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作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
肩は人体の重要な関節の一つです。
そんな肩に後遺障害が残ったら、生活や仕事への影響が心配なのは当然です。
この記事では肩に後遺症が残った時に認められる可能性がある後遺障害等級と慰謝料の相場を解説します。
目次
奈良県立医科大学付属病院アトム法律事務所顧問医
藤井 宏真医師
肩は複雑な動きが可能な部位です。交通事故で肩を傷めると、その動く範囲(可動域)に制限がかかってしまうこともあります。
「肩」は非常に複雑な動きが可能です。
肩はさまざまな骨・筋肉などが機能しあう複合体だからです。
症状の出方や必要な処置には個人差があります。
交通事故直後には、医師に「事故の状況」「どこを打ち付けたか」など詳細に報告しましょう。
整形外科で治療を進めることになるでしょう。
病院で治療を受けるのは、できれば交通事故当日が良いでしょう。
肩を打っているということは、腕全体や頭部にも影響するような事故の可能性があります。
整形外科ではCT・レントゲン・MRIなどで患部の状態を確認していきます。
十分な治療を行っても、これ以上良くも悪くもならないという状態で残存する症状
交通事故の場合、その部位と程度により14段階の後遺障害等級で区分される
肩に生じることのある後遺障害には以下のようなものがあります。
それぞれがどのような後遺障害で、等級が何級になるかは次の章で詳しく説明します。
肩だけでなく、上腕を打ち付けた場合には上腕骨骨折も発生している可能性があります。
上腕骨骨折において患部に変色がみられた場合は特に要注意です。
それは血管が損傷している可能性があるためです。
これらの症状が出ると緊急度はさらに上がります。
上腕骨骨折についてさらに知りたい方は以下の関連記事をお読みください。
上述した後遺障害等級に認定されると、相手方から支払われる金銭が増えます。
後遺障害が残った場合に追加で支払われる金銭の一つに後遺障害慰謝料があります。
後遺障害を負ってしまったという精神的苦痛に対して支払われる損害賠償
また、後遺障害慰謝料の他に支払われるものとして逸失利益があります。
後遺障害が残ったことで労働能力が失われ収入が減ることへの補償
基礎収入(年収)×労働能力喪失率×労働能力喪失期間(67歳-症状固定時の年齢)に対応するライプニッツ係数
簡単に逸失利益が計算できる「計算機」や、逸失利益の仕組みが分かる関連記事を紹介します。興味のある方はチェックしてみてください。
注意しておきたいのは、逸失利益の計算に使う「基礎収入」です。
会社に就労している場合は「源泉徴収票」などの資料を示すことで、交通事故にあう前の収入を示すことができます。
しかし、被害者が子供や主婦、高齢者であった場合、基礎収入をどのように計算するかで、加害者側との意見が対立しやすいのです。
弁護士に相談することで十分な補償を受けられるようにしましょう。
では、実際に「肩の後遺症」で後遺障害等級の申請をして、後遺障害慰謝料を受け取るまでの流れを見てみましょう。
治療を継続しても症状の改善が見込めなくなった状態を症状固定と言います。
後遺障害等級認定を受ける場合は、原則事故から約6ヶ月以上経っている必要があります。
これ以上治療期間が短い場合は、後遺障害としては認められない可能性が高くなります。
症状固定の診断を受けたならば、後遺障害等級認定に向けて後遺障害診断書などの資料を準備します。
後遺障害の申請には、2種類の方法があります。
(1)事前認定
(2)被害者請求
被害者が後遺障害診断書のみを任意保険会社に提出します。
後遺障害診断書は医師に作成を依頼するものなので、被害者の手間が少ないというメリットがあります。
一方で、加害者側の任意保険会社が最終的にどんな資料を提出したか分からないというデメリットがあります。
仮に
こういうときには、結果に対する納得感を感じづらいかもしれません。
被害者が検査結果などその他の資料も用意して自賠責保険に提出します。
被害者請求は手間がかかりますが、後遺障害等級の認定に有利な資料を併せて提出したり、逆に認定に不利な状況があれば補足説明をつけることができます。
特に後遺症を示す医学的なデータ・検査結果は後遺障害認定には必須なので、被害者請求での認定申請を推奨します。
なお、被害者の方が治療に専念しやすいように、弁護士に資料収集作業を任せることもできます。
事前認定と被害者請求
事前認定 | 被害者請求 | |
---|---|---|
請求者 | 相手方保険会社 | 被害者自身 |
メリット | 資料収集の手間がない | 自分で資料を確認できる |
デメリット | 自分で資料を確認できない | 資料収集の手間がかかる |
被害者請求 + 弁護士依頼 = 最大限の効果が期待できる
提出された資料をもとに、損害保険料率算出機構が後遺障害等級の審査を行います。
審査結果をふまえ、自賠責保険会社が等級認定を行います。
審査者は、被害者とは面識のない人です。
つまり「肩が上がりません」と記載するだけでは、
これらはきちんと伝わりません。
ですから、
に言及する必要はあるでしょう。
より細かな認定手順、後遺障害診断書の書き方などについては以下の記事を参照してください。
後遺障害等級の申請について
交通事故の後遺症で肩が上がらなくなってしまった…。
後遺障害は1級4号、5級6号、6級6号、8級6号、10級10号、12級6号の後遺障害等級に該当する可能性があります。
認定される後遺障害等級は以下のようになります。
肩の機能障害
等級 | 内容 |
---|---|
1級4号 | 両上肢の用を廃したもの |
5級6号 | 1上肢の用を全廃したもの |
6級6号 | 1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの |
8級6号 | 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの |
10級10号 | 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの |
12級6号 | 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの |
人体には「肩」「ひじ」「手」という3大関節があります。
この関節の動く範囲(可動域)に障害が出ることを「機能障害」といいます。
表の中には
などの表現がみられます。
それぞれ定義づけがされていますので、以下に示します。
3大関節(肩・ひじ・手関節)のすべてが強直し、なおかつ手指の全部の用を廃したものをいいます。
手指の用を廃するとは
のいずれかに該当するもののことをいいます。
のいずれかに該当するもの。
のいずれかに該当するもの。
関節の可動域が健康な関節の可動域角度の3/4以下に制限されているもの
細かい定義づけがされています。
後遺障害認定申請時には、条件にあてはまっていることを示す検査結果を提出しましょう。
機能障害の後遺障害慰謝料を見てみましょう。
肩の機能障害
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
1級4号 | 1100万円 | 2800万円 |
5級6号 | 599万円 | 1400万円 |
6級6号 | 498万円 | 1180万円 |
8級6号 | 324万円 | 830万円 |
10級10号 | 187万円 | 550万円 |
12級6号 | 93万円 | 290万円 |
等級にもよりますが、弁護士に依頼することで2倍~3倍の後遺障害慰謝料を請求できます。
慰謝料の増額を目指すのであれば、後遺障害で何級に認定されるかも重要なポイントです。
後遺障害認定から弁護士のサポートを受けることを検討してみてください。
痛みやしびれは「神経症状」として、後遺障害12級13号、14級9号に認定される可能性があります。
認定されうる後遺障害等級は以下の通りです。
肩の神経症状
等級 | 症状 |
---|---|
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
ここでの等級は「頑固な」という言葉に違いがあります。
とはいっても障害の程度や、被害者による自己申告制ではありません。
レントゲン・MRI画像などの画像検査で神経症状の原因が確認できるか
が大きな判断要素となります。
痛みやしびれ症状が医学的に証明可能な場合は12級13号、一応の説明や推定が可能な場合は14級9号に該当する傾向にあります。
ですので、おおよそ半年以上通院して症状の経過を明らかにし、適切な検査を受けることが重要です。
他にも、事故直後から症状が一貫していることも重要です。
交通事故との因果関係を示していきましょう。
12級と14級の違いについて、詳しく知りたい方は弁護士にご相談下さい。
痛み・しびれの症状に対応する後遺障害慰謝料は以下のようになります。
痛み・しびれの後遺障害
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
12級13号 | 93万円 | 290万円 |
14級9号 | 32万円 | 110万円 |
痛み、しびれなどの神経症状であっても弁護士ならこの金額を指標にして交渉します。
どちらの等級でも、3倍以上の相場です。
変形障害は次のいずれかをさします。
聞きなれない言葉ですので、意味を確認しておきましょう。
骨がくっつこうとすることをやめてしまうことをさします。
また、その部分には異常可動がみられます。
通常、骨がくっつくのにかかる期間を過ぎても、骨折部分がくっつかないことをさします。
偽関節や癒合不全の後遺症が残ると、
こういった不具合・不自由を感じてしまいます。
認定される可能性がある後遺障害等級は7級9号、8級8号、12級8号があります。
肩の変形障害
等級 | 症状 |
---|---|
7級9号 | 1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの |
8級8号 | 1上肢に偽関節を残すもの |
12級8号 | 長管骨に変形を残すもの |
7級と8級の差は「著しい」という表現です。
著しいの定義をおさえておきましょう。
このどちらかに該当し、なおかつ
常に硬性補装具を必要とするもの
をさしています。
長管骨とは、人体にある長く伸びた管状の骨のことです。
上肢では「上腕骨」の他にも、橈骨(とうこつ)、尺骨(しゃっこつ)という名前の長管骨があります。
肩に衝撃が加わっている場合、つながっている上腕骨にも影響する可能性は十分あります。
変形障害に対応する後遺障害慰謝料は以下のようになります。
肩の変形障害
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
7級9号 | 409万円 | 1000万円 |
8級8号 | 324万円 | 830万円 |
12級8号 | 93万円 | 290万円 |
変形障害は変形の程度と運動への影響により認定等級が変わります。
いずれの等級も、弁護士基準の方が相場は高くなります。
1000万円を超える7級9号にもかかわらず、409万円前後の提案を受けている方がいるかもしれません。
弁護士に依頼すると弁護士費用はかかりますが、その費用を支払ってもなお手元に入る金額は増える可能性が高いです。
なお、弁護士費用特約があれば「弁護士費用」が実質無料になる可能性があります。
ご自身で加入されている保険の特約をチェックしてみてください。
交通事故にあい、肩から先を失ってしまう…。非常に大きな怪我です。
認定される可能性がある後遺障害等級は1級3号、2級3号、4級4号、5級4号があげられます。
肩の欠損障害
等級 | 内容 |
---|---|
1級3号 | 両上肢をひじ関節以上で失ったもの |
2級3号 | 両上肢を手関節以上で失ったもの |
4級4号 | 1上肢をひじ関節以上で失ったもの |
5級4号 | 1上肢を手関節以上で失ったもの |
欠損位置や、両上肢か1上肢かで認定等級が変わります。
上肢をひじ関節以上で失ったものとは、肩関節で肩甲骨と上腕骨が離断したものなども該当します。
欠損障害の後遺障害慰謝料を見てみましょう。
肩の欠損障害
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
1級3号 | 1100万円 | 2800万円 |
2級3号 | 958万円 | 2370万円 |
4級4号 | 712万円 | 1670万円 |
5級4号 | 599万円 | 1400万円 |
仕事や生活において、被害者はもちろん、被害者を支える近親者にも影響を与える「欠損障害」です。
しかし、弁護士基準の半分以下の金額で、加害者側からは提案を受ける可能性があります。
同じ後遺障害でこれだけの違いが出ると被害者側に不利益が生じているともいえるでしょう。
被害者の中には、1級3号の「1100万円」という金額を聞いて、「高いのかな…?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、弁護士基準では「2800万円」が基準なのです。
一度書面で示談を結ぶと、後から内容変更をすることは困難です。示談前に、弁護士に相談をしてください。
肩に後遺症が残ると、日常生活に大きな不便が生じる可能性があります。
生活への影響もあるでしょうし、仕事にも制限がかかってしまう恐れもあります。
にも関わらず、相手方保険会社から提示される慰謝料・逸失利益は被害者の受けた損害に対して不十分なことがあります。
損害に対する十分な補償を受け取るためには、弁護士に依頼することが一番です。
保険会社との示談交渉などを一任することで慰謝料増額が叶うだけではなく、手続きの煩雑さなどから解放されます。
肩に後遺症が残ったら慰謝料はいくらになるのか、通院に関する注意、後遺障害等級の申請方法など、どのようなことでも結構です。
まずはお気軽にLINE・電話での無料相談をご利用ください。
(第二東京弁護士会) 第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。
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弁護士プロフィール
岡野武志弁護士
後遺症として表れる可能性があります。また、腕・肩が上がらないことは「機能障害」として、交通事故の後遺障害認定される可能性があります。そのほかにも、痛みや変形など後遺症は様々に表れる恐れがあります。交通事故で肩を痛めた人に知っておいてほしい情報を以下のページにまとめています。 交通事故で肩を痛めた方へ
後遺障害慰謝料や逸失利益が受けとれるというメリットがあります。入院・通院の慰謝料、治療費などとは別に受けとれるので、相手方から受けとる金銭が増えます。後遺障害認定を受けるには、まず申請が必要です。一定の審査機関を経て、後遺障害等級が認定され、後遺障害等級をもとに後遺障害慰謝料や逸失利益が算定されます。 後遺障害認定を受けるための方法
後遺障害等級1級4号、5級6号、6級6号、8級6号、10級10号、12級6号の後遺障害等級に該当する可能性があります。後遺障害慰謝料は、弁護士に依頼すると、1級4号:2800万円、6級6号:1180万円を指標にして交渉可能です。後遺障害慰謝料は、後遺障害等級によって変わります。また、弁護士に依頼をしないとこれより低い金額となる可能性があります。 肩が上がらない|後遺障害等級と慰謝料表
後遺障害12級13号、14級9号などに「神経症状」として認定される可能性があります。後遺障害慰謝料は、弁護士に依頼すると、12級13号:290万円、14級9号:110万円を指標にして交渉可能です。弁護士に依頼をしないとこれより低い金額となる可能性が極めて高くなります。12級と14級、どちらで認定されるかでも金額が大きく変わります。 後遺障害12級と14級の分かれ目は?
認定される可能性がある後遺障害等級は7級9号、8級8号、12級8号でしょう。後遺障害慰謝料は、弁護士に依頼すると、7級9号:1000万円、8級8号:830万円、12級8号:290万円を指標にして交渉可能です。弁護士依頼が前提の基準額ですので、相手方から提示される金額は低くなる可能性があります。また、そもそも「変形」の後遺障害として認められるかが重要です。 変形|偽関節と癒合不全とは