作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)

交通事故記憶障害

交通事故後に記憶障害…原因は高次脳機能障害?回復に向けたリハビリ

交通事故で記憶障害が…
  • 交通事故後の記憶障害は高次脳機能障害かもしれない
  • 高次脳機能障害はどんな症状なのか
  • 記憶障害で慰謝料は請求できるのか


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記憶障害の症状が出たら高次機能障害を疑う

交通事故後に記憶障害が出ている…
このような症状でお悩みの方は、高次脳機能障害の可能性があります。

高次脳機能障害とは?

高次脳機能障害とは、病気や事故などがきっかけで脳機能にいちじるしい障害を負うことになり、日常生活を送ることも困難になるような状態に発展する障害です。

脳機能の障害とは

新しい事柄が覚えられない

感情がおさえられない

目的をもって行動できない

ものの理解が追いつかない

注意力散漫になる

段取り良くすすめられない

など今まで当たり前にできていたことができなくなるので、日常生活に大きな影響を与えることになります。

高次脳機能障害を発症しても本人が症状に気づかないまま生活し続けていることもあるようです。

目に見える形で怪我を負っているわけではないので、「性格が変わってしまった」と周囲の人に勘違いされて人間関係にも影響を与える可能性があります。

高次脳機能障害の原因は脳の損傷?

高次脳機能障害を引き起こす原因は、脳の損傷にあります。脳損傷となるきっかけはさまざまな要因が考えられます。

脳損傷のきっかけ

交通事故で頭部外傷を負った

顔を激しく殴られた

脳梗塞や脳卒中などの病気になった

このようなことをきっかけに、さまざまな脳損傷を負うことになります。

▼脳に損傷を与える傷害・病気
脳挫傷(外傷性脳挫傷)
強い衝撃を受けて脳が損傷・出血する
びまん性軸索損傷
脳出血などの異常が認められないにもかかわらず意識障害が6時間以上つづくこと
脳梗塞
脳血管が何らかの影響でつまり脳内に血流がいきわたらなくなる
くも膜下出血
頭部外傷や脳動脈瘤の破裂などによって脳表面を覆うくも膜下の内側に出血する
慢性硬膜下血腫
頭部外傷などによって硬膜とくも膜の間に時間をかけて出血し血の塊ができる
急性硬膜下血腫
頭部外傷などによって硬膜とくも膜の間に出血が広がり脳が圧迫される
脳腫瘍
脳にできた腫瘍(体の組織・細胞の過剰増殖の塊)が神経を圧迫するなどして脳に障害がでる
低酸素脳症
窒息などによって脳に十分な酸素供給ができなくなることで脳に障害を負うこと

このようなことを原因として高次脳機能障害を負うと、日常生活を送るうえで必要とされるさまざまな動作などができなくなります。

高次脳機能障害の診断・検査方法

高次脳機能障害の診断では

高次脳機能障害の症状が出ていること

症状があることで社会生活に影響をおよぼしていること

の確認がおこなわれます。

高次脳機能障害の原因を特定するために

頭部CT

頭部MRI

脳波検査

などの検査がおこなわれます。

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高次脳機能障害の症状例とリハビリ

高次脳機能障害の具体的な症状例について、いくつかみていきたいと思います。

症状例①記憶障害

交通事故後、新しいことが覚えられなかったり、何度も同じことを聞いたりする場合は記憶障害の症状が出ている可能性が高いです。

記憶障害の例

忘れ物が多くなる

食事をとったかどうか覚えていない

人の名前が覚えられない

約束をすっぽかす

事故前のことが思い出せない

通いなれた道順が分からない

記憶障害ではさまざまな症状があり、それぞれ分類分けされています。

▼事故前後の記憶に障害がでる
前向性健忘
事故後に「新たに経験したこと・もの」が思い出せなくなる
逆行性健忘
事故前に「経験したこと・もの」が思い出せなくなる
▼情報の保持時間に障害がでる
短期記憶障害
読書や計算などでつかわれる短い時間の記憶に障害が出る
長期記憶障害
今までの経験が永続的に保持される能力に障害がでる

事故前のことが思い出せなかったり、事故後に出会った人のことが覚えられなかったりしたら記憶障害の可能性が疑われます。

症状例②注意障害

交通事故後、ぼうっとしたりすることが多くなったような場合は注意障害の症状が出ている可能性が高いです。

注意障害の例

ぼんやりした感じになり、反応が遅い

まわりが気になって仕事や作業に集中できない

ひとつのことに集中しすぎてまわりの状況に気づかない

同じようなことを繰り返したり、何度も同じことを言ったりする

表情が乏しくなったような場合も、注意障害の可能性が疑われるようです。

症状例③遂行機能障害

交通事故後、無計画な行動をしてしまうような場合は遂行機能障害の症状が出ている可能性が高いです。

遂行機能障害の例

手当たり次第に作業をすすめてしまう

締め切りを設定したり段取りが組めない

手順を無視してすすめてしまう

臨機応変な対応ができなくなる

買い物に行けなくなったり、人に具体的に指示してもらわないと何もできなくなったりするような場合は遂行機能障害である可能性が疑われるようです。

症状例④社会的行動障害

交通事故後、感情がうまくコントロールできないような場合は社会的行動障害の症状が出ている可能性が高いです。

社会的行動障害の例

意欲が出ずに一日中ぼうっとしてしまう

怒りが抑えられず暴力的になったり、突然大声を出したりする

相手の立場や気持ちが思いやれず、人間関係がうまく構築できない

ひとつのことに異常に固執してしまう

子どもっぽくなったり、なんでも人に頼りがちになったりする場合も社会的行動障害である可能性が疑われるようです。

症状例⑤その他、失語症など

交通事故後、口・のどに麻痺などの問題がないにもかかわらずうまく言葉が出てこないような場合は失語症の症状が出ている可能性が高いです。

失語症の例

相手の言葉を理解できるが、言葉が出てこなくて返事ができない

話すことはできるが、言葉の言い間違いが増える

言われたことに対して返事はできるが、実際には理解していなかったりする

聴力や記憶力には問題がなくても言葉の意味が分からなくなってしまうことがあるようです。

高次脳機能障害では、記憶障害をはじめとしたさまざまな障害が残ることになります。

回復に向けてどんなリハビリをする?

高次脳機能障害からの回復に向けておこなわれるリハビリは、

言語療法

作業療法

理学療法

など、症状にあわせて医学的な訓練がおこなわれます。

症状ごとのリハビリ方法の具体例はつぎのとおりです。

▼高次脳機能障害のリハビリ
リハビリ方法
記憶障害 反復訓練
内的記憶戦略法
環境調整
外的補助手段
注意障害 注意力テスト等の訓練
遂行機能障害 問題解決訓練
(机上課題・作業課題等)
社会的行動障害 環境調整
行動療法的対応
失語症 発話訓練

このような方法があげられます。リハビリによって高次脳機能障害からの回復が目指されます。

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交通事故による記憶障害は後遺障害等級を申請

後遺障害等級とは?

交通事故で記憶障害といった後遺症を負うことになってしまったら、後遺障害等級を申請しましょう。

後遺障害とは

治療しても良くも悪くもならない後遺症が残存したことが医学的に証明されており、「後遺症によって労働能力が喪失する」こと

後遺障害は、後遺症の部位・症状ごとに1級~14級までの等級で分類されています。

交通事故による後遺障害はひとりひとり状態が異なります。ですが交通事故による被害は数が多く個別に算定していくのはむずかしいです。
そこで、あらかじめ決められた基準にもとづいて等級に該当するかどうか専門の認定機関によって審査がおこなわれます。

後遺障害等級認定で慰謝料の請求が可能に

後遺障害等級が認定されると、交通事故の相手方に対して後遺障害に関する慰謝料を請求することができるようになります。

交通事故で負った「傷害」に対する慰謝料などの損害賠償は、症状固定までにかかった治療費などの損害を交通事故の相手方に請求することができます。
症状固定までに請求できる損害賠償の項目は、後遺障害等級の有無に左右されません。交通事故が原因で怪我を負ったことが証明できていれば請求できます。

一方、交通事故で負った「後遺障害」に対する慰謝料などの損害賠償は、後遺障害等級に認定されないと請求することができません

▼後遺障害等級の認定で請求できる項目
損害賠償項目 認定 非該当
傷害 治療費
入通院慰謝料
休業損害
交通費など
後遺障害 後遺障害慰謝料 ×
逸失利益 ×

後遺障害が残っているのに、後遺障害の申請をしなかったり、申請をしても認定されなければ、後遺障害に対する補償を得ることができません。

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後遺障害認定や慰謝料でお困りなら弁護士に相談

記憶障害は後遺障害に認定されにくい?

後遺障害の認定は専門の認定機関によっておこなわれます。記憶障害は目に見えるような障害ではないので後遺障害に認定されにくそうなイメージがあるかもしれません。ですが、外見上判断できない障害だからといって後遺障害に認定されにくいと言い切れるような問題ではありません。

後遺障害の認定は、記憶障害が「医学的な証拠によって証明」されているかどうかが重要になってきます。

後遺障害認定のポイント

基本的に後遺障害診断書などの書類審査であることを理解して準備する

被害者請求の方法を選択する

交通事故案件に力を入れる弁護士に相談する

このようなポイントをおさえて後遺障害認定に臨みましょう。

交通事故の案件を多くあつかう弁護士にご相談いただければ、後遺障害認定に関するアドバイスを受けることができます。
後遺障害等級の申請をお考えの方は、弁護士に一度ご相談いただくことをおすすめします

適正な慰謝料が得られない理由は?

慰謝料金額相場の3基準比較

弁護士に相談せず、ご自身だけで保険会社と示談交渉をはじめようとしていますか?弁護士なしで示談交渉をすすめると、本来得られずはずだった適正な慰謝料が得られなくなる可能性が高くなります。

慰謝料など交通事故における損害賠償の算定は、さまざまな基準にもとづいて算定されることになります。このような基準のなかで最も高い金額を得ることができるのが「弁護士基準」となっています。

弁護士基準で保険会社と示談交渉をすすめるには、弁護士の力が必要になってきます。交通事故処理を専門とする保険会社と弁護士なしで弁護士基準で交渉するのは困難だと言えます。

保険会社から提示された慰謝料など損害賠償の金額に疑問がある方はこちらの計算機をぜひご利用ください。

アトムの弁護士相談はコチラ

計算機を使ってみていかがでしたか?
「保険会社が提示してきた金額に納得いかない
適正な慰謝料を得たい」
このように思われたのであれば、交通事故案件に力を入れるアトムの弁護士にご相談ください。

アトム法律事務所の弁護士は、交通事故に関する案件を数多くあつかっています。豊富な経験にもとづいた適切なアドバイスをさせていただけると思います。

24時間365日、弁護士相談の「ご案内」を専属スタッフによっておこなっています。こちらの窓口からお問い合わせください。

相談方法は、

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どの相談も無料相談となっていますので気軽にご利用ください。

弁護士プロフィール

岡野武志弁護士

(第二東京弁護士会)

全国10事務所体制で交通事故被害者の救済に取り組んでいる当事務所の代表弁護士。2008年の創業以来、幅広い間口で電話・LINE・メール相談などに無料で対応し、2019年現在は交通事故被害者の救済を中心に精力的に活動している。フットワークの軽い行動力とタフな精神力が強み。


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