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作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
交通事故の被害にあい、視覚障害が残ってしまうことがあります。
視覚には、視力・視野・調節力などが含まれています。
これらの能力が失われたり、低下することには想像しがたい不便があります。
目次
奈良県立医科大学付属病院アトム法律事務所顧問医
藤井 宏真医師
「視覚」は人間の五感の一つです。視覚障害は視力にとどまらず、ピントを合わせる調節機能や視野への障害まで幅広いものをさします。
交通事故による視覚障害は、顔面を強く打ちつけるなどして眼や眼の周辺に外力が加わって起こります。
視力障害 |
目で物体を識別できる能力に障害が起きること。 失明という重篤な傷害となることもある。 |
調節機能障害 |
水晶体の厚さを調節し、ピントを合わせる機能に障害が起こる。 加齢とともに徐々に減少していくが、外力によって眼筋が損傷することで調節機能が低下する。 |
運動機能障害 |
物体の像を把握し、体や頭が動いているときも物体の像を中心窩に保持しつづける機能に障害が起こる。 また、思うように眼球が動かせないことも機能障害の一つといえる。 |
視野障害 |
半盲症・視野狭窄・視野変状などによって、一点を見つめたときに同時に見える広さが狭くなること。 |
また、目の後遺障害は眼球の障害だけではありません。
「まぶた」を
もあります。
まずは、視覚障害については眼科へ行くのが良いでしょう。
眼に起こっている異常の原因を検査で明らかにします。
しかし、怪我の程度や状況によっては眼科だけでは治らないこともあります。
たとえば「目がかすんでいる」と思っても、原因はさまざまです。
眼やその周辺を打ち付けて組織が損傷し異常が発生するだけでなく、むちうちでも「視覚障害」が発生することがあるのです。
交通事故の損害賠償は、その怪我・症状が交通事故によるものと証明しなくてはいけません。
視覚障害が発生した原因を突き止めることは大変重要です。
受診時には事故発生時の状況を医師に正確に伝えて適切な治療を開始しましょう。
十分な治療を行っても、これ以上良くも悪くもならないという状態で残存する症状
交通事故の場合、その部位と程度により14段階の後遺障害等級で区分される
視覚障害と考えられる症状をいくつか挙げてみます。
どのような症状であり、等級が何級になるかは次の章で詳しく説明します。
なお、被害者が若いほど気を付けるべき目の怪我に「眼窩底骨折(眼底骨折)」があります。
最悪の場合、失明に至る可能性もあります。交通事故だけでなく、スポーツなどでも発生するものです。
関心のある方は一度目を通してみてください。
後遺障害等級(1~14級まで)に認定されることで、加害者側から支払われる金銭は増額します。
後遺障害が残った場合に追加で支払われる金銭のひとつに後遺障害慰謝料があります。
後遺障害を負ってしまったという精神的苦痛に対して支払われる損害賠償
その他に支払われる金銭として逸失利益があります。
後遺障害が残ったことで労働能力が失われ収入が減ることへの補償
基礎収入(年収)×労働能力喪失率×労働能力喪失期間(67歳-症状固定時の年齢)に対応するライプニッツ係数
逸失利益の計算は複雑です。次のページで逸失利益計算の仕組みや便利な「計算機」を紹介しています。
自動で簡単に逸失利益や慰謝料を算出できます。
後遺障害等級の申請をして、後遺障害慰謝料を受け取るまでの流れを見てみましょう。
治療を続けても症状の改善が見込めなくなった状態を症状固定といいます。
後遺障害等級認定を受ける場合、事故から原則約6カ月以上経っている必要があります。
これ以上治療期間が短い場合は、後遺障害としては認められない可能性が高くなってしまいます。
症状固定の診断を受けたら、後遺障害等級認定を行いましょう。
まずは後遺障害診断書などの資料を準備します。
後遺障害の申請には、2種類の方法があります。
被害者が後遺障害診断書のみを任意保険会社に提出します。
被害者の負担が少なく、最小限の手間で済む方法です。
資料を被害者自身で用意して自賠責保険に提出します。
視覚障害があることを示す検査を行い、その検査結果も併せて提出してください。
事前認定と比べると、被害者側の手間や負担が多くなります。
しかし、等級認定」を受けるための工夫ができる方法なのです。
事前認定と被害者請求
事前認定 | 被害者請求 | |
請求者 | 相手方保険会社 | 被害者自身 |
メリット | 資料収集の手間がない | 自分で資料を確認できる |
デメリット | 自分で資料を確認できない | 資料収集の手間がかかる |
被害者請求の手間の部分「資料収集」などは、弁護士に依頼できます。
→被害者請求のデメリットはカバーでき、さらには等級認定の満足度も高められます。
提出された資料から損害保険料率算出機構が後遺障害等級の審査を行います。
審査結果をもとに自賠責保険会社が等級認定を行います。
書面審査のみとなりますので、申請時の提出書類が等級認定の重要なポイントになります。
後遺障害認定申請の方法は「被害者請求」が望ましいといえるでしょう。
後遺障害認定の申請についてもう少し詳しく知りたい方は、以下の記事を参照してください。
後遺障害等級の申請について
視覚障害のうち視力低下、失明からチェックしていきましょう。
それぞれ「どの程度の視力になってしまったか」、「両目か1眼か」が等級認定のポイントといえます。
視力低下は、第2級2号、第4級1号、第6級1号、第8級1号、第9級1号、第9級2号、第10級1号、第13級1号のいずれかに認定される可能性があります。
視力低下
両目 | 等級 |
0.02以下 | 第2級2号 |
0.06以下 | 第4級1号 |
0.1以下 | 第6級1号 |
0.6以下 | 第9級1号 |
片目 | 等級 |
0.02以下 | 第8級1号 |
0.06以下 | 第9級2号 |
0.1以下 | 第10級1号 |
0.6以下 | 第13級1号 |
つづいて失明の後遺障害等級です。
失明
両目 | 等級 |
両目の失明 | 第1級1号 |
片目 | 等級 |
他眼0.02以下 | 第2級1号 |
他眼0.06以下 | 第3級1号 |
他眼0.1以下 | 第5級1号 |
他眼0.6以下 | 第7級1号 |
1眼が失明* | 第8級1号 |
*もう片方の眼の視力は0.6を超える
失明は第1級1号、第2級1号、第3級1号、第5級1号、第7級1号、第8級1号の認定を受ける可能性が考えられます。
「失明」という状態にも定義があります。
「失明」や「視力低下」の後遺障害慰謝料をみていきましょう。
視力低下と失明による後遺障害慰謝料について、後遺障害等級に対応させた表は次の通りです。
失明・視力低下の後遺障害
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
第1級1号 | 1100万円 | 2800万円 |
第2級1号 | 958万円 | 2370万円 |
第2級2号 | 958万円 | 2370万円 |
第3級1号 | 829万円 | 1990万円 |
第4級1号 | 712万円 | 1670万円 |
第5級1号 | 599万円 | 1400万円 |
第6級1号 | 498万円 | 1180万円 |
第7級1号 | 409万円 | 1000万円 |
第8級1号 | 324万円 | 830万円 |
第9級1号 | 245万円 | 690万円 |
第9級2号 | 245万円 | 690万円 |
第10級1号 | 187万円 | 550万円 |
第13級1号 | 57万円 | 180万円 |
慰謝料の金額の算定方法はひとつではありません。
で大きく異なります。
以下のイラストは「慰謝料」の3つの算定方法と、その算定相場の違いを示しています。
表をみても、実際に「弁護士基準」がすべての等級において2~3倍の金額となっていることがわかります。
同じ後遺障害でも、基準が違うだけで金額が大きく変わってしまいます。
適正な慰謝料獲得のために、弁護士への依頼をご検討ください。
失明に関してさらに詳しく知りたい方はこちらもお読みください。
眼球には、見たい物との距離によって自動でピントを合わせる調節機能があります。
調節機能に何らかの障害が発生すると、第11級1号、第12級1号に認定される可能性があります。
調節機能障害・運動機能障害
等級 | 内容 |
第11級1号 | 両目の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの |
第12級1号 | 1眼の眼球に著しい節機能障害又は運動障害を残すもの |
調節機能障害は検査方法で示すことが大事です。
使用機器:アコモドポリレコーダー
調節機能障害が起こっていることを、健眼と比較して証明します。
被害者自身に健眼がある場合
調節力の異常が発生していない眼と比較します。
2分の1以下ならその目に著しい調節機能があるといえます。
被害者自身に健眼がない場合
年齢別の調節力の平均と比べて2分の1以下なら両目ともに著しい調節機能があるといえます。
年齢別の調節力の平均を表にまとめています。
ちなみに、調整力は加齢とともに減少するとされています。
被害者の事故当時の年齢が55歳を超えている場合、この調節機能障害は該当しないと判断されます。
年齢 | 調整力(D) |
15–19 | 9.7 |
20–24 | 9.0 |
25–29 | 7.6 |
30–34 | 6.3 |
35–39 | 5.3 |
40–44 | 4.4 |
45–49 | 3.1 |
50–54 | 2.2 |
55–59 | 1.5 |
60–64 | 1.35 |
65– | 1.3 |
※55歳以上で健眼がない場合は後遺障害認定の対象外
眼球の著しい運動障害とは、注視野の広さが2分の1以下に減ったことをさします。
注視野:頭部を固定したまま「眼球のみ」を動かして、直視することのできる範囲のことです。
運動機能の障害は、「ヘススクリーンテスト」や「ゴールドマン視野計」で測定します。
検査方法を簡単にまとめています。
ヘススクリーンテスト |
視標を赤と緑のガラスでみます。 この時の両目の「位置ずれ」を確認します。 |
ゴールドマン視野計 |
眼球のみを運動させ、直視できる範囲(注視野)をみます。 単眼視平均:約50度 両眼視平均:約45度 平均の2分の1以下に減っている場合は運動障害が考えられます。 |
調節機能障害や運動機能障害は、
のいずれかの後遺障害等級で認定される可能性があります。
等級 | 自賠責保険 | 弁護士基準 |
第11級1号 | 135万円 | 420万円 |
第12級1号 | 93万円 | 290万円 |
慰謝料は後遺障害等級によって変わります。
11級でも12級でも、3倍以上「弁護士基準」の慰謝料相場が上回っています。
視野障害
複視
にそれぞれ認定される可能性があります。
視野障害
等級 | 内容 |
第9級3号 | 両目に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの |
第13級3号 | 1眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの |
視野障害は「ゴールドマン視野計」を使って検査します。
まず、1点を見ている時に「同時に見える広さ」を計測します。
そして、合計8方向の視野の角度の合計を算出します。
その値が正常視野の角度の60%以下となったら、視野障害の可能性があります。
正常視野は以下の表の通りです。
方向 | V/4 |
上 | 60 |
上外 | 75 |
外 | 95 |
外下 | 80 |
下 | 70 |
下内 | 60 |
内 | 60 |
内上 | 60 |
複視は第10級2号、第13級2号に該当する可能性があります。
複視
等級 | 内容 |
第10級2号 | 正面を見た場合に複視の症状を残すもの |
第13級2号 | 正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの |
これらで等級が変わります。
視野障害・複視それぞれについて、該当する後遺障害等級に応じて慰謝料の相場が決まっています。
等級別に確認しましょう。
等級 | 自賠責保険 | 弁護士基準 |
第9級3号 | 245万円 | 690万円 |
第10級2号 | 187万円 | 550万円 |
第13級2号 | 57万円 | 180万円 |
第13級3号 | 57万円 | 180万円 |
視野障害や複視の程度によって等級はさまざまです。
しかし、どの等級でも加害者側提案の金額は、弁護士基準を下回っていることでしょう。
金額がご不安な方は、「この金額が妥当か」をぜひ弁護士に相談してみてください。
まぶたの後遺障害には次のようなものがあります。
まぶたの欠損
→まぶたの一部が欠けてしまったり、まぶたそのものが失われてしまうことをさします。
まぶたの運動障害
→まぶたが思うように動かせないことをさします。
まぶたの欠損・運動障害
等級 | 内容 |
第9級4号 | 両目のまぶたに著しい欠損を残すもの |
第11級3号 | 1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの |
第11級2号 | 両目のまぶたに著しい運動障害を残すもの |
第12級2号 | 1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの |
第13級4号 | 両目のまぶたの一部に欠損を残すもの |
第14級1号 | 1眼のまぶたの一部に欠損を残すもの |
まぶたの欠損や運動障害とはどんな状態かを見ておきましょう。
著しい欠損とは
→まぶたを閉じても角膜(黒目)を「完全に」おおえないもの
一部欠損とは
まぶたを閉じたときに「白目」が見えてしまっている状態になる欠損
等級は「欠損」や「運動障害」の程度によって変わるといえます。
後遺障害等級に応じた後遺障害慰謝料の基準額を確認してみましょう。
等級 | 自賠責保険 | 弁護士基準 |
第9級4号 | 245万円 | 690万円 |
第11級3号 | 135万円 | 420万円 |
第11級2号 | 135万円 | 420万円 |
第12級2号 | 93万円 | 290万円 |
第13級4号 | 57万円 | 180万円 |
第14級1号 | 32万円 | 110万円 |
弁護士基準での後遺障害慰謝料金額が、すべての後遺障害等級において自賠責基準を上回っています。
同じ14級でも、加害者側から提案される金額は32万円前後になる可能性が高いです。
しかし弁護士なら、110万円を基準にして交渉をします。
もちろん、個別の事情によって金額に増減はあります。
弁護士に依頼すれば、被害者一人ひとりのお話をよく聞いて、
ということを一緒に考え、主張していきます。
「まつげはげ」も後遺障害に認められる可能性があります。
認定される可能性がある後遺障害等級は次の通りです。
まつげはげ
等級 | 内容 |
第13級4号 | 両目のまぶたの一部にまつげはげを残すもの |
第14級1号 | 1眼のまぶたの一部にまつげはげを残すもの |
まつげはげとは、まつげが生えている周辺2分の1以上がはげている状態のことをいいます。
等級 | 自賠責保険 | 弁護士基準 |
第13級4号 | 57万円 | 180万円 |
第14級1号 | 32万円 | 110万円 |
まつげはげが片目なのか・両目なのかが等級の分かれ目となります。
13級・14級いずれにせよ、弁護士基準の相場は3倍となりますので、弁護士への相談がおすすめです。
視覚障害を負うと、被害者の生活や仕事は一変してしまう可能性があります。
最もひどい場合は失明してしまうなど、大変重篤な後遺障害となる恐れがあります。
しかし、加害者側の保険会社から提示される慰謝料・逸失利益は被害者の受けた損害に対して不十分なことがあります。
十分な補償を受け取るためには、弁護士への依頼がのぞましいでしょう。
保険会社との示談交渉などを一任することで慰謝料増額が目指せることに加えて、手続き・やり取りの煩雑さなどから解放されます。
視覚障害は後遺障害等級認定の幅が広く、認定を適正に受けることが「慰謝料」を正しく受けとる第一歩です。
慰謝料はいくらになるのか、後遺障害等級の申請方法など、どのようなことでも結構です。
お気軽にLINE・電話での無料相談をご利用ください。
(第二東京弁護士会)
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。
「視力障害」「調節機能障害」「運動機能障害」「視野障害」などの視覚障害は、正しい検査方法で示すことで後遺障害認定を受けられる可能性があります。症状としては、視力低下・視界のぼやけ・視野の欠けなどがあるでしょう。また、目の後遺障害としてはまぶたの欠損・機能障害などもあります。 交通事故の視覚障害4分類
後遺障害認定を受けるには、まず申請が必要です。申請方法は2つあり、①事前認定②被害者請求から選ぶことができます。いずれもメリット・デメリットはあります。適切な後遺障害等級認定を受けるには、被害者請求がのぞましいでしょう。 後遺障害等級の申請方法|視覚障害の場合
視力低下した場合、後遺障害2級2号、4級1号、6級1号、8級1号、9級1号、9級2号、10級1号、13級1号のいずれかに認定される可能性があります。後遺障害慰謝料は、後遺障害ごとに一定の目安額が設けられています。失明した場合もあわせて、視力低下に関する後遺障害等級と後遺障害慰謝料の一覧は以下のページからご確認ください。 視力低下の後遺障害慰謝料一覧
調節機能・運動機能の障害は、後遺障害11級1号、12級1号に認定される可能性があります。ヘススクリーンテスト・ゴールドマン視野計などをつかって検査し、その結果で後遺障害認定の申請を行いましょう。数値によって後遺障害等級が決まり、後遺障害慰謝料が算定されます。 調節機能・運動障害の後遺障害慰謝料一覧
視野障害は9級3号または13級3号認定の可能性、複視(物が二重に見える症状)は10級2号または13級2号に認定される可能性があります。ゴールドマン視野計などをつかって視野の角度をはかったり、片目・両目どちらに症状がみられるかなどで後遺障害等級が認定されます。後遺障害等級に応じて、後遺障害慰謝料が算定されます。 視野障害・複視の後遺障害慰謝料一覧