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交通事故における慰謝料の計算についてこのような疑問をお持ちの方はいませんか?
ご覧の記事では慰謝料や逸失利益、その計算方法などについて徹底解説していきます!
目次
交通事故の賠償に関するこれらの言葉は、それぞれ意味が違います。
慰謝料というのは、
交通事故によって生じた精神的苦痛を慰めるための賠償金
です。
事故被害者が死亡したとき、被害者やその近親者の精神的苦痛に対し支払われる慰謝料。
事故被害者が傷害を負ったとき、その精神的苦痛に対し被害者自身に支払われる慰謝料。
事故被害者が後遺障害を負ったとき、その精神的苦痛に対し被害者自身に支払われる慰謝料。
交通事故でケガを負い、しかも後遺障害まで残った場合には、
の両方を受けとれるわけです。
『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』(通称:赤い本)という本があります。
交通事故の損害賠償額について、過去の判例などを参考としてその基準を示した本です。
この赤い本2018年版を見てみると、基本的な死亡慰謝料の額は以下の通り示されています。
一家の支柱が死亡したとき:2800万円
母親や配偶者が死亡したとき:2500万円
その他(独身の男女や子どもなど):2000万円~2500万円
これら慰謝料は、死亡被害者1人あたりの金額となります。
残された遺族、近親者がそれぞれの立場に応じ、上記基準の慰謝料を分け合う形となります。
また被害者や事故態様などの事情によっては、慰謝料が増額されることもあります。
(酒酔い運転をしていた、ひき逃げしたなど)
傷害慰謝料は、原則として入院・通院の期間に応じて支払われます。
まずむちうちなど比較的軽傷の場合の傷害慰謝料の基準表は以下の通りです。
たとえば、
というわけです。
さらに実務上、
骨折以上のケガをしている場合
には、こちらの表が使われます。
となります。
軽傷の場合とくらべて額が大きいことがわかります。
さらに、事故の態様によってはこれら基準表の額から増額されることもあります。
など
人身交通事故の被害者になったとき、
病院での治療が終了しても、何らかの症状がずっと尾を引いて残ってしまう
つまりは、
後遺症
が残ることがあります。
後遺症のうち、
一定の要件を満たし賠償の対象となるような症状
のことを
後遺障害
と呼称します。
後遺症 | 治療終了後に残存する症状 (一般用語) |
---|---|
後遺障害 | 一定の要件を満たす後遺症 |
後遺障害についてくわしく知りたい方はコチラをご覧ください。
後遺障害を負ったときには、
後遺障害を負ったという精神的苦痛に対しての賠償
として後遺障害慰謝料がもらえます。
一般的に後遺障害慰謝料は、後遺障害の等級に応じて金額が決定されます。
弁護士基準での等級ごとの慰謝料の基準は以下の通りです。
さらに事故の態様によってはこれら基準表の額から増額されることもあります。
加害者側の事故態様が悪質な事例
(酒酔い運転をしていた、ひき逃げしたなど)
さらに、後遺症の事情次第では、実際に認定された等級よりさらに上級の基準で慰謝料を算定する事例もあります。
また介護が必要になったときなど、後遺症がより重篤な場合には
被害者の近親者
にも慰謝料が認められることがあります。
逸失利益は、
事故がなければ将来にわたって得られていたであろう経済的な利益
です。
死亡事故を例にあげて考えてみるとわかりやすいでしょう。
死亡事故について、もし事故がなければ事故被害者は将来に渡って働き続けて給料をもらい続けたはずである。
しかし被害者は事故で死亡してしまったため、この
「将来にわたって得ることができたはずの利益」
が得られなくなった。
この
「将来にわたって得ることができたはずの利益」
が逸失利益です。
死亡事故に限らず、たとえば後遺障害を負った場合には労働能力の一部、もしくは全部が喪失してしまうことでしょう。
出世が遅れたり減給されたりして、
「将来にわたってもらい続けることができたはずの給料の総額」
が減ってしまうことが考えられます。
この
将来にわたってもらえるはずだった給料総額の減額分
も逸失利益となります。
ここでは後遺障害を負ったときの
逸失利益の計算方法
について解説していきます。
一般的に逸失利益は
基礎収入×労働能力喪失率×中間利息控除係数(原則的にはライプニッツ係数)
によって求められる。
基礎収入とは年収の額です。
基本的には給与明細や確定申告などで確認できる、
現実に得ていた年収
を基礎収入とします。
ただ、
将来、現実収入以上の収入が得られるという立証
があれば、その金額を基礎収入として用いることができる場合もあります。
労働能力喪失率は、後遺障害の等級ごとに基準となる表が公開されています。
等級 | 労働能力喪失率 |
---|---|
1級 | 100% |
2級 | 100% |
3級 | 100% |
4級 | 92% |
5級 | 79% |
6級 | 67% |
7級 | 56% |
8級 | 45% |
9級 | 35% |
10級 | 27% |
11級 | 20% |
12級 | 14% |
13級 | 9% |
14級 | 5% |
原則的に、労働能力喪失率はこの表を基準に取り決められます。
ただ、事故の事情によっては労働能力喪失率が等級の基準より上がるケースもあります。
音楽と書道の出張教授が交通事故により9級から10級に相当する後遺障害を負った。
元来、労働能力喪失率は27%~35%に相当する。
しかし職業と後遺症の具体的な状況などを総合的に判断し、
90%の労働能力喪失率
が認定された。
またたとえ後遺障害が認定されなかったとしても、労働能力がある程度喪失したと認められる可能性もあります。
事故被害者は将来にわたって継続して受け取る予定だった経済的な利益を、一括で前払いしてもらうことになります。
法律上は、この「一括前払いしてもらった」という点について事故被害者に利益が生じたとみなします。
この「前払いしてもらうことによる利益」を差し引いた金額が、賠償として受けとるべき金額となります。
「前払いしてもらうことによる利益」を差し引くための具体的な基準が、
中間利息控除係数
なのです。
中間利息控除係数には2種類あるのですが、一般的にはその2種類の中のひとつである
ライプニッツ係数
が用いられます。
労働能力喪失期間 | ライプニッツ係数 |
---|---|
1年 | 0.95 |
5年 | 4.33 |
10年 | 7.72 |
20年 | 12.46 |
30年 | 15.37 |
ライプニッツ係数は、
労働能力喪失期間
に応じて数値が算定されています。
一般的に、労働能力喪失期間は
被害者の稼働上限年齢(通常67歳)-後遺障害の症状固定日の年齢
で求める。
未就労者の場合、原則的には
被害者の稼働上限年齢(通常67歳)-高校卒業見込みの年齢
となります。
大学生や大学進学の蓋然性が高い人の場合には、
被害者の稼働上限年齢(通常67歳)-大学卒業見込みの年齢
となります。
なお実務上、
といったときには、労働能力喪失期間がより短いものとなる場合もあります。
さて、実例をあげていま一度逸失利益の計算方法を復習してみましょう。
会社員が交通事故にあった。
その他、逸失利益の計算において考慮すべき特別な事情はないものとする。
を求めていきましょう。
500万円です。
後遺障害11級なので、20%です。
労働能力喪失期間は
67-47=20
つまり20年です。
労働能力喪失期間20年におけるライプニッツ係数は12.46です。
基礎収入500万×労働能力喪失率0.2×ライプニッツ係数12.46=1246万
つまり、逸失利益は1246万円
無論、ここで挙げた例は逸失利益の計算の基本的な流れをおさらいするためのものです。
実務上の逸失利益の計算は、個々の事故の特別な事情などを考慮するため、より複雑なものとなります。
そのようなお悩みをお持ちの方は、なるべく早くに弁護士に相談することが重要です。
早ければ早いほど、
などについて確かな知識を手に入れることができます。
一度示談書にサインをしてしまったら、後からその内容を変えることは原則できません。
気がかりなことを抱えたままでいるのは、得策とは言えないのです。
などを活用し、ご自身のお悩みを払拭してください。
野尻大輔
交通事故における慰謝料は、事故の態様によって主に3種類に分けられます。
です。