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作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
外傷性頚部症候群は、交通事故の衝撃で首がむちのように前後にゆさぶられることで首の筋肉などを負傷することをいいます。外傷性頚部症候群は治療をつづけても痛み・しびれなどの後遺症が残る可能性があります。このような後遺症に対して、適切な慰謝料は得られるのでしょうか。
目次
奈良県立医科大学付属病院アトム法律事務所顧問医
藤井 宏真医師
外傷性頚部症候群(むち打ち)は、首の痛みや動かしにくさだけではなく、耳鳴りや吐き気・めまいなど一見むち打ちとは関係のないようなものまで、症状が多岐にわたることが特徴です。
外傷性頚部症候群はいわゆる「むちうち症」のことで、交通事故などで首に過度な衝撃が加わり、首の筋肉など軟部組織を痛めた状態をいいます。
外傷性頚部症候群には以下のような症状があります。
(一般的な症状)
(その他の症状)
など、外傷性頚部症候群はさまざまな症状を引き起こすことになります。
外傷性頚部症候群は整形外科を受診しましょう。
外傷性頚部症候群が生じる状況では、骨折している可能性や脊髄などの神経系にも影響がおよんでいる可能性もあります。
後ろから軽く追突されただけだし、痛みも大したことない…
このように思っていても、後から痛みだすことがしばしばあります。痛みや目立った外傷がなかったとしても、事故にあったら念のため必ず病院を受診するようにしてください。
後から痛むケースについて詳しくはこちら
外傷性頚部症候群の一般的な治療法はつぎの通りです。
▼保存療法
頚椎カラーなど首につける装具で首を固定し、安静にする
▼薬物療法
▼リハビリ
経過をみながら筋力トレーニングなど適度に首を動かす
十分な治療を受けても、これ以上良くも悪くもならない状態で残った症状
交通事故の場合、障害の部位と傷害の程度により14段階の後遺障害等級で区分される
外傷性頚部症候群を負うような怪我で生じることのある後遺障害には以下のようなものがあります。
▼神経症状
外傷性頚部症候群における後遺症が、何級になるかは次章で詳しく説明します。
後遺障害等級に認定されると、交通事故の相手方から支払われる金銭が増えます。
後遺障害が残った場合、追加で請求できる金銭の一つが後遺障害慰謝料です。
後遺障害を負ってしまったことで受けた精神的な苦痛に対して支払われる損害賠償
後遺障害慰謝料の他に、追加で請求できる金銭として逸失利益があります。
後遺障害を負ってしまったことで労働能力が失われ、将来的な収入が減ることへの補償
[逸失利益の計算方法]
基礎収入(年収)×労働能力喪失率×労働能力喪失期間(67歳-症状固定時の年齢)に対応するライプニッツ係数
逸失利益の計算で用いられる「労働能力喪失率」は、障害の部位・程度、職業・収入などを総合的に考慮して増減することがあります。
主婦などの場合における年収算定方法、ライプニッツ係数一覧などはこちらの記事をご覧ください。
外傷性頚部症候群で、後遺障害等級の申請~後遺障害慰謝料を受け取るまでの流れを見ていきたいと思います。
治療をつづけても、症状の改善が期待できなくなった状態を症状固定といいます。
後遺障害等級認定を受ける場合、原則として事故発生から約6カ月以上経過している必要があります。
これよりも治療期間が短い場合、後遺障害としては認められない可能性が高くなるので注意が必要です。
症状固定の診断を受けたら、後遺障害等級認定に向けて後遺障害診断書や医学的資料などを準備します。
後遺障害の申請方法は2種類あり、いずれかの方法を選ぶことができます。
事前認定:被害者が後遺障害診断書のみを任意保険会社に提出
被害者請求:被害者が後遺障害診断書や医学的資料なども用意して自賠責保険に提出
被害者請求は資料集めに手間がかかりますが、後遺障害等級の認定に有利となる資料を自分で収集できるのが強みです。弁護士に依頼することで、手間がかかる資料集めを任せることができます。
事前認定と被害者請求
事前認定 | 被害者請求 | |
---|---|---|
請求者 | 相手方保険会社 | 被害者自身 |
長所 | 資料収集の手間がない | 自分で資料を確認できる |
短所 | 自分で資料を確認できない | 資料収集の手間がかかる |
提出された資料から損害保険料率算出機構によって後遺障害等級の審査がおこなわれます。
外傷性頚部症候群いわゆる「むちうち」では、後遺障害等級が認定されにくいという話があるようです。しかし、むちうちにかぎった話ではなく、後遺障害等級の申請は記載が充実した後遺障害診断書とそれを裏付ける十分な医学的資料がそろっているなどが重要になります。
このような点を満たしていることが重要です。
審査結果をふまえ、自賠責保険会社が等級認定をおこないます。
後遺障害等級の申請についてさらに詳しくはこちら
外傷性頚部症候群による神経症状で認定される可能性のある後遺障害等級は以下の通りです。
外傷性頚部症候群による神経症状
等級 | 症状 |
---|---|
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
▼12級13号
神経系統の機能障害が医学的に「証明可能」であること
▼14級9号
神経系統の機能障害が医学的に「説明可能」であること
慰謝料の金額は、相手方が提示する基準(自賠責基準・任意保険基準)と、弁護士が用いる基準(弁護士基準)で大きく異なります。
外傷性頚部症候群による神経症状の症状に対応する後遺障害慰謝料は以下のようになります。
外傷性頚部症候群による神経症状
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
12級13号 | 93万円 | 290万円 |
14級9号 | 32万円 | 110万円 |
等級ごとによりますが弁護士に依頼することで約2~3倍程度の後遺障害慰謝料を請求することが可能になります。
慰謝料の増額を目指すのであれば、なるべく早い段階で弁護士に相談しておくことが大切です。
外傷性頚部症候群は後遺障害の症状のなかでも痛みやしびれなど比較的、軽症であることが多いです。軽傷とはいえ、その苦しみが一生涯つづくこともあるのですから十分な損害賠償が支払われるべきであると思います。
にも関わらず、相手方の保険会社から提示される損害賠償の金額は不十分であることが多いです。
損害に対して十分な補償を受け取るためには、弁護士に依頼することが一番といえます。
保険会社との示談交渉などを一任することで、慰謝料増額をはじめとして、わずらわしい手続きなどからも解放されます。
外傷性頚部症候群による慰謝料はいくらになるのか、治療・通院に関する注意点、後遺障害等級の申請方法など、どのようなことでもご相談ください。
まずは気軽に、LINE・電話の無料相談をご利用ください。
(第二東京弁護士会) 第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。
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岡野武志弁護士