弁護士無料相談をご利用ください
相談依頼は今すぐ!
作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
交通事故で、視力低下など眼に影響を受けることは少なくありません。
一つずつ順番に確認してみましょう。
目次
眼の障害については、後遺障害等級上は
の3つに大別されています。
おおむね次のように分類できます。
傷害部分 | 症状 |
---|---|
眼球 | 視力障害 調節機能障害 運動障害・視野障害 |
まぶた | 欠損障害 運動障害 |
その他 | 外傷性散瞳 流涙 |
視力の低下は眼球の障害のうちの視力障害にあたります。
以下のページから後遺障害等級表の一覧が確認できます。この記事でも解説しますが、まず詳細が気になる方は参考にしてください。
交通事故との因果関係は、主に「検査」で示していきます。眼の障害と検査は以下のとおりです。
眼の障害 | 検査方法 |
---|---|
視力低下 | 万国式試視力表 |
視力障害 | 眼底検査/ERG検査/VEP検査 |
調節機能障害 | アコモドポリレコーダー |
運動障害 | ヘススクリーンテスト ゴールドマン視野計 |
視野障害 | ゴールドマン視野計 |
検査に加えて、因果関係を示す重要なポイントは
を示していく必要があります。
後遺障害の概要、後遺障害等級、検査方法を個別にみていきます。先ほどの検査内容についても詳細を記載していますので、気になる部分だけでも読んでみてください。
視力障害は視力低下と失明の2つに分かれます。
そして
3つの観点から後遺障害等級1級~10級および13級に分類されています。
因果関係は、
など、事故の前後を比較することも有効でしょう。
交通事故直後は視力低下が見られなくても、時間の経過と共に発生する場合もあります。事故直後に加えて定期的に視力測定をして、症状の一貫性や連続性を確認しながら治療をしましょう。
視力低下の後遺障害等級を以下に示します。
第2級
第3級1号:1眼が失明、もう1眼は視力が0.06以下
第4級1号:両目の視力が0.06以下
第5級1号:1眼が失明、もう1眼は視力が0.1以下
第6級1号:両目の視力が0.1以下
第7級1号:1眼が失明、もう1眼は視力が0.6以下
第8級1号:1眼が失明し、または1眼の視力が0.02以下
第9級
第10級1号:1眼の視力が0.1以下
第13級1号:1眼の視力が0.6以下
視力低下による後遺障害の等級認定は矯正視力での測定で行われます。眼の状態によって、矯正の仕方は眼鏡やコンタクトレンズなどさまざまです。医師の判断に従うようにしてください。
視力は原則、「万国式試視力表」によって測定します。同等の測定方法であれば、この限りではありません。
視力障害の発生原因は
(1)眼球の器質的損傷
(2)視神経の損傷
の2つが考えられます。
器質的損傷は
眼底検査など、
視神経の損傷は
により判断されます。
眼底検査 |
---|
血管状態や網膜・視神経など眼の奥の状態をカメラで確認。 |
ERG検査 |
網膜に光が当たると電気信号が生じ、視神経を通して脳に伝わる。この電気信号を確認。 |
VEP検査 |
視覚刺激を与えることで脳に生じる電位を計測。視神経から脳までの回路の働きを確認。 |
参考:http://www.kaiya-eyes.com/checkup/
失明については、次のように示されています。
失明の後遺障害等級は以下のとおりです。
第1級1号:両眼が失明
第2級
1号:1眼が失明、もう1眼は視力が0.02以下
第3級1号:1眼が失明、もう1眼は視力が0.06以下
第5級1号:1眼が失明、もう1眼は視力が0.1以下
第7級1号:1眼が失明、もう1眼は視力が0.6以下
第8級1号:1眼が失明し、または1眼の視力が0.02以下
視力については先ほどの「万国式試視力表」などを用います。
調節機能障害の後遺障害等級の定義をみてみましょう。
眼の調節機能は、水晶体が重要です。事故により水晶体を失った場合は、調整力が完全に失うことになるので、「著しい」に相当します。
調節機能の検査は「アコモドポリレコーダー」を用います。
障害の発生が1眼のみの場合は、もう片方の眼の調整力と比較します。両眼に障害が発生した場合や、障害が1眼であるがもう片方の眼の調整力に異常(調整力が1.5D以下)の場合は、下記の表と比較します。
55歳以上で①障害のない眼の調整力が1.5D以下である場合や、②健眼がない場合には、実質的には調整機能がすでに失われているとされ、後遺障害の対象にはなりません。
年齢 | 調整力(D) |
---|---|
15 | 9.7 |
20 | 9.0 |
25 | 7.6 |
30 | 6.3 |
35 | 5.3 |
40 | 4.4 |
45 | 3.1 |
50 | 2.2 |
55 | 1.5 |
60 | 1.35 |
65 | 1.3 |
表内の数値の2分の1以下に低下している場合は、「著しい機能障害」とされます。表は、28歳であれば25歳の欄を、52歳であれば50歳の欄で確認します。
交通事故と調節機能障害は
が争点になりやすいです。
医学的には、事故から一定期間おいて調節機能障害が発症することも多いとされています。事故直後から検査を定期的に行っておきましょう。
眼の調節機能は加齢とともに自然に衰えますので、裁判でも「いつまでを労働能力喪失期間とするか」で判断が分かれることがあります。喪失期間が67歳まで認められた事例の事由には、「事故から4年以上経過しても著しい調節機能が認められること」があげられています。症状が一貫していることが一つのポイントでしょう。
運動障害・視野障害の後遺障害等級の定義を確認します。
頭部を固定したままで眼球を運動させ、直視できる範囲をさします。
を平均値として考えます。
注視野は「ゴールドマン視野計」で測定します。眼球に著しい運動機能障害を残すものとは、眼球の注視野の広さが2分の1以下に減少したものをさします。
複視とは、眼筋の麻痺によって物が二重に見える状態をさします。
原則として、これらをいずれも満たすものをさします。
「ヘススクリーンテスト」とは、指標を赤緑ガラスで見たときの片眼の赤像、他眼の緑像から両眼の位置ずれを評価する検査方法。
実際の判例では、これら3つを必ずしも満たさなくても、後遺障害が認定された事例もあります(大阪地方裁判所平成27年6月16日判決)。治療経過などから判断されたものです。被害者の状況や治療の経過を根気よく主張することが大事といえそうです。
次に視野障害の後遺障害等級について確認します。
視野障害には
の3つがあげられます。
視野とは1点を見つめているときに、同時に見える広さを言います。「ゴールドマン視野計」で計測します。
以下は、正常視野の角度をまとめたものです。
方向 | V/4 |
---|---|
上 | 60 |
上外 | 75 |
外 | 95 |
外下 | 80 |
下 | 70 |
下内 | 60 |
内 | 60 |
内上 | 60 |
8方向の視野の角度の合計が、正常視野の角度の60%以下となった場合をさします。失った視野によって、以下のように呼ばれています。
半盲症:両目の視野の右または左半部を欠損するもの
視野狭窄:視野周辺の狭窄
視野変状:
まぶたの後遺障害等級の定義を確認します。
まぶたを閉じたときに角膜をどれだけ覆うことができるかで判断します。「著しい」は、角膜を完全に覆えないものをさし、「一部」とは、角膜を完全に覆えるが白目が露出している程度のものをさします。
まつげの生えている部分の半分以上にまつげが見られないことをさします。
交通事故直後に病院で診察を受け、事故の影響を確かめましょう。また、些細なことと思わず、気づいたことは医師に相談しましょう。
第11級:両眼の瞳孔の対光反射が著しく障害され、著名な羞明を訴え労働に著しく支障をきたすもの
第12級
第14級
瞳孔が過度に拡大されたままの状態をさします。まぶしさや像のぼやけといった症状をきたします。
外傷により涙路が傷つくことで、断裂したり、狭くなったり、塞がるなどした結果に、涙が眼から流れる状態をさします。
眼に違和感を覚えた場合は、些細なことでも、できるだけ早く医師に症状を伝えましょう。
慰謝料には
の3つがあります。
自賠責保険の基準は、被害者への最低限の補償を目的としています。補償上限もあり、相場は3つのうち最も低くなります。
任意保険の基準は、自賠責保険の基準よりも慰謝料の相場は少し高くなります。元々、自賠責保険を補うためにあります。
弁護士基準は、裁判でもつかわれている基準です。一般に公表されていますが、加害者側の保険会社は弁護士基準で慰謝料を提案してくることはありません。
加害者側の保険会社から提案された金額は、増額の余地がある
弁護士基準の慰謝料相場が最も高い
慰謝料の3つの基準について詳細は関連記事でも確認できます。
慰謝料相場が最も高い弁護士基準での慰謝料計算は、自動で簡単にできます。それが「慰謝料計算機」です。情報を入力するだけですぐにわかるので、便利です。
慰謝料の金額は、一度示談を取り交わすと、変更することはほぼできません。示談前に確認してください。また、慰謝料計算機の金額でも、個々の事件の事情・背景がすべて反映されているとは限りません。一度、弁護士に相談してみることをおすすめします。
後遺症が残った場合、「後遺障害」として認定されると慰謝料は増えます。認定のためには、医師による「後遺障害診断書」の作成が必要です。
後遺障害診断書作成時には、おさえておきたい後遺障害の4つの要素があります。
後遺障害等級認定は書面審査です。4つの要素は書面に盛り込まなくては伝わりません。申請前には、経験豊富な弁護士に診断書内容の確認を依頼して、適正な認定をめざしましょう。
後遺障害診断書は、提出前に弁護士にチェックしてもらう
後遺障害診断書の書き方については、関連記事でも解説していますので、参考にしてください。
後遺障害診断書の書き方について
アトム法律事務所は「交通事故と刑事事件の地域一番の弁護士事務所として、 相談者のお悩みとお困りごとを解決すること」を目指しています。交通事故の後遺障害認定についても多数の実績がありますので、ご安心ください。
無料相談の受付窓口は24時間365日ご利用いただけます。電話・LINE・メールなど、使いやすい方法でお問い合わせください。混み合う時間帯や土日祝は順番をお待ちいただくこともありますので、早めにご連絡ください。
弁護士無料相談をご利用ください
相談依頼は今すぐ!
交通事故で後遺症が残った場合、症状と交通事故の因果関係が争点になりやすいところです。眼に後遺症が残ると、交渉のたびに移動をしたり、書類の準備することも、人一倍の苦労をされることでしょう。移動の危険や書類準備の手間を減らし、なおかつ慰謝料を適正に受けとることができる…。弁護士への依頼を検討してみませんか。
(第二東京弁護士会) 第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。弁護士プロフィール
岡野武志弁護士
交通事故と視力低下の因果関係は、検査結果で示すことが大切です。また、事故当初から病院に通院し続けていること、症状に連続性・一貫性があることも重要ポイントと言えます。具体的な検査方法は以下のページで確認してください。 交通事故と視力低下の因果関係の証明手段
視力低下については①視力の低下具合②片目・両目など影響範囲によって後遺障害等級が変わります。視力低下は0.02、0.06、0.1などを境に後遺障害等級が変わります。万国式試視力表によって測定しますので、医師の指示に従って検査を行いましょう。 視力低下|後遺障害等級表
適正とは限らず、まだ増額の余地があるかもしれません。慰謝料は、①自賠責保険の基準②任意保険の基準③弁護士基準と3つの算定基準があります。相手方提案のときには①自賠責保険②任意保険どちらかの基準ですが、最も慰謝料相場が高いのは③弁護士基準による算定時です。 慰謝料算定で知っておきたい3基準