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交通事故における物損事故について、このような疑問をお持ちの方はいませんか?
ご覧の記事では物損事故のこのような疑問・お悩みに回答していきます。
目次
少しでもケガをしたなら、物損事故ではなく人身事故あつかいにしてもらうべきです。
まずは物損事故と人身事故の違いを解説し、物損事故あつかいとすることのデメリットを紹介します。
です。
事故被害者の立場に立つと、物損事故と人身事故の違いにおいて重要となるのは、
です。
実況見分調書は、交通事故の事実関係を証明する重要な証拠です。
実況見分の結果を記載した書面。
見分の、
などが記載されている。
人身事故ではこの実況見分調書が作成されます。
物損事故では作成されません。
事故のあと、加害者側とトラブルになった際、実況見分調書(証拠書類)の有無は大きな差となります。
物損事故において慰謝料は原則認められません。
物損事故で慰謝料が認められ得るのは、以下の要素を備える場合です。
具体的には、
家屋に車両が侵入し損壊した場合など、住居の平穏が侵害された場合
には、慰謝料が認められました。
「何年も愛用し続けた愛着のある車だから」
といった理由では、慰謝料が認められることはないでしょう。
人身事故においては、事故態様によって以下の2種類の慰謝料が発生します。
傷害慰謝料
傷害を負ったという精神的な苦痛に対する慰謝料
後遺障害慰謝料
後遺障害を負ったという精神的な苦痛に対する慰謝料
人身事故の慰謝料について知りたい方はコチラの記事をご覧ください。
人身事故と物損事故の違いをあらためてまとめてみましょう。
物損事故 | 人身事故 | |
---|---|---|
人の死傷 | 無し*1 | 有り |
実況見分調書の作成 | されない | される |
慰謝料 | 原則なし | あり*2 |
*1警察の処理上の定義
*2傷害慰謝料に加え事故態様により後遺障害慰謝料も発生する
無論、まったくケガをしなかったのなら物損事故として処理を進めるべきでしょう。
ただ、僅かでもケガをしたなら、人身事故あつかいにしてもらった方がよいのです。
物損事故が発生したときには、警察へ通報するほか、被害者と加害者双方の保険会社に連絡を入れます。
車が自走不可能な場合にはレッカーを依頼し、事故の当事者が双方連絡先を交換していったん解散となります。
その後は、双方の任意保険会社が過失割合や損害賠償額について交渉を行います。
事故の当事者としては、保険会社の指示に従い、交渉を進めていくことになります。
基本的には、物損事故の当事者同士が話し合いや交渉をすることはありません。
双方の任意保険会社の担当者が窓口となります。
物損事故の流れについてくわしく知りたい方はコチラの記事をご覧ください。
物損事故における車の損傷に対する損害賠償の算定方法は、
によって変わります。
損害賠償の算定において、修理不能あつかいとなるのは
です。
より正確に言えば、判例上、
③ 車体の本質的構造部が客観的に重大な損傷を受けて、買替えをすることが社会通念上相当と認められる場合
も修理不能あつかいとなるのですが、きわめて例外的と言えます。
経済的に修理不能というのはどのような状態なのでしょうか?
経済的に修理不能なのかどうかの判断は、以下の式によって求められます。
「事故当時の車両の時価」-「事故車両の売却代金」+「買替諸費用」=A
経済的に修理不能となれば、たとえ物理的に修理すること自体は可能であっても、修理不能とみなして損害賠償額が算定されます。
上記式によって経済的全損かどうかを判断するのが厳密なやり方なのですが、実務上は、
単に「修理費用」と「事故当時の車両の時価」を比較検討するケース
が多いです。
なとき、その損害賠償額は先ほども登場した以下の式で求められます。
「事故当時の車両の時価」-「事故車両の売却代金」+「買替諸費用」
車両の時価とは、
「事故当時の車両と同一の車種・年代・型・使用状況等の車両を、中古車市場で取得する際にかかる費用」
です。
車両の時価は、
などの本を参考にとり決められるケースが多いです。
買替諸費用は、
事故車と同一の車種・年代・型・使用状況等の車両を中古車市場において取得する際に要する諸費用
を言います。
具体的には以下の通りです。
など
なお、実務上の処理としては、
事故車両の売却代金
については勘定にいれない場合も多いです。
修理可能なときは、
が損害賠償の額となります。
修理費用全額が無条件に支払われるというわけではありません。
あくまで、必要かつ相当であると認められた範囲の修理費用について、補償されます。
実務上とくに問題となるのは、
です。
塗装費
塗装については、判例上、部分塗装に要する費用の限度で損害と認めるケースが多いです。
通常、全塗装の費用まで認められることはありません。
パネル交換費
板金修理が可能な場合、パネル交換の必要性はほぼ認められません。
事故車が修理を終えたとしても、修理技術の限界から外観や機能に一定の欠陥が残るケースもあります。
また、事故歴・修理歴によって商品価値の下落が見込まれます。
これら欠陥や商品価値の下落を考慮すると、事故当時の車両価格より、事故後の車両価格の方が安くなる。
この安くなった分の差額が「評価損」
最近の裁判例を参照してみると、この評価損の補償は比較的認められやすい傾向にあるようです。
しかし実務上、損害保険会社は評価損を認めることに消極的です。
仮に評価損を認めた場合でも、その全額を補償することはほぼありません。
そのようなお悩みをお持ちの方は、なるべく早くに弁護士に相談することが重要です。
早ければ早いほど、
などについて確かな知識を手に入れることができます。
一度示談を締結してしまったら、後からその内容を変えることは原則できません。
気がかりなことを抱えたままでいるのは、得策とは言えないのです。
これらを活用し、ご自身のお悩みを払拭してください。
岡野武志
軽微な事故の場合、事故担当の警察は物損事故として処理を進めてくる場合もあります。