痛に対して支払われる損害賠償
後遺障害が残ったことで労働能力が失われ収入が減ることへの補償
基礎収入(年収)×労働能力喪失率×労働能力喪失期間(67歳-症状固定時の年齢)に対応するライプニッツ係数
逸失利益の計算に使う「労働能力喪失率」は、後遺障害等級によって基準は定められています。
しかし、障害の部位や程度、被害者の職業などを考慮して増減することがあります。
逸失利益の計算は少し複雑です。簡単な情報入力ですぐに逸失利益の目安がわかる「計算機」は次のページからご利用いただけます。
注意したいのは、「基礎収入」の設定です。
会社に勤めている人であれば、「源泉徴収票」などで事故前の収入を証明することができます。
しかし、高齢者・子ども・主婦など仕事による金銭収入を得ていない立場の被害者は要注意です。
逸失利益は、基本的には示談時に加害者側から提案を受けることになります。
その際に「基礎収入」を低く見積もられてしまう可能性があります。
示談交渉の相手は、加害者側の保険会社です。専門用語などを用いる交渉は被害者の方にとってはストレスになるだけでなく、不利益も起こるかもしれません。
交渉の専門家である弁護士への相談・依頼をオススメします。
では、実際に膝の痛みで後遺障害等級の申請をして、後遺障害慰謝料を受け取るまでの流れを見てみましょう。
治療を継続しても症状の改善が見込めなくなった状態を症状固定といいます。
後遺障害等級認定を受ける場合は、原則事故から約6ヶ月以上経っている必要があります。
これ以上治療期間が短い場合は、後遺障害としては認められない可能性が高くなります。
症状固定の診断を受けたならば、後遺障害等級認定に向けて後遺障害診断書などの資料を準備します。後遺障害診断書の作成は医師に依頼をし、医師に作成してもらいましょう。
後遺障害の申請には、2種類の方法があります。
(1)事前認定
(2)被害者請求
被害者が後遺障害診断書のみを任意保険会社に提出します。
被害者の手間が少ないというメリットがあります。
一方で、加害者側の任意保険会社がどんな資料で後遺障害認定を申請したか分からないというデメリットがあります。
後遺障害は必ず認定されるものではありません。「非該当」といって後遺障害等級がつかない可能性もあります。
非該当になると、後遺障害慰謝料や逸失利益の対象外となります。
こういう良くない結果を受けとると、実際、どんな認定申請をしたのだろうか?という疑念や不満につながりやすいです。
被害者が経過証明書などその他の資料も用意して自賠責保険に提出します。
被害者請求は手間がかかりますが、後遺障害等級の認定に有利な資料を併せて提出したり、逆に認定に不利な状況があれば補足説明をつけることができます。
特に後遺症を示す医学的なデータ・検査結果は後遺障害認定には必須なので、被害者請求での認定申請を推奨します。
手間の面も、弁護士に依頼すれば解決です。なぜなら資料の収集は弁護士が実施できるからです。
被害者請求 + 弁護士依頼で納得のいく後遺障害認定を目指しましょう。
事前認定と被害者請求
事前認定 | 被害者請求 | |
---|---|---|
請求者 | 相手方保険会社 | 被害者自身 |
メリット | 資料収集の手間がない | 自分で資料を確認できる |
デメリット | 自分で資料を確認できない | 資料収集の手間がかかる |
提出された資料をもとに、損害保険料率算出機構が後遺障害等級の審査を行います。
審査結果をふまえ、自賠責保険会社が等級認定を行います。
面談などはありませんので、会ったこともない人に自分の身体に残る後遺症を書面のみで伝えなくてはいけません。
「膝が痛いです」という記述だけでは、簡単に言うと根拠がありません。
残念ながら算出機構も「被害者の味方」ではないのです。
ですから、第3者にも分かるような医学的な根拠や怪我が就労に与える影響など要所を押さえて申請することが大事です。
資料にも工夫が必要です。
後遺障害認定申請についてさらに詳しく知りたい方は、次の関連記事をお読みください。
後遺障害等級の申請について
交通事故の影響で膝を動かせる範囲が限られてしまうことがあります。
これらは機能障害(可動域制限)として後遺障害に認定されます。
認定される可能性がある後遺障害等級は、後遺障害8級7号、後遺障害10級11号、後遺障害12級7号です。
詳細をみていきましょう。
機能障害(可動域制限)による膝の痛み
等級 | 内容 |
---|---|
8級7号 | 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの |
10級11号 | 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの |
12級7号 | 1下肢の3大関節中の1関節に障害を残すもの |
「用を廃する」、「著しい障害」…これらの表現の違いが確認できます。
具体的にどういう意味かをみていきましょう。
損傷していない方の膝と比較します。
比較した結果、
膝関節の動く範囲が、健常な膝と比べて10%以下
あるいは
関節が全く動かない
場合に用を廃しているとされ8級7号認定がなされます。
損傷していない方の膝と比較します。
膝関節の動く範囲が、健常な膝と比べて1/2以下の場合は10級11号認定がなされます。
損傷していない方の膝と比較します。
膝関節の動く範囲が、健常な膝と比べて3/4以下の場合は12級7号認定がなされます。
慰謝料の金額の算定方法は、相手方が提示してくるもの(自賠責基準・任意保険基準)と、弁護士が交渉することで請求できるもの(弁護士基準)で大きく異なります。
機能障害(可動域制限)による膝の痛みに対応する後遺障害慰謝料は以下のようになります。
機能障害(可動域制限)による膝の痛み
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
8級7号 | 324万円 | 830万円 |
10級11号 | 187万円 | 550万円 |
12級7号 | 93万円 | 290万円 |
「弁護士基準」とは、弁護士が加害者側と交渉する時に使う基準です。裁判でも使われているので、裁判基準とよばれることもあります。
加害者側は「自賠責基準」か、その保険会社の基準(任意保険の基準)を使って慰謝料、逸失利益などを計算し提案してきます。
等級にもよりますが、弁護士に依頼することで2倍~3倍以上の後遺障害慰謝料を請求できます。
同じ後遺障害で受けとる金額に大きな差額が発生します。弁護士に依頼して弁護士基準で交渉することが、増額のポイントといえるでしょう。
骨が折れてしまった場合、折れた骨が元の正しい位置でくっつかないことがあります。
これを癒合不全(ゆごうふぜん)といいます。正しい位置でくっつくかないと、その部分は「偽関節(ぎかんせつ)」といってまるで関節部分のように動いてしまいます。
認定される可能性がある後遺障害等級は、7級10号、8級9号、12級8号です。
詳細をみていきましょう。
変形障害による膝の痛み
等級 | 内容 |
---|---|
7級10号 | 1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの |
8級9号 | 1下肢に偽関節を残すもの |
12級8号 | 長管骨に変形を残すもの |
「著しい障害」、「長管骨」…表現の違いが確認できます。
具体的にどういう意味かをみていきましょう。
偽関節が残ってしまい、常に硬性補装具を必要とする場合には著しい運動障害とみなされ7級10号認定がなされます。
手や足にある細長い形状の骨全般をさしている言葉です。
下肢には、
といった長管骨があります。
これらに変形が生じていると12級8号と認定されます。
変形障害による膝の痛みに対応する後遺障害慰謝料は以下のようになります。
変形障害による膝の痛み
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
7級10号 | 409万円 | 1000万円 |
8級9号 | 324万円 | 830万円 |
12級8号 | 93万円 | 290万円 |
等級にもよりますが、弁護士に依頼することで2倍~3倍以上の後遺障害慰謝料を請求できます。
7級10号は、弁護士だと1000万円をひとつの基準として交渉しますが、加害者側から提案される基準は409万円とその半分以下です。
基準ですので変動はあるかと思いますが、同じ後遺障害で2倍以上の差が出てしまう可能性があります。
示談前に弁護士に相談・依頼をするとよいでしょう。
動揺関節(どうようかんせつ)とは、膝が本来持つ安定性が失われた結果、
こういった状態をさします。
先に解説した「機能障害(可動域制限)」の後遺障害等級に準じます。
動揺関節による膝の痛み
等級 | 内容 |
---|---|
8級7号相当 | 常に硬性補装具が必要 |
10級11号相当 | 時々硬性補装具が必要 |
12級7号相当 | 重激な労働等の際には硬性補装具が必要 |
硬性補装具がどれだけ・どんな時に必要かによって等級が変わります。
慰謝料の金額も、機能障害(可動域制限)と同様に考えられます。
動揺関節による膝の痛み
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
8級7号相当 | 324万円 | 830万円 |
10級11号相当 | 187万円 | 550万円 |
12級7号相当 | 93万円 | 290万円 |
変形や動揺関節は起こっていなくても、痛みやしびれが残ってしまうこともあります。
認定される可能性のある後遺障害等級は12級13号または14級9号です。
それぞれの後遺障害等級について詳細にみていきましょう。
神経症状による痛み・しびれ
等級 | 症状 |
---|---|
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
「頑固な」という表現の違いのみ確認できます。
頑固というのは、被害者の主観ではありません。
ポイントとしては画像検査の結果で確認できること・神経学的検査の検査結果の提示になります。
<画像検査>
<神経学的検査>
神経症状は、交通事故の後遺症としては珍しくありません。
一方で、外見からは分からないものなので、後遺障害認定を受けることが難しいという特徴があります。
12級を目指すどころか、そもそも「後遺障害」の認定を受けること自体が、難しいことでもあります。
交通事故の解決実績が豊富な弁護士であれば、神経症状を第3者に認めてもらうためにポイントをおさえた主張が可能です。
痛み・しびれの症状に対応する後遺障害慰謝料は以下のようになります。
痛み・しびれの後遺障害
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
12級13号 | 93万円 | 290万円 |
14級9号 | 32万円 | 110万円 |
弁護士なら、12級・14級ともに3倍以上高い基準で交渉します。
あくまで基準にはなりますが、加害者側から提案される金額からの増額が期待できます。
交通事故による膝の痛みは、様々な怪我・原因で発生します。
後遺障害等級によっては、弁護士基準で1000万円の慰謝料に及ぶものもあります。
しかし、この記事でも見てきたように、加害者側から提示される慰謝料・逸失利益は被害者の受けた損害に対して不十分なことがあります。
損害に対する十分な補償を受け取るためには、弁護士に依頼することが一番です。
保険会社との示談交渉などを一任することで慰謝料増額に加えて、手続きの煩雑さなどのストレスを軽減できます。
膝の痛みによる慰謝料はいくらになるのか、通院に関する注意、後遺障害等級の申請方法など、どのようなことでも結構です。
まずはお気軽にLINE・電話での無料相談をご利用ください。
(第二東京弁護士会) 第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。
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弁護士プロフィール
岡野武志弁護士
後遺症の可能性があります。例えば「半月板損傷」「膝蓋骨骨折」「膝蓋骨脱臼」「じん帯損傷」などは膝の痛みを引き起こす傾向があります。これらの怪我により、膝の動きが制限される、膝が変形する、膝が不安定になる、神経が傷つくなどで、膝の痛みを感じている可能性があります。 膝の痛みに関する基本情報
後遺障害認定される可能性があります。膝の痛みがなぜ起こっているのかで、認定される後遺障害等級は変わります。例えば、膝の動きが制限される(機能障害)、膝の形が変になった(変形障害)などに区別されます。後遺障害認定を受けるには申請が必要です。後遺障害認定の申請フローはこちらを参考にしてください。 後遺障害認定の申請フロー
「機能障害(可動域制限)」として、後遺障害8級7号、10級11号、12級7号に認定される可能性があります。弁護士基準の後遺障害慰謝料は、後遺障害8級7号:830万円、10級11号:550万円、12級7号:290万円が相場です。自賠責保険の基準による後遺障害慰謝料は弁護士基準の半分から3分の1程度になる可能性があります。また、何級に認定されるのかも慰謝料の金額を左右する重要ポイントです。 等級を決定するポイントを知りたい