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交通事故に遭って後遺障害が残った場合、後遺障害等級認定の申請をします。
こうした
について、弁護士とともにお答えします。
目次
後遺障害等級とは、
交通事故による後遺障害の症状や程度に応じて付けられる等級
のことを指します。
後遺障害等級認定を受けるためには、自賠責損害賠償調査事務所への申請が必要です。
被害者請求と事前認定の流れは、以下のようになっています。
被害者請求と事前認定の違いは、
です。
被害者自身で集める資料の数の違いは、以下の通りです。
被害者請求の場合 | 事前認定の場合 | |
---|---|---|
①後遺障害診断書 | 医師に作成依頼 | 医師に作成依頼 |
②診断書 | 加害者側の任意保険会社が集める | |
③交通事故証明書 | 自動車安全運転センターで取得 | |
④事故発生状況報告書 | 自分で作成 | |
⑤診療報酬明細書 | 医療機関で取得 | |
⑥その他損害を立証する書類 | 自分で作成 | |
⑦支払い請求書 | 不要 | |
⑧通院交通費明細書 | ||
⑨休業損害証明書 | 勤務先などで取得 | |
⑩求者の印鑑証明書 | 市区町村役場で取得 |
事前認定の方が、被害者請求に比べて手間はかからずに済みます。
しかし、被害者請求の場合は、後遺障害等級認定に有利になる資料を追加しやすいです。
後遺障害等級認定は、基本的に書面のみから判断されるので、これは非常に大きな利点です。
後遺障害等級認定を受けるメリットは、以下の通りです。
後遺障害慰謝料や逸失利益は示談金の一部です。
これは、後遺障害等級が認定されなければ申請することはできません。
後遺障害によって今後も受け続ける精神的苦痛に対する補償
後遺障害により労働能を失ったことで得られなくなった収入に対する補償
ちなみに示談金の中には、後遺障害慰謝料の他にも傷害慰謝料が含まれます。
これは、事故によるけがや入通院で受けた精神的苦痛に対して支払われるものです。
後遺障害慰謝料や逸失利益を受け取るメリットは、
※症状固定:けがが、これ以上治療しても大幅な改善は見込めない状態になること
③ 後遺障害が残っても収入減をカバーできる
① と③は、もともとの後遺障害慰謝料・逸失利益の目的なので、分かりやすいでしょう。
② は、加害者側からの治療費負担打ち切りの時期と関係しています。
交通事故のけが治療費は、基本的に加害者側が負担してくれます。
しかし、症状固定後の治療補は負担してくれません。
後遺障害が残った場合、症状固定後も定期的な通院が必要なことがあります。
そうしたとき、後遺障害慰謝料をその治療費に充てることができるのです。
後遺障害慰謝料は、以下のように算出されます。
後遺障害慰謝料=後遺障害等級に応じて定められた基準額
後遺障害慰謝料は、等級によってその額の基準が決められています。
ただし、この基準は3種類あり、基準額の小さいものから順に
自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士基準
となります。
後遺障害慰謝料や逸失利益を含む示談金の交渉相手は、基本的に加害者側の任意保険会社です。
加害者側の任意保険会社が示談金を支払ってくれるからです。
任意保険会社はもちろん任意保険基準で算出した後遺障害慰謝料を主張します。
それに対し被害者側は、弁護士基準で算出した後遺障害慰謝料を請求します。
両者で主張金額が違うため、交渉が非常に重要なのです。
参考として、弁護士基準と任意保険会社基準の後遺障害慰謝料の一部を見てみます。
任意保険基準は現在は各社で異なり非公開です。
したがって、今回は以前各社共通で用いられていたものを載せます。
弁護士基準 | 旧任意保険基準 | |
---|---|---|
1級 | 2800万円 | 1300万円 |
2級 | 2370万円 | 1120万円 |
略 | 略 | |
13級 | 180万円 | 60万円 |
14級 | 110万円 | 40万円 |
被害者からすると、交渉でいかに弁護士基準に近い金額で合意を取り付けるかがポイントです。
そもそもなぜ基準が3つもあるのか…。
それは、自賠責保険と任意保険の役割、弁護士基準の根拠を見ることで分かります。
自賠責保険基準 | 任意保険会社基準* | 弁護士基準 | |
---|---|---|---|
基準の目的・根拠 | 被害者への最低限の補償を実現する基準 | 会社経営を考慮した基準 | 過去の判例に基づいた基準 |
自賠責保険とは、
被害者に対して最低限の補償を行う
ことを目的としています。
そのため、自賠責保険基準では、必要最低限の金額が設定されています。
任意保険は、自賠責保険の最低限の補償では足りない部分を補う役割を持ちます。
ただ、任意保険会社も会社であるため、経営的観点から無理のある金額設定はできません。
そのため、会社経営を考慮した設定金額になっています。
弁護士は、過去の判例に基づいた基準を用いています。
会社の経営など付属的なことを考慮しない、最も妥当な設定金額ということができるでしょう。
逸失利益の算出方法は、以下の通りです。
逸失利益=年収×後遺障害等級に応じた労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
逸失利益として受け取った金額を貯金・運用すると、本来収入としてその金額を得るはずだった時には利息が付いている。
その利息による増額分を予め差し引くための数値。
労働喪失率は、後遺障害等級に応じて決められています。
これは、自賠責保険でも任意保険でも弁護士でも基準は同じです。
労働能力喪失率の一例を見てみましょう。
症状 | 等級 | 労働能力喪失率 |
---|---|---|
両目の失明 | 第1級 | 100% |
外貌に著しい醜状 | 第7級 | 56% |
咀嚼または言語機能の障害 | 第9級 | 35% |
胸腹部臓器の機能障害 | 第13級 | 9% |
労働能力喪失率は基準が定められているものの、実際はけがの状態に即して変えられることが多いです。
被害者のけがで実際はどれくらいの労働能力が喪失されたのかをめぐり、争点になるのです。
後遺障害慰謝料は、
保険会社側と被害者側で用いる基準が違う
ということから争点になりがちです。
表でも確認した通り、任意保険基準と弁護士基準では、後遺障害慰謝料の金額は大きく違います。
両者の提示金額が違うということなので、当然争点となります。
例えば被害者が後遺障害等級13級に認定された場合、後遺障害慰謝料の提示額は、
と、3倍も違います。
保険会社側からすると、被害者側の提示額を受け入れると、大きな出費となります。
しかし弁護士基準の金額を提示する被害者側からすると、保険会社側の提示額はあまりに低すぎると感じます。
個々のすり合わせが非常に難しいのです。
実は、逸失利益においては、
労働能力喪失率
が争点になることが多いのです。
労働能力喪失率の基準は保険会社側でも被害者側でも同じです。
しかし、必ずしも基準通りの労働能力喪失率が適用されるわけではないのです。
実際のけがの状態や被害者の職業などを鑑みて、より実際の状況に即した労働能力喪失率が適用されます。
その「より実際の状況に即した労働能力喪失率」とはいくらなのかをめぐり、争点になるのです。
逸失利益をめぐっては、労働能力喪失率の他にも、
が争点になることが多いようです。
労働能力喪失期間を短く見積もられると、それだけ算出される逸失利益の金額も減ります。
また、特に主婦などはっきりとした年収がない場合、年収を低めに見積もられることが多いです。
主婦の年収は、全女性の平均年収から割り出されます。
しかし、任意保険会社での見積もりでは、それより低くなっていることもあります。
保険会社側と被害者側で後遺障害慰謝料や逸失利益の提示額が違う以上、交渉が必要です。
しかし、交渉を被害者自身で行うことは簡単ではありません。
任意保険会社は、示談交渉のプロであり、知識も経験も豊富です。
難しい根拠によって被害者の主張を退けることも可能です。
また、弁護士基準の金額を主張しても、弁護士ではないからと聞き入れられない可能性もあります。
示談が成立してしまうと、基本的に被害者はそれ以上賠償請求をすることができなくなります。
だからこそ、金額の交渉に妥協はできません。
弁護士に交渉を依頼することがベストです。
ではここで、アトム法律事務所での交渉事例をご紹介します。
金額の変化 | 内容 | |
---|---|---|
① | 351万円→2100万円 | 主婦の方の休業損害や逸失利益がかなり低額に算出されていた。 法的根拠に基づき再計算、交渉したことで増額に成功。 |
② | 257万円→1185万円 | 労働能力喪失率が認定された後遺障害等級よりも低く算定されていた。 症状を粘り強く主張し増額に成功。 |
③ | 621万円→2300万円 | 職業柄けがによる明らかな減収が見られず、逸失利益が抑えられていた。 将来的な減収や昇給への支障などを主張することで、増額に成功。 |
④ | 150万円→364万円 | 労働喪失期間が短く計算されていた。 正しい労働喪失期間を主張し、増額に成功。 |
弁護士による交渉で、大幅な増額も期待できます。
逆に言えば、保険会社側が提示する金額には、それだけ増額の余地があるということです。
増額の余地を大幅に残したまま、示談が成立してしまうのは非常にもったいないです。
アトム法律事務所での交渉事例を見てみましたが、それでも
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野尻大輔
自賠責損害賠償調査事務所への申請方法は、2種類あります。
です。