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作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
交通事故の被害にあった結果、腕を切断してしまう…。
日常動作で欠かせない腕を失うことは、今後の生活に大きな影響を及ぼします。
適切な損害賠償を弁護士と共に目指していきましょう。
目次
奈良県立医科大学付属病院アトム法律事務所顧問医
藤井 宏真医師
腕切断は交通事故の被害が直接の原因となる場合と、治療のためにやむなく切断をする場合があります。
交通事故で腕切断が発生する状況には、次のような場合が考えられます。
交通事故の被害で直接的に腕を切断してしまった場合も、交通事故の怪我を治療するために腕を切断することになった場合も、どちらも「腕を切断」した事実に変わりありません
「後遺障害」という言葉の意味を確認しておきましょう。
十分な治療を行っても、これ以上良くも悪くもならないという状態で残存する症状
交通事故の場合、その部位と程度により14段階の後遺障害等級で区分される
「後遺症」の中に「後遺障害」があると理解しておいてください。
この4つを満たす後遺症については後遺障害に認定される可能性があります。
後遺障害に認定されるということは「後遺障害等級」という等級認定されることを
腕切断については、
この2つの点で後遺障害等級が決まります。
等級が何級になるか?慰謝料はいくらなのか?は次の章で詳しく説明します。
1~14級までの後遺障害等級に認定されると、加害者側から支払われる金銭が増えます。
後遺障害が残った場合に追加で支払われる金銭のひとつに後遺障害慰謝料があります。
後遺障害を負ってしまったという精神的苦痛に対して支払われる損害賠償
また、他にも後遺障害慰謝料の他に支払われるものとして逸失利益があります。
後遺障害が残ったことで労働能力が失われ収入が減ることへの補償
基礎収入(年収)×労働能力喪失率×労働能力喪失期間(67歳-症状固定時の年齢)に対応するライプニッツ係数
後遺障害慰謝料と逸失利益は「後遺障害認定」されて初めて請求できます。したがって後遺障害に認定されれば受けとる金額は自然と増額します。
逸失利益の計算は少し複雑です。以下のページでは逸失利益計算の仕組みや「計算機」を紹介しています。
自動で簡単に逸失利益や慰謝料を算出できます。
腕切断については、後遺障害の有無などで争うことはほぼないと思われます。
しかし「逸失利益」の計算には注意が必要です。
逸失利益計算には、交通事故の被害者の事故前の収入を使用します。
被害者が会社員であれば「源泉徴収票」で収入を正確に示すことができます。
しかし、主婦や子ども、自営業の方が被害者のとき、源泉徴収票などの客観的な資料が足りず、加害者側と意見が対立する恐れがあります。
この点が争点になる場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
では、実際に腕切断による後遺障害等級の申請をして、後遺障害慰謝料を受け取るまでの流れを見てみましょう。
治療を継続しても症状の改善が見込めなくなった状態
後遺障害等級認定を受けるなら、原則事故から約6ヶ月以上経っている必要があります。
これ以上治療期間が短い場合は、後遺障害としては認められない可能性が高くなります。
症状固定と診断されたら、後遺障害等級認定に向けて後遺障害診断書などの資料を準備しましょう。
後遺障害の申請には、2種類の方法があります。
被害者が後遺障害診断書のみを任意保険会社に提出します。
被害者の手間や負担は少なめなので、比較的簡単に後遺障害認定を行えます。
被害者が資料を用意して自賠責保険に提出します。
後遺障害診断書は医師により作成されますが、その他の資料については被害者自身で何を提出するかを検討できます。
手間はかかってしまいますが、後遺障害等級認定に有利な資料を自分で精査できるというメリットがあります。
また、弁護士に資料収集作業を任せることもできますので、弁護士に依頼をして被害者請求をすることをおすすめします。
ここまでを簡単に表にまとめておきます。
事前認定と被害者請求
事前認定 | 被害者請求 | |
---|---|---|
請求者 | 相手方保険会社 | 被害者自身 |
メリット | 資料収集の手間がない | 自分で資料を確認できる |
デメリット | 自分で資料を確認できない | 資料収集の手間がかかる |
提出資料をもとに、損害保険料率算出機構が後遺障害等級の審査を行います。
審査結果をふまえ、自賠責保険会社が等級を認定します。
等級認定通知が届いたら、ご自身の後遺障害等級を確認してください。
そして後述する後遺障害慰謝料を適切に受けとりましょう。
より細かな認定手順については以下の記事を参照してください。
後遺障害等級の申請について
交通事故によって腕を切断した…。
認定される後遺障害等級は以下のようになります。
腕切断
等級 | 内容 |
---|---|
1級3号 | 両上肢をひじ関節以上で失ったもの |
2級3号 | 両上肢を手関節以上で失ったもの |
4級4号 | 1上肢をひじ関節以上で失ったもの |
5級4号 | 1上肢を手関節以上で失ったもの |
腕の切断は「欠損障害」に当たるものと考えられます。
それぞれ認定されうる等級は1級3号、2級3号、4級4号、5級4号となります。
いずれにしても後遺障害の程度は非常に重いものです。
慰謝料の金額は、個別の事情を考慮して増減されますが、おおよその等級に応じて慰謝料の目安は決められています。
慰謝料の金額の算定方法は、加害者側が提示してくるもの(自賠責基準・任意保険基準)と、弁護士が交渉して請求できるもの(弁護士基準)で違います。
下記の表をみてみましょう。
腕切断
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
1級3号 | 1100万円 | 2800万円 |
2級3号 | 958万円 | 2370万円 |
4級4号 | 712万円 | 1670万円 |
5級4号 | 599万円 | 1400万円 |
等級によって多少の違いはありますが、弁護士に依頼することで2倍以上の後遺障害慰謝料を請求可能です。
慰謝料の増額を目指すのであれば、できるだけ早い段階から弁護士と相談しておくことが重要です。
なかには、1000万円を超える金額を提案されると「これで十分なのかな?」と感じる人もいるようです。
しかし、自賠責基準1級の1100万円は、弁護士だと2800万円が基準となるほどの重い後遺障害です。
腕を切断することがどれほどの苦しみ・辛さ…。それはご本人にしか分からないものです。
しかしこうして「後遺障害等級」という一定のものさしで見てみると、被害者以外の方にも「たいへん重い障害である」とイメージしていただけたのではないでしょうか。
にも関わらず、相手方保険会社から提示される慰謝料・逸失利益は被害者の受けた損害に対して不十分な傾向にあります。
損害に対する十分な補償を受け取るためには、弁護士に依頼することが一番です。
保険会社との示談交渉などを一任することで慰謝料増額が叶うだけではなく、手続きの煩雑さなどから解放されます。
腕切断による慰謝料はいくらになるのか、通院に関する注意、後遺障害等級の申請方法など、どのようなことでも結構です。
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(第二東京弁護士会) 第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。
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弁護士プロフィール
岡野武志弁護士
腕切断の後遺障害等級は「切断位置」と「切断された腕が両腕か・片腕か」で決まります。認定される可能性がある等級は1級3号、2級3号、4級4号、5級4号となります。以下のページで、腕の状態と後遺障害等級の関連が分かるようにまとめていますので、詳細をご確認ください。 腕切断の後遺障害等級
症状固定後、主治医に「後遺障害診断書」を作成してもらいましょう。また、後遺障害認定の申請方法には①事前認定②被害者請求の2つがありますので、どちらかの方法で申請を行います。損害保険料率算出機構で審査が行われ、結果の通知を受けて後遺障害認定となります。 後遺障害認定申請の方法を詳しく解説
弁護士基準で慰謝料を算定すると増額される傾向にあります。たとえば、後遺障害5級4号(1上肢を手関節以上で失ったもの)の場合、自賠責保険の基準では599万円ですが、弁護士基準で慰謝料を算定すると1400万円となり、金額差は2倍以上です。その他の等級もほぼ同じことが言えます。 腕切断の後遺障害慰謝料|後遺障害等級別