監修:岡野武志弁護士

後遺障害診断書|様式(書式)・料金・書き方のポイントを解説!

後遺障害診断書について以下のような悩みを抱えている被害者の方もいるかと思います。

  • 書式料金いつ書いてもらうかなどに決まりはある?
  • 認定される可能性を高める書き方はある?
  • 医師書いてくれない場合にはどうしたらいい?

このようなお悩みに交通事故に強いアトム法律事務所の弁護士がお答えしていきます。

交通事故の被害者の中には治療したものの、後遺症状が残存される方もおられます。

そのような場合、任意保険会社から後遺障害等級認定の申請を勧められる形になります。

その申請に必要なのが後遺障害診断書ですが、詳細まで保険会社は教えてくれません。

そのため、後遺障害診断書についてよくわからず、お悩みの被害者の方も多いでしょう。

そこで、本記事では後遺障害診断書につき被害者の方に多いお悩みに回答していきます。

1

後遺障害診断書のよくある悩みに回答

Q1

書式(様式)に決まりはある?

後遺障害診断書は、申請先に応じてそれぞれ定型の書式(様式)が決まっています。

自賠責保険の書式

自賠責保険に対し、

被害者請求

事前認定

の方法で申請する際に必要な後遺障害診断書の書式は、以下からダウンロードできます。

ただし、自賠責でもJA共済などでは書式が異なる可能性がある点には注意が必要です。

労災保険の様式

勤務中や通退勤中の交通事故であれば、労災保険にも後遺障害等級認定を申請できます。

労災保険に障害(補償)給付を請求する際の診断書の様式は以下からダウンロードが可能です。

労災事故であれば、上記の後遺障害診断書の様式を交通事故以外でも使用します。

上記以外の書式

被害者が傷害保険に加入していれば、その保険に保険金の申請が可能な場合があります。

その申請の際に必要となる後遺障害診断書は、上記と別の書式になることもあります。

そのため、申請の前に加入保険会社に書式に指定があるかよく確認しておきましょう。

Q2

料金は?費用は被害者が負担?

料金の相場は?

後遺障害診断書の料金病院によって違いがありますが、一定の相場はあります。

「医療経営情報研究所」という機関の調査によると、自賠責保険の後遺障害診断書料金は

平均5,927円

となっています。

最高額と最低額は以下の表のとおりであり、都市部の方が高額な傾向にあるようです。

自賠責後遺障害診断書の料金相場
料金
平均額 5,927
最高額 12,600
最低額 2,520

医療経営情報研究所「2012年 医療文書作成業務・文書料金実態調査」参照

一方、労災保険の後遺障害診断書の料金の相場は

4000円程度

と言われており、これはこの後お伝えする費用負担の点が影響しています。

費用が誰が負担?

交通事故での後遺障害診断書の費用負担は、等級認定の有無や申請先により異なります

自賠責保険へ等級認定を申請した場合、後遺障害診断書の料金は

等級認定された場合は自賠責保険

非該当の場合は被害者

が負担するのが原則になります。

ただし、非該当の場合も交渉により任意保険会社が費用負担してくれる場合もあります。

一方、労災保険に障害(補償)給付を請求する際に必要となる診断書については

4000円までは労災保険から支給

され、4000円を超える部分は被害者の負担になります。

いずれも、被害者が一旦支払い(立替)するのが原則のため、領収書の保管が必要です。

後遺障害診断書の文書料について
申請先 自賠責保険 労災保険
料金相場 5,927 4,000
費用負担 等級認定
→自賠責
非該当
→被害者※1
4,000円まで
→労災※2
4,000円超える部分
→被害者

※1 交渉により任意保険会社が負担する場合もある
※2 厚生労働省労働基準局補償課「平成30年度版 労災診療費算定マニュアル」参照

Q3

いつ・誰から書いてもらえる?

書いてもらう時期

後遺障害診断書をいつ書いてもらうかは、一般的にいうと

治癒」(症状固定

と認められた時期になります。

「治癒」(症状固定)とは、元々労災保険における概念で、定義は以下のとおりです。

傷病の症状が安定し、医学上一般に認められた治療を行っても、その医療効果が期待できなくなった状態(略)を労災保険では「治癒」(症状固定)といいます。

引用元:厚生労働省等「労災保険における傷病が「治ったとき」とは…」参照

上記の概念は、自賠責保険においても準用されています。

具体的にいつ書いてもらうか(「治癒」(症状固定)の時期)は症状により異なりますが

最低でも6か月以上

治療を行った後になるのが通常です。

書いてもらう人

後遺障害診断書は、治療のため入通院をした病院医師に書いてもらう必要があります。

これは

① 複数の病院に入通院した場合は、各病院で書いてもらわなければいけない可能性がある

② 原則的に主治医に書いてもらう必要がある

③ 法律上、診断書を作成できるのは医師だけ

という点がポイントになります。

それぞれについて、具体的には以下のような結論が導かれます。

耳鼻科と整形外科に通院した場合、診断書は各病院で書いてもらう必要があります。

セカンドオピニオンとして1~2回通院した病院で、通常診断書は書いてもらえません

③ たとえ整骨院に通院しても、後遺障害診断書は書いてもらえません

2

認定される可能性を高める書き方は?

交通事故において適切な等級認定がされるかは、後遺障害診断書の書き方が重要です。

自賠責における後遺障害認定は基本的に提出された書類のみから判断されるからです。

先ほどお伝えしたとおり、後遺障害診断書を作成するのはあくまで医師になります。

しかし、医師が自賠責における後遺障害について十分に把握されているとは限りません。

そこで、被害者から医師に認定されやすい書き方を上手く伝える必要があります。

Q1

後遺障害診断書の書き方及び例

お伝えしたとおり、後遺障害診断書を作成するのはあくまで医師です。

しかし、診断書の記載の中でも

「自覚症状」

の欄については、被害者が書き方を指定できます。

自覚症状は被害者本人にしかその内容や程度がわからないからです。

その自覚症状の書き方次第で後遺障害が認定されなくなってしまう可能性もあります。

例えば、後遺障害14級9号が認定されるには

「受傷部位にほとんど常時疼痛を残すもの」

である必要があります。

そのため、診断書でも「ほとんど常時疼痛を残す」ことが伝わる書き方が必要です。

自覚症状の記載例

× 天候不順時に頸部痛(天候不順時以外は疼痛がないと判断される可能性がある)

○ 天候不順時に頸部痛が増強する

また、自賠責保険の後遺障害診断書の書式でいうと、右下にある

「障害内容の増悪・緩解の見通し」

の書き方にも注意が必要です。

自賠責(労災)保険における後遺障害と認定されるには

将来においても回復が困難と見込まれる症状」

であるため、診断書でも上記の要件を満たすことが伝わる書き方をする必要があります。

時間経過による自然治癒も含め「緩解・軽減の見通しあり」と判断される医師もいます。

しかし、ここでいう「回復」は

治療によるものであって、自然治癒によるものは含まれない

ので、その点を踏まえ、医師の方に診断書を作成してもらうよう伝えることが必要です。

見通しの記載例

× 「将来的に緩解・回復の可能性あり」など(自賠責における後遺障害の定義と矛盾する)

○ 「症状固定」・「今後の緩解の見通しなし(不明)」など

Q2

顔の傷の場合の診断書の書き方

後遺障害として顔の傷が残ってしまった場合、診断書の

「醜状障害」の欄(自賠責保険後遺障害診断書の書式でいうと右上の⑦)

に顔の傷を図示してもらうことになりますが、何も伝えずに医師に依頼すると

傷の位置や形だけが記載され長さや大きさが記載されない

場合があります。

しかし、顔の傷が後遺障害として認定されるかや等級は、長さや大きさで決まります。

具体的な認定基準は、岡野武志弁護士が監修している以下の記事で確認できます。

そのため、顔の傷の場合、長さや大きさを正確に記載してくれるよう依頼するのがコツです。

しかし、後遺障害診断書の「醜状障害」欄は小さく、十分記載できないことも多いです。

そのため、自賠責保険では後遺障害診断書とは別に

「交通事故受傷後の傷痕等に関する所見」という書式

が平成28年に新設されましたが、その存在を認識されていない医師の方もいるようです。

また、上記の書式の書き方や写真を添付することが望ましい旨が記載されている

「交通事故受傷後の傷痕等に関する所見」ご記入にあたって

という資料も存在します。

そのため、上記の書式・資料を医師に渡して記載を依頼するのがコツになります。

上記の書式・資料は、以下から確認・ダウンロードできます。

Q3

むちうちは特に書き方が重要!

むちうちは器質的損傷が確認できないことも多く、後遺障害認定が難しいと言われます。

一方で、後遺障害はむちうちなどによる14級の認定率が一番多くの割合を占めています。

むちうちで後遺障害が認定されないか14級が認定されるかは診断書の書き方が重要です。

具体的には

しびれなどの自覚症状が出ている部位などを正確かつ詳細に記載してもらう

神経学的検査の実施を依頼し、その検査結果を記載してもらう

のが認定される可能性を高めるコツであり、頼むべき神経学的検査は以下のとおりです。

むちうちの場合に頼むべき検査
スパーリングテスト
医師が患者の頭部を押さえ、下方に押し付ける検査
深部腱反射
腱をゴムハンマーで叩いて筋に刺激を与え、その反射反応を診る検査
筋委縮検査
両腕の上腕部と前腕部の周囲を同位置で測定し、左右の差を診る検査

※ 神経根障害の有無の確認が目的

3

後遺障害診断書を医師が書いてくれない…

Q1

書いてくれない理由を見極める

被害者の中には後遺障害診断書を医師が書いてくれない点がお悩みの方もいるようです。

この場合の対応として重要なのは

医師が書いてくれない理由を見極める

ということです。

例えば、先ほどお伝えしたとおり、後遺障害診断書は

症状固定後にⅱ治療のため継続的に入通院していた病院

でなければ、医師に作成を頼むことができません。

後遺障害診断書の作成を頼めるか
症状固定前 症状固定後
継続通院している病院 ×
12回しか通院していない病院 × ×

上記ⅰ又はⅱを満たしていないことが書いてくれない理由の場合

治療のため一定期間入通院を継続

した後であれば、医師も後遺障害診断書を作成してくれると考えられます。

Q2

理由次第では医師の説得も可能

また、後遺障害診断書を医師が書いてくれない理由が

① 後遺障害は残っていないと医師が考えているから

② 紛争に巻き込まれたくないから

③ 健康保険や労災保険を使って治療しているから

などの場合には、医師を説得すれば後遺障害診断書を書いてもらえる可能性があります。

具体的な説得理由としては

① 交通事故の後遺障害と医師が考える後遺障害は違う可能性があり、別の機関が判断する

② 裁判となり、証人としての出廷や意見書・鑑定書等の作成が必要になるケースはまれ

③ 健康保険や労災保険使用時も、自賠責書式の後遺障害診断書の作成は禁止されていない

といったものが考えられます。

Q3

説得が難しいなら弁護士に相談

もっとも、実際に被害者の方が

後遺障害診断書を書いてくれない医師を説得するのは難しい

場合も多いと考えられます。

そのような場合には交通事故に強い弁護士に相談することをおすすめします。

交通事故に強い弁護士に相談すれば

被害者のお話を伺った上で、後遺障害診断書を書いてくれない理由を見極められる

理由に応じた適切な説得方法についてのアドバイスを受けられる

依頼まですれば、医師の気分を害することがないよう配慮した説得を任せられる

可能性が高まるからです。

より詳しく知りたい方には、岡野武志弁護士が監修した以下の記事がおすすめです。


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後遺障害診断書の悩みは弁護士にまず相談

後遺障害診断書がどういうものなのかよくわからない

自分の症状の場合、認定につながりやすい書き方はどう伝えればいいのか

後遺障害診断書を医師が書いてくれないので、申請ができない

このような悩みを持つ被害者の方も多いかと思います。

そういった方のため、アトム法律事務所では弁護士による無料相談を実施しています。

後遺障害診断書は一度完成してしまうと

記載した医師に修正を依頼するのは難しい

ため、作成前にご相談頂けると、適切な診断書を作成してもらえる可能性が高まります。

アトム法律事務所では

24時間・土日祝日も相談予約を受け付けている

来所相談以外に電話LINEメールによる相談も行っている

ので、ご都合の良い時間や方法でお気軽にご相談ください。

また、相談後弁護士に依頼することになった場合の費用が心配な方もいるかと思います。

この点、弁護士特約が使える場合には、ご自身の費用負担が大幅に減少します。

弁護士特約とは何かについては、以下の動画で弁護士が分かりやすく解説しています。

弁護士特約は、自動車保険のオプションとしてついていることが多いです。

まずは加入している保険の内容を確認してみてください。

よくわからない場合は、その点も含めて弁護士にお気軽にご相談ください。

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まとめ

このページでは、後遺障害診断書に関するお悩みに回答してきました。

書式料金いつ書いてもらうかに決まりはある?

認定につながりやすい書き方は?

医師書いてくれない場合にはどうする?

まとめ

後遺障害診断書は申請先により書式や料金相場が決まっており、症状固定後に書いてもらう

後遺障害の定義や認定基準を満たすことが書面だけで伝わる書き方だと認定されやすい

書いてくれない理由を見極め、理由に応じた説得を行い、難しければ弁護士に相談する

後遺障害が等級認定された場合に受け取れる正当な金額の見込みが気になる方は以下の

慰謝料計算機

をご利用ください。

登録不要であり、後遺障害等級などいくつかの項目を入力するだけで、自動的に

弁護士に依頼した場合にもらえる金額

の見込みを計算してくれます。

この記事が、後遺障害診断書につきお悩みの交通事故被害者のお役に立てれば幸いです。