作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)

交通事故退職

【交通事故】退職を余儀なくされた場合に請求できる賠償金とは?

交通事故で退職を余儀なくされた
本記事のポイント
  • 交通事故により退職を余儀なくされた場合、後遺障害逸失利益退職差額金慰謝料休業損害失業手当を受け取れる可能性がある
  • これらのお金を受け取るためには、それぞれ条件などがある

交通事故に遭い退職を余儀なくされた場合の心配事として、お金に関することがあると思います。
次の仕事が見つかるまでの収入はどうまかなえばいい?再就職先で収入が下がったがそれは賠償請求できる?など、不安なことは多いと思います。
そうした払拭を払しょくするため、退職によって請求できる賠償金について解説していきます。


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交通事故が原因で退職…請求できる賠償金は?

①後遺障害逸失利益

後遺障害逸失利益

交通事故による後遺障害によって労働能力を失い、異動や退職を余儀なくされたり出世が難しくなったりしたことで得られなくなった将来の収入に対する補償。

交通事故による後遺障害のために退職を余儀なくされると、たとえ再就職先が見つかったとしても、収入が下がることがあります。
交通事故に遭わず元の職場で働き続けていたならこうした減収は生じなかったと考えられるため、これは後遺障害逸失利益として加害者側に請求することができます。

後遺障害逸失利益を請求するためには、

  • 後遺障害等級が認定されていること
  • 後遺障害により減収している、減収が見込まれること

が重要になります。

→後遺障害等級認定の申請方法はこちら

【補足】後遺障害逸失利益の計算方法

後遺障害逸失利益は、以下のように計算されます。

後遺障害逸失利益の計算

収入×労働能力喪失率×ライプニッツ係数

労働能力喪失率は、後遺障害等級ごとに目安が決められています。
ライプニッツ係数は、基本的には症状固定時年齢~67歳までの期間に対応する係数を用います。

後遺障害逸失利益は、以下の慰謝料計算機に後遺障害等級や事故時の年齢、収入等を記入することで簡単に計算できます。
ぜひご利用ください。

②減ってしまった退職金

交通事故で仕事を退職した場合、定年退職の場合と比べて退職金が低額になることが考えられます。
この退職金差額は、以下の条件がそろうと請求できる可能性があります。

退職金差額請求の条件
  • 交通事故によるけがと退職または退職金減額との間に相当因果関係が認められる
  • 交通事故がなければ被害者は定年までその会社で働いていたという蓋然性が認められる
  • 退職時に退職金が支払われる蓋然性がある

ただし、実際には後遺障害逸失利益との兼ね合いで、退職金差額を請求しない方が結果的に賠償金が高くなる場合が多いです。
そのため、あえて退職差額金を請求しないことも多いです。

補足|退職差額金を請求しない理由

後遺障害逸失利益は、例えば実際には60歳が定年の会社に勤めていたとしても、67歳を定年として計算されます。

ところが60歳を定年として退職差額金を計算すると、後遺障害逸失利益も60歳を定年として計算しなければ整合性が取れません。

そこで

  • 定年を67歳とした後遺障害逸失利益の金額
  • 定年を60歳とした退職差額金+後遺障害逸失利益の金額

を比べると、上の方が高額になる場合が多いため、あえて退職差額金は請求しないという選択をすることが多いです。

③慰謝料

退職が交通事故を原因としたものであると認められた場合には、退職も慰謝料の増額事由として認められる可能性があります。

ただし、

  • 認められたとしても数十万円程度と考えられる
  • 弁護士による交渉でないと増額の可能性は低い

という点にご注意ください。

交通事故の慰謝料は、基本的にはけがで通院したことによる精神的苦痛や後遺障害が残ったことによる精神的苦痛に対して支払われるものです。
退職したことに対する慰謝料請求はそれほど一般的ではありません。

そのため、弁護士による交渉でないと、退職したことに対する慰謝料は認められない可能性が高いのです。

④再就職までの休業損害

交通事故でのけがにより退職を余儀なくされ、すぐに再就職先が見つからない場合には、
①実際に再就職先が見つかるまで
②再就職先が見つかるまでの期間として相当と考えられる期間
のうち短い方に対して、休業損害が支払われます。

実際に退職後も休業損害が認められた例をご紹介します。

麻酔科勤務医(男・固定時52歳、脊柱変形11級7号)につき、(略)休業によりその職を別の医師に交替し、復職を申し出た時には復帰できず職を失ったとして、事故前の収入を基礎に、退職時から他院に勤務するまでの5ヶ月間245万円余りを認めた。
(京都地判平27.3.19 交民48・2・391)

引用元:『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準上巻 2019』(日弁連交通事故相談センター東京支部)

⑤雇用保険の失業手当

交通事故で退職した場合、雇用保険の補償である、失業手当を受けられる場合があります。
雇用保険の補償を受けられる条件は以下の通りです。

雇用保険の補償を受けられる条件
  • 就職する積極意思といつでも就職できる能力がある
  • 離職以前の2年間に通算して12ヶ月以上(※)の被保険者期間がある

※けがなど一定のやむを得ない理由での離職の場合は、離職日以前の1年間に通算して6ヶ月以上の被保険者期間が必要

雇用保険は基本的に、退職日の翌日から1年間支給されます。
ただし、けがなどのため30日以上働くことができない場合には、最長で3年間、支給を受けることができます。

雇用保険で受け取れる金額は、退職時年齢、退職前6ヶ月間の1日当たりの賃金、勤続年数等から決まります。

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交通事故で仕事を退職する場合|賠償請求は弁護士に相談

交通事故で退職をすると、収入が変わり将来にわたる影響が出てきます。
また、再就職先が決まるまでは不安な気持ちで過ごすことになると思います。
そのようなときには、ぜひ弁護士にご相談ください。
退職により生じた損害を取り戻すための交渉を行うことで、お金に関する不安な気持ちのサポートをいたします。

アトム法律事務所では、24時間365日、LINE・電話による無料相談の予約を随時受け付けています。
弁護士費用特約のご利用も可能です。まずはお気軽にご連絡ください。

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弁護士プロフィール

岡野武志弁護士

(第二東京弁護士会)

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。


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