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作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
眼窩底骨折(がんかていこっせつ)・眼底骨折で後遺症は残るのか、慰謝料はいくらもらえるのか、後遺障害に認定されるのかなどを中心に解説します。被害者の年齢によって痛みの感じ方や手術の緊急性が異なりますので、特に、被害者が若かったり、子どもの場合は要注意です。
順番にみていきましょう。
目次
眼窩底骨折はどのように発生するのでしょうか?まずは眼窩底骨折とはどのようなケガなのか、確認してみます。
外部から顔面部への強い衝撃により、多くは眼窩の下壁や内側壁が骨折するという病態。眼窩内組織の脱出が起こり、眼球運動障害や複視などの症状が起こり得る。眼窩の下壁の骨折では、成人の多くは完全に骨が折れて開放状態となるが、これを吹き抜け骨折ともいう。
引用元:https://xn--u9j691gec093ctth6wjxm1eg0h.jp/db/s/gankakossetsu/
<眼窩底骨折の症状例>
眼部腫脹
眼球運動時の痛み
眼球運動障害
知覚異常
複視
視力低下
鼻出血
症状は多岐にわたって発現します。
特に、眼窩底骨折では被害者の年齢によって対応の仕方が大きく異なります。
20歳以下の若年者の場合は強い痛みや吐き気を訴える場合がある
鼻をかんではいけません(その他注意事項は必ず医師の指示に従ってください)
成長途中の骨は柔らかいので、ポキンと折れきらずに不完全な骨折になります。そして、不完全な骨折に眼球付属組織が挟まれることで、強い痛みや吐き気をもよおします。閉鎖型眼窩骨折とも呼ばれ、緊急度の高い状態といえます。
若年者の眼窩底骨折の緊急度が高い理由には、次のような背景があります。
挟まれた組織の程度次第で高度な眼球運動障害、複視をきたし、時間の経過とともに挟まれた組織には虚血による障害が進行してしまうため、手術時期が遅れると眼球運動障害が後遺症として強く残ることがあります。
引用元:http://www.hiroshima.med.or.jp/pamphlet/345/iii-9.html
吐き気を被害者が訴えた場合、まず頭部のCT検査を行うことが多いです。しかし、頭部のCT検査で異常が確認されなくても、閉鎖型眼窩骨折による吐き気の可能性があります。特に、被害者が子どもの場合は、「痛み」や「どこを打ったか」など、正確に言葉にできないことも考えられます。医師と連携し、丁寧かつ迅速な対処が必要でしょう。
骨は成長にしたがって硬くなりますので、大人の場合、眼窩底の骨は完全にポキンと折れます。開放型眼窩骨折といいます。先ほど若年者で解説したような「不完全な骨折」による組織圧迫は起こりづらいので、事例にもよりますが、若年者と比較して処置の緊急度は下がると言われています。
しかし、個人差はもちろんあります。眼窩底骨折を負った方のブログからコメントを抜粋しています。交通事故の治療は、事故当日の通院が原則です。自己判断は避けるようにしましょう。
眼窩底骨折は、交通事故だけでなく、スポーツでも起こりやすいケガです。眼窩底骨折を負ってしまったご本人のブログでは、次のようなコメントが見られました。
昨日試合のあとすぐに病院に直行して検査した結果『眼窩底骨折』という診断結果でした。今後については今週に再検査してどうするかを決めていくことになります。顔はいつもより少しだけブサイクになっているだけなのでたいしたことなさそうです。笑
引用元:https://lineblog.me/kobayashi_yu/archives/2018-11.html?p=4
昨日の後楽園大会の試合で眼窩底骨折を発症しました。幸い手術の必要はないとの事ですのでご安心ください。
引用元:http://spora.jp/doinaruki/posts/43275
やった後、頭痛、吐き気、発熱に襲われ、死を覚悟したのを覚えています。笑 ご存知の通りピンピンしておりますが、あの痛みは忘れられないですね(絵文字) 練習復帰まで2ヶ月。違和感が無くなるまで半年程だったと思います。
引用元:http://psogkb.com/blog/archives/2107
ケガ・痛みの発現には個人差があります。自己判断せず、病院に必ず行きましょう。そして、眼窩底骨折のひとつの特徴として「被害者の年齢によっても症状に違いが出やすいこと」は念頭においておきましょう。
眼窩底骨折の手術について調べてみると、次のような意見が見られました。
「複視」があるからといって、必ず手術が必要ではありません。
ご本人が、そのままで不自由がなければ、手術をせずに、経過をみることになります。
不自由が強い場合には、手術治療が必要になります。
引用元:http://olympia.net/faq/faq-468/#
小さいお子さんの場合は即日手術が必要なことがありますが、通常は2週間程度のリハビリを行い、改善しない場合に手術対象となります。
引用元:http://hospital.iuhw.ac.jp/clinic/keiseigeka/kossetsu.html
大人では、複視・眼球陥凹の程度により手術を行うがどうか決定します。小児では、激しい嘔気、目眩を認めることがあり、この場合は緊急手術が必要になります。
引用元:https://www.jichi.ac.jp/keisei/surgery/disease16.html
一般的には、年齢や被害者の様子をみて判断がなされるようですが、被害者が若年層であれば緊急度が高いということでしょう。
複視症状などの機能的改善と眼球陥凹などの整容的な要素の改善が目的となる。手術療法としては、歯齦部、瞼縁、結膜、眼窩内側、経結膜のどこから切開をするか、あるいは鼻内から内視鏡を用いるのかなどアプローチの仕方に種類がある。さらに骨折の整復・固定法にも種類があり、骨折の態様ごとに適切なものを選択する必要がある。
引用元:https://xn--u9j691gec093ctth6wjxm1eg0h.jp/symptom/gankakossetsu/
医師と相談しながら手術の方向性も定めていく必要があります。
交通事故後の通院については、以下の関連記事でも解説していますので、参考にしてください。
さきほどから何度か出ている複視は、眼窩底骨折の代表的な後遺症のひとつです。複視とはどのような状態でしょうか。
2つの眼球の向きが同じ方に向かないために、像が左右の眼の対応点でない部位に投影されて、二重に像が見える状態
複視の原因には、眼筋自身に原因がある場合と、眼筋を動かす脳神経に原因がある場合とがあります。まずは、複視を引き起こしている原因を探ることが必要でしょう。医師と相談しながら、有効な治療やリハビリを見つけていくことになります。
複視は、自然に治癒することもあるようです。しかし、残念なことに全員が完治するわけではありません。
慰謝料は加害者から受けとる損害賠償の一部なのです。
眼窩底骨折で被害者が受ける損害賠償の内訳をみていきましょう。
治療費:眼窩底骨折の治療費用
通院交通費:眼窩底骨折治療のために通院した交通費
入院雑費:眼窩底骨折の治療や手術などの入院費用等
休業損害:眼窩底骨折の被害を受けたことで休業した期間の収入減額分の補償
入通院慰謝料:入院や治療で受けた精神的苦痛に対する慰謝料
その他:診断書の作成や資料の収集にかかった費用など
逸失利益:後遺障害がなければ将来得られたはずの収入から減額した収入への補償
後遺障害慰謝料:後遺障害で受けた精神的苦痛に対する慰謝料
後遺障害部分の補償は、眼窩底骨折の後遺症が「後遺障害」と認められた場合に発生します。
⇒後遺障害と認定されると、慰謝料など被害者が受けとる補償の増額が見込めます。
「後遺障害」は後遺症の中のひとつで、一定の要件を満たした後遺症といえます。後遺症と後遺障害の違いを確認し、後遺障害として認定されるための方法をみていきます。
ぞれぞれの意味を確認しておきましょう。
病気やケガが直っても、そのあとまで影響が残る症状をさします
後遺症の中でも、次の4つに当てはまるものを後遺障害といいます。
(1)交通事故による傷病が原因
(2)医学的治療を継続するなど適切な治療をしたが、症状が残った
(3)将来にわたって回復が難しいとおもわれる肉体的・精神的な症状
(4)症状の存在が医学的に認められ、労働能力の喪失を伴うもの
後遺障害認定のフローは次のとおりです。
治療後の段階に症状固定があります。症状固定以降について順番にみていきましょう。
傷病の治療を進めてきたけれども、これ以上治療を続けても症状の改善がみられない状態をさします。
例えば、眼窩底骨折そのものは治ったけれども複視や眼球の運動障害がのこっている状態で、今後リハビリなどを続けても、症状の改善が期待できないと判断される場合などです。症状固定のタイミングは医師の見解が尊重されます。
症状固定になったら、次は後遺障害診断書の作成にうつりましょう。
医師に後遺障害診断書を作成してもらいましょう。医師だけが作成できる、後遺障害認定に必要な書類です。
後遺障害診断書は、後遺障害等級として認定されるかを左右する重要な書類といえるでしょう。後遺障害認定は、原則書面審査のみです。申請に提出する書類のみで、身体にのこる後遺症が後遺障害であることを示していかなくてはいけません。
医師が作成した後遺障害診断書だからといって、必ず認定が通るとは限りません。弁護士視点の後遺障害診断書の作成ポイントを次の関連記事で解説しています。ぜひ参考にしてください。
後遺障害診断書作成のポイント解説記事
後遺障害等級認定は、損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所が行います。
申請は
(1)事前認定
(2)被害者請求
の2つの方法があり、どちらの方法で申請するかは被害者の自由です。しかし、適正な後遺障害等級認定を目指すのならば被害者請求をおすすめします。
被害者は、後遺障害診断書を「加害者側の任意保険会社」へ提出
「加害者側の任意保険会社」が損害保険料率算出機構へ申請する
被害者は「後遺障害診断書」を提出するだけで、他に資料を集めたりする手間がかかりません。
一方で、どんな資料をもとに等級認定が行われるか分からず、必ずしも被害者目線の申請・認定がなされるとは限りません。
被害者は、後遺障害診断書など認定申請関連の資料を「加害者側の自賠責保険会社」へ提出
「加害者側の自賠責保険会社」が損害保険料率算出機構へ申請する
申請時に提出する資料は、被害者自身が選択し集める
被害者自身で資料やデータを集める手間がかかります。
一方で、被害者の状況を説明するために有効な資料を提出できるので、より適正な認定を目指せます。
事前認定 | 被害者請求 | |
---|---|---|
メリット | 被害者の手間が 最小限 |
被害者に有利な 結果を目指せる |
デメリット | 被害者目線の 申請とは言えない |
資料収集など 被害者の手間がかかる |
被害者請求のデメリットと言われる「手間」については、弁護士に依頼をすれば代わりに行うことができ、最低限におさえられます。
以下の関連記事でも、被害者請求について解説しています。また、本記事の最下部にアトム法律事務所への問い合わせ方法をご紹介しています。きっとお力になれることがあります。お気軽にお問い合わせください。
後遺障害等級認定「被害者請求」の関連記事
眼窩底骨折で認定される可能性がある後遺障害等級を、症状別にみていきます。複視は、第10級2号や第13級2号と認定される可能性があります。
第14級
眼の周辺に傷跡が残った醜状障害や、頬・上唇にしびれが残るなどの神経症状(12級13号・14級9号)も、後遺障害に認定される可能性があります。個別に異なりますので、「私の場合はどうだろう?」という疑問があれば、弁護士にご相談ください。
認定を受けた等級に応じて、後遺障害慰謝料の相場は変わります。また、弁護士基準で慰謝料を算出することがとても重要です。慰謝料の相場は大きく3つに分かれており、どの基準で算出するかで金額が異なります。具体的に2つの基準を比較してみます。
弁護士基準 | 自賠責保険の基準 | |
---|---|---|
1級 | 2,800 | 1,100 |
2級 | 2,370 | 958 |
3級 | 1,990 | 829 |
8級 | 830 | 324 |
9級 | 690 | 245 |
10級 | 550 | 187 |
12級 | 290 | 93 |
13級 | 180 | 57 |
14級 | 110 | 32 |
単位:万円
示談交渉の相手である「加害者側の保険会社」から、弁護士基準で算出した慰謝料金額を提案されることは、まずないでしょう。だからこそ、弁護士に依頼して、弁護士基準の慰謝料交渉をすることが大事です。
アトム法律事務所は「交通事故と刑事事件の地域一番の弁護士事務所として、 相談者のお悩みとお困りごとを解決すること」を目指しています。交通事故に関する解決実績が多数ありますので、ご安心ください。
無料相談の予約受付の窓口は24時間365日ご利用いただけます。電話・LINE・メールなど、使いやすい方法でお問い合わせください。混み合う時間帯や土日祝は順番をお待ちいただくこともありますので、お早めにご連絡ください。
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交通事故で後遺症が残った場合、症状と交通事故の因果関係が争点になりやすいところです。眼に後遺障害が残ると、書類準備の手間や移動の危険は計り知れません。負担を減らし、なおかつ慰謝料を適正に受けとることができる…。弁護士への依頼を検討してみませんか。
アトム法律事務所は、東京・大阪・福岡をはじめ、全国各地に事務所を設けています。どの事務所も駅から近く、交通アクセスのよい立地です。次のページに各事務所・支部の一覧が確認できますので、相談時の参考にしてください。
(第二東京弁護士会)
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眼部膨張、眼球運動時の痛み、複視、視力低下、鼻出血などさまざまな症状が表れます。特に被害者が幼いほど閉鎖型眼窩骨折となりやすく、緊急度が高いとされています。また、大人であっても、痛みの強弱は個人差が出ます。 眼窩底骨折を負った人の体験談も紹介
失明・視力低下は1級~10級または13級、調節機能障害では11級または12級などと、症状や片目か両目かなどの影響範囲により異なります。また、後遺障害慰謝料も等級によって異なりますので、認定された後遺障害等級によって確認する必要があります。 後遺障害等級と慰謝料の早見表
まずは医師から症状固定と診断されていることがスタートです。症状固定とは、これ以上治療を続けても症状の改善が見込めない状態のことです。症状固定となると、医師に「後遺障害診断書」の作成を依頼しましょう。それから、後遺障害認定の申請を行っていく流れです。 フローの続きはこちらから