作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)

後遺障害逸失利益計算

後遺障害の逸失利益|計算方法をタイプ別に解説!自動計算機も紹介

逸失利益?どう計算する?

交通事故の怪我で後遺症が残ったら、後遺障害等級の認定を獲得しましょう。後遺障害の認定で、将来的な収入に対する補償として逸失利益を請求することができるようになります。
逸失利益の意味から計算方法まで丁寧に解説します。


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後遺障害の逸失利益とは

逸失利益とは

後遺障害が残らなければ得られていたはずの将来的な収入に対する補償

後遺障害等級の認定を得るには、後遺障害等級を申請しなければなりません。申請方法については下記記事にて詳しく解説していますので併せてご覧ください。

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後遺障害逸失利益の計算方法

逸失利益の算定で用いられる計算式はつぎの通りです。

逸失利益の計算式

基礎収入額)×(労働能力喪失率)×(労働能力喪失期間に対応する中間利息控除係数)

式を見ただけではどのような数字を当てはめていいのかよく分からないと思うので、簡単にまとめの表を用意しました。

逸失利益の計算で用いられる項目
①基礎収入額
後遺障害が残らなければ得られていたはずの収入
②労働能力喪失率
後遺障害が残ったことで収入が減った割合
③労働能力喪失期間
後遺障害による減収の発生期間
④中間利息控除
将来得られるはずのお金を前払いでもらうことで発生する利息を差し引くこと

では、ここからは計算で用いられる項目についてそれぞれ詳しく確認していきたいと思います。

①基礎収入額

基本|事故前の収入

基礎収入額とは、後遺障害が残らなければ得られていたはずの収入のことをさします。基本的な考え方としては、事故前の収入を基礎として計算されることになります。
事故前に現実収入のない専業主婦や学生のような場合でも、逸失利益は認められることがほとんどです。

基礎収入額は事故前の職業・立場などによって計算方法が異なることになります。つづいては、いくつかの職業・立場に分けて基礎収入額について解説します。

給与所得者(サラリーマンなど)

サラリーマンなど企業に勤めておられる給与所得者の場合は、交通事故前年度の収入から算定することになります。主に源泉徴収票などから確認することができます。

個人事業主(経営者など)

経営者など個人事業主の場合、交通事故前年度の所得から算定することになります。主に確定申告書などから確認することができます。

主婦

専業主婦の場合、女性労働者の全年齢平均賃金から収入を算定することになります。賃金センサスから確認することができます。パートなどをされている兼業主婦の場合は、上記平均賃金と実収入の高い方により算定することになります。

学生

学生など子どもの場合、全年齢の平均賃金から収入を算定することになります。賃金センサスから確認することができます。
大学進学の可能性が高かったような場合では大卒の平均賃金が用いられることもあります。

無職者

事故前に労働意欲や労働能力があるような無職の場合、男女別・全年齢の平均賃金などから基礎収入額が算定されることになります。
もっとも、年金や家賃収入などの不労所得については、後遺障害を負っても得られる収入なので基礎収入には含まれません。

②労働能力喪失率

労働能力喪失率の基準表

労働能力喪失率とは、後遺障害が残ったことで収入が減った割合のことです。労働能力喪失率は、後遺障害の等級ごとに基準が設定されています。

後遺障害等級ごとの労働能力喪失率(自賠責)
等級労働能力喪失率
1
(別表第1
(別表第2
100
2
(別表第1
(別表第2
100
3100
492
579
667
756
845
935
1027
1120
1214
139
145

このように等級ごとに基準は設けられていますが、あくまで目安として考えられることになります。職業の内容によって考慮されるものになるので、同じ等級でも労働能力喪失率は基準と前後することがあります。

③労働能力喪失期間

基本|症状固定から67歳まで

労働能力喪失期間とは、後遺障害による減収の発生期間のことです。症状固定時から67歳までが労働能力喪失期間の原則とされています。
もっとも、むちうちなどによる後遺障害14級9号の場合は、症状固定時から3年~5年程度に打ち切って計算されるケースが多いので注意が必要です。

未就労者の場合

未就労者の場合は、18歳から67歳までが原則です。大学生である場合は、大学卒業時の年齢が労働能力喪失期間の開始年齢となることになります。

高齢者の場合

68歳以上の場合、平均余命の1/2を労働能力喪失期間とすることが原則になっています。

④中間利息控除

中間利息控除とは、将来得られるはずのお金を前払いでもらうことで発生する利息を差し引くことです。中間利息控除をおこなうために、ライプニッツ係数が用いられます。

ライプニッツ係数表

ライプニッツ係数は法定利率にもとづいて計算されています。したがって法定利率が変更になる民法改正の前後で数値が異なります。

18歳以上におけるライプニッツ係数(抜粋)
労働能力
喪失期間
(年)
改正前
(~2020/3/31)
改正後
(2020/4/1/~)
10.95240.9709
21.85941.9135
32.72322.8286
43.54603.7171
54.32954.5797
65.07575.4172
75.78646.2303
86.46327.0197
97.10887.7861
107.72178.5302
118.30649.2526
128.86339.9540
139.393610.6350
149.898611.2961
1510.379711.9379
1610.837812.5611
1711.274113.1661
1811.689613.7535
1912.085314.3238
2012.462214.8775

こちらの表は18歳以上の場合のライプニッツ係数です。事故当時18歳未満であった場合は、別のライプニッツ係数表が用いられます

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逸失利益を実際に計算してみる

逸失利益の計算方法が分かったところで、具体的な例を用いて実際に計算してみたいと思います。

47歳 男性会社員 年収600万 後遺障害10級認定

このような男性の例で逸失利益を計算してみます。

47歳 男性会社員 年収600万 後遺障害10級認定
基礎収入額600万円
労働能力喪失率1027
中間利息控除*2012.4622

* 改正前で計算

▶600万円×27%×12.4622=2018万8764円

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<計算機>自動で損害賠償を計算

逸失利益の計算方法や事例を確認してきましたが、計算の理屈を理解できてもやはり複雑だと感じると思います。そこで、逸失利益をふくむ交通事故の損害賠償総額を自動で計算できるツールの紹介です。

治療期間、ご自身の年齢・収入、後遺障害の有無などをご入力いただくと計算機が自動で計算してくれます。保険会社が提示した逸失利益など損害賠償の額に疑問を持っている方は特にご利用いただきたいと思います。

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逸失利益の悩みは弁護士に相談

交通事故の知識が豊富な弁護士に相談

逸失利益はある程度確立された計算方法があるので増額はむずかしいかもしれないように感じます。しかし、弁護士にご依頼いただくことで、

基礎収入額を高く算定

労働能力喪失率を高く算定

労働能力喪失期間を長く算定

このような点が可能になり、より多くの逸失利益を得られることになります。

交通事故を専門的にあつかう弁護士にご相談いただくことが、逸失利益増額の道につながります。アトム法律事務所の弁護士にぜひ一度ご相談ください。交通事故の解決実績が多数あります。下記窓口よりお問い合わせください。


弁護士プロフィール

岡野武志弁護士

(第二東京弁護士会)

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。