弁護士無料相談をご利用ください
相談依頼は今すぐ!
作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
交通事故の被害にあわれた方は、怪我によるストレスや生活の大幅な変化による不安から、うつ病になられることがあります。
日々の生活や人間関係における意欲や幸福感を奪ううつ病は、被害者に多大な精神的苦痛をもたらす病気です
交通事故でうつ病になられたら、精神的苦痛の賠償金である慰謝料を加害者に請求するべきでしょう。
後遺障害の等級を認定して、適切な相場で慰謝料を請求するためには、弁護士に相談することが大切です。
目次
交通事故の被害にあうと、重傷になる場合や後遺症を負う場合があります。
このようなとき、事故の影響は身体だけでなく精神にまで及びます。
事故の衝撃や怪我の後遺症によるストレスや不安がこころに影響を与えて、非器質性精神障害を引き起こす場合があるのです。
器質性障害
外部からの物理的な影響により脳組織が受傷することで発症する障害。
外傷性てんかん、脳血管性認知症など。
非器質性障害
脳や神経が物理的には損傷していない状態で発症する障害。
うつ病、PTSDなど。
非器質性精神障害の一種であるうつ病も、交通事故が原因で発症する場合があります。
事故自体のショックや怪我の苦痛も原因となりますが、事故や怪我に伴う生活環境の変化によるストレスや不安も、うつ病の原因となりえるのです。
うつ病が長引いてしまうと、日々の生活や人間関係に多大な影響を与えて、怪我が治った後にも精神的苦痛が継続する状態になってしまいます。
事故にあった後に「以前よりも気力や食欲がなくなった」「楽しさや幸福感を感じることが少なくなった」と感じられたら、すぐに病院を受診して、医師に相談しましょう。
交通事故の被害にあうことは、ショッキングな体験です。
そのため、交通事故の被害者は急性ストレス障害(ASD)や心的外傷後ストレス障害(PTSD)になることがあります。
そして、ストレス障害を受けた人の多くはうつ病も発症するのです。
ASD | PTSD | |
---|---|---|
発症する時期 | 事故から一ヶ月以内 | 三ヶ月以内* |
症状の継続期間 | 一ヶ月以下 | 一ヶ月以上 |
*PTSDは、事故から一年以上後に発症する場合もあります。
うつ病は喪失体験と人生の急な変化によって発症するとも言われます。
そして、交通事故の被害は、その両方を満たすものです。
事故によって人生が大きく変わるだけでなく、いままでの平穏な日常に抱いていた安心感が急に失われて、治療費にかかるお金や事故による車の破損などの物理的な喪失も体験することになるためです。
交通事故被害者における、うつ病の有病率
うつ病は外見からわかる症状ではなく、その程度や範囲もまちまちです。
そのため「交通事故になった人の何割がうつ病になった」と断定できるデータはないのが実情です。
しかし、ある調査では事故の被害者のうつ病の有病率は23%から67%とされており、かなり多くの被害者がうつ病を発症すると考えられています。
示談において、うつ病によって生じた損害の賠償や慰謝料を加害者に請求する場合には、事故とうつ病との因果関係を証明することが必要になります。
そのため、うつ病の兆候を少しでも感じたら、速やかに病院を受診することをおすすめします。
事故から時間が経過すればするほど、「事故が原因でうつ病になった」ということを証明するのが困難になるためです。
うつ病は、精神やこころの病気です。
病院では精神科や精神神経科、または心療内科でうつ病の治療を受けることができます。
精神科と心療内科とでは診療の対象とする症状に若干の差がありますが、基本的に、どちらの科でもうつ病の診断をすることができます。
精神科(精神神経科)
精神の症状を扱う診療科。
不安やイライラなどの気分症状、幻聴や幻覚などの精神症状、こだわりや物忘れなどの認知症状、睡眠不足や過睡眠などの睡眠症状が主な対象。
心療内科
心理的・社会的な要因から引き起こされる身体の症状を扱う診療科。
頭痛、胃痛、下痢、便秘、吐き気、全身の倦怠感などの身体症状が主な対象。
うつ病になると、精神の症状と身体症状の両方を同時に発症することが多いです。
そのため、初診は精神科と心療内科のどちらを受診してもよいでしょう。
また、症状が軽度の場合は医師ではなくカウンセラーの受診も効果的な場合があります。
しかし、カウンセラーは医師とは違い医師免許を持っていない点には注意が必要です。
医師 | カウンセラー | |
---|---|---|
治療の根拠 | 医学 | 心理学 |
資格 | 医師免許(国家資格) | 臨床心理士(民間資格)* |
診断 | 〇 | ✖ |
薬の処方 | 〇 | ✖ |
2017年に施行された公認心理師法に基づき、国家資格である「公認心理士」の資格を取得したカウンセラーもいます
カウンセラーが行うカウンセリングはあくまで心理学に基づいたものであり、医学に基づいていません。
そのため、カウンセラーには「病名の診断」や「薬の処方」などの医療行為を行う権限がないのです。
カウンセリングが医療行為でないことは、うつ病の後遺障害等級の認定や、示談においてうつ病に関する慰謝料などを請求する際に問題となってきます。
うつ病の症状が重たい場合は、病院やクリニックを受診することをおすすめします。
うつ病の治療方法は、休養と薬物療法、そして精神療法の三種類が主となります。
まず、精神や身体にストレスがかかるうつ病では、休学や休職も視野に入れながら、充分な休養を取ることが重要となります。
精神療法では、医師やカウンセラーと相談しながら、うつ病によって生じる問題の解決を目指すことになります。
うつ病の場合は、精神療法の一種である認知行動療法が行われることが一般的です。
「考え方」や「物事の受け取り方」などがネガティブになるという認知の歪みを矯正する精神療法。
ポジティブで自己肯定感が抱けるような考え方をする訓練をしたり、普段の生活における行動を改善することで、不安感や抑うつ感を解消することを目指す。
多くの場合では、うつ病の治療は認知行動療法と薬物療法が並行して行われることになります。
ただし、カウンセラーは投薬の権限がないため、医師でないと薬物療法が行えない点には注意してください。
抗うつ薬には様々な種類があり、うつ病の症状の種類や重症度にあわせて、処方する薬を医師が選びます。
うつ病の薬物療法では、神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンにはたらきかける薬が用いられることが多いです。
● SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
● SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
● NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)
● 三環系抗うつ薬
● 四環系抗うつ薬
本格的なうつ病であれば、大半の場合は薬物療法が必要となります。
ただし、抗うつ薬には吐き気や不眠、下痢や排尿障害や性機能障害などの様々な副作用が存在します。
また、薬物療法の場合には睡眠薬などの抗うつ薬以外の薬剤も併用されることになります。
病院で行われる治療は、怪我や病気の症状の完治をめざします。
しかし、それ以上治療を続けても症状の改善が見込めない症状固定の段階になっても症状が残りつづけ、後遺症となる場合があります。
交通事故の示談交渉においては、後遺症は後遺障害として扱われることになります。
交通事故の損害賠償は傷害部分と後遺障害部分に大別することができます。
傷害部分とは、事故による怪我の治療が完了する段階までに発生した損害への賠償であり、治療費・休業損害・傷害慰謝料(入通院慰謝料)などが含まれます。
後遺障害部分とは後遺症を負ったことに伴う損害への賠償であり、後遺障害慰謝料と逸失利益が主な項目となります。
後遺障害慰謝料 |
---|
後遺障害を負ったことによる精神的苦痛に対する損害賠償 |
逸失利益 |
後遺障害を負ったことが原因で失われた、将来に得ていた収入に対する損害賠償 |
後遺障害慰謝料や逸失利益を認定するためには、後遺障害等級が認定される必要があります。
等級を認定してもらうためには、損害保険料率算出機構に申請を行う必要があります。
申請方法は二種類あり、加害者側の任意保険会社が書類を提出する方法は事前認定と呼ばれます。
もう一つの申請方法である被害者請求では、被害者側が書類を提出して申請します。
後遺症が発症しても、後遺障害等級が認定されなければ、示談交渉においてはその後遺症は「存在しない」ものとして扱われるおそれがあります。
また、後遺障害慰謝料や逸失利益の金額は等級によって大幅に変わります。
また、加害者側の保険会社が書類を準備する事前認定では、等級が認定されなかったり低いものになったりする可能性が高いです。
保険会社の側からすれば支払う示談金の金額は抑えたいので、高い等級が認定されることを避けるように申請をされてしまうためです。
そのため、被害者側としてはなるべく被害者請求によって後遺障害等級の認定を申請することが鉄則となります。
事前認定 | 被害者請求 | |
---|---|---|
メリット | 手間や負担がかからない | 等級に有利 |
デメリット | 等級認定に不利 | 手間や負担がかかる* |
*弁護士などに依頼して、代行してもらうことが可能
後遺障害等級の認定に関しては、こちらの記事でも詳しく解説しております。
うつ病は普段からの感情や行動に悪影響を及ぼし、その精神的苦痛は多大ですが、外見からはわからない病気です。
そのため、後遺障害等級の認定を申請するときには、症状の存在の証明が重要になります。
具体的には、医師に作成してもらう診断書や後遺障害診断書の内容に注意する必要があります。
神経症状や機能障害などの外見から判別することが難しい生涯の等級認定では、客観的な医学的所見の有無が正否を分けます。
また、事故と症状との因果関係の証明も重要になります。
事故直後に病院を受診することと、その後も継続的に病院に通って医師に自覚症状を伝えてその旨を診断書に記載してもらうことで、因果関係の証明がしやすくなります。
後遺障害等級の認定を申請する場合には、医師にそのことを伝えて、等級が適切に認定されるような診断書を作ってもらうように要望しましょう。
また、弁護士に依頼すれば、後遺障害診断書の内容を確認したり医師に要望を伝えてもらったりすることができます。
等級認定の被害者請求には煩雑な手続きが伴いますが、こちらも弁護士に依頼すれば代行してもらうことができます。
後遺障害等級の認定を申請する際には、弁護士に相談することをおすすめします。
うつ病を含む非器質性精神障害の後遺障害等級は、14級または12級、そして9級が認定される可能性があります。
等級の上下は、障害の程度や、障害が労働能力に与える影響によって変わります。
9級10号 |
---|
通常の労務に服することはできるが非器質性精神障害のため、就労可能な職種が相当な程度に制限されるもの |
12級相当 |
通常の労務に服することはできるが非器質性精神障害のため、多少の障害を残すもの |
14級相当 |
通常の労務に服することはできるが非器質性精神障害のため、軽微な障害を残すもの |
脳組織や神経組織などの損傷によって発症する器質性の障害であれば、脳や神経が損傷していることを示すMRI画像やCTスキャン画像などを提出することで、障害の存在を認めさせることができます。
しかし、非器質性精神障害の場合には、障害の存在を示す画像所見を提出することができません。
そのため、以下の表の精神症状のうちひとつ以上が認められること、および、能力に関する判断項目のうちひとつ以上が認められることが、後遺障害等級が認定される条件となります。
精神症状 | 能力に関する判断項目 |
---|---|
(1)抑うつ状態 (2)不安の状態 (3)意欲低下の状態 (4)慢性化した幻覚・妄想性の状態 (5)記憶または知的能力の障害 (6)その他の障害(衝動性の障害,不定愁訴など) |
(1)身辺日常生活 (2)仕事・生活に積極性・関心を持つこと (3)通勤・勤務時間の厳守 (4)普通に作業を持続すること (5)他人との意思伝達 (6)対人関係・協調性 (7)身辺の安全保持、危機の回避 (8)困難・失敗への対応 |
就労している場合、「能力に関する判断項目」のうち一つ以上の項目について「ときに助言・援助が必要」な状態だと判断されれば、14級が認定される可能性があります。
四つ以上の項目について「ときに助言・援助が必要」な状態だと判断されれば、12級が認定される可能性があります。
そして、四つ以上の項目について「しばしば助言・援助が必要」な状態だと判断されるか、(2)から(8)の項目のうちひとつの能力が失われている場合、9級が認定される可能性があるのです。
また、就労していない場合でも、(1)の「身辺日常生活」に生じている障害の程度によって、12級または9級が認定される可能性があります。
慰謝料とは、精神的苦痛に対する賠償金です。
後遺障害等級が認められると、後遺障害慰謝料が請求できます。
後遺障害慰謝料の金額の相場は、等級ごとに異なるほか、自賠責保険や加害者側の任意保険会社が提示する基準か弁護士に依頼して請求する基準かによっても、大きく変わります。
自賠責基準 | 弁護士基準 | |
---|---|---|
9級 | 245万円 | 690万円 |
12級 | 93万円 | 290万円 |
14級 | 32万円 | 110万円 |
ただし、うつ病は、他の症状に比べても認定されづらいという問題があります。
画像などの他覚所見を提出することが困難であることや、事故と症状との因果関係の証明が難しいことが理由です。
しかし、うつ病は被害者の日常生活や社会生活、人間関係などに様々な負担をもたらして、多大な精神的苦痛を与える症状です。
自分の負った損害に対する賠償を正当に得るために、主治医と弁護士への相談は欠かさないようにしましょう。
交通事故の示談交渉では、被害者が相手をするのは加害者側の任意保険会社の社員となることが多いです。
そして、保険会社の社員は示談交渉のプロです。
そのため、被害者本人が示談交渉を行おうとすると、不利になってしまう可能性が高いのです。
交通事故の損害賠償は、被害者側と加害者側との示談交渉によって金額を決めた後に、示談金として支払われます。
大半の場合は、示談金を実際に支払うのは加害者本人ではなく加害者側の任意保険会社です。
そして、保険会社は自分たちの損失をすこしでも抑えるために、示談交渉においてもあの手この手で示談金の金額を減らそうとしてきます。
うつ病に関する損害賠償を請求する時には、特に注意が必要です。
保険会社は「ほんとうにうつ病だと証明できるのか?」「事故ではなくて他のことが原因ではないか?」と疑って、症状に対する損害賠償を払わなくて済むように示談をもっていく可能性があるからです。
そのため、示談交渉では被害者側でも示談交渉のプロである弁護士に依頼して、保険会社との交渉を代行してもらうことをおすすめします。
交通事故の示談交渉の流れについては、以下の記事でも詳しく解説しております。
弁護士に依頼すれば、被害者側の利益を加害者側の保険会社に対して正当に主張できます。
被害者にとって不利になるように示談の方向が誘導されることもなく、適切な損害賠償を請求することができるのです。
また、慰謝料も高額な弁護士基準で請求することができます。
後遺障害等級の認定の申請 |
---|
等級認定に有利な書類の作成ができるようになる |
保険会社との示談交渉 |
被害者側の利益を適切に主張できる |
慰謝料・示談金の金額 |
弁護士に依頼しない場合よりも高い金額が請求できる |
うつ病は特に後遺障害等級の認定が難しい症状であるため、弁護士に相談するメリットは、他の症状の場合よりも大きいと言えます。
事故直後はもちろん、事故から数ヶ月後にうつ病が発覚した場合でも、弁護士に相談することができます。
スムーズな示談交渉のために、弁護士に相談しましょう。
アトム法律事務所では電話やLINEによる無料相談を受け付けております。
お電話は365日24時間つながります。
交通事故案件の経験豊富な弁護士も多数所属するアトム法律事務所に、ぜひご相談ください。
LINEでも電話でも、弁護士に直接、相談することができます。
※弁護士相談は順番にご案内していますので、お時間をいただく可能性があります。
ぜひ、お気軽にご利用ください。
(第二東京弁護士会) 第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。弁護士プロフィール
岡野武志弁護士