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作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
指は日常生活においてなくてはならない部位です。
交通事故で手指に何らかの損傷を負い、後遺障害が残ってしまったら…。
生活への影響が深刻です。
この記事では
これらを弁護士が解説いたします。
目次
奈良県立医科大学付属病院アトム法律事務所顧問医
藤井 宏真医師
指先には多くの血管や神経があります。場合によっては、指を地面に突いただけでも傷めてしまうこともあります。
接触や挟み込み・巻き込まれるなどで指が切断されてしまうことがあります。
指骨を骨折してしまうことで周辺組織が損壊し、治療のためにやむなく切断することもありえます。
その結果、指がうまくくっつかないことも起こりえますし、くっついてもうまく動かないということがあります。
あるいは、指は元通りに動くけれども、患部に痛みが残り続ける可能性もあります。
整形外科での対応となるでしょう。
病院ではレントゲン検査を行い、
これらを確認します。
偏位とは、片方にずれ込んでしまうことを言います。
指骨骨折は固定して安静に過ごす「保存療法」がとられることが多いです。
しかし、偏位などのずれに対しては手術が行われます。
このように判断して、病院へ行かない人もいるかもしれません。
しかし、万が一痛みや異変が後から出てきた場合、交通事故との因果関係で加害者側と意見が分かれてしまう恐れがあります。
また、交通事故は「人身事故」として届けないと、慰謝料などが請求できない可能性があります。
「人身事故」扱いにするためには、警察へ病院の診断書を提出する必要があります。
ですから、交通事故直後には特に何も異常を感じなかったとしても、整形外科へ行き検査を受けることが望ましいです。
指の骨折は、程度や位置にもよりますが、固定をして骨がくっつくのを待つ「保存療法」も多いようです。
痛みがひどい場合には、鎮痛薬を併用しながら安静にします。
一方で、損傷部に偏位(ずれ)が発生していたり、骨片が多数発生している場合、さらには骨が外表に呼び出している開放骨折であれば、手術となる傾向にあります。
手の指を切断してしまったら、微小血管吻合(マイクロサージャリー)が出来る手外科医による手術が必要です。
切断した指の再接着を試みますが、患者の年齢や損傷の程度、血管の状態などにより予後は分かれます。
うまく再接着できても、指先の感覚が戻るまでには時間がかかります。
煙草に含まれているニコチンは、血流に悪影響を及ぼすとされています。
喫煙者の場合は、指の再接着に困難が生じます。
再接着術後良好に経過した指が、喫煙により壊死した例も報告されており、他のマイクロサージャリー手術も含め、術前術後の禁煙は
不可欠である。引用元:http://square.umin.ac.jp/nosmoke/text/1-15orthopedic_s.pdf
被害者自身のためにも、医師の指示をよく聞いて守ることが重要です。
後述する「後遺障害認定」においても、医師に「後遺障害診断書」という書類作成を依頼することになります。
治療時から、医師との信頼関係を築くことを心がけましょう。そうしておけば、不明点や相談事もしやすく、被害者自身にも良いことはたくさんあります。
十分な治療を行っても、これ以上良くも悪くもならないという状態で残存する症状をさす
交通事故の場合、その部位と程度により1~14段階の後遺障害等級で区分される
指に生じることのある後遺障害には以下のようなものがあります。
それぞれがどのような症状であり、等級が何級になるかは次の章で詳しく説明します。
変形は、身体の部位によって後遺障害認定の対象となる場合とならない場合があります。
指の変形については、「変形そのもの」では後遺障害にはあたりません。
変形によって指が曲がらないことや、痛みが残っていれば、先ほどの後遺症にあたります。
先ほどの1~14段階まである後遺障害等級に認定されると、加害者側から支払われる金銭が増えます。
後遺障害が残った場合に追加で支払われる金銭の一つに、後遺障害慰謝料があります。
後遺障害を負ってしまったという精神的苦痛に対して支払われる損害賠償
また、後遺障害慰謝料の他に支払われるものとして逸失利益があります。
後遺障害が残ったことで労働能力が失われ収入が減ることへの補償
基礎収入(年収)×労働能力喪失率×労働能力喪失期間(67歳-症状固定時の年齢)に対応するライプニッツ係数
逸失利益の計算は少し複雑です。以下のページでは逸失利益計算の仕組みや「計算機」を紹介しています。
自動で簡単に逸失利益や慰謝料を算出できます。
注意したいのは、労働能力喪失率を加害者側が認めない場合です。
労働能力喪失率は、後遺障害等級によって一定の基準が設けられていますが、個別に増減するものなので、必ず等級に応じた労働能力喪失率が認定されるとは限りません。
しかし、指に後遺症が残ることは、少なからず仕事に影響を与えますし、これから仕事を見つけるうえではハンディになる可能性もあります。
労働能力喪失率が争点となったときは、弁護士に相談することで十分な補償を受けられるようにしましょう。
実際に後遺障害等級の申請をして、後遺障害慰謝料を受け取るまでの流れを見てみましょう。
治療を継続しても症状の改善が見込めなくなった状態のことを症状固定といいます。
後遺障害等級認定を受ける場合は、原則事故から約6ヶ月以上経っている必要があります。 これ以上治療期間が短い場合は、後遺障害としては認められない可能性が高くなります。
症状固定の診断を受けたら、後遺障害等級認定を目指しましょう。
まずは、医師に後遺障害診断書の作成を依頼します。
次に、後遺障害の申請方法を考えます。
申請には2種類の方法があります。
事前認定は、医師が作成した後遺障害診断書を提出するだけなので、被害者自身に係る負担は少ないでしょう。
一方の被害者請求は被害者自身で書類を集めて提出するので手間がかかります。
しかし
これらがメリットであり、適切な後遺障害認定を受けるために重要なポイントなのです。
ちなみに、弁護士に資料収集作業を任せることもできます。
そうすると被害者請求のメリットを生かしつつ、被害者の手間も軽減できます。
後遺障害認定は被害者請求で行うことをおすすめします。
事前認定と被害者請求
事前認定 | 被害者請求 | |
---|---|---|
請求者 | 相手方保険会社 | 被害者自身 |
メリット | 資料収集の手間がない | 自分で資料を確認できる |
デメリット | 自分で資料を確認できない | 資料収集の手間がかかる |
提出資料をもとに、損害保険料率算出機構が後遺障害等級の審査を行います。
審査結果をふまえ、自賠責保険会社が等級を認定します。
審査は書面のみで実施されることがポイントです。
被害者と面識のない人に、被害者の身体に残った「後遺症」を説明しなくてはいけません。
ですから、「骨が折れました」という記載だけでは不十分なのです。
これらをきちんと「書面」で伝える必要があります。
交通事故の解決実績が豊富な弁護士であれば、後遺障害認定の要点を熟知しています。
弁護士への相談・依頼をオススメします。
また、より細かな後遺障害認定の詳細を知りたい方は以下の記事もあわせてお読みください。
後遺障害等級の申請について
指の機能障害と区分されている後遺障害をみていきましょう。
それぞれ認定される後遺障害等級は以下のようになります。
指の機能障害
等級 | 内容 |
---|---|
4級6号 | 両手 手指の全部の用を廃したもの |
7級7号 | 片手:いずれかの用を廃したもの ・5本の手指 ・親指を含む4本の手指 |
8級4号 | 片手:いずれかの用を廃したもの ・親指を含む3本の指 ・親指以外の4本の指 |
9級13号 | 片手:いずれかの用を廃したもの ・親指を含む2本の指 ・親指以外の3本の指 |
10級7号 | 片手:いずれかの用を廃したもの ・親指 ・親指以外の2本の指 |
12級10号 | 片手:いずれかの用を廃したもの ・人差し指 ・中指 ・薬指 |
13級6号 | 片手:小指の用を廃したもの |
14級7号 | 片手 ・親指以外の指が遠位指節間関節を屈伸できない |
指の機能障害では、4級6号、7級7号、8級4号、9級13号、10級7号、12級10号、13級6号、14級7号のいずれかに認定される可能性があります。
この指の機能障害で「用を廃する」とは次のような意味です。
用を廃するとは、曲がらない・曲げづらいだけでなく
これらを含んでいます。
慰謝料の金額の算定方法は、ひとつではありません。
加害者側が提示してくるもの(自賠責基準・任意保険基準)と、弁護士が交渉することで請求できるもの(弁護士基準)で大きく異なります。
後遺障害慰謝料を対比してまとめてみましたので、確認していきましょう。
ちなみに、任意保険基準は保険会社ごとに定められており、現状では公開されていません。
しかしながらこれまでの実例より、自賠責基準を上回る程度であり、弁護士基準には及ばない金額と考えてください。
指の機能障害
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
4級6号 | 712万円 | 1670万円 |
7級7号 | 409万円 | 1000万円 |
8級4号 | 324万円 | 830万円 |
9級13号 | 245万円 | 690万円 |
10級7号 | 187万円 | 550万円 |
12級10号 | 93万円 | 290万円 |
13級6号 | 57万円 | 180万円 |
14級7号 | 32万円 | 110万円 |
同じ後遺障害等級ですが、基準が違うだけでこれほど慰謝料の金額が変わります。
等級にもよりますが、2~3倍の差になっています。
弁護士に交渉を依頼して適正な金額の受け取りを目指しましょう。
指の欠損と区分されている後遺障害をみていきましょう。
後遺障害等級の違いは、指を失ってしまった本数にあります。
指の欠損
等級 | 内容 |
---|---|
3級5号 | 両手 手指の全部の用を失った |
6級8号 | 片手:いずれかを失った ・5本の手指 ・親指を含む4本の手指 |
7級6号 | 片手:いずれかを失った ・親指を含む3本の指 ・親指以外の4本の指 |
8級3号 | 片手:いずれかを失った ・親指を含む2本の指 ・親指以外の3本の指 |
9級12号 | 片手:いずれかを失った ・親指 ・親指以外の2本の指 |
11級8号 | 片手:いずれかを失った ・人差し指 ・中指 ・薬指 |
12級9号 | 片手の小指 |
13級7号 | 片手の親指の指骨の一部 |
14級6号 | 片手 ・親指以外の指骨の一部 |
末節骨の1/2以上を失うには至らずとも、指の骨の一部を失ったことがレントゲン検査の結果などにより確認できる場合
ちなみに、末節骨の1/2以上を失っている場合は「機能障害」にあたる可能性があります。
例えば「片手の親指の指骨」については
となります。
等級に応じた後遺障害慰謝料をみていきましょう。
指の欠損
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
3級5号 | 829万円 | 1990万円 |
6級8号 | 498万円 | 1180万円 |
7級6号 | 409万円 | 1000万円 |
8級3号 | 324万円 | 830万円 |
9級12号 | 245万円 | 690万円 |
11級8号 | 135万円 | 420万円 |
12級9号 | 93万円 | 290万円 |
13級7号 | 57万円 | 180万円 |
14級6号 | 32万円 | 110万円 |
等級によりますが、3倍以上の差がついているものもあります。
また、3級5号では約2000万円を基準にして弁護士は交渉しますが、加害者側が用いる基準は829万円と半分にも満たないものです。
手指を全部失うという甚大な被害が出ているにもかかわらず、これだけの差が出てしまいます。
もちろんあくまで基準ですので、個別の事象で増減するものです。
しかし、加害者が提案してくる金額は必ずしも適正ではないと念頭においておくことが重要です。
弁護士が交渉をすることで、慰謝料の増額だけではなく、「加害者側とのやり取り」というストレスも軽減されます。
指には多くの神経が通っています。
先ほどまで解説してきたような「欠損」や「機能障害」はなく、怪我が治ったとしても、痛みやしびれなどの神経症状が残ることもあります。
具体的には12級13号、14級9号に認定される可能性があります。
痛み・しびれの神経症状
等級 | 症状 |
---|---|
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
後遺障害等級ごとの慰謝料の相場を見ておきましょう。
痛み・しびれの後遺障害
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
12級13号 | 93万円 | 290万円 |
14級9号 | 32万円 | 110万円 |
どちらの等級も3倍以上金額が違います。
それでは「12級」と「14級」は何が違うかというと、神経症状の原因が画像検査などで示せるかということです。
解説してきたように、後遺障害認定は第3者にも認められることが重要です。
「痛み」や「しびれ」は被害者本人にしか分からない感覚ですので、「しびれています」と主張するだけでは、うまく伝わりません
痛みやしびれ症状が医学的に証明可能→12級13号
痛みやしびれに一応の説明や推定が可能→14級9号
半年以上通院して症状の経過を明らかにし、適切な検査を受けることが等級認定のポイントになります。
ちなみに、「痛み」「しびれ」だけで後遺障害に認定されることは簡単ではありません。
実際に非該当(等級なし)と判定されることもあるのです。
その場合は、再度認定申請は可能です。
しかし、一度出た認定を覆すことは難しいのが現実です。再申請を検討している方は、一度弁護士に相談するとよいでしょう。
指を負傷すると、生活に影響の大きい後遺障害が残る場合もあります。
にも関わらず、相手方保険会社から提示される慰謝料・逸失利益は被害者の受けた損害に対して不十分なことがあります。
損害に対する十分な補償を受け取るためには、弁護士に依頼することが一番です。
指に後遺症が残ると慰謝料はいくらになるのか、通院に関する注意、後遺障害等級の申請方法など、どのようなことでも結構です。
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(第二東京弁護士会) 第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。
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岡野武志弁護士