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交通事故における「物損」に焦点をあてて解説していきます。
交通事故にくわしい弁護士が分かりやすく解説します。
目次
物損事故とは、「交通事故において人の死傷がなく、器物損壊のみが生じた事故」を言います。
一方、人の死傷がある交通事故のことを人身事故と呼んでいます。
人身事故では器物損壊も同時に生じることがほとんどですが、人身事故とまとめて呼ぶことが多いです。
人身事故において、人的被害と器物損壊が同時に発生している場合は、
人身部分
物損部分
便宜上、このように呼び分けることが多いです。
物損事故としていたけれど事故から数日後に痛みが出てきたなどという場合は、人身事故への切り替えが可能です。
交通事故にあうとその場では痛みを感じなくても、数日たってから痛みだすことがしばしばあります。
頭痛や吐き気といった症状がみられることもあります。
このような場合は、すみやかに物損から人身への切り替えをおこないましょう。
▼物損から人身への切替え方法
① 病院に行き、交通事故による怪我の診断書をもらう
② 警察に診断書を提出すると、実況見分調書が作成される
③ 加害者側の保険に連絡する
突然、事故にあったらどのように対応すべきか困ると思います。
さらに詳しくは、「交通事故の被害者に…保険会社との対応方法は?まずはじめにやることとは?」をご覧ください。
怪我を負っているのに物損事故のまま処理をすすめると、得られるはずだった損害賠償(示談金)が受け取れない可能性が高くなります。
人身事故に切り替えなかった場合、さまざまなリスクを負う可能性があります。
自賠責保険から治療費・慰謝料などを原則的に受け取れない
過失割合について争う場合、実況見分調書が作成されないので困る
後遺障害が残っても、後遺障害等級が認定されない可能性がある
事故を物損事故としてあつかうならば、本当に怪我がないことをしっかりと確認してください。
「特にどこも痛まない」
「目に見えるような外傷がない」
「すぐ痛みが引くだろう」
などと思っても、念のため病院で検査を受けるようにしてください。
物損事故から人身事故への切り替えをご検討の方は、弁護士にご相談ください。
アトム法律事務所では24時間・365日、弁護士との相談予約を受け付け中です。
LINEや電話を通して、弁護士に相談することも可能です。
※物損事故のみに関するお問い合わせはおこなっておりません。
※ご利用の時間帯によっては、お待ちいただく可能性があることをご了承ください。
まずは、気軽にお問い合わせください。
物損事故の争いは、示談によって解決が図られるケースが多いです。
示談とは、民事上の争いを当事者同士の話し合いによって終結させることです。
物損事故における示談とは、交通事故という不法行為で発生した損害を話し合いで解決することを意味します。
事故発生から示談までの流れとやるべきことを簡単にみていきます。
車両の修理が必要で、大きな争いがない場合を想定した流れを紹介します。
▼事故発生時
交通事故をおこしたら、まず警察に通報する
事故の当事者がお互いに連絡先を交換する
当事者がそれぞれ自身加入の保険会社に連絡
警察が到着したら聴取を受ける
(余裕があれば)
事故現場、車両などを写真撮影しておく
※事故車両が動かなければ、レッカーを呼ぶ必要もあります。
▼事故当日~数日
病院で診察や検査を受ける
※怪我を負っていた場合は診断書をもって警察に行き、人身事故に切り替える必要があります。
▼事故当日~1週間
車両の修理が必要な場合は、修理工場を決定する
車両を修理工場に入庫し、相手方に連絡
修理の範囲や金額について相手方と話し合う
話し合いがまとまったら協定を結ぶ
▼2週間~4週間後
車両の修理がはじまる
▼4週間~8週間後
修理費用以外に損害がある場合は、話し合って示談の内容を決める
示談が成立したら、示談金が振り込まれる
大まかにはこのような流れで示談がすすめられていくことになります。
物損事故の示談に関して、注意事項があります。
事故のその場では、絶対に示談しない!
その場で適当に示談を結ぶと、必要な賠償金が得られないリスクが発生します。
示談は口約束であっても成立してしまう性質をもっています。
事故直後では、物損による損害額が算定できていません。
示談成立後に、追加で損害を請求することはできません。
事故から数日たって怪我を負っていることが判明することもあります。
怪我を負った場合は、治療費や慰謝料を請求できることになります。
物損事故は、人身事故の可能性があることを念頭において対応するようにしてください。
交通事故をおこしたら、とにかく保険を使う!というイメージが強い方が多いのではないでしょうか。
物損事故では、原則として自賠責保険を使うことができません。
車両の修理費といった物損に関する補償は、自賠責保険に請求することができません。
自賠責保険は、対人賠償に限定して補償する保険だからです。
相手方が対物賠償をふくむ任意保険に加入していた場合は、保険会社に損害を請求することができます。
あるいは、相手方本人に請求することもできます。
物損事故で請求できる示談金の内訳には、さまざまな項目があります。
まず、交通事故によって損害を受けた車両の修理費用がメインとなるでしょう。
修理するより買い替えたほうが安く済む場合などは、買替差額が認められることになります。
損害を受けるのは車両だけではありません。
車両が使えなくなったことでレンタカーなどを借りた場合は、代車使用料
タクシーなど営業車が使えなくなった場合は、休車損害
など、このような費用も請求可能です。
▼修理費用 |
---|
車両などが事故によって損壊するなどして生じた損害 |
▼買替差額 |
修理ではなく車両を買い替える場合に支払われる |
▼評価損 |
事故がなければ生じなかった商品価値の下落 |
▼代車使用料 |
事故車両の修理または買い替え期間にレンタカー使用により生じた出費 |
▼休車損害 |
事故の影響で営業車を利用できなくなったことによる収入減 |
▼その他 |
その他の損害 |
物損事故と人身事故では損害が異なるので、請求できる賠償項目も違います。
人身事故では、怪我の治療費や慰謝料などを請求することができます。
怪我をしているのに物損事故にしてしまうと、適正な示談金を受け取ることができません。
交通事故のあつかいは、慎重におこなう必要があります。
物損事故と人身事故
物損事故 | 人身事故 | |
---|---|---|
治療費 | 受け取れない | 受け取れる |
傷害慰謝料 後遺障害慰謝料 死亡慰謝料 |
||
休業損害 | ||
逸失利益 |
物損事故では、原則として慰謝料を請求することができません。
慰謝料とはそもそも、精神的な苦痛を金銭に換算して賠償されます。
物損事故では、修理費用や買い替え費用などによって賠償されることになります。
たとえ思い入れのある大切にしていた車が交通事故によって破壊されたとしても、慰謝料を請求することは原則としてできません。
金銭を支払うことで損害に対しての補てんはできていると考えられているからです。
人身事故では、さまざまな慰謝料の請求が認められています。
詳しくはこちらの記事「交通事故の慰謝料・逸失利益の計算方法!基準ごとに金額が違う?」をご覧ください。
物損事故における慰謝料の請求は原則的に不可とされていますが、例外があります。
限定的に、物損事故での慰謝料を認めた裁判例があります。
ペットの犬が後遺障害の残るけがを負った(名古屋高判平成20年9月30日)
墓石が壊れた(大阪地判平成12年10月12日)
などがあげられます。
物損事故であっても、慰謝料が認められるケースは限定的ながら存在しています。
回答者
浦田忠興
器物損壊のみの交通事故を物損事故と呼びます。
交通事故によって、
車のバンパーが凹んだり傷ついた
ライトが外れた
外壁が壊れた
などの損壊が交通事故の物損としてあつかわれます。