作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)

交通事故視力低下

交通事故で視力低下/因果関係は?まぶた・視力障害の後遺障害等級と慰謝料

交通事故で視力が低下した

交通事故で、視力低下など眼に影響を受けることは少なくありません。

  • 眼の後遺障害には何がある?
  • 交通事故との因果関係はどう示す?
  • 後遺障害として認められる?慰謝料は?

一つずつ順番に確認してみましょう。


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交通事故で考えられる眼の後遺障害とは?

眼の障害については、後遺障害等級上は

眼球の障害

まぶたの障害

その他の障害

の3つに大別されています。

おおむね次のように分類できます。

眼の障害
傷害部分 症状
眼球 視力障害
調節機能障害
運動障害・視野障害
まぶた 欠損障害
運動障害
その他 外傷性散瞳
流涙

視力の低下は眼球の障害のうちの視力障害にあたります。

以下のページから後遺障害等級表の一覧が確認できます。この記事でも解説しますが、まず詳細が気になる方は参考にしてください。


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因果関係はこう示す!交通事故と視力低下・視力障害の検査方法を紹介

交通事故との因果関係は、主に「検査」で示していきます。眼の障害と検査は以下のとおりです。

因果関係を示す検査方法(代表例)
眼の障害 検査方法
視力低下 万国式試視力表
視力障害 眼底検査/ERG検査/VEP検査
調節機能障害 アコモドポリレコーダー
運動障害 ヘススクリーンテスト
ゴールドマン視野計
視野障害 ゴールドマン視野計

検査に加えて、因果関係を示す重要なポイントは

事故当初から病院に通院し続けていること

交通事故から症状固定までの症状に連続性・一貫性があること

を示していく必要があります。

後遺障害の概要後遺障害等級検査方法を個別にみていきます。先ほどの検査内容についても詳細を記載していますので、気になる部分だけでも読んでみてください。

①視力低下|交通事故との因果関係・後遺障害等級は?

視力障害

視力障害は視力低下失明の2つに分かれます。

そして

失明か、失明でないか

両眼か、1眼か

視力低下の程度

3つの観点から後遺障害等級1級~10級および13級に分類されています。

因果関係は、

直近で受診した視力検査結果

免許証などの視力が要件にある資格の取得時

など、事故の前後を比較することも有効でしょう。

交通事故直後は視力低下が見られなくても、時間の経過と共に発生する場合もあります。事故直後に加えて定期的に視力測定をして、症状の一貫性や連続性を確認しながら治療をしましょう。

視力低下の後遺障害等級を以下に示します。

視力低下

第2級

1号:1眼が失明、もう1眼は視力が0.02以下

2号:両眼の視力が0.02以下

第3級1号:1眼が失明、もう1眼は視力が0.06以下

第4級1号:両目の視力が0.06以下

第5級1号:1眼が失明、もう1眼は視力が0.1以下

第6級1号:両目の視力が0.1以下

第7級1号:1眼が失明、もう1眼は視力が0.6以下

第8級1号:1眼が失明し、または1眼の視力が0.02以下

第9級

1号:両眼の視力が0.6以下

2号:1眼の視力が0.06以下

第10級1号:1眼の視力が0.1以下

第13級1号:1眼の視力が0.6以下

視力低下による後遺障害の等級認定は矯正視力での測定で行われます。眼の状態によって、矯正の仕方は眼鏡やコンタクトレンズなどさまざまです。医師の判断に従うようにしてください。

視力は原則、「万国式試視力表」によって測定します。同等の測定方法であれば、この限りではありません。

視力障害の発生原因は
(1)眼球の器質的損傷
(2)視神経の損傷
の2つが考えられます。

器質的損傷は

眼底検査など、

視神経の損傷は

ERG検査

VEP検査

により判断されます。

視力障害の検査
眼底検査
血管状態や網膜・視神経など眼の奥の状態をカメラで確認。
ERG検査
網膜に光が当たると電気信号が生じ、視神経を通して脳に伝わる。この電気信号を確認。
VEP検査
視覚刺激を与えることで脳に生じる電位を計測。視神経から脳までの回路の働きを確認。

参考:http://www.kaiya-eyes.com/checkup/

失明については、次のように示されています。

失明

眼球を亡失(摘出)したもの

明暗の区別がつけられないもの

明暗の区別がなんとかできる程度のもの

失明の後遺障害等級は以下のとおりです。

失明

第1級1号:両眼が失明

第2級

1号:1眼が失明、もう1眼は視力が0.02以下

第3級1号:1眼が失明、もう1眼は視力が0.06以下

第5級1号:1眼が失明、もう1眼は視力が0.1以下

第7級1号:1眼が失明、もう1眼は視力が0.6以下

第8級1号:1眼が失明し、または1眼の視力が0.02以下

視力については先ほどの「万国式試視力表」などを用います。

②調節機能障害|交通事故との因果関係・後遺障害等級は?

調節機能障害の後遺障害等級の定義をみてみましょう。

調節機能障害

第11級1号:両眼の眼球に著しい機能調節障害を残すもの

第12級1号:1眼の眼球に著しい調節機能障害を残すもの

眼の調節機能は、水晶体が重要です。事故により水晶体を失った場合は、調整力が完全に失うことになるので、「著しい」に相当します。

調節機能の検査は「アコモドポリレコーダー」を用います。

障害の発生が1眼のみの場合は、もう片方の眼の調整力と比較します。両眼に障害が発生した場合や、障害が1眼であるがもう片方の眼の調整力に異常(調整力が1.5D以下)の場合は、下記の表と比較します。

注意

55歳以上で①障害のない眼の調整力が1.5D以下である場合や、②健眼がない場合には、実質的には調整機能がすでに失われているとされ、後遺障害の対象にはなりません。

年齢別の調整力
年齢 調整力(D)
15 9.7
20 9.0
25 7.6
30 6.3
35 5.3
40 4.4
45 3.1
50 2.2
55 1.5
60 1.35
65 1.3

表内の数値の2分の1以下に低下している場合は、「著しい機能障害」とされます。表は、28歳であれば25歳の欄を、52歳であれば50歳の欄で確認します。

交通事故と調節機能障害は

① 因果関係

② 労働能力喪失期間
が争点になりやすいです。

①因果関係

医学的には、事故から一定期間おいて調節機能障害が発症することも多いとされています。事故直後から検査を定期的に行っておきましょう。

②労働能力喪失期間

眼の調節機能は加齢とともに自然に衰えますので、裁判でも「いつまでを労働能力喪失期間とするか」で判断が分かれることがあります。喪失期間が67歳まで認められた事例の事由には、「事故から4年以上経過しても著しい調節機能が認められること」があげられています。症状が一貫していることが一つのポイントでしょう。

③運動障害・視野障害|交通事故との因果関係・後遺障害等級は?

運動障害・視野障害の後遺障害等級の定義を確認します。

運動障害

第10級2号:正面を見た場合に複視の症状を残すもの

第11級1号:両眼の眼球に著しい運動障害を残すもの

第12級1号:1眼の眼球に著しい運動障害を残すもの

第13級2号:正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの

注視野

頭部を固定したままで眼球を運動させ、直視できる範囲をさします。

単眼視:約50度

両眼視:約45度

を平均値として考えます。

注視野は「ゴールドマン視野計」で測定します。眼球に著しい運動機能障害を残すものとは、眼球の注視野の広さが2分の1以下に減少したものをさします。

複視とは、眼筋の麻痺によって物が二重に見える状態をさします。

複視

① 本人が複視があることを自覚

② 眼筋の麻痺等複視を残す明らかな原因が認められること

ヘススクリーンテストにより患側の像が水平方向又は垂直方向の目盛りで5度以上離れた位置にあることが確認されること

原則として、これらをいずれも満たすものをさします。

「ヘススクリーンテスト」とは、指標を赤緑ガラスで見たときの片眼の赤像、他眼の緑像から両眼の位置ずれを評価する検査方法。

実際の判例では、これら3つを必ずしも満たさなくても、後遺障害が認定された事例もあります(大阪地方裁判所平成27年6月16日判決)。治療経過などから判断されたものです。被害者の状況や治療の経過を根気よく主張することが大事といえそうです。

次に視野障害の後遺障害等級について確認します。

視野障害

第9級3号:両眼に半盲症、視野狭窄または視野変状を残すもの

第13級2号:1眼の半盲症、視野狭窄または視野変状を残すもの

視野障害には

半盲症

視野狭窄

視野変状

の3つがあげられます。

視野とは1点を見つめているときに、同時に見える広さを言います。「ゴールドマン視野計」で計測します。

以下は、正常視野の角度をまとめたものです。

正常視野の角度
方向 V/4
60
上外 75
95
外下 80
70
下内 60
60
内上 60

8方向の視野の角度の合計が、正常視野の角度の60%以下となった場合をさします。失った視野によって、以下のように呼ばれています。

半盲症:両目の視野の右または左半部を欠損するもの

視野狭窄:視野周辺の狭窄

視野変状:

暗点:盲点以外の病的欠損

視野欠損:網膜の感部に不受部があり視野が欠損

④まぶたの障害|交通事故との因果関係・後遺障害等級は?

まぶたの後遺障害等級の定義を確認します。

まぶたの欠損・運動障害

第9級4号:両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

第11級2号:両眼のまぶたに著しい運動障害をのこすもの

第11級3号:1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

第12級2号:1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの

第13級4号:両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの

第14級1号:1眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの

まぶたの欠損

まぶたを閉じたときに角膜をどれだけ覆うことができるかで判断します。「著しい」は、角膜を完全に覆えないものをさし、「一部」とは、角膜を完全に覆えるが白目が露出している程度のものをさします。

まつげはげ

まつげの生えている部分の半分以上にまつげが見られないことをさします。

運動障害

眼を開けた状態で、瞳孔部を完全に覆ってしまうもの

眼を閉じた状態で、角膜を完全に覆えないもの

交通事故直後に病院で診察を受け、事故の影響を確かめましょう。また、些細なことと思わず、気づいたことは医師に相談しましょう。

⑤外傷性散瞳・流涙|交通事故との因果関係・後遺障害等級は?

外傷性散瞳・流涙

第11級:両眼の瞳孔の対光反射が著しく障害され、著名な羞明を訴え労働に著しく支障をきたすもの

第12級

1眼の瞳孔の対光反射が著しく障害され、著名な羞明を訴え労働に著しく支障をきたすもの

両眼の瞳孔の対光反射はあるが不十分であり、羞明を訴え労働に支障をきたすもの

両眼に常時流涙を残すもの

第14級

1眼の瞳孔の対光反射はあるが不十分であり、羞明を訴え労働に支障をきたすもの

1眼に常時流涙を残すもの

散瞳

瞳孔が過度に拡大されたままの状態をさします。まぶしさや像のぼやけといった症状をきたします。

流涙

外傷により涙路が傷つくことで、断裂したり、狭くなったり、塞がるなどした結果に、涙が眼から流れる状態をさします。

眼に違和感を覚えた場合は、些細なことでも、できるだけ早く医師に症状を伝えましょう。

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交通事故で視力低下…慰謝料の金額は?後遺障害診断書で注意すべきことは?

慰謝料の金額は、相場が最も高い弁護士基準で計算

慰謝料には

自賠責保険の基準

任意保険の基準

弁護士基準

の3つがあります。

慰謝料金額相場の3基準比較

自賠責保険の基準は、被害者への最低限の補償を目的としています。補償上限もあり、相場は3つのうち最も低くなります

任意保険の基準は、自賠責保険の基準よりも慰謝料の相場は少し高くなります。元々、自賠責保険を補うためにあります。

弁護士基準は、裁判でもつかわれている基準です。一般に公表されていますが、加害者側の保険会社は弁護士基準で慰謝料を提案してくることはありません。

加害者側の保険会社から提案された金額は、増額の余地がある
弁護士基準の慰謝料相場が最も高い

慰謝料の3つの基準について詳細は関連記事でも確認できます。

慰謝料相場が最も高い弁護士基準での慰謝料計算は、自動で簡単にできます。それが「慰謝料計算機」です。情報を入力するだけですぐにわかるので、便利です。

慰謝料の金額は、一度示談を取り交わすと、変更することはほぼできません。示談前に確認してください。また、慰謝料計算機の金額でも、個々の事件の事情・背景がすべて反映されているとは限りません。一度、弁護士に相談してみることをおすすめします。

後遺障害等級認定は「後遺障害診断書」が重要

後遺症が残った場合、「後遺障害」として認定されると慰謝料は増えます。認定のためには、医師による「後遺障害診断書」の作成が必要です。

後遺障害診断書作成時には、おさえておきたい後遺障害の4つの要素があります。

後遺障害とは

① 交通事故による傷病が原因

② 医学的治療を継続するなど適切な治療をしたが、症状が残った

③ 将来にわたって回復が難しいとおもわれる肉体的・精神的な症状

④ 症状の存在が医学的に認められ、労働能力の喪失を伴うもの

後遺障害等級認定は書面審査です。4つの要素は書面に盛り込まなくては伝わりません。申請前には、経験豊富な弁護士に診断書内容の確認を依頼して、適正な認定をめざしましょう。

POINT

後遺障害診断書は、提出前に弁護士にチェックしてもらう

後遺障害診断書の書き方については、関連記事でも解説していますので、参考にしてください。

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交通事故による視力低下など後遺障害でお困りの方…ご相談はこちらです

LINE・電話OK|<24時間・365日>無料相談の窓口

アトム法律事務所は「交通事故と刑事事件の地域一番の弁護士事務所として、 相談者のお悩みとお困りごとを解決すること」を目指しています。交通事故の後遺障害認定についても多数の実績がありますので、ご安心ください。

無料相談の受付窓口は24時間365日ご利用いただけます。電話・LINE・メールなど、使いやすい方法でお問い合わせください。混み合う時間帯や土日祝は順番をお待ちいただくこともありますので、早めにご連絡ください。


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まとめ

交通事故で後遺症が残った場合、症状と交通事故の因果関係が争点になりやすいところです。眼に後遺症が残ると、交渉のたびに移動をしたり、書類の準備することも、人一倍の苦労をされることでしょう。移動の危険や書類準備の手間を減らし、なおかつ慰謝料を適正に受けとることができる…。弁護士への依頼を検討してみませんか。

弁護士プロフィール

岡野武志弁護士

(第二東京弁護士会)

全国10事務所体制で交通事故被害者の救済に取り組んでいる当事務所の代表弁護士。2008年の創業以来、幅広い間口で電話・LINE・メール相談などに無料で対応し、2019年現在は交通事故被害者の救済を中心に精力的に活動している。フットワークの軽い行動力とタフな精神力が強み。