作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
交通事故慰謝料の事例4選!自動計算機で相場も今すぐ確認できる
- 交通事故による慰謝料の事例を知りたい
- 交通事故の慰謝料が増額・減額された判例は?
- 交通事故での慰謝料のポイントは?
交通事故での慰謝料について、その事例・判例をご紹介するとともに、妥当な慰謝料金額を得るためのポイントについて解説していきます。
目次
交通事故の慰謝料と裁判判決の事例4選
交通事故の慰謝料は3種類
交通事故に遭い、けがをしたり死亡したりした(人身事故)場合には以下の慰謝料を受け取れます。
人身事故の慰謝料
入通院慰謝料(傷害慰謝料)
交通事故による入通院で受けた精神的苦痛に対する補償。
後遺障害慰謝料
交通事故での後遺障害により今後も受け続ける精神的苦痛に対する補償。
交通事故によるけがが後遺障害として残り、等級が認められた場合に受け取れる。
死亡慰謝料
交通事故で死亡した場合に遺族が受け取れる慰謝料。
また、慰謝料の金額基準には以下の3つの基準があります。これらの基準をもとに、最終的には示談交渉や裁判の中で金額が決められます。
弁護士基準
被害者が弁護士を立てて示談交渉する際に、加害者側に提示する金額。
任意保険基準
示談交渉の際に加害者側任意保険会社が被害者側に対して提示する金額。
自賠責基準
被害者に対する最低限の補償金額。
この金額は加害者側自賠責保険会社が支払う。
上記3つの慰謝料の計算方法はこちら
事例①②後遺障害12級の慰謝料判例
後遺障害慰謝料は、後遺障害等級認定にて認定された等級に応じて金額基準が定められています。
後遺障害12級の慰謝料は、弁護士基準に従えば290万円です。しかし、これはあくまで基準です。
事故によっては特別な増額事由が認められることもありますし、示談交渉で加害者側に押されてしまうと、任意保険基準(100万円)に近い金額になってしまいます。
後遺障害等級12級の後遺障害慰謝料について、実際の事例を、判例から見てみましょう。
後遺障害慰謝料 | 290万円 |
備考 | 後遺障害の内容や程度(右中指近位指節間関節の可動域が2分の1以下に制限される機能障害)を踏まえると、その後遺障害慰謝料は290万円とするのが相当である。 |
東京地方裁判所平成27年(ワ)第23736号
後遺障害慰謝料 | 320万円 |
備考 | ①右頬部に人目につきやすい刺青が残ったこと②これによる精神的な影響は否定できないこと③多数の瘢痕が人目につきやすい部位を含め残存していることを考慮 |
東京地方裁判所平成28年(ワ)第12162号
アトム法律事務所でも後遺障害12級の方の示談交渉をした実績があります。金額の基準があるとはいえ、実際は示談交渉次第であるということがよくわかります。
事例③むちうちの慰謝料判例
むちうちの場合は、入通院慰謝料を受け取れます。また、むちうちによる後遺障害に等級が認定されれば、後遺障害慰謝料を受け取ることもできます。
むちうちの場合の入通院慰謝料と後遺傷害慰謝料について、実際の事例を判例から見てみましょう。
入通院慰謝料 | 200万円 頸椎捻挫,腰椎捻挫の内容・部位・程度、症状経過、治療経過、入院日数(59日)、通院期間(403日)、実通院日数(10 3日)等を考慮 |
後遺障害慰謝料 | 280万円 後遺障害等級12級13号相当の後遺障害の残存が認められることを考慮 |
神戸地方裁判所平成28年(ワ)第978号
同平成28年(ワ)第1695号
同平成28年(ワ)第2231号
弁護士基準で算出すると、上記の条件であれば
- 入通院慰謝料:109万~119万円
- 後遺障害慰謝料:290万円
となります。
このことからもわかるように、慰謝料は必ずしも決まった方法で計算した通りの金額になるわけではなく、個別的な事情等を考慮して柔軟に決められるということです。
アトム法律事務所でも、むちうちの方の示談交渉実績がありますので、より多くの事例を確認したい場合にはぜひご覧ください。
事例④過失割合の判例
交通事故の慰謝料に適用され、その金額に影響を及ぼす過失割合についても、事例を判例から見てみましょう。
過失割合
交通事故が起こった責任が、被害者と加害者にそれぞれどれくらいあるかを割合で示したもの。
これを慰謝料等の賠償金に適用させることを、過失相殺という。
では、実際の判例を見てみます。
被害者主張の過失割合 |
被害者:加害者=0:10 ※歩行者である被害者と加害者運転の自動車が横断歩道で衝突した事故。 |
加害者主張の過失割合 |
加害者の過失割合は25以下である |
裁判所の判断 |
被害者:加害者=2:8 事故類型から見る基本の過失割合は、被害者:加害者=3:7。 ✓被害者:青点滅終了までに横断歩道を渡り切れないことは明らかな状態で横断歩道に進入、引き返しもしなかったこと ✓加害者:視野に関する障害があるにもかかわらず右方確認をせず横断歩道に進入したこと を考慮。 |
旭川地方裁判所平成29年(ワ)第36号
慰謝料自動計算機で相場確認!慰謝料金額を左右するポイントは?
自動計算機で慰謝料相場を確認
実際に慰謝料がどれくらいになるのかの目安は、以下の慰謝料計算機を使うことで分かります。
ただし、上でご紹介した事例からもわかるように、必ずしも基準通りの金額になるとは限りません。示談交渉の進め方や交通事故の個別的な事情によって、増額や減額の可能性があります。
どれくらいの慰謝料金額が妥当なのか正確に知るためには、弁護士に相談してみることがお勧めです。
入通院慰謝料の増額・減額ポイント
入通院慰謝料は入院日数と通院期間からその金額を算出します。この入通院期間次第では、増額事由や減額事由が発生することがあります。
入通院慰謝料のポイント
入通院期間をやむを得ない事情で短縮した
→慰謝料増額の可能性あり
自宅静養期間や入院待機期間があった
→慰謝料増額の可能性あり
通院期間が長引いた
→慰謝料減額の可能性あり
通院頻度が低い
→慰謝料減額の可能性あり
上記の事情は、その事情自体が慰謝料の増額・減額事由になることもあれば、その事情を理由に入通院期間の数え方が変わり、結果的に慰謝料が増額・減額することもあります。
ただし、その事情が本当に増額事由・減額事由に当たるのか、示談交渉で相手方がそれを認めてくれるのかは、被害者自身では判断しかねるところです。弁護士に相談し、慰謝料を算出してもらうことが、最も妥当な慰謝料金額を知る手段です。
詳細を知りたい方はこちら
後遺障害慰謝料を左右するポイント
後遺障害慰謝料に関するポイントは、以下の通りです。
後遺障害慰謝料ポイント
- 後遺障害等級が1級違うだけでも金額が大幅に変わる
- 後遺障害の程度に応じて減額・増額されることもある
後遺障害等級は、同じ後遺障害でもその重さや影響の程度によって等級が変わります。
例えば交通事故によるけがで関節可動域制限という後遺障害が残ったとします。この場合、同じ関節可動域制限でも、動かせる範囲が3/4以下になったのか1/2以下になったのかで等級も後遺傷害慰謝料も変わります。
可動域制限 | 等級 | 慰謝料 |
---|---|---|
3/4以下 | 12級 | 290万 |
1/2以下 | 10級 | 550万 |
弁護士基準の場合
したがって、後遺障害等級認定の際に正確に後遺障害の情報を伝え、妥当な等級を得ることがポイントです。
また、上でご紹介した事例からもわかる通り、後遺障害慰謝料は、事情によっては増額・減額されることもあります。
しかし、後遺障害等級認定を申請しても、必ずしも希望通りの等級が認定されるとは限りません。また、後遺障害慰謝料の増額を主張しても、加害者側に認めてもらえるとは限りません。より被害者自身の後遺障害に即した後遺障害慰謝料を得るためには、弁護士に相談することがお勧めです。
リハビリ・整骨院通院でも慰謝料をもらえる?
入通院慰謝料を算出する際の入通院期間にリハビリは含まれるかという点については、以下のポイントがあります。
リハビリと入通院慰謝料
- 症状固定前のリハビリであれば入通院期間に含まれる
- 症状固定後でも、必要性が認められれば治療費として認められる
- 症状固定前後を問わず、整骨院でのリハビリは医師や弁護士への相談が必要
入通通院慰謝料を算出する際の入通院期間自体が、症状固定までの入通院期間のことを指します。したがって、リハビリについても症状固定後のものは原則認められません。
症状固定後でも、
- リハビリをしないと筋肉が硬直する
- 症状の悪化を防ぐためにリハビリが必要
という場合には、症状固定後でも補償対象になることがあります。
ただし、入通院慰謝料としてではなく、治療費として認められるため、注意が必要です。
また、整骨院でのリハビリは、症状固定の前後を問わず、入通院慰謝料や治療費の対象外となる可能性があります。利用する際には、医師や弁護士に相談してからにしましょう。
交通事故慰謝料の注意点と弁護士相談
本当に妥当な慰謝料は弁護士に算出してもらう
手軽に慰謝料を確認できる慰謝料計算機も上でご紹介しましたが、事例でも見たように、計算機通りの慰謝料金額になるとは限りません。
事故の個別的な事情を鑑みるともっと高い慰謝料、低い慰謝料が妥当であることもあります。また、いくら妥当な慰謝料を主張しても、示談交渉で相手に有利な結果になると、妥当な慰謝料は受け取れません。
妥当な慰謝料を算出し、示談交渉でもそれに近い金額で合意するには、弁護士に相談することが大切です。
弁護士相談のメリット
妥当な慰謝料金額を知ることができる
事故の個別的な事情も反映した慰謝料金額を算出してもらえる
示談交渉で加害者側と対等に交渉してもらえる
示談相手である加害者側任意保険会社は、弁護士の主張でないと聞き入れないことも多い
今すぐスマホで!無料弁護士相談
- 自分の場合は慰謝料はいくらが妥当なのだろう
- 示談交渉で慰謝料金額を落としたくない
そんな時は、アトム法律事務所の無料相談をご利用ください。
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弁護士プロフィール
岡野武志弁護士
(第二東京弁護士会)
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。