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目次
詳細は後述しますが、後遺障害併合14級でも、
が裁判を通して以下のように向上した事例があります。
通常 | 向上後 | |
---|---|---|
後遺障害慰謝料 | 110万円 | 180万円 |
労働能力喪失率 | 5% | 9% |
労働能力喪失期間 | 5年* | 10年 |
*神経症状の後遺障害の場合
なぜ併合14級で後遺障害慰謝料と逸失利益を増額することができたのか。
その理由については、次節で解説していきます。
では、後遺障害併合14級で慰謝料・逸失利益等が通常の基準よりも増額された判例を見てみましょう。
(4) 後遺障害慰謝料
(略)顔面の醜状を含む後遺障害につき症状固定した当時,原告は19歳であった。
一般に,成人前の18~19歳前後の青年期にある者にとって,顔面に瘢痕等が残り続けるということにより,将来の私生活や就労に対する大きな不安が生じたり,積極性を失ったりする可能性があるということができる。原告自身,顔面の醜状により,何事にも自信がもてなくなったと供述している。また,(略)右下腿部の醜状もあることを考慮すべきである。
もっとも,(略)相応の逸失利益を算定していることからすれば,原告の外貌醜状による後遺障害慰謝料としては,180万円を認めるのが相当である。
引用元:横浜地方裁判所判決/平成23年(ワ)第3757号
上記判例では、併合14級を認定された被害者に180万円の後遺障害慰謝料が認められています。
しかし、以下の通り、併合14級の裁判基準(弁護士基準)の後遺障害慰謝料の目安は通常は110万円です。
なぜ、併合14級で180万円の後遺障害慰謝料が認められたのでしょうか。
判例によると、
と、後遺障害が複数あることを理由として、単独の14級の基準よりも後遺障害慰謝料が増額されたことがわかります。
どうやら、特別な事情があれば併合14級でも増額の見込みがあるようです。
後遺障害併合14級でも、14級の基準以上の後遺障害慰謝料が支払われる可能性あり
続いて、併合14級の逸失利益が通常の基準よりも増額された判例を見てみましょう。
(4) 逸失利益
(略)
イ 労働能力喪失率
(略)原告の後遺障害については,別表第二第14級に該当し,通常5%とされるところ,原告の症状等に鑑み,9%とするのが相当であると解される。
ウ 労働能力喪失期間
(略)原告の症状等に鑑み,10年間とするのが相当であると解される。(略)
引用元:福岡地方裁判所判決/平成23年(ワ)第4988号
上記判例では、頚部と腰部に神経症状が残って併合14級が認定された後、
と判断され、結果的に逸失利益が増額されています。
しかし、通常であれば、併合14級の労働能力喪失率は5%、労働能力喪失期間は神経症状でも5年程度と判断されます。
なぜ、併合14級にも関わらず、通常よりも高額な逸失利益が認められたのでしょうか。
以下が高額な逸失利益が認められた主な理由です。
併合14級であっても、症状の内容や労働への影響の程度によっては、通常の基準よりも逸失利益が増額される可能性があります。
そのため、以下のようなお悩みをお持ちの方は、悩みを解決するために弁護士などの専門家に相談することを推奨します。
「併合14級だけど、日常生活や仕事に大きな支障が出ているから逸失利益を増額してほしい」
このような悩みについては、交通事故案件の経験豊富なアトム法律事務所にご相談いただければ解決できる可能性があります。
併合14級の後遺障害慰謝料や逸失利益に関することはぜひアトム法律事務所までご相談ください。
ここでいったん、後遺障害の併合とは何なのかについて確認しておきましょう。
そもそも、後遺障害の「併合」とはどういう意味なのでしょうか。
後遺障害の併合とは、
異なる系列の身体障害が2つ以上ある場合、重い方の身体障害の等級になるか、又はその重い方の等級を1級ないし3級を繰上げて当該複数の障害の等級とすることです。
等級の繰上り方については、以下の表をご覧になるとわかりやすいでしょう。
次に重い等級 | 一番重い等級 | |||
---|---|---|---|---|
1~5級 | 6~8級 | 8~13級 | 14級 | |
1~5級 | 重い等級+3級 | ━ | ━ | ━ |
6~8級 | 重い等級+2級 | 重い等級+2級 | ━ | ━ |
8~13級 | 重い等級+1級 | 重い等級+1級 | 重い等級+1級 | ━ |
14級 | 重い等級 | 重い等級 | 重い等級 | 併合14級 |
※別表第一の後遺障害の場合除く
14級同士が併合しても等級の繰上げは無く、併合14級として扱われるのですね。
上述した通り、併合14級が認定された場合でも、通常は単独の14級と同じ基準で後遺障害慰謝料や逸失利益が支払われる点にご注意ください。
また、後遺障害の併合については以下のページでも解説されているため、ぜひご参考にしてみてください。
では、後遺障害の系列とは何なのでしょうか
後遺障害の系列についてですが、
後遺障害の系列とは、身体の部位ごとに区分された後遺障害を、さらに生理学的な観点から細分したもの
であり、35の系列に分かれています。
系列表がどのようなものなのか、一部を抜粋して見てみましょう。
系列区分 | 部位 | 器質的障害 | 機能的障害 | |
---|---|---|---|---|
16 | 体幹 | せき柱 | 変形障害 | 運動障害 |
17 | その他体幹骨 | 変形障害 |
上記は「体幹」の系列区分のみですが、以下のページで35系列の区分すべてが解説されているため、ぜひご参考にしてみてください。
では、「系列を異にする」後遺障害のみが併合の対象になるため、
脊柱に変形を残し(11級7号)、かつ脊柱に運動障害を残した(8級2号)
という場合だと、前節の併合時の等級早見表の「重い等級+1級」には当てはまらないことになるのでしょうか。
その場合、併合して1等級繰上がることはなく、8級が適用されます。
繰り返しになりますが、異なる系列の後遺障害が発生した場合のみ、併合が認められることを覚えておきましょう。
後遺障害の併合とは、異なる系列の身体障害が2つ以上残ること
交通事故に遭遇して後遺障害が認定される場合、58.1%は14級が認定されています(2016年時点)。
この14級の認定率の高さからして、2つ以上の後遺障害が併合した際、併合14級になるケースは少なくないことが推測できます。
では、実際に交通事故で併合14級が認定された事例にはどのようなものがあるのでしょうか。
2018年度に判決が出された交通事故裁判の判例によると、以下のような事例があります。
No.① |
---|
◆症状 ・頸痛、握力低下、右手痺れ等(14級9号) ・腰痛、左下肢痺れ、放散痛等(14級9号) ◆後遺障害慰謝料 110万円 ◆逸失利益 40万3933円 |
No.② |
◆症状 ・首の疼痛、両上肢のしびれ等(14級9号) ・両膝の痛み等(両膝は左右で別の症状)(14級9号) ◆後遺障害慰謝料 110万円 ◆逸失利益 65万9995円 |
No.③ |
◆症状 ・頸部痛、右前腕から右手小・環指の痺れ(14級9号) ・腰痛等(14級9号) ◆後遺障害慰謝料 110万円 ◆逸失利益 155万8584円 |
①は大阪地裁平成30年4月17日判決より
②は大阪地裁平成30年3月23日判決より
③は大阪地裁平成30年3月16日判決より
例示しているのは3件のみですが、すべての事例で複数の14級9号が認定されて併合14級になっています。
(14級9号…「局部に神経症状を残すもの」)
14級9号認定はされやすい後遺障害なのでしょうか。
「むちうち(頚椎捻挫)」でケガを負った際、14級9号が認定される場合がありますが、むちうちは交通事故で特に発生しやすいケガのひとつです。
むちうちの件数が多い分、自然と14級9号の認定数も多くなっていると推察できます。
以下の通り、自動車乗車中の事故で負うケガの80%が「頚部」に発生することからも、いかに14級9号の認定数が多いか想像もつくのではないでしょうか。
損傷部位別 | 自動車乗車中 | 構成率 |
---|---|---|
頸部 | 304,373 | 80.2 |
頚部以外 | 75,108 | 19.8 |
計 | 379,481 | 100.0 |
ただ、上述したように、
併合14級が認められた場合でも、通常は単独の14級と同じ後遺障害慰謝料や逸失利益が支払われます。
しかし、症状の内容や労働への影響の程度などによっては増額される可能性もあります。
通常の基準よりも増額してほしい場合は、ぜひ交通事故案件の経験豊富な弁護士までご相談ください。
後遺障害併合14級の慰謝料でお困りの被害者の方はこちらの窓口をご利用ください。
スマートフォンから弁護士とのLINE相談、対面相談予約などが可能ですので、ぜひお気軽にご利用ください。
受け付けた後に順次、弁護士が対応します。
いかがでしたでしょうか。
最後に岡野弁護士からひと言アドバイスをお願いします。
後遺障害併合14級の慰謝料や逸失利益などについておわかりになったでしょうか。
通常は併合14級でも単独の14級と同じ基準で金額が算出されますが、ケースによっては通常よりも増額できます。
交通事故案件の経験豊富なアトム法律事務所にご相談いただければ、増額の見込みなどを提示できる可能性があります。
もし「弁護士費用特約」が使えるようであれば、費用をほとんど負担せずに弁護士に依頼可能な場合があります。
また、対面相談が難しい場合は、スマートフォンのLINE無料相談からお気軽にご連絡ください。
このページを最後までご覧になってくださった方は、
ということなどについて、理解が深まったのではないでしょうか。
後遺障害の併合に関することで弁護士に相談したい方は、スマホで無料相談よりご相談ください。
また、関連記事もご用意しましたので、後遺障害に関する他記事もぜひご覧になってみてください。
このページが、後遺障害併合14級の慰謝料についてお悩みの方のお役に立てれば何よりです。
後遺障害等級が併合14級の場合でも、高額な慰謝料・逸失利益を受け取ることは可能です。併合14級の後遺障害慰謝料は弁護士基準で110万円とされていますが、実際これより高額な慰謝料が認められた例があります。また、逸失利益も増額された事例があります。ただし増額を望む場合には、弁護士に相談することをお勧めします。 併合14級の慰謝料増額例
後遺障害の併合とは、後遺症が複数あり、それぞれに対して後遺障害等級が認められた場合に、重い方の後遺障害等級になるか、重い方の等級を1級ないし3級を繰上げて当該複数の障害の等級とすることです。併合14級となるのは、別々の後遺症に対して後遺障害14級が認定された場合です。 後遺障害等級の併合の仕組み
後遺障害併合14級になるのは、複数の後遺症に対してそれぞれ後遺障害等級14級が認められた場合です。具体的には①頸痛・握力低下・右手痺れ等(14級9号)と腰痛・左下肢痺れ・放散痛等(14級9号)の場合、②首の疼痛・両上肢のしびれ等(14級9号)と両膝の痛み等(両膝は左右で別の症状)(14級9号)の場合、③頸部・痛・右前腕から右手小、環指の痺れ(14級9号)と腰痛等(14級9号)の場合などがあります。 後遺障害併合14級の具体例
岡野武志
2つ以上の後遺障害が残ることを後遺障害の併合といい、ケースによっては等級の繰上げが行われます。
しかし、14級同士の障害が併合しても、等級は14より繰上がることはありません。
ただ、場合によっては併合14級でも慰謝料などが通常の基準から増額されることがあります。
どのような場合だと併合14級でも高額な賠償金をもらえるのか?
ということなどをこのページでしっかりと学び、損をしないようにしましょう。