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交通事故の過失相殺の計算方法と意味を解説|過失割合と過失相殺とは?判例も紹介

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  • 交通事故に遭ったけど、過失割合過失相殺の意味がよくわからない
  • 過失相殺の計算方法とは? わかりやすく知りたい
  • 交通事故の過失相殺を判例から学びたい

交通事故の被害者でも、過失があった場合、支払われる賠償額が減額される可能性があります。

これを過失相殺といいますが、過失相殺はどのようにして計算されているのでしょうか。

被害者の過失割合に応じて過失相殺される金額が決められます。

たとえば、被害者側にも「2割」の過失が認められた「2:8」の事故の場合、賠償額は2割減額されるでしょう。

このページでは、

具体的な判例

民法の条文

などを挙げて過失相殺について解説していくので、過失相殺の意味や仕組みについてしっかりと学びましょう。


1

交通事故の過失割合・過失相殺とは?

Q1

「過失割合」の意味は?例を使ってわかりやすく知りたい

過失割合とは

交通事故の過失割合とは?

過失相殺と同時に出てくる「過失割合」とは、そもそもどういう意味なのでしょうか。

過失割合の意味

端的に言うと、被害者と加害者の過失の度合いを割合で示したものです。

交通事故が起こった場合、加害者だけではなく、被害者にも何かしらの落ち度があることが多いです。

そのような場合、

「被害者にも責任がある」

とみなされ、支払われる賠償額が減額される場合があります。

その「賠償額の減額」が冒頭でも触れた過失相殺ですね。

被害者だからといっても、加害者の過失が常に「100%」認められるわけではありません。

これから挙げるのように、ケースによっては被害者にも大きな過失割合が認められる可能性があります。

「判例タイムズ」や「赤本」掲載の過失割合

では、実際にどのような事故態様だとどの程度の過失割合となるのでしょうか。

典型的な事故類型については過失割合の「基準表」に基づいて決められます。

「基準表」は以下2冊の書籍に掲載されています。

公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部発行の『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準』(通称「赤い本」)

株式会社判例タイムズ社発行の『別冊判例タイムズ38号 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準〔全訂5版〕』

ただ、示談交渉においては、赤い本はほとんど使われず、別冊判例タイムズ38号がよく使われます。

実際に、赤い本と別冊判例タイムズ38号から過失割合のケースを見てみましょう。

こちらの基準表を見れば、過失割合がどのようにして決められているのかイメージもつきやすいのではないでしょうか。

一方通行違反がある場合の直進車同士の事故
A=四輪車両
B=一方通行違反車
基本の過失割合 A 20 B 80
夜間 +5
Aが大型車 +5
Aの著しい過失 +10
Aの重過失 +20
Bが大型車 +5
Bの著しい過失 +10
Bの重過失 +20

『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準(2017年2月10日発行第46版)』「上巻(基準編)」295頁を参考に作成
*「信号機の設置されていない交差点で事故が起こった」と想定して表を作成

歩行者・車両ともに赤信号無視
基本 歩行者の過失は20
夜間 +5
幹線道路 +5
直前直後横断
佇立・後退
+5
住宅街・商店街等 5
歩行者が児童・高齢者 5
歩行者が幼児・身体障害者等 10
集団横断 5
車の著しい過失 10
車の重過失 20
歩車道の区別なし 5

『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準[全訂5版] 別冊判例タイムズ38号(2014年07月10日発行)』68頁を参考に作成
*「歩行者は横断歩道の上を歩行していて、横断中に青信号には変わらなかった」と想定して表を作成

上記表の通り、交通事故の被害者であっても、状況に応じて過失割合が加算・減算されることがわかります。

しかし、赤い本や別冊判例タイムズ38号に掲載されているのはあくまで「基準」である点にご注意ください。

個別事情によっては基準表に載っていないケースもあります。

そのため、適切な過失割合を知りたい場合は、弁護士などの専門家に相談することを推奨します。

アトム法律事務所は交通事故案件を多く手がけた実績があるため、相談者の助けになることができるかもしれません。

Q2

「過失相殺」の意味は?民法の条文から要件を読み解く

交通事故の過失相殺とは?

冒頭でも述べた通り、過失があった場合、支払われる賠償額が減額されることです。

では、「過失相殺」について法令ではどのように言及されているのでしょうか。

民法第722条第2項に被害者の過失に関する記載があります。

被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。

引用元:民法第722条第2項

上記の通り、裁判所が過失を考慮した賠償額を定めることができます。

そして、被害者に「事理弁識能力」があれば過失相殺される可能性があります。

「事理弁識能力」とは、簡単に言うと物事を認識する能力のことです。

以下の判例からもわかる通り、「事理弁識能力」は小学校入学前後でそなわると考えられています。

(略)被害者たる未成年者の過失をしんしゃくする場合においても、未成年者に事理を弁識するに足る知能が具わつていれば足り、未成年者に対し不法行為責任を負わせる場合のごとく、行為の責任を弁識するに足る知能が具わつていることを要しないものと解するのが相当である。

引用元:最高裁判所大法廷判決/昭和36年(オ)第412号

では、

小さな子供が急に道路に飛び出して事故に遭ってしまった

という場合でも、被害者側の過失が認められる可能性がある、ということですね。

交通事故の過失相殺とは
過失相殺の意味 被害者側に過失ありの場合、もらえる賠償金が減額されること
該当条文 民法第722条第2
事理弁識能力 小学校低学年でも過失が認められる可能性あり
2

過失相殺の計算方法|判例から解説

Q1

判例タイムズ「過失相殺率の認定基準」から計算例を知りたい

過失相殺の基本的な計算方法

では、過失相殺計算方法は具体的にどのようになっているのでしょうか。

たとえば、

被害者 加害者
過失割合 20% 80%
損害額 200万円 100万円

損害額は人身部分と物損部分の合計額

というケースだと、どのように計算されるのでしょうか。

まず、双方が相手に賠償額をいくら支払うのか、というところから計算します。

加害者⇒被害者
200万円×0.8=160万円
被害者⇒加害者
100万円×0.2=20万円

上記より、加害者が被害者に160万円、被害者が加害者に20万円を支払うことがわかります。

そして、多くの場合、

① 被害者が受け取るべき損害賠償金(160万円)から、

② 被害者が支払うべき損害賠償金(20万円)を相殺して(差し引いて)、

③ 加害者から損害賠償金が支払われます。

したがって、最終的に被害者に支払われる損害賠償金の金額は、

当事者間で損害賠償金を相殺
160万円-20万円=140万円

上記より、140万円になります。

わかりやすくまとめると、過失相殺計算方法は以下の式の通りです。

(被害者の損害額×加害者の過失割合)-(加害者の損害額×被害者の過失割合)=被害者に支払われる賠償金額

「被害者」でも賠償金が高額になるケース

しかし、場合によっては、

被害者が加害者に支払う賠償金のほうが、加害者から被害者に支払われる賠償金よりも高額になる

というケースもありうるのでしょうか。

過失割合や、相手の損害額によってはありえます。

判例タイムズに掲載されている「直進車・右折車ともに青信号で侵入した場合(右直事故)」を例に考えてみましょう。

まず過失割合ですが、このような事故の場合、速度違反などの修正要素を考慮しなければ過失割合は2:8です。

被害者側の過失が20%と、加害者よりも小さめの値なので、

加害者⇒被害者の賠償金額>被害者⇒加害者の賠償金額

感覚的に、上記のようになる気がしますが……

仮に、加害者側の損害項目に以下が含まれている場合、被害者が加害者に支払う賠償金のほうが高額になりえます。

加害者の損害項目

時価額1億円の高級車(全損)

では、上記の要素を加味して、以下の条件で賠償金額を計算してみましょう。

被害者 加害者
過失割合 20% 80%
人身の損害額 200万円 100万円
物損の損害額 100万円 1億円

人身・物損の過失割合はどちらも被害者20%加害者80%

上述した通り、被害者に支払われる賠償金計算方法は以下の通りです。

(被害者の損害額×加害者の過失割合)-(加害者の損害額×被害者の過失割合)=被害者に支払われる賠償金額

では、こちらの計算式を用いて人身・物損それぞれの賠償金額を計算していきましょう。

加害者⇒被害者
《人身》
200万円×0.8=160万円
《物損》
100万円×0.8=80万円
《合計額》
160万円+80万円=240万円
被害者⇒加害者
《人身》
100万円×0.2=20万円
《物損》
1億円×0.2=2,000万円
《合計額》
20万円+2,000万円=2,020万円
当事者間で損害賠償金を相殺
240万円-2,020万円=1,780万円

計算の結果、被害者は加害者に1,780万円の損害賠償金を支払う必要があることがわかります。

このように、被害者側のほうが過失割合が小さくても、損害内容によっては高額な賠償金を支払うケースもあります。

被害者側にも過失があるとはいえ、高額な賠償金となると支払うのが難しくなるでしょう。

このような場合、何か対策などはあるのでしょうか。

人身・物損ともに被害者側の任意保険を使用できる場合があります。

たとえば東京海上日動のトータルアシスト自動車保険の場合、物損なら通常は30億円を上限に保険金が支払われます。

事故の後は加入している任意保険の補償内容を冷静に見直し、事故の内容が補償対象かどうか確認するようにしましょう。

Q2

交通事故の損益相殺はどう計算する?

交通事故の過失相殺の計算方法についてはよくわかりました。

続いて、損益相殺について解説していきます。

そもそも、「損益相殺」とは何でしょうか?

はじめて耳にする方も少なくないでしょう。

以下が損益相殺の意味です。

損益相殺の意味

交通事故の被害者が、交通事故を原因として受領した一定の利益の額を損害賠償から控除すること

被害者の損害賠償金の二重取りを防ぐため、損害の填補としての性質を持つ利益は損益相殺の対象となります。

損益相殺として控除される項目・されない項目は以下の表の通りです。

損益相殺の当否
控除の対象となるもの
・加害者による内払金(既払い金)
・自賠責保険金
・任意保険金
・労災保険金(特別支給金等除く)
・国民年金・厚生年金
控除の対象とならないもの
・加害者が支払った見舞金・香典
・労災の特別支給金等
・搭乗者傷害保険金
・自損事故保険金
・生命保険金

なお、損益相殺については、他にも様々な注意事項があります。

訴状に過失相殺と損益相殺を記載する順番

損益相殺控除される損害賠償項目

これらについては以下のページで詳細に解説されているため、ぜひご参考にしてみてください。

なお、損益相殺の仕組みは非常に複雑です。

弁護士などの専門家に相談すれば過失相殺や損益相殺の疑問や不安を解消できる場合があるため、ぜひお気軽にご相談ください。

Q3

労災扱いの交通事故でも過失相殺されるのか?

業務中や通勤中に交通事故に遭遇した場合、労災として認定される場合があります。

その場合、労災から給付金が支払われます。

しかし、その給付金に対しても過失相殺は行われるのでしょうか。

労災の給付金は過失相殺されず、「治療費」や「休業補償」は全額支給されます。

そもそも、労災とは労働者の迅速かつ公正な保護を目的としたものです。

そのため、不法行為に対する賠償を目的とした損害賠償とは異なります。

労災として認定されると、

過失相殺されていない給付金をもらうことができる

という大きなメリットがわかりました。

なお、交通事故の労災保険については以下のページで詳細に解説されているため、ぜひご参考にしてみてください。

また、アトム法律事務所では交通事故に関する労災案件も対応しています。

業務中に営業車で事故に遭った

通勤中に車と接触した

などの場合、労災認定についてのアドバイスをできる場合もあるため、ぜひご相談ください。

3

交通事故の過失割合・過失相殺は弁護士に相談!

Q1

【LINE対応】スマホからカンタンに相談するには?

交通事故過失相殺計算方法でお困りの被害者の方はこちらの窓口をご利用ください。

LINEFacebook電話無料相談可能

24時間365日受付

スマートフォンから弁護士とのLINE相談、対面相談予約などが可能ですので、ぜひお気軽にご利用ください。

受け付けた後に順次、弁護士が対応します。

最後に一言アドバイス

いかがでしたでしょうか。

最後に岡野代表弁護士からひと言アドバイスをお願いします。

交通事故過失相殺計算方法がおわかりになったでしょうか。

たとえ被害者の方であっても、過失がある場合は相手方に対して賠償責任を負います。

加害者側の任意保険会社から提示された過失割合が適切なのか?

判例にはない個別事情に応じた過失割合を出したい

などの疑問や要望をお持ちの方は、交通事故案件の経験豊富なアトム法律事務所にぜひご相談ください。

もし「弁護士費用特約」が使えるようであれば、費用をほとんど負担せずに弁護士に依頼可能な場合があります。

また、対面相談が難しい場合は、スマートフォンのLINE無料相談からお気軽にご連絡ください。

4

まとめ

このページを最後までご覧になってくださった方は、

まとめ

交通事故過失相殺計算方法

過失割合と過失相殺の意味

ということなどについて、理解が深まったのではないでしょうか。

交通事故の過失相殺に関することで弁護士に相談したい方は、スマホで無料相談よりご相談ください。

また、関連記事もご用意しましたので、過失相殺に関する他記事もぜひご覧になってみてください。

このページが、交通事故過失相殺についてお悩みの方のお役に立てれば何よりです。