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作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)

上腕骨顆上骨折後遺症

上腕骨顆上骨折の後遺症|神経麻痺、内反肘も後遺障害になる?【弁護士解説】

上腕骨顆上骨折の後遺症って?
この記事のポイント
  • 上腕骨顆上骨折で肘関節などの機能障害、痛みやしびれといった後遺障害が残ることがある
  • この後遺障害により、110万円~1000万円の後遺障害慰謝料を受け取れる可能性がある
  • 慰謝料の額は可動域の制限画像所見の有無などで決まる

上腕骨顆上骨折(じょうわんこつかじょうこっせつ)は、肘部分の骨折で、肘関節のでっぱり(顆)のすぐ上部分の骨折です。
より大きなくくりで上腕骨遠位端骨折・上腕骨遠位部骨折と呼ばれることもあります。
子供が手をついて転んでしまった時に骨折することが多い部位ですが、交通事故のほか、スノーボードなどでも骨折することがあります。
骨折した場合、どのような後遺症が残るのでしょうか?
交通事故に精通した弁護士が解説いたします。

  • 上腕骨顆上骨折の後遺症とは?
  • 後遺症が残ると慰謝料が受け取れるって本当?
  • 慰謝料の額は関節の可動域で変わる?


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交通事故の上腕骨顆上骨折とは?

上腕骨顆上骨折の症状|子供と高齢者に生じやすい?

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上腕骨顆上骨折は、肩から肘までをつなぐ上腕のうち、肘に近い部分を骨折することを指します。
例えば、転倒した際に肘を伸ばしたままだと、着地の衝撃が肘にまで伝わってしまって発生することがあります。
そのため、骨が柔らかい子供によく起こる骨折です。
また、成人であっても強い外傷や、骨粗鬆症患者の転倒などで生じることがあります。
交通事故では、バイクの転倒時の打撲などで生じることが多いです。

上腕骨顆上骨折には、以下のような症状がみられます。

  • 肘の痛み、腫れ、出血
  • 骨折部分、関節の異常な動き
  • (合併症として)神経麻痺、フォルクマン拘縮

上腕骨顆上骨折の合併症|フォルクマン拘縮とは?

また、上腕骨顆上骨折は合併症としてフォルクマン拘縮を生じることがあります。

これは骨折により動脈が損傷し、血液の足りなくなった筋肉が固まってしまう状態です。

フォルクマン拘縮には、以下のような症状があります。

  • 指先の疼痛
  • 指先の色が蒼白になる
  • 指の感覚が無くなる
  • 指が動かせなくなる(鉤爪状に曲がって固まる)
  • 脈拍が無くなる

これらの症状は受傷から数時間してから発生すると言われています。
早期治療が行われず、筋肉が壊死してしまうと回復に有効な方法はありません
合併症を防ぐためにも、事故後は早期に受診するようにしましょう。

上腕骨顆上骨折の治療&リハビリの注意点とは?

上腕骨顆上骨折をしているかどうかやその程度は、レントゲン検査またはCT検査で確認できます。
骨折による骨のずれが僅かである場合は、ギプスなどで固定する保存療法がとられます。約3週間の固定が必要と言われています。
ずれが大きい場合、血管が損傷している場合などは徒手整復を試み、場合によってはプレートやスクリューで骨を固定する手術を行います。

また、術後も骨がくっつかなかったり関節が固まってしまう症状を防ぐために早期のリハビリが必要です。
自身の筋力で行う自動運動を中心とした運動療法がとられます。
他者の手で動かす他動運動を行うと、筋炎や関節の機能障害が起きる恐れもあるためです。

上腕骨顆上骨折の後遺症|神経麻痺が生じる?

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後遺症(後遺障害)

十分な治療を行っても、これ以上良くも悪くもならないという状態で残存する症状。
交通事故の場合、その部位と程度により14段階の後遺障害等級で区分される。

特に子供の場合は、適切な処置をすれば後遺障害はほとんど残らないと言われています。
上腕骨顆上骨折によって残る可能性のある後遺症(後遺障害)には、以下のようなものがあります。

  • 肘関節(部位によっては肩関節)が曲がらなくなる
  • 手や腕に痛み、しびれが残る
  • 腕が変形する
  • (フォルクマン拘縮による後遺障害として)手関節、指関節が曲がらなくなる

骨折した際の骨片の除去が不十分である場合などは、内反肘・外反肘と言われる肘が反った状態になることもあります。
ですが現状、この症状は後遺障害にはあたらないとされています。

それぞれがどのような症状であるかは、次の章で詳しく解説します。

上腕骨顆上骨折で受け取ることのできる慰謝料はいくら?

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治療後も残った症状を後遺障害として等級認定を受けるには、後遺障害等級認定の手続きが必要です。
無事に認定されると、相手方からその等級に応じて後遺障害慰謝料が支払われます。

後遺障害慰謝料

後遺障害を負ってしまったという精神的苦痛に対して支払われる損害賠償

また、後遺障害慰謝料の他に支払われるものとして逸失利益があります。

後遺障害の逸失利益

後遺障害が残ったことで労働能力が失われ収入が減ることへの補償
基礎収入(年収)×労働能力喪失率×労働能力喪失期間(67歳-症状固定時の年齢)に対応するライプニッツ係数

なお、「労働能力喪失率」は障害の部位や程度、被害者の職業などを考慮して増減することがあります。
主婦などの場合の年収算定方法や、ライプニッツ係数一覧などはこちらの記事をご覧ください。


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上腕骨顆上骨折による「肘が曲がらない」後遺障害

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上腕骨顆上骨折により肘が曲がらない後遺症は後遺障害何級になる?

骨折による痛み、または骨の不正癒合などで、骨折が治っても肘が曲がりにくい症状が残る場合があります。
そのような場合に認定される後遺障害等級は以下の通りです。

後遺障害等級

肘関節が曲がらない障害*

等級症状
861上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
10101上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
1261上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

*肩関節、手関節が曲がらない症状を併発している場合はより上位の等級となる

これらにあてはまるかは、日常的な肘関節の動きである屈曲+伸展(肘を水平に伸ばして曲げ伸ばしする動き)の可動域で判断します。

この計測に関しては

  • 医師に手を添えて無理のない範囲で動かしてもらう他動値で計測する
  • 5度単位に切り上げて計測する

という注意点があります。

実際に、表の中の「用を廃す」「著しい障害」などの具体的な基準は、以下の通りになります。

用語

関節の用を廃す

… 関節がまったく動かない~または障害のない関節と比べ可動域が1/10程度以下のもの(肘関節では目安として20度以下

関節の機能に著しい障害を残す

… 障害の無い関節と比べ可動域が1/2以下のもの(肘関節では目安として80度以下

関節の機能に障害を残す

…障害の無い関節と比べ、可動域が3/4以下に制限されているもの(肘関節では目安として115度以下

上腕骨顆上骨折により肘が曲がらない後遺症の慰謝料はいくら?

肘関節が曲がらない症状の後遺障害等級に対応した後遺障害慰謝料は以下の通りです。
相手方が必ず加入している自賠責保険から示される自賠責基準と、弁護士に依頼することで請求できる弁護士基準で比較してみます。

後遺障害慰謝料

肘関節が曲がらない障害

等級自賠責基準弁護士基準
86324万円830万円
1010187万円550万円
12693万円290万円

弁護士に依頼することで自賠責保険と比べ、約2.5~3倍の後遺障害慰謝料が受け取れること、また等級があがるほど金額の差額も大きくなることがわかります。
弁護士に依頼することでより多く慰謝料を獲得し、充実した損害賠償を受け取ることができます。

【参考】肩が動かせない症状

上腕顆上骨折により、肘関節だけではなく肩関節を動かせないという後遺障害が残った例もあります。(名古屋地判平成25年8月7日)

骨折の部位やその他の症状によっては、肩関節にも影響が出ることがあるようです。

肩関節でも上記の「用を廃する」「著しい障害」などの基準は同様ですが、計測する可動域は

  • 屈曲(体の前面で腕をあげる運動)
  • 外転+内転(体の側面で腕をあげる運動)

8級ではこの両方、10級と12級についてはどちらか片方の基準を満たす必要があります。

また上記2つの数値が基準をわずかに上回る場合に参考として

  • 伸展(体の背面で腕をあげる運動)
  • 外旋+内旋(肘を曲げて左右に振る運動)

を計測することもあります。

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上腕骨顆上骨折による「痛み・しびれの神経症状(神経麻痺)」の後遺障害

上腕骨顆上骨折の痛み・しびれは後遺障害何級になる?

上腕顆上骨折により、周辺の神経組織などが傷ついて痛み・しびれが残ることがあります。
その場合の後遺障害等級は以下の通りです。

後遺障害等級

上腕顆上骨折による痛み・しびれ

等級症状
1213局部に頑固な神経症状を残すもの
149局部に神経症状を残すもの

ここでの等級は「頑固な」という言葉で分けられています。

とは言っても障害の程度のみではなく、

  • 神経学的な検査結果があるか
  • レントゲン・MRI画像などの所見があるか

が大きな判断要素となります。

痛みやしびれ症状が医学的に証明可能な場合は12級13号、一応の説明や推定が可能な場合は14級9号に該当します。

ですので、おおよそ半年以上通院して症状の経過を明らかにし、適宜検査を受けることが重要です。

上腕骨顆上骨折の痛み・しびれの慰謝料はいくら?

上腕顆上骨折により痛みやしびれが残った場合の後遺障害慰謝料は、以下のようになります。

後遺障害慰謝料

上腕骨顆上骨折による痛み・しびれ

等級自賠責基準弁護士基準
121393万円290万円
14932万円110万円

【参考】神経麻痺の症状

なお、正中神経や橈骨・尺骨神経といった主要な神経が損傷している場合には、手首や指が曲げられないという重篤な症状が出ることもあります。
しかしこれらが完全に断裂することは稀であり、骨折の完治と共に回復することがほとんどです。
万が一後遺障害として残った場合は、別途等級が認定されると考えられます。
手関節(手首)の機能障害や、指の機能障害の等級に関しては以下のページを参考にしてください。



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上腕骨顆上骨折による「上腕骨の変形」後遺障害

上腕骨顆上骨折により骨が変形した後遺症は後遺障害何級になる?

上腕顆上骨折では、骨が曲がってくっついたりすることで上腕骨の変形が生じることがあります。
骨がうまくくっつかずぐらついてしまう偽関節が残る可能性もゼロとは言えません。
そのような骨の変形に関する後遺障害慰謝料は、以下の通りです。

後遺障害等級

上腕顆上骨折による上腕骨の変形

等級症状
781上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
881上肢に偽関節を残すもの
128長管骨に変形を残すもの

ここでどの等級にあたるかは、

  • 偽関節が生じた位置
  • 硬性補装具(金属・プラスチックなどのもの)の必要の有無
  • 変形の角度

などによって決定します。

よりわかりやすく表にすると、以下のようになります。

解説

上腕顆上骨折による上腕骨の変形

等級症状
78上腕骨の骨幹部または骨幹端部に偽関節を残す
そのうえで常に硬性補装具を必要とするもの
88上記の部分に偽関節を残す、それ以外のもの
128骨端部に癒合不全(偽関節)を残すもの
(硬性補装具の必要は問わない)
上腕骨が15度以上曲がってくっついたもの
上腕骨が50度以上ズレてくっついたもの

骨端部かそうでないかは、骨端線の位置が目安となります。
なお、現在の整復技術では上腕骨が変形してくっつくような事態は滅多に起こりません。

上腕骨顆上骨折により骨が変形した後遺症の慰謝料はいくら?

もしも上腕骨顆上骨折により偽関節が残った場合などの後遺障害慰謝料は、以下の通りです。

後遺障害慰謝料

上腕顆上骨折による上腕骨の変形

等級自賠責基準弁護士基準
78409万円1000万円
88324万円830万円
12893万円290万円
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上腕骨顆上骨折の後遺症についてのご不安は弁護士にご相談ください

LINE相談

上腕骨顆上骨折にあわれた方、あるいはお子さんが骨折なさった方は後遺障害が残らないかと大変な不安の中でお過ごしでしょう。
骨折した際の骨のズレ(転位)が十分に整復されれば、後遺障害が残ることはまれです。
それでも後遺障害が残ってしまった時は、その精神的苦痛に見合うだけの慰謝料を受け取るべきです。
弁護士に依頼することで、後遺障害慰謝料は大幅に増額します。
まずは早めに金額の見積もりを知り、相手方保険会社が示してくる金額が適正なものか判断できるようになるかが重要です。
アトム法律事務所ではLINE・電話での無料相談を受け付けています。
どうぞ、上腕骨顆上骨折に関するご不安をお気軽にご相談ください。

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弁護士プロフィール

岡野武志弁護士

(第二東京弁護士会)

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。


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上腕骨顆上骨折の後遺症Q&A

上腕骨顆上骨折はどんな後遺症が残る?

上腕骨顆上骨折における後遺症としては、肘関節や肩関節が曲がらなくなる手や腕の痛み、しびれ腕の変形手関節や指関節が曲がらなくなるなどの症状が主にあげられます。上腕骨顆上骨折は適切な治療をつづけても残念ながら完治せず、なんらかの後遺障害が残る可能性があります。 上腕骨顆上骨折の後遺症について

上腕骨顆上骨折の後遺障害で生じる慰謝料とは?

上腕骨顆上骨折による後遺症が後遺障害に認定されると、後遺障害慰謝料逸失利益の請求が可能になります。後遺障害慰謝料は後遺障害が残ったことによる精神的苦痛に対する補償です。逸失利益は将来的に減額した収入に対する補償です。 後遺障害認定で請求可能な損害賠償

骨折で肘が曲がらない場合の後遺障害等級は?

上腕骨顆上骨折で肘が曲げられない場合の後遺障害は、8級6号10級10号12級6号の等級認定が予想されます。肘が曲がらないという後遺障害は、主に肘関節の「関節の可動域」がどのくらいかという点で等級が判断されることになります。 肘の関節障害に関する後遺障害等級

上腕骨顆上骨折で痛みが残る。後遺障害等級は?

上腕骨顆上骨折が原因で痛みやしびれといった神経症状の後遺症が残ってしまったら、12級13号または14級9号の後遺障害等級に認定される可能性があります。12級と14級の差は、神経症状をレントゲン・MRI画像などの医学的資料で証明できるかどうかという点になります。 神経症状に関する後遺障害等級

上腕骨顆上骨折で変形した場合の後遺障害等級は?

上腕骨顆上骨折が原因で上腕骨が変形する後遺症が残ってしまったら、7級8号8級8号12級8号の後遺障害等級に認定される可能性があります。骨折したあと骨がくっつく過程で、変形したり偽関節が残ることがあります。 変形に関する後遺障害等級