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作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
交通事故で失明してしまった…。失明は交通事故の重い後遺症のひとつで、被害者の方の生活を一変させてしまいます。
弁護士が、交通事故による失明の「後遺障害等級」、「慰謝料」、「後遺障害診断書」のポイントを解説します。生活のためにも、一緒に適切な補償を求めていきましょう。
目次
交通事故の結果、後遺症が身体に残った場合、後遺障害として認めてもらうことで、補償が受けられます。
よく「後遺症とどう違う?」という話を耳にしますが、後遺症のうち、次の4つを満たすものを「後遺障害」といいます。
(1)交通事故による傷病が原因
(2)医学的治療を継続するなど適切な治療をしたが、症状が残った
(3)将来にわたって回復が難しいとおもわれる肉体的・精神的な症状
(4)症状の存在が医学的に認められ、労働能力の喪失を伴うもの
後遺障害は、障害の内容によって1級~14級までで分けられています。数字が小さいほど、傷害の程度が重いものになります。
眼の後遺障害は、後遺障害等級上では
の3つに大別されています。
失明は眼球の後遺障害・視力障害のひとつです。
当てはまる状態を失明といいます。
眼の後遺障害は、失明の状態が両目なのか・片眼なのかと、片眼の場合は、もう片方の眼の視力はいくらかで等級が分かれます。
失明に関する後遺障害等級をまとめた次の表をみてみましょう。
第1級 |
---|
両目が失明したもの |
第2級 |
1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの |
第3級 |
1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの |
第5級 |
1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの |
第7級 |
1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの |
第8級 |
1眼が失明したもの |
後遺障害等級は第1級~第8級まで広いものの、少なくとも8級となります。いずれも重い後遺障害であることに変わりはありません。
他眼の視力は、原則、「万国式試視力表」によって測定します。同等の測定方法であれば、この限りではありません。
眼の後遺障害や検査方法は下記のページでも詳細に解説しています。症状別に分かれていますので、あわせて読んでみてください。
慰謝料で気を付けたいことは、加害者側の保険会社から提案された金額をそのまま受け入れないことです。
慰謝料の計算は、3つの基準があります。
①自賠責保険の基準
車の運転者に加入義務のある「自賠責保険」での計算基準
補償内容には上限があり、被害者救済の最低限の補償が目的
②任意保険の基準
車の運転者が任意で加入する「任意保険」での計算基準
補償内容は保険ごとに設定されています。
交通事故の賠償は「自賠責保険」だけでは足りないこともあるので、自賠責保険で足りない部分の補てんが目的
※任意保険に加入していない車は「無保険車」とも呼ばれます。
2つの保険の関係は、このようなイメージです。
最も慰謝料の相場が高い弁護士基準を確認してみましょう。
③弁護士基準
裁判で使われる計算基準
弁護士が加害者側と示談する時にもこの基準を用います。
弁護士基準で慰謝料を計算しないと「受けとれるはずの金額」からずいぶん低い金額を受けとることになります。それは、加害者側の保険会社は弁護士基準での慰謝料提案はしないからです。自賠責保険や自社保険(任意保険)で算出した金額を、被害者に提案します。
示談を取り交わすと、後から変更するのは難しくなります。示談前にひと呼吸おいて、「本当にこの金額は適正かな?」と立ち止まってください。
一度、次に紹介する慰謝料計算機を使ってみませんか?
被害者が受けとる金額(賠償金)は、計算式が非常に複雑です。そこで、慰謝料などが簡単にわかる慰謝料計算機を活用しませんか。情報を入力するだけで、自動計算が可能です。
慰謝料計算機の金額は「目安」と考えてください。
経験豊富な弁護士に相談・依頼を検討してみませんか?
被害者から個別にお話を伺い、弁護士が示談交渉をします。
両目の失明は後遺障害等級「第1級」です。
1級 |
---|
✔両目が失明したもの ✔労働能力喪失率:100/100 ✔後遺障害慰謝料 ・自賠責保険基準:1,100万円 ・弁護士基準:2,800万円 |
慰謝料の差は1,700万円です。やはり、弁護士基準の慰謝料相場は他の基準よりはるかに高い金額といえます。
後遺障害等級1級・両目の失明の場合、後遺障害慰謝料は弁護士基準で<2,800万円>です。
ほかにも、加害者側から受けとる賠償金としては
などが、別途支払われます。
入通院慰謝料や休業損害、逸失利益などは、加害者側と意見が食い違いやすい部分です。適正に認められるよう、示談交渉の専門家である弁護士に任せるほうがよいでしょう。
日本盲導犬協会によると、現在日本には942頭の盲導犬が仕事をしています(2017年3月末の頭数)。
今回は、交通事故が原因で両目を失明した損害賠償案件をとりあげます。後遺障害等級1級について認められ、盲導犬に関する費用(544万7,532円)の支払いが認められた事例です。
▶加害者に相当過失のある交通事故で両目の失明という後遺障害を負った。
▶被害者は視覚障害以外、全身的運動機能等に異常がなかった。
▶早期の社会復帰のために、医師のすすめを受け、自ら盲導犬協会にて訓練を受けた。
▶盲導犬の助けを借りながら大学へも復学、一人で通学が可能。
▶就労意欲も十分にあり、上記の背景からそれらは不可能ではないと認められる。
生涯わたつて労働能力を一〇〇パーセント喪失したものと認めるのは相当でなく、後記のように社会復帰の費用を相当損害として加害者に負担させることとの関係においても、労働能力の喪失を控え目にみて全稼働期間を通じて八〇パーセント程度に限定するのが相当であると判断する。
引用元:東京地方裁判所 昭和60年(ワ)第658号 損害賠償請求事件 昭和61年5月15日
慰謝料は当時の弁護士基準で算出し、さらに、盲導犬の費用を認めました。一方で、盲導犬の存在が、社会復帰(就労含む)を助けるものとして十分な役割を果たしており、労働能力喪失率は100%ではなく80%とされました。
被害者の努力と、説得的な主張が、この結果に結びついたと言えるでしょう。つまり、盲導犬の費用がすべてにおいて認められるということではないのです。
交通事故で片眼を失明した場合、等級表上では、2級・3級・7級・8級に区分されます。慰謝料の基準も併せてまとめました。
2級 |
---|
✔1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの ✔労働能力喪失率:100/100 ✔後遺障害慰謝料 ・自賠責保険基準:958万円 ・弁護士基準:2,370万円 |
3級 |
✔1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの ✔労働能力喪失率:100/100 ✔後遺障害慰謝料 ・自賠責保険基準:829万円 ・弁護士基準:1,990万円 |
5級 |
✔1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの ✔労働能力喪失率:79/100 ✔後遺障害慰謝料 ・自賠責保険基準:599万円 ・弁護士基準:1,400万円 |
7級 |
✔1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの ✔労働能力喪失率:56/100 ✔後遺障害慰謝料 ・自賠責保険基準:409万円 ・弁護士基準:1,000万円 |
8級 |
✔1眼が失明したもの ✔労働能力喪失率:45/100 ✔後遺障害慰謝料 ・自賠責保険基準:324万円 ・弁護士基準:830万円 |
失明するほどの衝撃を身体に受けた場合、眼以外にも何らかの影響が出ることが多いでしょう。両目の失明については、他がどんな後遺障害でも「第1級(一番重い)」とされますが、片眼のみの場合は次の「併合」ルールをおさえておきましょう。
系列がちがう複数の後遺障害が残った場合、後遺障害等級を「併合」して1つの等級とする考え方
なお、「併合」はすべての場合に当てはまるわけではありません。また、後遺障害等級には、「組み合わせ」、「相当」、「加重」など他の考え方もあります。
交通事故によって複数の後遺障害をおったり、もともと何らかの後遺障害を持っている方は、ぜひ個別に弁護士にご相談ください。本記事の後半に、無料の相談窓口を紹介しています。
後遺障害等級認定の申請には、医師作成の後遺障害診断書が必要です。
後遺障害等級認定は書面審査です。失明という後遺症が「後遺障害」であることを、以下の4つを基本として主張していきましょう。
記事の冒頭で解説した、後遺障害の4つの要素を振り返りましょう。
また、次の内容も交通事故との因果関係を示すには大切なポイントです。
後遺障害診断書は、認定申請前に、弁護士に内容を確認してもらうこともできます。関心のある方は、この記事の末部にある「アトム法律事務所」への依頼を検討してください。交通事故の解決実績が豊富な法律事務所なので、ご安心いただけると思います。
後遺障害診断書の書き方や気を付けたいポイントは、次の記事でも解説しています。参考にしてください。
後遺障害診断書の関連記事はこちらです
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失明してしまうと、示談交渉以前に、まず生活面で苦心されるでしょう。示談交渉は弁護士に依頼することをおすすめします。弁護士に依頼することで、事務手続きや書類作成・収集の手間が軽減できます。被害者の方や被害者を支えるご家族・周りの方々には、余計なストレスなく、リハビリや身体のケアへの集中してほしいと考えています。
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(第二東京弁護士会)
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失明は、①眼球を亡失(摘出)したもの②明暗の区別がつけられないもの③なんとか明暗の区別が分かる程度のもの④暗室にて眼前で証明を点滅させ明暗がわかること(光覚弁)⑤手掌を眼前で上下左右に動かし動きの方向がわかること(手動弁)のいずれかに当てはまっているものです。後遺障害等級は、失明が「片眼か両目か」「もう片方の視力」などで分かれます。詳細は以下をご覧ください。 失明の定義と失明の後遺障害等級
慰謝料算定には3つの基準①自賠責保険の基準②任意保険の基準③弁護士基準があります。最も相場の高くなる算定基準は弁護士基準で、最も相場が低くなるのが自賠責保険の基準です。たとえば後遺障害1級(両目の失明)では、弁護士基準:2800万円となり、自賠責保険の基準:1100万円となります。その他の後遺障害等級でも同様に金額差が発生します。 自賠責保険と弁護士基準の慰謝料の差は?
盲導犬に関する費用(544万7532円)が認められた事例があります。しかし、この事例で盲導犬費用が認められたからといって、すべての交通事故に当てはまるわけではありません。認められる見込みなどは、個別に弁護士に相談・依頼することをおすすめします。 <事例>盲導犬費用が認められたケース
認定審査は書面で行われるので、後遺障害診断書などの提出書類が重要です。失明が「後遺症」にとどまらず「後遺障害」であると示すことは欠かせません。そのためには、「①交通事故に原因があること」「②将来にわたって回復が難しいとおもわれる肉体的・精神的な症状であること」などをはじめとした<4つのポイント>を主張しましょう。 後遺障害認定の4つのポイント