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交通事故にあったら慰謝料をもらえるということは何となく知っていても、
などについては詳しくご存知でない方が多いかと思います。
交通事故事件を数多く取り扱うアトム法律事務所の弁護士の解説とともに、慰謝料の基本知識を確認していきましょう。
そもそも、慰謝料とは、以下のように定義されています。
精神的損害の賠償
引用元:有斐閣 法律用語辞典 第5版
交通事故に遭った被害者の方は、苦痛を感じたり、辛い思いをすることになります。
そういった精神的に被った損害を填補し、損害がなかったのと同じ状態にするために支払われる金銭が慰謝料になります。
なお、交通事故が起きたものの、怪我なしだった(物損事故の)場合は、原則として慰謝料は発生しません。
注意しなければいけないのは、交通事故における慰謝料は損害賠償金(示談金)の一部であるということです。
上記の弁護士の解説を図にすると、以下のようになります。
それでは、交通事故の損害賠償金(示談金)には、慰謝料以外にどんなものがあるのでしょうか?
交通事故(人身事故)の損害の種類は大きく以下の表のように分類されます。
財産的損害 | 精神的損害 | |
---|---|---|
積極損害 | 消極損害 |
先ほどお伝えしたとおり、交通事故における慰謝料は、上記の表のうち精神的損害に対する賠償となります。
もっとも、交通事故にあった場合、精神的損害だけでなく、様々な財産的損害も生じることになります。
そういった財産的損害の中でも、その内容によりさらに積極損害と消極損害に分類することができます。
積極損害とは
交通事故によりせざるを得なくなった支出
のことをいいます。
一方、消極損害とは
交通事故により本来得られるはずであった収入や利益の喪失・減少
のことをいいます。
交通事故の損害賠償金には、上記のような財産的損害を填補するために支払われる金銭も含まれることになります。
具体的には、交通事故に遭いけがをした場合、辛い思いをしたことに対する慰謝料だけでなく、
けがの治療のために通院した分の治療費
も別にもらえることになります。
通院した分の治療費は実際の支出を伴うため、治療費は積極損害に対する賠償金ということになります。
積極損害に対する賠償金として、治療費以外にも
などが別にもらえる場合があります。
慰謝料が治療費とは別にもらえるということは
慰謝料の中から治療費を支払う必要はない
ということであり、慰謝料はそれ以外の目的のために使うことができます。
ただし、症状固定後の治療費は、損害賠償金としてもらうことはできません。
症状固定とは、治療の効果が期待できなくなった状態のことをいいます。
そのため、症状固定後(通院の打ち切り後)も治療を続ける場合、その治療費は慰謝料などから支払う必要があります。
また、交通事故のけがが原因で仕事を休業しなければならなくなった場合、辛い思いをしたことに対する慰謝料だけでなく、
休業したことによる財産的損害(休業損害)を補填するための休業補償
も別にもらえることになります。
休業補償とは本来得られるはずであった収入に対する補償のため、休業補償は消極損害に対する賠償金になります。
消極損害に対する賠償金として、休業補償以外にも
逸失利益
などが別にもらえる場合があります。
慰謝料が休業補償とは別にもらえるということは
交通事故により仕事を休んだ場合、収入減以上の損害賠償金をもらえる
ということになります。
このことは、一見すると交通事故の被害者が得をしているようにも見えるかもしれません。
しかし、交通事故により仕事を休まざるを得ない被害者は、
収入減という財産的損害だけでなく、その間に痛い思いをし、治療のため通院しなければいけない等の精神的損害を被る
ことになり、休業による収入の減少を補填しただけでは、被害者の精神的損害が補填されたことにはなりません。
つまり、慰謝料を休業補償とは別にもらうことではじめて、被害者の損害全体が補填されたことになるといえます。
ここまでお伝えしてきた、慰謝料に関する基礎知識①をまとめると以下のようになります。
続いて、交通事故の慰謝料に関する基本知識として知っておいて欲しいことは
交通事故の慰謝料には
の3種類がある
ということです。
3種類の慰謝料の内容について簡単にお伝えしていきたいと思います。
交通事故でけがをすると、
といった精神的損害を受けることになります。
このような精神的損害を補填するために支払われるのが、傷害慰謝料です。
交通事故によるけがが原因で後遺障害が残ってしまうと、
といった精神的損害を受けることになります。
このような精神的損害を補填するために支払われるのが、後遺障害慰謝料です。
交通事故が原因で死亡してしまうと、
といった精神的損害を受けることになります。
このような精神的損害を補填するために支払われるのが、死亡慰謝料です。
なお、交通事故の慰謝料は1種類だけでなく、2種類もらえる場合もあることには注意が必要です。
具体的には
の2種類がもらえる場合が考えられます。
なお、お伝えしてきた内容を表にまとめると以下のようになります。
種類 | 精神的損害の原因 | 精神的損害の内容 |
---|---|---|
傷害慰謝料 | けが | ・肉体的苦痛を感じた生活 ・治療に時間を取られ行動が制約 |
後遺傷害慰謝料 | 後遺障害の残存 | ・肉体的苦痛を感じた生活 ・日常生活における不便 |
死亡慰謝料 | 被害者の死亡 | ・生命を奪われた無念 ・家族を失った悲しみ |
※1種類だけでなく2種類もらえるような場合もある
次に、交通事故の慰謝料に関する基本知識として知っておいて欲しいことは
交通事故の慰謝料の計算方法は種類により違う
ということです。
具体的な3種類の慰謝料の計算方法について簡単にお伝えしていきたいと思います。
先ほどお伝えしたとおり、傷害慰謝料は
ことに対する精神的損害の補填のために支払われる金銭です。
そこで、交通事故の傷害慰謝料は
治療のための入通院日数・期間(リハビリ含む)を基礎に計算
することになっています。
入通院の期間中は、肉体的苦痛を感じて生活していることになるため、基本的には入通院期間を基礎に計算します。
ただし、通院日数が少ない場合には、上記の②の精神的損害の側面が小さいことになります。
そのため、通院の期間に比べ、通院日数が少ない場合には、傷害慰謝料が少なく計算されてしまう場合があります。
また、同じ交通事故のけがでも、むちうちや打撲と骨折等とでは、肉体的苦痛の程度が異なります。
そのため、交通事故のけがの症状に応じて計算の方法が変わる場合もあります。
交通事故の後遺傷害慰謝料は、原則、事故による後遺症の内、後遺障害として認定されたものに対し支払われます。
そして、交通事故における後遺障害は、障害の内容や程度に応じ、1級~14級までの等級が定められています。
後遺障害慰謝料は
認定された等級を基礎に計算
することになっています。
交通事故の慰謝料は後遺障害なし(非該当)と判断された場合には、たとえ後遺症が残っていても受け取れません。
もっとも、その場合でも傷害慰謝料は受け取れることになります。
交通事故の慰謝料を多く貰うには、後遺障害等級の適切な認定を受けることが重要になってきます。
そして、死亡慰謝料は
被害者の立場を基礎に計算
することになっており、具体的には
などを考慮して計算することになっています。
人の生命は平等であり、その生命が奪われたことに対する精神的苦痛は皆同じです。
もっとも、家族を養っていた一家の支柱が死亡した場合
から、他の場合の死亡慰謝料に比べて高く計算される傾向にあります。
お伝えしてきた内容を表にまとめると以下のようになります。
種類 | 計算の基礎 | 備考 |
---|---|---|
傷害慰謝料 | 入通院日数・期間 | ・通院日数が少ないと減額 ・怪我の症状に応じ増減額 |
後遺傷害慰謝料 | 後遺障害の等級 | ・非該当だと原則受け取れない ・後遺障害なしでも傷害慰謝料は受け取れる |
死亡慰謝料 | 被害者の立場 | ・扶養家族いると高く計算 ・遺族の数や家事労働の有無が影響する場合も |
もっとも、交通事故の慰謝料の相場金額は、同じ種類の慰謝料でも用いられる基準により大きく変わります。
さらに、知っておいてほしい基礎知識は、交通事故の慰謝料の計算に用いられる基準には
の3種類があり、慰謝料の相場は、どの基準を用いて計算されるかで大きく変わるということです。
ここからは各基準ごとの相場をお伝えしていきたいと思います。
傷害慰謝料の計算は、自賠責基準の場合以下のように行われます。
のいずれか少ない方に、日額4200円をかけた金額
つまり、慰謝料との関係だけでいえば、通院は
毎日ではなく、月に15日
あれば足りることになります。
もっとも、あくまで通院の必要性があることが前提になります。
通院の必要性がないにもかかわらず、過度に通院した場合
というリスクがある点には注意しましょう。
また、傷害慰謝料が上記の計算式どおりに受け取れるのは
治療費や休業補償等を含めた傷害による損害賠償金の総額が120万円以内の場合のみ
であることにも注意する必要があります。
後遺障害慰謝料の相場は、自賠責基準の場合、等級に応じて以下のように定められています。
等級 | 慰謝料 |
---|---|
第1級(別表第1) | 1600万(1800万) |
第2級(別表第1) | 1163万(1333万) |
第1級(別表第2) | 1100万(1300万) |
第2級(別表第2) | 958万(1128万) |
第3級 | 829万(973万) |
第4級 | 712万 |
第5級 | 599万 |
第6級 | 498万 |
第7級 | 409万 |
第8級 | 324万 |
第9級 | 245万 |
第10級 | 187万 |
第11級 | 135万 |
第12級 | 93万 |
第13級 | 57万 |
第14級 | 32万 |
※( )の金額は被扶養者がいる場合
なお、後遺障害慰謝料を自賠責保険から上記以上の金額でもらうことはできません。
また、後遺障害の等級が認定された場合、自賠責保険からは、上記の後遺傷害慰謝料に加えて
後遺障害逸失利益
も受け取ることができます。
ただし、後遺障害による損害に対し支払われる自賠責保険金には等級ごとに限度額がある点には注意しましょう。
死亡慰謝料の相場は、自賠責基準の場合、遺族の数や被扶養者の有無に応じて以下のように定められています。
被害者本人一律 | 遺族 | 被扶養者がいる場合 | |
---|---|---|---|
350万円+ | 1人 | 550万円 | +200万円 |
2人 | 650万円 | ||
3人以上 | 750万円 |
上記の表の「遺族」に該当するのは、被害者の
になります。
また、交通事故で被害者が死亡した場合、自賠責保険からは、上記の死亡慰謝料に加えて
も受け取ることができます。
ただし、死亡による損害に対し支払われる自賠責保険金は、合計で3000万円という限度額がある点は注意しましょう。
自賠責保険は、交通事故の被害に遭った方に対する損害の填補を最低限度保障するために加入が強制される保険です。
そのため、交通事故の慰謝料の相場は、自賠責基準が一番低額になっています。
ただし、自賠責保険では、交通事故の被害に遭った者の最低限度の損害の填補という目的を実現させるため
過失割合が7割未満の場合は過失相殺しない(7割以上でも過失相殺を限定的にする)
という取り扱いをしています。
その結果、交通事故で受け取れる慰謝料につき、過失割合が大きい場合、自賠責基準の方が高額になる場合もあります。
自賠責保険の慰謝料については、アトム法律事務所代表の岡野武志弁護士が監修した下記記事も参考にしてみて下さい。
傷害慰謝料は、任意保険基準の場合、以下の計算表に記載された金額が相場となります。
縦の通院期間と横の入院期間の交差した所の金額が傷害慰謝料の相場となります。
たとえば、通院7ヶ月、入院1ヶ月の場合は、89万5000円になります。
ただし、通院日数が少ない場合は、上記の計算表の金額から減額される場合があります。
一方、骨折などの重症の場合には、上記の計算表の金額から増額する場合があります。
後遺障害慰謝料は、任意保険基準の場合、等級に応じて以下のように相場が定められています。
等級 | 慰謝料 |
---|---|
第1級(別表第1) | 1600万~1800万 |
第2級(別表第1) | 1163万~1333万 |
第1級(別表第2) | 1300万 |
第2級(別表第2) | 1120万~1128万 |
第3級 | 950万~973万 |
第4級 | 800万 |
第5級 | 700万 |
第6級 | 600万 |
第7級 | 500万 |
第8級 | 400万 |
第9級 | 300万 |
第10級 | 200万 |
第11級 | 150万 |
第12級 | 100万 |
第13級 | 60万 |
第14級 | 40万 |
なお、後遺障害の等級が認定された場合、自賠責同様、任意保険からも上記の後遺傷害慰謝料に加えて
後遺障害逸失利益
を受け取ることができます。
上記の後遺障害慰謝料の金額は、任意保険の基準の場合あくまで相場であり、増額できる余地もあります。
一方で、上記の金額以下しかもらえない可能性もあります。
死亡慰謝料は、任意保険基準の場合、被害者の立場に応じて以下のように相場が定められています。
被害者の立場 | 慰謝料の相場 |
---|---|
一家の支柱 | 1700万 |
母親、配偶者 | 1400万 |
その他 | 1200万〜1450万 |
任意保険は、自賠責保険でカバーしきれない部分の支払いに備えて、車両の保有者が任意に加入する保険になります。
そのため、慰謝料の相場は、自賠責基準よりも任意保険基準の方が高額になっています。
もっとも、任意保険会社は営利企業のため、慰謝料などの支払を極力抑えようとします。
その結果、任意保険基準の相場は自賠責基準に若干上乗せさせた程度になっています。
任意保険基準の慰謝料については、アトム法律事務所代表の岡野武志弁護士監修の下記記事も参考にしてみて下さい。
傷害慰謝料の相場は、弁護士基準の場合、症状に応じて計算表を使い分けています。
むちうち・打撲などの軽症の場合には、以下の表が用いられます。
この場合は、以下の表が用いられます。
縦の通院期間と横の入院期間の交差した所の金額が傷害慰謝料の相場となります。
たとえば、むちうちで通院7ヶ月、入院1ヶ月の場合は、119万円になります。
ただし、通院日数が少ない場合は、実通院日数の3〜3.5倍を通院期間として慰謝料を計算することがあります。
もっとも、上記のような修正をするのは、通院期間が長期にわたる場合の例外です。
弁護士基準の場合、あくまで原則は通院期間を基礎に計算するという点は覚えておきましょう。
後遺傷害慰謝料の相場は、弁護士基準の場合、等級に応じて以下のように定められています。
上記の後遺障害慰謝料の金額は、弁護士基準の場合もあくまで相場であり、増額できる余地もあります。
一方で、裁判になった場合などには、上記の金額以下しかもらえない可能性もあります。
死亡慰謝料は、弁護士基準の場合、被害者の立場に応じて以下のように相場が定められています。
被害者の立場 | 慰謝料の相場 |
---|---|
一家の支柱 | 2800万 |
母親、配偶者 | 2500万 |
その他 | 2000万〜2500万 |
弁護士基準は、過去の交通事故の裁判例を調査・分析して作成された慰謝料などの損害賠償額の基準であり、
民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(通称「赤い本)
に掲載されています。
そのため、弁護士基準は、裁判基準とも呼ばれ、裁判の場においても用いられています。
慰謝料の相場は、弁護士基準の金額が一番高額になっています。
そして、弁護士基準の慰謝料は過去の裁判例を基礎に定められたものであることから
弁護士基準の慰謝料が本来あるべき慰謝料の金額
であるといえます。
弁護士基準の慰謝料については、アトム法律事務所代表の岡野武志弁護士監修の下記記事も参考にしてみて下さい。
慰謝料の相場は、どの基準を用いて計算するかで大きく変わることがお分かりいただけたかと思います。
ここでは、より具体的なイメージを掴んで頂くため、主婦を例にして各基準ごとの慰謝料を比較してみたいと思います。
代表的なケースの慰謝料を比較した表が以下のものになります。
ケース | 自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|---|
通院3ヶ月 (実通院30日) |
25.2万 | 37.8万 | 53万※1 |
通院6ヶ月 (実通院60日) |
50.4万 | 64.3万 | 89万※1 |
後遺障害14級 | 32万 | 40万 | 110万 |
死亡 | 900万※2 | 1400万 | 2500万 |
※1 むちうちの場合
※2 夫のみで、父母、子がいない場合
上記の表をご覧頂ければ、慰謝料の相場が弁護士基準とその他の基準とで大きな差があることがわかるかと思います。
交通事故の慰謝料相場については、以下の記事も参考にしてみて下さい。
交通事故(後遺障害・死亡事故)の慰謝料相場の詳細はこちら↓↓↓
交通事故の慰謝料を計算するのには手間が掛かります。
さらに、実際の加害者側への請求には、慰謝料以外に休業補償、逸失利益等も計算する必要があり、より面倒です。
そこで、おすすめなのが以下の慰謝料計算機です。
いくつかの項目を入力するだけで、簡単に弁護士基準の慰謝料を含む損害賠償金の相場を確認することができます。
面倒な登録手続きなども不要ですので、ぜひお気軽にご利用してみて下さい。
注意しなければいけないのは、上記の慰謝料計算機で確認できるのは、あくまで一般的な相場であるという点です。
実際に受け取れる慰謝料の相場は、被害者の方の個々の事情により違いがある可能性があります。
より正確なご自身の慰謝料の相場を知りたいという方は、弁護士に相談してみるのが確実といえます。
最後に、知っておいてほしい基礎知識は
交通事故の慰謝料がもらえるのは原則として示談が成立してから
であるという点です。
一見当たり前のことと感じられるかもしれませんが、
については、よくご存知でない方もいらっしゃるかと思われますので、こちらの記事でしっかり確認しておきましょう。
まず、気を付けなければいけないのは
示談後、実際に慰謝料が振り込まれるまでには数週間かかる
という点です。
示談成立後、実際に慰謝料が振り込まれるまでには
という手続きを経る必要がある結果、数週間かかってしまいます。
そのため、慰謝料をあてにした支出の予定を立てることには慎重になる必要があります。
また、慰謝料をできるだけ早くもらいたいという方は、示談書をすぐに返送する必要があります。
ただし、原則として示談後の追加の慰謝料請求は不可能なので、示談書の内容はよく確認することが重要です。
慰謝料をできるだけ早くもらうためには、まず示談交渉を素早く開始する必要があります。
そして、示談交渉の開始可能時期は慰謝料の種類により違いがあります。
具体的には、以下の表のとおりです。
慰謝料の種類 | 開始可能時期 |
---|---|
傷害慰謝料 | 治療終了時 |
後遺障害慰謝料 | 後遺障害認定時 |
死亡慰謝料 | 死亡時※ |
※実際は49日法要後の開始が多い
各慰謝料の示談交渉はそれぞれ別の時期に行うこともできます。
後遺障害の認定前に傷害慰謝料を先行して示談することも可能です。
ただし、後遺障害の申請をしている場合、その結果が出るまでは傷害慰謝料の示談交渉に応じてもらえない場合もあります。
また、後遺障害の認定前に傷害慰謝料を先行して示談する場合、示談書に
後遺傷害慰謝料については別途協議する
といった一文を入れておくと、その後の後遺障害慰謝料の示談交渉の際に、不要なトラブルを防ぐことができます。
お伝えしたとおり、慰謝料がもらえるのは、原則として加害者側の任意保険会社と示談した後になります。
もっとも、例外的に慰謝料等の前払いを請求する方法があります。
具体的には、以下の表のとおりです。
請求先 | 方法 | 注意点 |
---|---|---|
自賠責保険 | ・被害者請求 ・仮渡金請求 |
・限度額がある ・仮渡金請求は1回のみ |
被害者側任意保険 | ・人身傷害保険 ・搭乗者傷害保険 |
・保険の内容次第 |
加害者側任意保険 | ・内払いの交渉 | ・法的権利でない |
自賠責保険への仮渡金請求は、迅速にお金を受け取れますが、1回のみで、その金額も比較的少額です。
被害者側任意保険への請求が可能かどうかは、保険の内容次第であり、必ず請求できるわけではありません。
加害者側任意保険への内払いの交渉は、相手方が拒否した場合、支払いを強制することはできません。
このように、慰謝料などを前払いで受け取れる可能性はあるものの、それをあてにしすぎない方がよいでしょう。
最後に、交通事故慰謝料に関して知っておくべき基本的知識をもう一度確認しておきましょう。
交通事故において、慰謝料は非常に重要な事柄であるといえます。
上記の5つの基本的知識を覚えておけば、慰謝料について損をする可能性や不利益を受ける可能性が低くなるでしょう。
慰謝料請求は、こちらの記事をよく確認されてから臨まれることをおすすめします。
とはいっても、交通事故の慰謝料に関する問題は様々です。
実際に慰謝料を請求する場面になった場合、よくわからないことが出てくることもあるかと思います。
そんなときは、まず弁護士の無料法律相談を利用してみましょう。
アトム法律事務所では、交通事故被害者のための法律相談を受け付けています。
電話相談だけでなく、LINEからの相談もお受けしていますので、ぜひお気軽にお問合せください。
岡野武志
交通事故において、慰謝料がいくらもらえるかは関心を持たれている方も多いかと思われます。
もっとも、慰謝料について何も知らないと、損をしてしまったりするなど様々な不利益が生じてしまう可能性があります。
そこで、交通事故被害者の方に、まずはじめに知っておいてほしい、慰謝料に関する5つの基本知識をご紹介します。