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提示された過失割合に納得できない!過失割合の交渉に必要な資料は?

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  • 加害者側から提示された過失割合に納得できない…
  • 自分が思う過失割合を主張するためにはどうすれば…
  • 過失割合交渉時のポイントは

最終的な示談金額に大きく影響する過失割合

だからこそ、納得いかない場合はしっかりと交渉したいですよね。

今回は、過失割合の交渉について、弁護士とともにお答えしていきます。


1

過失割合の決め方と重要性

Q1

過失割合とは?どのように決められる?過失割合算出例をご紹介

過失割合とは?

過失割合とは、以下のことを指します。

過失割合

 交通事故を起こした責任が、被害者と加害者それぞれにどれくらいあるかを割合で示したもの

「交通事故を起こした責任」とは、言い換えれば落ち度のことです。

交通事故では、この落ち度のことを「過失」といいます。

過失の例としては、

信号を無視した

急に飛び出した

などがあります。

この過失が認められるためには条件があります。

その条件に付いて、確認してみましょう。

過失が認められる条件

交通事故発生の予見、交通事故の回避が可能だった

それにもかかわらず、交通事故発生を予見しなかった、交通事故を回避しようとしなかった

過失割合とは、

上記の条件を満たす過失が、被害者と加害者それぞれに何割ずつあるか

を示したものなのです。

過失割合の決め方は?

過失割合は、過去の判例をもとに作られた基準に基づいて決められます。

過去の判例を参考にして事故を類型ごとに分け、各類型の過失割合を定めているのです。

過失割合の基準は

東京地裁民事交通訴訟研究会による『別冊判例タイムズ』

に記載されているものを使うことがほとんどです。

過失割合の基準は、道路状況、信号の色などに応じて決められています。

参考として、歩行者と直進車の事故の過失割合を見てみましょう。

表1

事故の類型による過失割合

車信号青 車信号黄 車信号赤
歩行者信号青 歩行者0
100
歩行者信号青点滅 歩行者10
90
歩行者信号赤 歩行者70
30
歩行者50
50
歩行者20
80

歩行者と直進車の事故の場合

これに加えて、修正要素も考慮して過失割合が決められます。

修正要素とは、各交通事故の個別的な事情を過失割合に反映するためのものです。

被害者の責任能力や、事故発生時の加害者の状態などが考慮されます。

では、修正要素の一例も見てみましょう。

表2

修正要素の例

修正要素 過失割合への影響 理由
被害者が幼児・児童・老人 車側に対して520%の加算 歩行者側の責任能力が低い
集団で横断しているところに車が突っ込んだ 集団で歩行していれば車から見えやすいはず
酒気帯び運転 運転手による過失

以上を踏まえて、過失割合の決め方をまとめてみましょう。

過失割合の決め方

① 当該事故がどの事故類型に当てはまるのかを確認

② その事故類型の過失割合を確認

修正要素を確認して②で出した過失割合に反映させる

過失割合を算出してみよう

では、上でご紹介した表をもとに、過失割合を算出してみましょう。

事故:歩行者と直進車の事故

信号:歩行者、車ともに

備考:被害者は児童

① 表1と事故状況から、過失割合

 被害者:加害者=20:80

② 被害者が児童なので表2から修正要素を考慮し

 被害者:加害者=10:90

実際の事故はもっと複雑なことが多いですが、単純化すると、こうした算出方法になります。

Q2

過失割合はどうして重要?示談金額に影響する?

過失割合は、非常に重要です。

最終的な示談金額に反映されて、受け取れる金額が大きく変わる可能性があるからです。

過失相殺

 示談金額に過失割合を反映させること。

 これにより示談金額が大きく変わることもある。

では、過失割合がどのように示談金額に反映されるのか、見てみましょう。

過失相殺の例
被害者 加害者
過失割合 2 8
損害の総額 1000万円 100万円
請求できる金額 1000万円×(10.2)⁼800万円 100万円×(10.8)⁼20万円
相殺支払する場合の金額 800万円‐20万円⁼780万円 200万円‐800万円⁼‐780万円
結果 780万円受領 780万円支払

被害者の過失割合が大きいほど、受け取れる示談金額への影響は大きくなります。

逆に言えば、加害者側にとっては、被害者側の過失割合が大きい方が良いということです。

受け取れる示談金額への影響が大きい

加害者側は被害者の過失割合を大きくしたい

という点から、交渉によって妥当な過失割合を導き出すことが重要であるとわかるでしょう。

2

提示された過失割合に納得できない…!どうすれば?

Q1

過失割合の交渉で争点となるのは?

過失割合を決めるときに争点になるのは、

当該事故がどの事故類型に当てはまるのか

ということです。

争点になりやすいポイントを具体的に言うと、

事故発生時の信号の色

事故当時の車の速度

事故の予見や回避の可能性、必要性(過失として認められるか)

というところです。

Q2

過失割合の交渉に必要な資料とは?

過失割合では、事故発生当時の状況について争点になりがちです。

ということは、事故発生当時の状況を証明する以下の資料が必要だということです。

事故発生当時の状況を証明する資料

実況見分調書

供述調書

物件事故報告書

それぞれの調書について、詳しくご説明します。

過失割合の交渉に必要な資料
実況見分調書 供述調書 物件事故報告書
作成条件 人身事故 人身事故 物損事故
特徴 ・実況見分*の記録
・見分の日時、場所、道路状況
・事故車両の状況
・立会人の指示説明
などを記録
・取り調べ捜査で当事者から聞き取った内容
・事故前後の当事者の状態
・事故に関する当事者の認識
・目撃者による説明
などを記録
・物損事故の状況に関する極めて簡単な略図

*事故現場に当事者が立ち会って、事故当時の状況について捜査すること

これらの資料は、警察など捜査機関が作成した公的なものです。

過失割合の交渉の際には重要な証拠になります。

過失割合の交渉相手である加害者側の保険会社こうした書類を取り寄せているとは限りません。

加害者から聞いた話をもとに過失割合を出していることも珍しくありません。

そのため、こうした書類を被害者自身も確認することが大切です。

保険会社も把握していない事実があるかもしれません。

Q3

交通事故証明書・刑事記録の取り寄せ方は?

では、過失割合の際に重要になるこれらの書類の取り寄せ方を確認しましょう。

実況見分調書・供述調書の閲覧・謄写

実況見分調書供述調書のことを、刑事記録といいます。

刑事記録の基本的な閲覧・謄写申請方法は以下の通りです。

交通事故証明書を取り寄せ、事故の取り扱い警察署を確認する

② 事故の取扱警察署にて加害者の

 

送致日

 

送致先検察庁

 

送致番号  を確認する

検察庁で記録係に上記3点を伝え、刑事記録の謄写を依頼する

交通事故証明書は、交通事故を警察に届け出た際に作成されています。

これは、最寄りの自動車安全運転センターに申請することで取り寄せることができます。

交通事故証明書の事故照会番号の欄で、事故の取扱警察署が分かります。

まだ捜査中の段階では、刑事記録を見ることはできません。

刑事裁判中は、見ることができます。

加害者が不起訴処分になった場合には、供述調書の取り寄せは難しくなります。

この場合、

民事裁判所からの調書送付依頼がある

供述者自身から供述内容を聞き出すことが不可能であること

供述調書が必要不可欠であること

供述調書の開示により供述者のプライバシーが侵害されないこと

などの厳しい条件を満たさなければなりません。

捜査中に刑事記録を閲覧・謄写することはできません。

また、刑事裁判中に刑事記録を見たい場合は、検察庁ではなく裁判所に申請することになります。

では、ここで実況見分調書供述調書の閲覧・謄写申請の方法をまとめます。

実況見分調書と供述調書の取り寄せ
実況見分調書 供述調書
捜査中 閲覧・謄写できない
不起訴 ・検察庁に申請(本人または代理人の来庁が必要)
・弁護士照会
※不起訴の場合、供述調書の申請受理の条件は厳しくなる
裁判中 裁判所に申請
裁判後 ・検察庁に申請(本人または代理人)
※閲覧のみで謄写できない場合もある

物件事故報告書

物件事故報告書は、原則弁護士による照会でないと開示されません。

物損事故で物件事故報告書が必要な場合には、弁護士に依頼しましょう。

3

納得いく過失割合のために

Q1

過失割合の交渉を有利に行うには?

過失割合の交渉を有利に行うためには、

必要な資料を用意しておくこと

法的根拠過去の判例に基づいた主張をすること

被害者の過失割合が減る修正要素を盛り込むこと

が重要です。

一番大切なのは、交渉に必要な資料を手に入れることです。

法的根拠や過去の判例に基づいた主張も、修正要素の主張も、

事故当時の状況がはっきりしていなければ説得力がない

からです。

ただし、示談交渉の際に非常に大切になる刑事記録は、

人身事故として事故を届け出ていなければ作成されません。

どんなに小さなけがだったとしても、けががあるなら必ず人身事故として届け出ておきましょう。

人身事故でも、加害者や警察から、物損事故で届け出るよう言われることもあります。

その理由は、以下の通りです。

物損での届け出を奨める理由
加害者 警察
理由 物損事故の方が処罰が軽い 実況見分調書や供述調書作成の手間が省ける

しかし、ここで物損事故にしてしまうと、過失割合の交渉の時に困ります。

人身事故なら人身事故として届け出ましょう。

交通事故は、人身事故なら人身事故として届け出る

→過失割合の交渉で大切な実況見分調書を作成してもらえる

Q2

自分で過失割合の交渉をするのは難しい?

被害者が過失割合の交渉を自分自身で行うのは、簡単ではありません。

過失割合の交渉相手となるのは、多くの場合加害者側の保険会社です。

加害者側の保険会社はこうした交渉のプロです。

法的根拠過去の判例に基づいて主張をしても、相手の方が詳しいことがほとんどです。

そのため、反論されて主張が通らない可能性が高いです。

修正要素を主張するにあたっても、各事故に応じた非常に個別的な話になります。

盛り込める修正要素を取りこぼしたり、保険会社から修正要素を否定されたりする可能性もあります。

保険会社は、できるだけ支払う示談額を少なくしようとしてきます。

そのため、過失割合も、加害者に有利なものを提示してきがちです。

しかも、交渉に関する知識も経験も被害者より豊富です。

被害者自身で対等に交渉するのは、簡単とは言えないでしょう。

Q3

いきなり有料で弁護士相談は気が引ける…

交渉相手は知識も経験も豊富な保険会社

修正要素のような個別的な考慮も必要

以上のことを踏まえると、やはり弁護士に相談した方が安心です。

とはいえ、弁護士費用や弁護士との相性など、気になることは色々ありますよね。

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