上腕骨顆上骨折の後遺症｜手術や治療は緊急？変形やしびれも後遺症？後遺障害慰謝料は〇円？

上腕骨顆上骨折は子どもに非常に多い骨折といわれています。
子どもの場合は骨が薄く、外部からの強い力によって折れやすいのです。
上腕骨顆上骨折には以下のような症状があります。

神経や血管に合併損傷が発生することで、血行不良を引き起こしたり、手指にまで影響が及びます。

整形外科または救急外来を受診しましょう。

とくに、血管損傷が疑われる際は緊急度が非常に高い状況です。

病院では

• レントゲン
• エコー
• CT

などの検査が行われます。

一般的な治療を解説していきます。
まず、軽度の場合はギブスなどで固定して骨がくっつくのを待ちます。
軽度というのは、骨に転位がみられない状態です。

転位とは、骨が正しい位置からずれてしまうことです。

ずれたままくっつくと、形が変わってしまうなど異常が発生してしまいます。

手術方法としては、

• 皮膚の上から鋼線を刺す手術＜骨折経皮的鋼線固定術＞
• 皮膚を切開して骨のずれを元に戻して鋼線を刺す手術

これらがあげられます。

リハビリは、医師の指示の下で進められます。
安静にしすぎても関節がかたまって動かしづらくなることもあるので、痛みの具合をみながら早期にリハビリを開始することが多いようです。

手術は緊急で必要？

神経への圧迫、血管の損傷が起こっているときは緊急手術となります。
骨折部の血流が阻害されたことにより、コンパートメント症候群やフォルクマン拘縮が発症することもあるようです。

「拘縮」とは、関節の動く範囲が狭くなったり、限られてしまうことを言います。

上腕骨顆上骨折の場合は、手指にしびれや麻痺が残ります。

骨折部付近の様子を注視し、色が青白くくなっていたりすると注意が必要です。

上腕骨顆上骨折を負うような怪我により、生じることのある後遺障害には以下のようなものがあります。

それぞれがどのような症状であり、等級が何級になるかは次の章で詳しく説明します。

【参考】内反射が残ってしまった場合

治療の結果、骨のずれがうまく戻らなかったり、整復がうまくいかなかった時に「内反射」という変形が残る可能性があります。
肘をまっすぐ伸ばしたときに、内側に曲がってしまう変形のことです。

「内反射」は、変形の程度にもよりますが、後遺障害に認定される可能性があります。
後述する後遺障害「変形」にて詳細を確認してください。

上腕骨顆上骨折の後遺症により増える保険金｜後遺障害慰謝料と逸失利益

上述した後遺障害等級に認定されると、相手方から支払われる金銭が増えます。
後遺障害が残った場合に追加で支払われる金銭の一つが、後遺障害慰謝料です。

また、後遺障害慰謝料の他に支払われるものとして逸失利益があります。

なお、「労働能力喪失率」は障害の部位や程度、被害者の職業などを考慮して増減することがあります。
逸失利益が簡単に計算できる「計算機」や、逸失利益計算の仕組みを関連記事で解説しています。

逸失利益計算機｜自動計算で簡単／逸失利益獲得のポイントと後遺障害14級の注意点

逸失利益は計算機を使って簡単に算出できます。この記事では計算機の紹介、逸失利益の計算方法、注意すべきむちうち事例を解説。そもそも適正な逸失利益が計算機で分かっても、もらえないと意味がありません。適正に受けとるために必要な「弁護士依頼」もご案内します。

交通事故の弁護士.jp

注意点としては、「労働能力の喪失」があげられます。
後遺障害に認定されるには、後遺症によって「労働能力」が下がっていると証明しなくてはいけません。
腕の変形やしびれで、仕事にどんな支障が出ているかを主張していきましょう。交通事故に注力している弁護士に相談することをおすすめします。

では、実際に上腕骨顆上骨折で後遺障害等級の申請をして、後遺障害慰謝料を受け取るまでの流れを見てみましょう。

①症状が固定される

治療を継続しても症状の改善が見込めなくなった状態を症状固定と言います。
後遺障害等級認定を受ける場合は、原則事故から約6カ月以上経っている必要があります。
これ以上治療期間が短い場合は、後遺障害としては認められない可能性が高くなります。

②後遺障害診断書・交通事故前後の腕の変化に関する所見の用意

症状固定の診断を受けたならば、後遺障害等級認定に向けて後遺障害診断書などの資料を準備します。

後遺障害の申請には、2種類の方法があります。

事前認定→被害者が後遺障害診断書のみを任意保険会社に提出する
被害者請求→被害者が経過証明書などその他の資料も用意して自賠責保険に提出する
被害者請求は手間がかかるというデメリットはありますが、後遺障害等級の認定に有利な資料を自分で精査できるのが強みです。
なお、弁護士に資料収集作業を任せることもできます。

③損害保険料率算出機構による審査

提出された資料をもとに、損害保険料率算出機構が後遺障害等級の審査を行います。
審査は基本的に書面で行われます。
たとえば変形が生じている場合なら、健康な腕と比較した写真で変形の度合いを示すことも有効でしょう。
審査結果をふまえ、自賠責保険会社が等級認定を行います。

より細かな認定手順、後遺障害診断書の書き方などについては以下の記事を参照してください。

上腕骨顆上骨折によって腕に変形が残ることがあります。
「変形」によって認定される後遺障害等級は以下のようになります。

聞きなれない言葉が出てきていますので、意味を確認しておきましょう。

偽関節

折れた骨は自然にくっつこうとするのですが、その「くっつこうとすること」をやめてしまう状態です。
また、その部分には異常可動がみられます。

長管骨

手・足（四肢）にみられる長く伸びた管状の骨のことです。
上肢では「上腕骨」のほか、橈骨（とうこつ）、尺骨（しゃっこつ）という名前の長管骨があります。

先ほど「内反射」という内側に曲がってしまう変形の事例をとりあげました。
変形度合いが当てはまる場合は、「内反射」も後遺障害として認定される可能性があります。

慰謝料の金額の算定方法は、加害者側が提示してくるもの（自賠責基準・任意保険基準）と、弁護士が交渉することで請求できるもの（弁護士基準）で随分と変わります。
上腕骨顆上骨折による「変形」に対応する後遺障害慰謝料は以下のようになります。

等級にもよりますが、弁護士に依頼することで2倍以上の後遺障害慰謝料を請求できます。
特に注目は、7級です。弁護士に依頼すれば1000万円での交渉が可能ですが、依頼しなければ半額以下の提案を受けることになってしまいます。
同じ怪我でこんなにも差が出てしまうのは避けたいところです。
慰謝料の増額を目指すのであれば、できるだけ早い段階から弁護士と相談しておくことがポイントです。

「フォルクマン拘縮」で併合6級になることも

先ほど「緊急手術」が必要な事例としてフォルクマン拘縮をあげました。
このフォルクマン拘縮が進行すると、併合6級に認定されることがあります。

併合というのは「後遺障害等級」の考え方の一つです。

複数の後遺障害が残った時、一定の条件に基づいて重い方の後遺障害等級を繰り上げるものです。

参照：後遺障害等級「併合」の考え方

フォルクマン拘縮が進むと、指や手関節が思うように動かせなくなったりします。
後遺障害において「用を廃する」とよばれる状態にまで進行してしまう可能性があります。

日常生活に多大な影響を受けてしまいます。
適正な後遺障害慰謝料を受けとるために、弁護士が力になれることがあります。
まずは「増額」がそのひとつです。
加害者側の提示額基準よりも約3倍高い基準で交渉可能です。

神経麻痺による「しびれ」が残る可能性もあります。
それは、骨折した際に周囲の神経が圧迫されてしまうことで起こると考えられています。

上腕骨顆上骨折による「しびれ」の後遺障害等級をみてみましょう。

頑固な神経症状とは

12級と14級の違いは「頑固な」という言葉になります。
この「頑固さ」は、被害者の主張だけでは通りません。

ポイントにしたいのは、その「しびれ」の神経症状がMRIなどの画像検査結果に表れているかどうかです。
後遺障害認定は「書面」で行われます。被害者ではない第3者から見て、「しびれ」が確認できると、12級での認定を受けられる可能性が高くなります。

認定された等級の実績を円グラフにして示します。なおこれは上腕骨顆上骨折によるものだけではありません。
みて分かる通り、14級認定が圧倒的に多いです。

そして、そもそも「しびれ」だけが症状として出ている場合、後遺障害認定を受けること自体が簡単ではありません。「しびれ」というものは、なかなか他人に認めてもらいにくいのです。後遺障害認定について詳しく知りたい場合は、次の関連記事も参考にしてみてください。

しびれに対応する後遺障害慰謝料は以下のようになります。

弁護士基準（弁護士が加害者側と交渉に使う基準）との差は3倍以上になります。
「しびれ」も後遺障害として認められます。しかし、被害者だけの力では難しい現実があります。
弁護士への早期相談をおすすめします。

上腕骨顆上骨折は聞き覚えのないものかもしれませんが、交通事故でも発生しやすい上肢の骨折です。そして、時に「変形」「しびれ」、ひどい場合は手指が思うように動かせなくなるなどの後遺症が残ることもあります。
しかし、相手方保険会社から提示される慰謝料・逸失利益は被害者の受けた損害に対して不十分なことが多いのです。
損害に対する十分な補償を受け取るためには、弁護士に依頼することが一番です。

保険会社との示談交渉などを一任することで慰謝料増額が叶うだけではなく、手続きの煩雑さなどから解放されます。

上腕骨顆上骨折による慰謝料はいくらになるのか、通院に関する注意、後遺障害等級の申請方法など、どのようなことでも結構です。

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